能力チート無しで目指す、現代人的ダンジョン踏破 ~成長するのは斜め上~

ふぉ

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九章 魔境の森だよ、第九層

188 張り切ってハラキリ

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 僕達はスコヴィルの帰還を待った。しかしなかなか戻ってこない。

「彼女の能力を疑うわけでは無いが、さすがにこれだけ遅いと心配だな。」

 サドンがそう口にした。たしかに遅すぎる。僕はさっきから不安で体が震えてきている。彼女に何かあったら、姉や義兄に詫びる言葉も無い。そんなとき空間が歪みだしたのが目に入った。ようやくか、僕はホッと胸をなで下ろす。

「・・・アレ?」

 スコヴィルが帰ってこない。それなのにボス部屋の中央に階段が出現し宝箱が現れた。あまりの事態に脳が理解を拒否している。

「アフタ、これはどういうことだと思う?」
「スコヴィルはどうしたの?」

 サドンとブレアは僕に回答を求めた。「そんなこと僕が知るわけが無い!」そう叫びたかった。今回は個の試練、前提条件は全員クリアだと勝手に思っていた。けれどそれは勘違いで、もしかしたら一人だけでもクリアになるのでは? 失敗した者だけが戻ってこられないだけで、全員の決着が付いた時点で終了するという可能性。

 僕はスコヴィルを救うための手段を頭の中でグルグルと考えた。しかし何をどう考えても手遅れだという結論しか導き出せなかった。既に全てが終わったから階段が出現したのだ。

「・・・。」

 結局僕は二人に何も答えることが出来なかった。まさかこんなところで大切な姪を失うことになるとは。僕は完全に脱力し、ペタンと床に座り込んだ。駄目だ、立つ気力がわかない。

 サドンはどこかをじっと見つめている。物思いにでもふけっているのだろうか? ブレアは耳をそばだてていた。何が聞こえるのかな?

 ギギギキー

 扉が開く音が聞こえた。扉? ああ、ボス部屋控え室の扉か・・・え? 僕は音の方向を向く。

「みなさん、もう集まってたんですね。遅れてごめんなさい。」
 そう言ったのは、スコヴィルだった。

 何故? そう一瞬思ったけれど、すぐに何があったのか理解できた。おそらく彼女は僕がいつもやっていた手段を使ったのだ。

「もしかして核融合魔法を控え室で準備して、発動させてから扉を閉めたの?」
「さすがアフタさん、その通りです。その方法を思いつくまで、かなり時間がかかっちゃいました。」

 うむ、今まで散々自分で使っておいてなんだけど超卑怯。ソロ戦はスコヴィルの独壇場だ。

 スコヴィルは少しだけ顔に疲れが見える。しかし怪我は無く、おおむね体調に問題はなさそうだ。これで姉の前でハラキリ披露は回避された。

「全員無事に揃った。そして次はいよいよ第十層。アフタ、この後はどうする?」

 サドンが僕に今後の予定を確認する。

「とりあえずいったん休もう。ボスと戦っている時より、待っている時の方が疲れた気がする。」
「魔法を使ったのでお腹がすきました。」
「私も。」
「それでは僕がまた美味しいものを作ろうじゃないか。」

 サドンが腕まくりをする。

「アフタさんの玉子焼きが食べたいです。」
「アフタの玉子焼き、私も食べたい。」
「ええっと、いちおう第三層で卵は仕入れてあるから作れるよ。」

 何故かサドンは腕まくりの姿勢で固まっていた。
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