悪役令嬢とドラゴン王子

第１章 出会い

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息苦しさよりも意識が遠のいてそのまま目を瞑り、目から涙が頬を伝わり私はそのまま意識を失った。

「………」
「……きろ」


誰かが傍で何かを言っている声がする。
私はマリに首を絞められてそのまま死んだのだろうか。
此処は何処？　もしかして黄泉の世界？　
私はお母様の待つところへ行ってしまったの？


「起きろ、姫よ」
「……っ……こ、……は……？」


目を開けると薄暗い場所に仰向けになって寝ていた。
両手を前に組み棺の中にいるのだろうか。
辛うじて首は左右に動かすことが出来る。

起き上がろうとしても体が言う事を効かない。
固い何かで両肩を押さえつけられているように感じた。
幾ら動かそうとしても全く動かない。


「まだ、体の硬直が治っていないのだろう。無理に起き上がることはない。其方は一度死にかけたのらな」


私が一度死にかけた！？　確かに侍女のマリに首を絞められた。
まだ首が少し痛む。
声を出そうにも声すら出ない状態だった。
男の人の声だろうかかなり低い声で私に語り掛けてくる。


「それよりも其方はどうしてこんな事になったのだ？　其方はヨ―ルリアン帝国の姫君だろう？　死にかけたところを私が偶々見つけたのだ。死にかけの仮死状態だったから何とか死なずに済んだのだが……体の具合はどうだ？」


そうなんだ、私死んだわけじゃないのね。
死にかけた……のか……。
そう考えていると睡魔が急に襲って来て私はそのまま目を瞑って眠りってしまった。




次に目を覚ますとさっき見た通りの薄暗い場所にいた。
今度は体が軽い。
私は上肢を起こしてあたりを見回すと私の傍に真っ黒の大きなドラゴンが目に飛び込んできた。


「きゃーーーっ！！」


大声で叫ぶとドラゴンの瞼が下がり緑色の瞳私に向ける。
顎を地面につけ丸くなって寝ていたようだった。
大きな翼は綺麗に畳まれている。
ドラゴンは私に話しかけてきた。　

「大声を出すな。私が其方を蘇生してやったのだぞ。礼を言われても当然なのだがな」
「ええ……あ、貴方が……私を……？」
「そうだ。それより大分身体の具合が良くなったのだな。もう一人でも平気か？」


ドラゴン、それも黒いドラゴンなんて……人言葉を話すドラゴンを私は初めて目にした。
瞳を見つめているとなんだか吸い込まれそうな気がする。
私は立ち上がりきょろきょろ見回す。
薄暗い洞窟の中？　
それしてもどうしてこんな場所に私は居るの？



「そう言えば其方の名を知らなかったな。なんて名だ？」
「………エリーザ…ですわ」
「ほう、エリーザか。良い名だ。私はルクだ。宜しくな、エリーザ」
「ルク……様。こ、此方こそ……です」



黒竜ブラックドラゴンは降ろしていた首を挙げると羽根を広げた。
目の前に魔方陣が展開すると光を放ち私は眩しくて目を瞑ってしまった。
暫く続いた光が消えたと思ったら、今度は私の肩に誰かの手が触れた感覚がした。
私はゆっくりと目を開けてみると、そこには黒髪で肌色は茶色、目は緑色、美形の男性が立っていた。