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九章 魔境の森だよ、第九層
183 外交が通用しそうに無い骸骨
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「みなさん、これを持って行ってください。」
スコヴィルがポーションを配り始めた。そういえばさっき、彼女は泉のところで何かやっていた。
「あの泉はライフポーションとマジックポーションの両方の効果があるエクストラポーションみたいです。鑑定スクロールで確認しました。しかも効果に即効性がある上に連続使用が可能です。なので手持ちのポーションを全て泉の水に入れ替えました。」
なんという万能薬。ここで水を汲んで街に戻って売ったら大儲けだ! とはいってもみんなは既にドロップ品の売却などで、けっこうな資金を確保している。そんなことをする必要は無いのだ。しかし僕だけはある理由から、未だに貧乏な状況が続いている。実は魔法親父の借金も返済できていない。
ポーションを受け取り休憩を挟んだ後は、再びブレア無双で森を突破する。ドロップのあまりの多さに、僕はウーナやアイボウを召喚して対処した。なんだろうこの雑用係感は?
そしてついに魔境の森を突破した。目の前に見えるのは廃墟のようなボロボロの城だ。そこにボス部屋の扉がある。僕達はいったん箱庭で休息をとることにした。
「さて、とうとう第十層が見えてきた。」
「サドン、その前に第九層のボスだよ。油断はしない方が良いと思う。」
「そうだね。僕としたことが少々先走りすぎたかな。」
サドンは油断のせいで一度大変な目に遭っているのに、喉元過を完全に過ぎてしまったようだ。
「次は何が来るんでしょう?」
「知能戦ならアフタがいるから安心。」
一応、第六層以降は戦闘力を問われないものだった。だから僕にも対処できたのだ。出来れば知能戦の方が助かる。しかし僕は忘れていない。この調子でいけば次も楽勝だと思った後のしっぺ返しを。味方の助力のおかげで、最近のダンジョン攻略は順調に進みすぎているのだ。そろそろここで一発ガツンと来る、そんな予感がしているのだ。
けれど残念なことに僕達よりも先行しているのはリコッテ達だけだ。事前に情報を得る手段は無い。とにかく細心の注意を払って進む、これしか対策は無い。
休憩を終えた僕達はボス部屋控え室に入った。そして奥の扉を開ける。僕は一番最後にボス部屋へと入った。
「あれ?」
僕は周囲を確認した。一番最後に入ったはずなのに、みんなの姿が見当たらない。周囲は腐った土と枯れ草が広がるフィールドだった。
カラカラカラ
聞こえたのは乾いた音だった。僕はその方向を確認する。見えたのは腕が六本ある骸骨だった。剣、斧、弓矢、盾、槍を装備している。六本腕の骸骨から感じるのは異様な殺気だ。そして明らかに発しているオーラがヤバい。まだそれなりに距離がある位置なのに、僕の体は無数の針で突き刺されているような痛みが走っている。
いつも通りなら、近づくなり武器を抜くなりの行動をした瞬間に戦闘が開始される。つまり今のままならとりあえず瞬殺されてデッドエンドする心配は無い。しかしこの状態で対峙しているだけで僕のライフは確実に減っている。今なら控え室に引き返すことも可能だ。
とりあえず簡単に現状を分析してみる。まず第九層のボスのテーマだ。おそらく今回は個が試されている。今までがパーティーという団体の力が試されていたのだ。しかし思い返してみると、僕は前半戦で団体の力を発揮した記憶が無い。
戦闘力が試されるところは、あの三人がいるから大丈夫だと思っていた。ところがやっぱりと言うべきが、ここに来てついにハシゴを外してきたのだ。このダンジョン、僕に対する嫌がらせという面で考えれば、完璧に近い作りと言える。
この力が問われるとすると、第六層のように誰か一人でも突破すればクリアというのは考えにくい。全員勝たなければクリアとはならないだろう。つまり僕はたった一人でこのヤバそうな六本腕の骸骨に勝たなければならないのだ。
「やるか。」
僕は戦闘を決意した。
スコヴィルがポーションを配り始めた。そういえばさっき、彼女は泉のところで何かやっていた。
「あの泉はライフポーションとマジックポーションの両方の効果があるエクストラポーションみたいです。鑑定スクロールで確認しました。しかも効果に即効性がある上に連続使用が可能です。なので手持ちのポーションを全て泉の水に入れ替えました。」
なんという万能薬。ここで水を汲んで街に戻って売ったら大儲けだ! とはいってもみんなは既にドロップ品の売却などで、けっこうな資金を確保している。そんなことをする必要は無いのだ。しかし僕だけはある理由から、未だに貧乏な状況が続いている。実は魔法親父の借金も返済できていない。
ポーションを受け取り休憩を挟んだ後は、再びブレア無双で森を突破する。ドロップのあまりの多さに、僕はウーナやアイボウを召喚して対処した。なんだろうこの雑用係感は?
そしてついに魔境の森を突破した。目の前に見えるのは廃墟のようなボロボロの城だ。そこにボス部屋の扉がある。僕達はいったん箱庭で休息をとることにした。
「さて、とうとう第十層が見えてきた。」
「サドン、その前に第九層のボスだよ。油断はしない方が良いと思う。」
「そうだね。僕としたことが少々先走りすぎたかな。」
サドンは油断のせいで一度大変な目に遭っているのに、喉元過を完全に過ぎてしまったようだ。
「次は何が来るんでしょう?」
「知能戦ならアフタがいるから安心。」
一応、第六層以降は戦闘力を問われないものだった。だから僕にも対処できたのだ。出来れば知能戦の方が助かる。しかし僕は忘れていない。この調子でいけば次も楽勝だと思った後のしっぺ返しを。味方の助力のおかげで、最近のダンジョン攻略は順調に進みすぎているのだ。そろそろここで一発ガツンと来る、そんな予感がしているのだ。
けれど残念なことに僕達よりも先行しているのはリコッテ達だけだ。事前に情報を得る手段は無い。とにかく細心の注意を払って進む、これしか対策は無い。
休憩を終えた僕達はボス部屋控え室に入った。そして奥の扉を開ける。僕は一番最後にボス部屋へと入った。
「あれ?」
僕は周囲を確認した。一番最後に入ったはずなのに、みんなの姿が見当たらない。周囲は腐った土と枯れ草が広がるフィールドだった。
カラカラカラ
聞こえたのは乾いた音だった。僕はその方向を確認する。見えたのは腕が六本ある骸骨だった。剣、斧、弓矢、盾、槍を装備している。六本腕の骸骨から感じるのは異様な殺気だ。そして明らかに発しているオーラがヤバい。まだそれなりに距離がある位置なのに、僕の体は無数の針で突き刺されているような痛みが走っている。
いつも通りなら、近づくなり武器を抜くなりの行動をした瞬間に戦闘が開始される。つまり今のままならとりあえず瞬殺されてデッドエンドする心配は無い。しかしこの状態で対峙しているだけで僕のライフは確実に減っている。今なら控え室に引き返すことも可能だ。
とりあえず簡単に現状を分析してみる。まず第九層のボスのテーマだ。おそらく今回は個が試されている。今までがパーティーという団体の力が試されていたのだ。しかし思い返してみると、僕は前半戦で団体の力を発揮した記憶が無い。
戦闘力が試されるところは、あの三人がいるから大丈夫だと思っていた。ところがやっぱりと言うべきが、ここに来てついにハシゴを外してきたのだ。このダンジョン、僕に対する嫌がらせという面で考えれば、完璧に近い作りと言える。
この力が問われるとすると、第六層のように誰か一人でも突破すればクリアというのは考えにくい。全員勝たなければクリアとはならないだろう。つまり僕はたった一人でこのヤバそうな六本腕の骸骨に勝たなければならないのだ。
「やるか。」
僕は戦闘を決意した。
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※登場する人物・団体・名称はすべて現実世界とは全く関係がありません。この物語はフィクションでありファンタジーです。
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