能力チート無しで目指す、現代人的ダンジョン踏破 ~成長するのは斜め上~

ふぉ

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四章 予想はよそう、第四層

70 死体にしたい

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 闇が少しずつ晴れていく。目の前にいたのは・・・懐かしいな、第一層のボス、コボルトチーフだ。ヤツはちょうど壁に叩き付けられている最中だった。

「ヨワ、これでボスなの?」
 リコッテの声だ。また夢なのか?

「すぐには倒さないように。近接と魔法の切り替えを素早く出来るようにするための修練ですから。」 

 侍が何か言っている。ってフロアボスを練習に使うな!

 リコッテはコボルトチーフの攻撃を面倒くさそうに受け流し、隙を見て魔力の塊っぽいのを当てて弾き飛ばした。その技量は半端ではない。僕なら瞬殺される自信がある。なんだろう・・・第一層のフィールドでちょっと戦っただけの割には強くなりすぎじゃない?

「面倒くさい、終わりにするわよ。」
 彼女はの杖が強烈に発光する。そして砲撃と化した光がそこから放たれる。その光は壁に張り付いていたコボルトチーフを包み込む。そして身体はきれいに消え去った。ドロップは発生せず、核だけがころんと地面に転がった。

「致し方ありませんな。第二層に降りて次の修練に入りましょう。」
「下にはもう少しマシなのがいるの?」
「特殊攻撃を仕掛けてくるものもおりますので、多少の経験にはなるでしょう。」

 相変わらず、とんでもない夢だ。リコッテは宝箱を発見し杖で引っぱたいて開ける。村にいたときよりも行動が粗暴になってるな。

「首飾りとベルトね。期待していたよりも貧相なものしか出ないわね。」
「まあ、最初はそんなものです。しかし下の階層に行くにつれて、強力なアイテムが出るようになります。また、中身は人数分出るようになっています。」

 ああ、あれってやっぱり人数分だったのか? 第二層以降、宝箱の中身が複数だったのはカッチェが気配を消して張り付いていたから? 夢の割にはずいぶんと辻褄が合う内容だなあ。袋の中に入っていたメモは、袋とセットで一つということだろう。 

 そして今回は夢の中であるにもかかわらず焦げ臭さを感じる。光魔法で消滅したコボルトチーフの残り香だろうか?

「熱ゥ!」

 僕は熱さで目を覚ました。僕の服がチリチリと燃えている。そこへアイボウが体当たりしてきた。

「グフゥ。」

 火が消えた。どうやら消火してくれたらしい。目の前には僕を圧死させようとした吸血鬼の焼死体が転がっていた。そうか、夢から覚めたのか。

 ウーナが得意げに僕を見ている気がする。どうやら吸血鬼の身体を焼却したのはウーナの目からレーザーらしい。燃えている状況を考えると、レーザーの焦点は一点集中で穴を開けるだけでなく、拡散のようなことが可能なようだ。しかし僕まで燃えてたんだけど?

 体中が痛む。僕はライフポーション(低)を取り出すと飲んだ。お金のあるし、そろそろ上級のポーションを買ってもいい気がする。節約しすぎて死んだら元も子もない。次のアンアン達が湧き出てくる前にとっとと脱出しよう。大漁の核やドロップの取り残しはあるけれど、命には代えられない。一応、吸血鬼のドロップと核は価値が高そうなので回収しておく。そして僕はウーナにまたがった。

「発進!」

 僕はそう命令した。ウーナは終着の村目指して出発した。ライフポーションを飲んだとはいえ、そんなにすぐ回復するわけでは無い。痛みで嫌な汗をかきながら、必死にウーナにしがみついている状況だ。とにかく墓場ゾーンから一刻も早く脱出だ。

 もうすぐ墓場ゾーンを脱出というところで、何かがぶつかる音や怒号、爆発音などが聞こえる。どうやら墓場入り口で戦闘が行われているようだ。体力気力共に迂回している余裕は無い。僕は進路を変えず、まっすぐ進んだ。

 そして音を出している元を発見する。冒険者四人が半死半生でスケルトンやゾンビと戦っていた。辺りにはかなりの数のアンデッドの死体が転がっている。アンデッドは元々死体だという突っ込みは無しだ。

 かなり善戦していたようだ。しかし彼らの疲労の色は濃い。どんなに倒しても、時間が経つとどんどん湧いてくる。それがこの場所の恐ろしさだ。このままだと完全に包囲されて総崩れになるだろう。

 僕はウーナを停止さ、アイボウに冒険者達の援護を命じた。一目散に突っ込んでいくアイボウ。アイボウは次々とアンデッド達を破壊していく。俊敏すぎて目が追いつかない。突然の加勢に驚いた冒険者達。一時はアイボウに向かって剣を向けたりもしたけれど、自分たちの味方をしていることに気づき、周囲のアンデッドの掃討に集中する。

 さすが第三層の深部までやってきた冒険者達。その技や連携は見事だ。いまさっき参戦したアイボウとの連携すら取り始めていた。これが本物の冒険者の姿なのだ。そんな光景を見れば見るほど、自分が偽物なのだと認識させられる。そして周囲のアンデッドは一匹残らず駆除された。

 そのまま素通りするわけにも行かず、コミュ障の僕は頑張って冒険者達に声をかけることにした。
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