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五章 寒々ホワイト、第五層
102 素人が思う白い色、玄人が作る黒い色
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「あの・・・怪我とかしているわけでは無いですよね。中で・・・話しましょう。」
僕はスコヴィルに手を引かれ、酒場のテーブル席に座った。彼女は林檎ジュースを二人分頼んだ。僕は泣くばかりでなかなか言葉をだすことが出来ない。そんな様子を黙って見守る彼女。本当に僕はみっともないなあ。
「・・・僕の・・・ユニークスキルが分かりました。」
彼女はなかなか出てこない僕の言葉を辛抱強く待った。
「僕は・・・成長できません。強くなれない・・・制約のスキルでした。だから・・・。」
やっとのことでそこまで話す。果たして意味は通じているだろうか?
「アフタさんは自分のユニークスキルで、力を封じられているですね?」
え? さっきの不十分な説明でそこまで理解できるの?
「大丈夫です。これからパーティーを組むんですから私がフォローします。一緒に頑張りましょう。」
え?
「これからですか?」
「そうです。これから大変です。でも、大変なのは最初から分かっていたことです。何があっても諦めるつもりはありません。私は一度死にかけました。今度同じような状況になったら、全力でそれに抗(あがら)ってみせます。アフタさんのことも全力で守って見せます。だから一緒にいてください。」
何、この君は俺が守る的な展開は? 普通は逆じゃない? それは僕が言うべきセリフだったはずだ。いったい僕は何をやっているんだ? みっともないとか、もはやそういうレベルですら無い。
「ゴメン、スコヴィルさん。ちょっと動揺しておかしくなってました。僕は・・・強くなれなくてもやれることはあります。だから僕が必ずスコヴィルさんを第十層に連れて行って見せます!」
僕のその言葉を聞いて、パーっと明るい表情を見せるスコヴィル。
「はい、よろしくお願いします。さあ、林檎ジュースで乾杯しましょう。」
僕は乾杯した後、ジュースを一気に飲み干した。そうだ、何を弱気になっていたんだ。強くなくたって第五層まで到達できたんだ。前が駄目なら裏をかく、そうやって今まで戦ってきたのだ。
「ごめんなさい、私がスキル鑑定なんて余計なことを言ったせいで。」
「違いますよ、スコヴィルさんは謝る必要なんてありません。なんというか、こういうのが僕の運命みたいなもので、事前に絶対期待するなって自分に言い聞かせていたはずなんですが・・・。でも、もう大丈夫です。なんであんなに狼狽えちゃったんだろうなあ。」
とは言ったものの、理由はなんとなく分かっている。それはソロで無くなったせいだ。自分以外の人に対する責任の重さ、それが意識せずとも心の重荷になっていたのだ。僕はそこから逃げ出すところだった。コミュ障の原点はたぶんそんなところにあるんだろう。これから直していかなければならない部分だ。制約のスキルは、心の成長には影響を及ぼさないと信じたい。
僕達は酒場で食事をとった。あんなことがあった後なので胃が受け付けるか心配だったけれど、食べ始めると自分が空腹だと言うことに気づき食は進んだ。久々の地上の食事は懐かしさがあった。
「今日は休みましょう。色々あってアフタさんも疲れたでしょう?」
「そうですね。そうだ、またディメンジョンハウス、箱庭って呼んでいるんですが、スコヴィルさんもあれを使いますか? 宿代が浮きますよ。」
「いいんですか?」
「パーティーメンバーですから、遠慮は無しで。」
「それではまたお邪魔しますね。」
僕達はいったん裏路地の人気の無い場所へ移動してから箱庭へ転移した。いきなり姿を消したら、通行人が驚くからだ。
「あ!」
「アフタさん、どうしたんですか?」
「ウーナの合成合体が完了してました。」
どうやら僕が正気を失って街を走っていたときに鳴ったようだ。ゴメン、ウーナのことをすっかり忘れてたよ。僕はウーナをジャンク工場から転送する。
「あれ?」
僕は転送されてきたウーナを見て驚いた。合成前の素材は白豹だったはず。しかし何故か見た目が黒豹だ。そして相変わらず足の先に車輪が付いている。どうしてそうなった? 規則性とか法則性がまったく見えない。アイボウが白だったのはタマタマ?
「かわいいですね。」
「そうですか?」
「はい、かわいいです。」
僕としては違和感ばりばりだ。そして変な感じに仕上がってしまったんだけど、まあ深く考えるのはよそう。今日は遅くなったし、明日になってからウーナの能力の確認をしよう。
そして寝る前に僕はスコヴィルに箱庭の設備の説明をし、自由に使って良いという話をして一日が終わった。
【 45日目 】
単価 個数 金額 項目
-------------------------------------------------------------
26万0000蝸 8個 208万0000蝸 白狼の牙
14万0000蝸 10個 140万0000蝸 白狼の爪
48万0000蝸 5個 240万0000蝸 白狼の毛皮
-5万0000蝸 1個 -5万0000蝸 スキル鑑定
-1万2000蝸 1個 -1万2000蝸 飲食代
[ 残金 598万8900蝸 ]
僕はスコヴィルに手を引かれ、酒場のテーブル席に座った。彼女は林檎ジュースを二人分頼んだ。僕は泣くばかりでなかなか言葉をだすことが出来ない。そんな様子を黙って見守る彼女。本当に僕はみっともないなあ。
「・・・僕の・・・ユニークスキルが分かりました。」
彼女はなかなか出てこない僕の言葉を辛抱強く待った。
「僕は・・・成長できません。強くなれない・・・制約のスキルでした。だから・・・。」
やっとのことでそこまで話す。果たして意味は通じているだろうか?
「アフタさんは自分のユニークスキルで、力を封じられているですね?」
え? さっきの不十分な説明でそこまで理解できるの?
「大丈夫です。これからパーティーを組むんですから私がフォローします。一緒に頑張りましょう。」
え?
「これからですか?」
「そうです。これから大変です。でも、大変なのは最初から分かっていたことです。何があっても諦めるつもりはありません。私は一度死にかけました。今度同じような状況になったら、全力でそれに抗(あがら)ってみせます。アフタさんのことも全力で守って見せます。だから一緒にいてください。」
何、この君は俺が守る的な展開は? 普通は逆じゃない? それは僕が言うべきセリフだったはずだ。いったい僕は何をやっているんだ? みっともないとか、もはやそういうレベルですら無い。
「ゴメン、スコヴィルさん。ちょっと動揺しておかしくなってました。僕は・・・強くなれなくてもやれることはあります。だから僕が必ずスコヴィルさんを第十層に連れて行って見せます!」
僕のその言葉を聞いて、パーっと明るい表情を見せるスコヴィル。
「はい、よろしくお願いします。さあ、林檎ジュースで乾杯しましょう。」
僕は乾杯した後、ジュースを一気に飲み干した。そうだ、何を弱気になっていたんだ。強くなくたって第五層まで到達できたんだ。前が駄目なら裏をかく、そうやって今まで戦ってきたのだ。
「ごめんなさい、私がスキル鑑定なんて余計なことを言ったせいで。」
「違いますよ、スコヴィルさんは謝る必要なんてありません。なんというか、こういうのが僕の運命みたいなもので、事前に絶対期待するなって自分に言い聞かせていたはずなんですが・・・。でも、もう大丈夫です。なんであんなに狼狽えちゃったんだろうなあ。」
とは言ったものの、理由はなんとなく分かっている。それはソロで無くなったせいだ。自分以外の人に対する責任の重さ、それが意識せずとも心の重荷になっていたのだ。僕はそこから逃げ出すところだった。コミュ障の原点はたぶんそんなところにあるんだろう。これから直していかなければならない部分だ。制約のスキルは、心の成長には影響を及ぼさないと信じたい。
僕達は酒場で食事をとった。あんなことがあった後なので胃が受け付けるか心配だったけれど、食べ始めると自分が空腹だと言うことに気づき食は進んだ。久々の地上の食事は懐かしさがあった。
「今日は休みましょう。色々あってアフタさんも疲れたでしょう?」
「そうですね。そうだ、またディメンジョンハウス、箱庭って呼んでいるんですが、スコヴィルさんもあれを使いますか? 宿代が浮きますよ。」
「いいんですか?」
「パーティーメンバーですから、遠慮は無しで。」
「それではまたお邪魔しますね。」
僕達はいったん裏路地の人気の無い場所へ移動してから箱庭へ転移した。いきなり姿を消したら、通行人が驚くからだ。
「あ!」
「アフタさん、どうしたんですか?」
「ウーナの合成合体が完了してました。」
どうやら僕が正気を失って街を走っていたときに鳴ったようだ。ゴメン、ウーナのことをすっかり忘れてたよ。僕はウーナをジャンク工場から転送する。
「あれ?」
僕は転送されてきたウーナを見て驚いた。合成前の素材は白豹だったはず。しかし何故か見た目が黒豹だ。そして相変わらず足の先に車輪が付いている。どうしてそうなった? 規則性とか法則性がまったく見えない。アイボウが白だったのはタマタマ?
「かわいいですね。」
「そうですか?」
「はい、かわいいです。」
僕としては違和感ばりばりだ。そして変な感じに仕上がってしまったんだけど、まあ深く考えるのはよそう。今日は遅くなったし、明日になってからウーナの能力の確認をしよう。
そして寝る前に僕はスコヴィルに箱庭の設備の説明をし、自由に使って良いという話をして一日が終わった。
【 45日目 】
単価 個数 金額 項目
-------------------------------------------------------------
26万0000蝸 8個 208万0000蝸 白狼の牙
14万0000蝸 10個 140万0000蝸 白狼の爪
48万0000蝸 5個 240万0000蝸 白狼の毛皮
-5万0000蝸 1個 -5万0000蝸 スキル鑑定
-1万2000蝸 1個 -1万2000蝸 飲食代
[ 残金 598万8900蝸 ]
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