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三章 あん・あん、いやあん、第三層
55 毎度おなじみ、大気のあるところでの待機
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クチャリ。音は分からないけれど、そんな破裂した感触があった。ゾンビと同じように赤い汁をまき散らすリッチ。次の魔法を放つことも無く、あっさりと決着となった。
「貧弱ぅぅうぅぅぅ。」
僕はそんな言葉を叫びながら、墓場ゾーンを抜けた。まあ、もし装甲車が動かなくなっていたら、これ以上は無い見事な土下座を披露していただろうけどね。
何はともあれ、難関は突破したようだ。そして目の前には大きな洋館が建っている。まだ時間的には昼間のハズなのに、空には赤みがかった月が浮かんでいる。おそらく洋館の扉がボス部屋の入り口だ。
しかしこの雰囲気だと、ボスはスカルドラゴンじゃなく、バンパイアを配置するべきじゃ無いか? 洋館に入ったらスカルドラゴンって、確実に配置ミスだろ。
「このダンジョンを誰かが意図して作ったとすると、ちょっと馬鹿すぎじゃないか? バランスもおかしいし。」
僕はついそう言葉にしてしまった。しかしハっとして口を塞ぐ。そしてキョロキョロと周囲を見渡す。
「すみません、嘘です。すばらしいダンジョンです。」
もし今の言葉を、神だかダンジョンマスターだかに聞かれていたら、嫌がらせをされるかもしれない。いるかどうか、僕の言葉を聞いているかどうかも分からないけれど、一応機嫌を取っておこう。験担(げんかつ)ぎという奴だ。
そして僕はボス部屋控え室に入る。装甲車のおかげで、拍子抜けするほどのあっさり感があるけれど、費やした日数は
一層と二層の攻略にかけた時間より長い。考えてみると余計なイベントが多かったように思える。
僕は控え室で装置の準備を整える。今回も危険物取り扱いだ。え? もちろんまともに戦う気なんて無いよ。勝てるわけ無いんだしね。
今回、スカルドラゴンは明らかに呼吸する系の魔物では無いから毒は効かない。そして基本的な構成は骨だ。つまりカルシウムの塊だ。だったら溶かせばいい。ということで今回ご用意したのは、水酸化ナトリウムだ。そしてこの装置、水と水酸化ナトリウムを混ぜて水溶液を作りながら、それを霧状に吹き上げさせる装置だ。
まあ、カルシウムを溶かすといっても、水酸化ナトリウムとの反応では、どろどろと溶けるような変化は起こらない。反応の結果、カルシウムの結合が緩くなり、ちょっとした圧力でボロボロと砕ける程度に脆くなるのだ。そして骨が脆くなれば、スカルドラゴンは自重(じじゅう)に耐えきれずに勝手に崩壊するだろう。
僕はボス部屋の扉を開けた。いた! ごっついのがボス部屋の真ん中に佇んでいる。スカルドラゴン、想像以上にデカい。そして僕にも分かる、凄まじい魔力。恐らく対魔フィールドか何かに覆われているのだろう。コイツとまともに戦ったら洒落にならない。空を飛ぶ上に魔法抵抗を持ち、物理的にも硬そうだ。ぶっちゃけ弱点が無い。もし正面から戦うとなると、作戦は対空攻撃の力押しをするか、がんばって地上に落としてから袋にするしかないだろう。ギデア辺りなら背に乗って、そこから骨砕きとかやりそうだけど。
スカルドラゴンはまだ反応しない。毎回ながら、ボスは近づいたり攻撃を加えたりしない限り、すぐには動き出さないようだ。それだからこそ付け入る隙があるのだ。
僕は静かに装置を設置する。稼働を確認をした後、ボス部屋の扉をそっと閉めた。今回の僕に抜かりは無い。お手製のトランプを持ってきたぞ。一人遊びの天才、その力を今こそ見せるときだ!
そして食べる、遊ぶ、寝るを繰り返す。ただ、いつもと違い、理由は分からないけれど何だかちょっと落ち着かない。なんだろう? そして数時間経過した後、いつもの揺れが起こった。どうやら勝負は決したようだ。ちょろいなあ。
僕はボス部屋の中に入った。階段と宝箱が出現している。ボスの倒し方に関してこれでいいのかちょっと不安になったけれど、これ以外の方法が無いのだから仕方が無い。僕がこの世界の管理人だったら、確実に修正パッチを入れているだろう。
まずはスカルドラゴンのドロップを回収する。そして宝箱だ。僕は宝箱を開けた。中身は・・・袋だ。こっこれは!
ジャジャジャジャーン、魔法の袋(大)
素晴らしい! とても良いものが手に入った。そういえば未だに所持しつつけているけど、以前、宝箱にパンティが入っていたことがあったなぁ。同類じゃ無くて良かった。とはいってもボス部屋だから、さすがにゴミアイテムは出ないよね。
さらにもう一つ入っていた。水晶玉のような球体だ。その中には石造りの家のミニチュアが見える。装飾品だろうか? これは鑑定してもらう必要がありそうだ。
そして僕は魔法の袋(大)の容量を確認するため覗き込んだ。凄まじく広い。限界が見えないレベルだ。もちろん魔法の袋なので、取り出したい物を指定すれば袋の奥でも出し入れは可能だ。そしてその広大な空間の中に妙なものがあるのに気がついた。
紙? 僕はその紙を見る。何か文字が書いてある。・・・って日本語とアルファベット? しかも印刷されたもののようだ。
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何これ? ボロディア? まったく意味が分からない。実は紙がマジックアイテムとか? 僕は紙を透かしたり、裏返しにしたりしてみたものの、明らかにタダの紙だ。しかもこの世界の紙とは違う、日本でよく見るプリンタでの印刷によく使う上質紙だ。この紙を見た瞬間から、悪寒が身体を這い回り、身震いが止まらない。本当に何これ?
おかしい
おかしい
おかしい
僕は思った。そろそろこの世界の色々な部分を疑ってかかるべきだと。僕はこの世界をてっきり異世界だと思っていた。しかしそもそも異世界って何だろう? ちょっと待て、そもそも僕は元の世界で何をしていた? てっきり死んだから転生したと思っていたけれど、僕の死因は・・・記憶に無い。自分が何をしていたのかさっぱり記憶が無い。それを考えようとすると、強烈な不安感と恐怖に支配される。
ふとある単語が脳裏に浮かぶ。
『えーあい』
僕は汗を吹き出しながら、一生懸命記憶を辿る。確か・・・僕は・・・つ・・・。
「誰だ!」
僕は叫んだ。突然何かの気配を感じたのだ。独立しているはずのボス部屋、誰かいるのはあり得ない、
「アニキ、オレっす。」
カッチェだった。
「何で?」
僕はただただ混乱した。
「実はアニキが心配で、ずっと後を付いてきたっす。もしヤバそうなら助けに入るつもりだったっす。スカルドラゴンを倒したときも、隠れて見てたっす。あんな方法で倒しちゃうんだから、さすがはヨクジョーのアフタっすね。」
「隠れてって、マジックアイテムか何か?」
「そういうスキルっす。」
僕は自分でも、ちょっとお人好しかなというのは認識している。しかし・・・カッチェがここにいるって怪しすぎないか? そもそも装甲車は一人乗りだし、どうやって付いてきたんだ? それもスキル?
「アニキ、顔が怖いっす。せっかく第三層のボスを倒したんだから、もっと喜んで欲しいっす。」
いったい、何がどうなっているのか? 第三層での出来事は謎が多すぎる。とにかく第三層の攻略は完了した。
「貧弱ぅぅうぅぅぅ。」
僕はそんな言葉を叫びながら、墓場ゾーンを抜けた。まあ、もし装甲車が動かなくなっていたら、これ以上は無い見事な土下座を披露していただろうけどね。
何はともあれ、難関は突破したようだ。そして目の前には大きな洋館が建っている。まだ時間的には昼間のハズなのに、空には赤みがかった月が浮かんでいる。おそらく洋館の扉がボス部屋の入り口だ。
しかしこの雰囲気だと、ボスはスカルドラゴンじゃなく、バンパイアを配置するべきじゃ無いか? 洋館に入ったらスカルドラゴンって、確実に配置ミスだろ。
「このダンジョンを誰かが意図して作ったとすると、ちょっと馬鹿すぎじゃないか? バランスもおかしいし。」
僕はついそう言葉にしてしまった。しかしハっとして口を塞ぐ。そしてキョロキョロと周囲を見渡す。
「すみません、嘘です。すばらしいダンジョンです。」
もし今の言葉を、神だかダンジョンマスターだかに聞かれていたら、嫌がらせをされるかもしれない。いるかどうか、僕の言葉を聞いているかどうかも分からないけれど、一応機嫌を取っておこう。験担(げんかつ)ぎという奴だ。
そして僕はボス部屋控え室に入る。装甲車のおかげで、拍子抜けするほどのあっさり感があるけれど、費やした日数は
一層と二層の攻略にかけた時間より長い。考えてみると余計なイベントが多かったように思える。
僕は控え室で装置の準備を整える。今回も危険物取り扱いだ。え? もちろんまともに戦う気なんて無いよ。勝てるわけ無いんだしね。
今回、スカルドラゴンは明らかに呼吸する系の魔物では無いから毒は効かない。そして基本的な構成は骨だ。つまりカルシウムの塊だ。だったら溶かせばいい。ということで今回ご用意したのは、水酸化ナトリウムだ。そしてこの装置、水と水酸化ナトリウムを混ぜて水溶液を作りながら、それを霧状に吹き上げさせる装置だ。
まあ、カルシウムを溶かすといっても、水酸化ナトリウムとの反応では、どろどろと溶けるような変化は起こらない。反応の結果、カルシウムの結合が緩くなり、ちょっとした圧力でボロボロと砕ける程度に脆くなるのだ。そして骨が脆くなれば、スカルドラゴンは自重(じじゅう)に耐えきれずに勝手に崩壊するだろう。
僕はボス部屋の扉を開けた。いた! ごっついのがボス部屋の真ん中に佇んでいる。スカルドラゴン、想像以上にデカい。そして僕にも分かる、凄まじい魔力。恐らく対魔フィールドか何かに覆われているのだろう。コイツとまともに戦ったら洒落にならない。空を飛ぶ上に魔法抵抗を持ち、物理的にも硬そうだ。ぶっちゃけ弱点が無い。もし正面から戦うとなると、作戦は対空攻撃の力押しをするか、がんばって地上に落としてから袋にするしかないだろう。ギデア辺りなら背に乗って、そこから骨砕きとかやりそうだけど。
スカルドラゴンはまだ反応しない。毎回ながら、ボスは近づいたり攻撃を加えたりしない限り、すぐには動き出さないようだ。それだからこそ付け入る隙があるのだ。
僕は静かに装置を設置する。稼働を確認をした後、ボス部屋の扉をそっと閉めた。今回の僕に抜かりは無い。お手製のトランプを持ってきたぞ。一人遊びの天才、その力を今こそ見せるときだ!
そして食べる、遊ぶ、寝るを繰り返す。ただ、いつもと違い、理由は分からないけれど何だかちょっと落ち着かない。なんだろう? そして数時間経過した後、いつもの揺れが起こった。どうやら勝負は決したようだ。ちょろいなあ。
僕はボス部屋の中に入った。階段と宝箱が出現している。ボスの倒し方に関してこれでいいのかちょっと不安になったけれど、これ以外の方法が無いのだから仕方が無い。僕がこの世界の管理人だったら、確実に修正パッチを入れているだろう。
まずはスカルドラゴンのドロップを回収する。そして宝箱だ。僕は宝箱を開けた。中身は・・・袋だ。こっこれは!
ジャジャジャジャーン、魔法の袋(大)
素晴らしい! とても良いものが手に入った。そういえば未だに所持しつつけているけど、以前、宝箱にパンティが入っていたことがあったなぁ。同類じゃ無くて良かった。とはいってもボス部屋だから、さすがにゴミアイテムは出ないよね。
さらにもう一つ入っていた。水晶玉のような球体だ。その中には石造りの家のミニチュアが見える。装飾品だろうか? これは鑑定してもらう必要がありそうだ。
そして僕は魔法の袋(大)の容量を確認するため覗き込んだ。凄まじく広い。限界が見えないレベルだ。もちろん魔法の袋なので、取り出したい物を指定すれば袋の奥でも出し入れは可能だ。そしてその広大な空間の中に妙なものがあるのに気がついた。
紙? 僕はその紙を見る。何か文字が書いてある。・・・って日本語とアルファベット? しかも印刷されたもののようだ。
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何これ? ボロディア? まったく意味が分からない。実は紙がマジックアイテムとか? 僕は紙を透かしたり、裏返しにしたりしてみたものの、明らかにタダの紙だ。しかもこの世界の紙とは違う、日本でよく見るプリンタでの印刷によく使う上質紙だ。この紙を見た瞬間から、悪寒が身体を這い回り、身震いが止まらない。本当に何これ?
おかしい
おかしい
おかしい
僕は思った。そろそろこの世界の色々な部分を疑ってかかるべきだと。僕はこの世界をてっきり異世界だと思っていた。しかしそもそも異世界って何だろう? ちょっと待て、そもそも僕は元の世界で何をしていた? てっきり死んだから転生したと思っていたけれど、僕の死因は・・・記憶に無い。自分が何をしていたのかさっぱり記憶が無い。それを考えようとすると、強烈な不安感と恐怖に支配される。
ふとある単語が脳裏に浮かぶ。
『えーあい』
僕は汗を吹き出しながら、一生懸命記憶を辿る。確か・・・僕は・・・つ・・・。
「誰だ!」
僕は叫んだ。突然何かの気配を感じたのだ。独立しているはずのボス部屋、誰かいるのはあり得ない、
「アニキ、オレっす。」
カッチェだった。
「何で?」
僕はただただ混乱した。
「実はアニキが心配で、ずっと後を付いてきたっす。もしヤバそうなら助けに入るつもりだったっす。スカルドラゴンを倒したときも、隠れて見てたっす。あんな方法で倒しちゃうんだから、さすがはヨクジョーのアフタっすね。」
「隠れてって、マジックアイテムか何か?」
「そういうスキルっす。」
僕は自分でも、ちょっとお人好しかなというのは認識している。しかし・・・カッチェがここにいるって怪しすぎないか? そもそも装甲車は一人乗りだし、どうやって付いてきたんだ? それもスキル?
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