悪役令嬢とドラゴン王子

杏仁豆腐

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第1章 出会い

1

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濡れ衣を着せられて私は国外追放の処罰を受けることになってしまった。
本来貴族であり王国の宰相をしているドルフィン公爵の娘に対する行為は万死に値するのだが、父がそこまではと情状酌量と言う恩恵を受けて住み慣れた地を離れることになってしまった。


刑はその日に執行され私は一人の付き人を従えて王宮を離れることになった。


「何故、わたくしが……このような……」
「エリーザ様……お支え出来ず申し訳ございません……」

侍女のマリがそう言って頭を下げる。
彼女の所為ではないことは理解している私は彼女に大丈夫だということを伝えた。
そして私とマリは荷物を整えるとお城の門で待ち構えていた馬車に乗り込んだ。


もうここへは戻れないのね……お母様……。
若くして亡くなった母の事を考えると胸が詰まる。
私が母の分まで国王陛下……お父様に尽力してお役に立ちたかった。
ただそれだけが心残りだった。


いざ出発する時、勿論罪人である私を見送る侍女やお城で働く者はいない。


「見送りもないなんて……寂しい最後だわ」
「エリーザ様……」
「マリ…行きましょうか」
「はい……」


馬車を運転するマリは馬に鞭を入れるとゆっくり走り出した。
幾らかの金銭を受け取ってはいるものの、直ぐに底を突いてしまうくらいの金額しか持たせて貰えない。
私は隣国『アルバーニ国』へ向かった。
その国の第一王子との婚約を私はしていたのだ。
もしかしたら事情を伝えれば私は冤罪であることを王子は理解してくれるだろう、そう思っていた。アルバーニ国までここから約300キロ離れている。
3日は掛かる距離だ。これからどうなってしまうのだろう、私は不安の気持ちで馬車に揺られて一路アルバーニ国へ向かった。


夜が更け、小さな町の宿に泊まることになった。
しかし、マリはどうして私に同行しようと思ったのだろう。
不思議になり本人直接聞いてみることにした。
マリは隣の部屋にいる。


「マリ。今いいかしら?」
「あ、はい……どうぞ」


部屋の中からマリがそう返事をした。
私は扉を開けてベッドに座るマリの所へ向かい隣に座った。


「マリ、貴女はどうしてわたくしに同行しているの?侍女たちは皆私の事を……貴女はどうして?」
「エリーザ様……それはですね……」


低い声でそう答えたマリが行き成り私の首を絞め始めた。
ベッドに押し倒されて身動きが取れない。
首はしっかりと締められて息が出来ない。
抵抗しようにも力が出ない。
段々と意識が遠くなってきた。


「…ど、どうし……て……」
「貴女がこの世に居なくなれば全て丸く収まるのですよ、エリーザ姫……安らかな死を」
「……っ!」
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