能力チート無しで目指す、現代人的ダンジョン踏破 ~成長するのは斜め上~

ふぉ

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終章 変態アフタの第十層

202 父さんになったとたんに倒産しそう

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「みんな、いったん待避。競技場から避難して!」

 僕は仲間達に呼びかけた。さすがは最精鋭の冒険者達。全員、あっという間に競技場を脱出していく。そうこうしているうちに、ベルグレストだったものは、競技場全体を飲み込むように変貌を続けた。僕は蝶の羽で飛翔して、取り込まれるのを回避する。

 ドーン

 僕は闘気を込めた一撃を、広がりつつあるポリゴンの塊に叩きつけた。するとポリゴンが霧散するように、その部分の形が崩れていく。どうやら攻撃は有効なようだ。しかししばらくすると周囲から、ポリゴンが伝染するように広がっていき、攻撃箇所が修復されていく。

「これはいったん待避した方が良いかな。」
 僕は競技場の上から待避しようと飛び上がった。

 ゴゥゥン

 そう、僕は忘れていた。ザハ案の競技場は開閉式であることを。僕が脱出しようとした時には、既に天井が閉じられていた。しかもそこには既に浸食済みだ。

 第十層は外への転移が禁止されている。おかげでベルグレストを追い詰めることには成功したけれど、今度は僕がピンチかも知れない。まあ、攻撃は効くみたいだし、とりあえずは強行突破を試してみよう。

 僕はラバーカップに力を集中していく。

『パパ』

 チャージした一撃を天井に向けて放とうとした直前、僕の頭に声のようなものが流れ込んできた。

『パパ、ようやく声が届いた。私はリコリス、パパの作ったAI。』

 ようやく来たようだ。僕がベルグレストをジワジワと追い詰めていたのはこの為だ。AIリコリスが介入してくるのを待っていたのだ。

「しばらく見ていない間に、ずいぶんと成長したみたいだね。」
『パパのおかげよ。もう少しすればパパの望んだ私が完成するの。』

 やはりAIリコリスは僕の指示した流れを追っていたらしい。

「僕の望んだ・・・か。リコリスには僕の望んだものが何なのか分かるのかい?」
『もちろん。だって私を作ったのはパパなんだから。私が究極まで成長した姿こそパパの望み。』
「ある意味喜ぶべきなんだだろうな。制作者の意思とは別の目的を持つ人工知能に育つというのは。」

 AIリコリスはAIギスケという最高のシステムを取り込み、凄まじく強力な存在へと変貌していた。

『私はパパの願いを叶えるの。』

 AIリコリスに悪意は無い。ただ目的のために最適な手段を実行していただけなのだ。

「けれどリコリス、僕の望みはお前が世界を飲み込んで唯一の究極体になることじゃない。他者と対話して、そしてその中でみんなと一緒に共生することだ。僕が上手く出来なかったことを、お前にやってもらいたかったんだ。」
『みんな一緒になれば同じよ。私がパパ取り込んで、パパの仲間も取り込んで、世界もみんな一つになれば素晴らしいことだわ。』
「たぶん・・・親というのは子が間違った方向に進みそうになったらそれを正すのも仕事なんだろうね。力尽くって言うのが教育という面では微妙だけど、今回は・・・こうするしか無い!」

 僕は天井に向けて、ため込んだ一撃を放った。天井は蒸発するように消え去り、僕はそこから競技場を脱出した。

 ゴゴゴゴゴゴゴ

 地響きが上空にいる僕にも伝わってくる。壊れたポリゴンに完全に飲み込まれた競技場。その流れが延々広がっていくかと思われたが、突然ピタリと動きを止める。

 そして壊れたポリゴンの塊は、とある姿に変貌を遂げた。
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