188 / 208
九章 魔境の森だよ、第九層
188 張り切ってハラキリ
しおりを挟む
僕達はスコヴィルの帰還を待った。しかしなかなか戻ってこない。
「彼女の能力を疑うわけでは無いが、さすがにこれだけ遅いと心配だな。」
サドンがそう口にした。たしかに遅すぎる。僕はさっきから不安で体が震えてきている。彼女に何かあったら、姉や義兄に詫びる言葉も無い。そんなとき空間が歪みだしたのが目に入った。ようやくか、僕はホッと胸をなで下ろす。
「・・・アレ?」
スコヴィルが帰ってこない。それなのにボス部屋の中央に階段が出現し宝箱が現れた。あまりの事態に脳が理解を拒否している。
「アフタ、これはどういうことだと思う?」
「スコヴィルはどうしたの?」
サドンとブレアは僕に回答を求めた。「そんなこと僕が知るわけが無い!」そう叫びたかった。今回は個の試練、前提条件は全員クリアだと勝手に思っていた。けれどそれは勘違いで、もしかしたら一人だけでもクリアになるのでは? 失敗した者だけが戻ってこられないだけで、全員の決着が付いた時点で終了するという可能性。
僕はスコヴィルを救うための手段を頭の中でグルグルと考えた。しかし何をどう考えても手遅れだという結論しか導き出せなかった。既に全てが終わったから階段が出現したのだ。
「・・・。」
結局僕は二人に何も答えることが出来なかった。まさかこんなところで大切な姪を失うことになるとは。僕は完全に脱力し、ペタンと床に座り込んだ。駄目だ、立つ気力がわかない。
サドンはどこかをじっと見つめている。物思いにでもふけっているのだろうか? ブレアは耳をそばだてていた。何が聞こえるのかな?
ギギギキー
扉が開く音が聞こえた。扉? ああ、ボス部屋控え室の扉か・・・え? 僕は音の方向を向く。
「みなさん、もう集まってたんですね。遅れてごめんなさい。」
そう言ったのは、スコヴィルだった。
何故? そう一瞬思ったけれど、すぐに何があったのか理解できた。おそらく彼女は僕がいつもやっていた手段を使ったのだ。
「もしかして核融合魔法を控え室で準備して、発動させてから扉を閉めたの?」
「さすがアフタさん、その通りです。その方法を思いつくまで、かなり時間がかかっちゃいました。」
うむ、今まで散々自分で使っておいてなんだけど超卑怯。ソロ戦はスコヴィルの独壇場だ。
スコヴィルは少しだけ顔に疲れが見える。しかし怪我は無く、おおむね体調に問題はなさそうだ。これで姉の前でハラキリ披露は回避された。
「全員無事に揃った。そして次はいよいよ第十層。アフタ、この後はどうする?」
サドンが僕に今後の予定を確認する。
「とりあえずいったん休もう。ボスと戦っている時より、待っている時の方が疲れた気がする。」
「魔法を使ったのでお腹がすきました。」
「私も。」
「それでは僕がまた美味しいものを作ろうじゃないか。」
サドンが腕まくりをする。
「アフタさんの玉子焼きが食べたいです。」
「アフタの玉子焼き、私も食べたい。」
「ええっと、いちおう第三層で卵は仕入れてあるから作れるよ。」
何故かサドンは腕まくりの姿勢で固まっていた。
「彼女の能力を疑うわけでは無いが、さすがにこれだけ遅いと心配だな。」
サドンがそう口にした。たしかに遅すぎる。僕はさっきから不安で体が震えてきている。彼女に何かあったら、姉や義兄に詫びる言葉も無い。そんなとき空間が歪みだしたのが目に入った。ようやくか、僕はホッと胸をなで下ろす。
「・・・アレ?」
スコヴィルが帰ってこない。それなのにボス部屋の中央に階段が出現し宝箱が現れた。あまりの事態に脳が理解を拒否している。
「アフタ、これはどういうことだと思う?」
「スコヴィルはどうしたの?」
サドンとブレアは僕に回答を求めた。「そんなこと僕が知るわけが無い!」そう叫びたかった。今回は個の試練、前提条件は全員クリアだと勝手に思っていた。けれどそれは勘違いで、もしかしたら一人だけでもクリアになるのでは? 失敗した者だけが戻ってこられないだけで、全員の決着が付いた時点で終了するという可能性。
僕はスコヴィルを救うための手段を頭の中でグルグルと考えた。しかし何をどう考えても手遅れだという結論しか導き出せなかった。既に全てが終わったから階段が出現したのだ。
「・・・。」
結局僕は二人に何も答えることが出来なかった。まさかこんなところで大切な姪を失うことになるとは。僕は完全に脱力し、ペタンと床に座り込んだ。駄目だ、立つ気力がわかない。
サドンはどこかをじっと見つめている。物思いにでもふけっているのだろうか? ブレアは耳をそばだてていた。何が聞こえるのかな?
ギギギキー
扉が開く音が聞こえた。扉? ああ、ボス部屋控え室の扉か・・・え? 僕は音の方向を向く。
「みなさん、もう集まってたんですね。遅れてごめんなさい。」
そう言ったのは、スコヴィルだった。
何故? そう一瞬思ったけれど、すぐに何があったのか理解できた。おそらく彼女は僕がいつもやっていた手段を使ったのだ。
「もしかして核融合魔法を控え室で準備して、発動させてから扉を閉めたの?」
「さすがアフタさん、その通りです。その方法を思いつくまで、かなり時間がかかっちゃいました。」
うむ、今まで散々自分で使っておいてなんだけど超卑怯。ソロ戦はスコヴィルの独壇場だ。
スコヴィルは少しだけ顔に疲れが見える。しかし怪我は無く、おおむね体調に問題はなさそうだ。これで姉の前でハラキリ披露は回避された。
「全員無事に揃った。そして次はいよいよ第十層。アフタ、この後はどうする?」
サドンが僕に今後の予定を確認する。
「とりあえずいったん休もう。ボスと戦っている時より、待っている時の方が疲れた気がする。」
「魔法を使ったのでお腹がすきました。」
「私も。」
「それでは僕がまた美味しいものを作ろうじゃないか。」
サドンが腕まくりをする。
「アフタさんの玉子焼きが食べたいです。」
「アフタの玉子焼き、私も食べたい。」
「ええっと、いちおう第三層で卵は仕入れてあるから作れるよ。」
何故かサドンは腕まくりの姿勢で固まっていた。
0
あなたにおすすめの小説
娘を返せ〜誘拐された娘を取り返すため、父は異世界に渡る
ほりとくち
ファンタジー
突然現れた魔法陣が、あの日娘を連れ去った。
異世界に誘拐されてしまったらしい娘を取り戻すため、父は自ら異世界へ渡ることを決意する。
一体誰が、何の目的で娘を連れ去ったのか。
娘とともに再び日本へ戻ることはできるのか。
そもそも父は、異世界へ足を運ぶことができるのか。
異世界召喚の秘密を知る謎多き少年。
娘を失ったショックで、精神が幼児化してしまった妻。
そして父にまったく懐かず、娘と母にだけ甘えるペットの黒猫。
3人と1匹の冒険が、今始まる。
※小説家になろうでも投稿しています
※フォロー・感想・いいね等頂けると歓喜します!
よろしくお願いします!
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
アラフォーおっさんの週末ダンジョン探検記
ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
ある日、全世界の至る所にダンジョンと呼ばれる異空間が出現した。
そこには人外異形の生命体【魔物】が存在していた。
【魔物】を倒すと魔石を落とす。
魔石には膨大なエネルギーが秘められており、第五次産業革命が起こるほどの衝撃であった。
世は埋蔵金ならぬ、魔石を求めて日々各地のダンジョンを開発していった。
ゴミスキルと追放された【万物鑑定】の俺、実は最強でした。Sランクパーティが崩壊する頃、俺は伝説の仲間と辺境で幸せに暮らしています
黒崎隼人
ファンタジー
Sランク勇者パーティのお荷物扱いされ、「ゴミスキル」と罵られて追放された鑑定士のアッシュ。
失意の彼が覚醒させたのは、森羅万象を見通し未来さえも予知する超チートスキル【万物鑑定】だった!
この力を使い、アッシュはエルフの少女や凄腕の鍛冶師、そして伝説の魔獣フェンリル(もふもふ)といった最強の仲間たちを集め、辺境の町を大発展させていく。
一方、彼を追放した勇者たちは、アッシュのサポートを失い、ダンジョンで全滅の危機に瀕していた――。
「今さら戻ってこい? お断りだ。俺はこっちで幸せにやってるから」
底辺から駆け上がる痛快逆転ファンタジー、ここに開幕!
モブ高校生と愉快なカード達〜主人公は無自覚脱モブ&チート持ちだった!カードから美少女を召喚します!強いカード程1癖2癖もあり一筋縄ではない〜
KeyBow
ファンタジー
1999年世界各地に隕石が落ち、その数年後に隕石が落ちた場所がラビリンス(迷宮)となり魔物が町に湧き出した。
各国の軍隊、日本も自衛隊によりラビリンスより外に出た魔物を駆逐した。
ラビリンスの中で魔物を倒すと稀にその個体の姿が写ったカードが落ちた。
その後、そのカードに血を掛けるとその魔物が召喚され使役できる事が判明した。
彼らは通称カーヴァント。
カーヴァントを使役する者は探索者と呼ばれた。
カーヴァントには1から10までのランクがあり、1は最弱、6で強者、7や8は最大戦力で鬼神とも呼ばれる強さだ。
しかし9と10は報告された事がない伝説級だ。
また、カードのランクはそのカードにいるカーヴァントを召喚するのに必要なコストに比例する。
探索者は各自そのラビリンスが持っているカーヴァントの召喚コスト内分しか召喚出来ない。
つまり沢山のカーヴァントを召喚したくてもコスト制限があり、強力なカーヴァントはコストが高い為に少数精鋭となる。
数を選ぶか質を選ぶかになるのだ。
月日が流れ、最初にラビリンスに入った者達の子供達が高校生〜大学生に。
彼らは二世と呼ばれ、例外なく特別な力を持っていた。
そんな中、ラビリンスに入った自衛隊員の息子である斗枡も高校生になり探索者となる。
勿論二世だ。
斗枡が持っている最大の能力はカード合成。
それは例えばゴブリンを10体合成すると10体分の力になるもカードのランクとコストは共に変わらない。
彼はその程度の認識だった。
実際は合成結果は最大でランク10の強さになるのだ。
単純な話ではないが、経験を積むとそのカーヴァントはより強力になるが、特筆すべきは合成元の生き残るカーヴァントのコストがそのままになる事だ。
つまりランク1(コスト1)の最弱扱いにも関わらず、実は伝説級であるランク10の強力な実力を持つカーヴァントを作れるチートだった。
また、探索者ギルドよりアドバイザーとして姉のような女性があてがわれる。
斗枡は平凡な容姿の為に己をモブだと思うも、周りはそうは見ず、クラスの底辺だと思っていたらトップとして周りを巻き込む事になる?
女子が自然と彼の取り巻きに!
彼はモブとしてモブではない高校生として生活を始める所から物語はスタートする。
最強の異世界やりすぎ旅行記
萩場ぬし
ファンタジー
主人公こと小鳥遊 綾人(たかなし あやと)はある理由から毎日のように体を鍛えていた。
そんなある日、突然知らない真っ白な場所で目を覚ます。そこで綾人が目撃したものは幼い少年の容姿をした何か。そこで彼は告げられる。
「なんと! 君に異世界へ行く権利を与えようと思います!」
バトルあり!笑いあり!ハーレムもあり!?
最強が無双する異世界ファンタジー開幕!
ボッチになった僕がうっかり寄り道してダンジョンに入った結果
安佐ゆう
ファンタジー
第一の人生で心残りがあった者は、異世界に転生して未練を解消する。
そこは「第二の人生」と呼ばれる世界。
煩わしい人間関係から遠ざかり、のんびり過ごしたいと願う少年コイル。
学校を卒業したのち、とりあえず幼馴染たちとパーティーを組んで冒険者になる。だが、コイルのもつギフトが原因で、幼馴染たちのパーティーから追い出されてしまう。
ボッチになったコイルだったが、これ幸いと本来の目的「のんびり自給自足」を果たすため、町を出るのだった。
ロバのポックルとのんびり二人旅。ゴールと決めた森の傍まで来て、何気なくフラっとダンジョンに立ち寄った。そこでコイルを待つ運命は……
基本的には、ほのぼのです。
設定を間違えなければ、毎日12時、18時、22時に更新の予定です。
最強剣士が転生した世界は魔法しかない異世界でした! ~基礎魔法しか使えませんが魔法剣で成り上がります~
渡琉兎
ファンタジー
政権争いに巻き込まれた騎士団長で天才剣士のアルベルト・マリノワーナ。
彼はどこにも属していなかったが、敵に回ると厄介だという理由だけで毒を盛られて殺されてしまった。
剣の道を極める──志半ばで死んでしまったアルベルトを不憫に思った女神は、アルベルトの望む能力をそのままに転生する権利を与えた。
アルベルトが望んだ能力はもちろん、剣術の能力。
転生した先で剣の道を極めることを心に誓ったアルベルトだったが──転生先は魔法が発展した、魔法師だらけの異世界だった!
剣術が廃れた世界で、剣術で最強を目指すアルベルト──改め、アル・ノワールの成り上がり物語。
※アルファポリス、カクヨム、小説家になろうにて同時掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる