2 / 34
第1章 出会い
1
しおりを挟む
濡れ衣を着せられて私は国外追放の処罰を受けることになってしまった。
本来貴族であり王国の宰相をしているドルフィン公爵の娘に対する行為は万死に値するのだが、父がそこまではと情状酌量と言う恩恵を受けて住み慣れた地を離れることになってしまった。
刑はその日に執行され私は一人の付き人を従えて王宮を離れることになった。
「何故、わたくしが……このような……」
「エリーザ様……お支え出来ず申し訳ございません……」
侍女のマリがそう言って頭を下げる。
彼女の所為ではないことは理解している私は彼女に大丈夫だということを伝えた。
そして私とマリは荷物を整えるとお城の門で待ち構えていた馬車に乗り込んだ。
もうここへは戻れないのね……お母様……。
若くして亡くなった母の事を考えると胸が詰まる。
私が母の分まで国王陛下……お父様に尽力してお役に立ちたかった。
ただそれだけが心残りだった。
いざ出発する時、勿論罪人である私を見送る侍女やお城で働く者はいない。
「見送りもないなんて……寂しい最後だわ」
「エリーザ様……」
「マリ…行きましょうか」
「はい……」
馬車を運転するマリは馬に鞭を入れるとゆっくり走り出した。
幾らかの金銭を受け取ってはいるものの、直ぐに底を突いてしまうくらいの金額しか持たせて貰えない。
私は隣国『アルバーニ国』へ向かった。
その国の第一王子との婚約を私はしていたのだ。
もしかしたら事情を伝えれば私は冤罪であることを王子は理解してくれるだろう、そう思っていた。アルバーニ国までここから約300キロ離れている。
3日は掛かる距離だ。これからどうなってしまうのだろう、私は不安の気持ちで馬車に揺られて一路アルバーニ国へ向かった。
夜が更け、小さな町の宿に泊まることになった。
しかし、マリはどうして私に同行しようと思ったのだろう。
不思議になり本人直接聞いてみることにした。
マリは隣の部屋にいる。
「マリ。今いいかしら?」
「あ、はい……どうぞ」
部屋の中からマリがそう返事をした。
私は扉を開けてベッドに座るマリの所へ向かい隣に座った。
「マリ、貴女はどうしてわたくしに同行しているの?侍女たちは皆私の事を……貴女はどうして?」
「エリーザ様……それはですね……」
低い声でそう答えたマリが行き成り私の首を絞め始めた。
ベッドに押し倒されて身動きが取れない。
首はしっかりと締められて息が出来ない。
抵抗しようにも力が出ない。
段々と意識が遠くなってきた。
「…ど、どうし……て……」
「貴女がこの世に居なくなれば全て丸く収まるのですよ、エリーザ姫……安らかな死を」
「……っ!」
本来貴族であり王国の宰相をしているドルフィン公爵の娘に対する行為は万死に値するのだが、父がそこまではと情状酌量と言う恩恵を受けて住み慣れた地を離れることになってしまった。
刑はその日に執行され私は一人の付き人を従えて王宮を離れることになった。
「何故、わたくしが……このような……」
「エリーザ様……お支え出来ず申し訳ございません……」
侍女のマリがそう言って頭を下げる。
彼女の所為ではないことは理解している私は彼女に大丈夫だということを伝えた。
そして私とマリは荷物を整えるとお城の門で待ち構えていた馬車に乗り込んだ。
もうここへは戻れないのね……お母様……。
若くして亡くなった母の事を考えると胸が詰まる。
私が母の分まで国王陛下……お父様に尽力してお役に立ちたかった。
ただそれだけが心残りだった。
いざ出発する時、勿論罪人である私を見送る侍女やお城で働く者はいない。
「見送りもないなんて……寂しい最後だわ」
「エリーザ様……」
「マリ…行きましょうか」
「はい……」
馬車を運転するマリは馬に鞭を入れるとゆっくり走り出した。
幾らかの金銭を受け取ってはいるものの、直ぐに底を突いてしまうくらいの金額しか持たせて貰えない。
私は隣国『アルバーニ国』へ向かった。
その国の第一王子との婚約を私はしていたのだ。
もしかしたら事情を伝えれば私は冤罪であることを王子は理解してくれるだろう、そう思っていた。アルバーニ国までここから約300キロ離れている。
3日は掛かる距離だ。これからどうなってしまうのだろう、私は不安の気持ちで馬車に揺られて一路アルバーニ国へ向かった。
夜が更け、小さな町の宿に泊まることになった。
しかし、マリはどうして私に同行しようと思ったのだろう。
不思議になり本人直接聞いてみることにした。
マリは隣の部屋にいる。
「マリ。今いいかしら?」
「あ、はい……どうぞ」
部屋の中からマリがそう返事をした。
私は扉を開けてベッドに座るマリの所へ向かい隣に座った。
「マリ、貴女はどうしてわたくしに同行しているの?侍女たちは皆私の事を……貴女はどうして?」
「エリーザ様……それはですね……」
低い声でそう答えたマリが行き成り私の首を絞め始めた。
ベッドに押し倒されて身動きが取れない。
首はしっかりと締められて息が出来ない。
抵抗しようにも力が出ない。
段々と意識が遠くなってきた。
「…ど、どうし……て……」
「貴女がこの世に居なくなれば全て丸く収まるのですよ、エリーザ姫……安らかな死を」
「……っ!」
0
あなたにおすすめの小説
婚約破棄してくださって結構です
二位関りをん
恋愛
伯爵家の令嬢イヴには同じく伯爵家令息のバトラーという婚約者がいる。しかしバトラーにはユミアという子爵令嬢がいつもべったりくっついており、イヴよりもユミアを優先している。そんなイヴを公爵家次期当主のコーディが優しく包み込む……。
※表紙にはAIピクターズで生成した画像を使用しています
冤罪で婚約破棄したくせに……今さらもう遅いです。
水垣するめ
恋愛
主人公サラ・ゴーマン公爵令嬢は第一王子のマイケル・フェネルと婚約していた。
しかしある日突然、サラはマイケルから婚約破棄される。
マイケルの隣には男爵家のララがくっついていて、「サラに脅された!」とマイケルに訴えていた。
当然冤罪だった。
以前ララに対して「あまり婚約しているマイケルに近づくのはやめたほうがいい」と忠告したのを、ララは「脅された!」と改変していた。
証拠は無い。
しかしマイケルはララの言葉を信じた。
マイケルは学園でサラを罪人として晒しあげる。
そしてサラの言い分を聞かずに一方的に婚約破棄を宣言した。
もちろん、ララの言い分は全て嘘だったため、後に冤罪が発覚することになりマイケルは周囲から非難される……。
王子は婚約破棄を泣いて詫びる
tartan321
恋愛
最愛の妹を失った王子は婚約者のキャシーに復讐を企てた。非力な王子ではあったが、仲間の協力を取り付けて、キャシーを王宮から追い出すことに成功する。
目的を達成し安堵した王子の前に突然死んだ妹の霊が現れた。
「お兄さま。キャシー様を3日以内に連れ戻して!」
存亡をかけた戦いの前に王子はただただ無力だった。
王子は妹の言葉を信じ、遥か遠くの村にいるキャシーを訪ねることにした……。
婚約破棄までの七日間
たぬきち25番
恋愛
突然、乙女ゲームの中の悪役令嬢ロゼッタに転生したことに気付いた私。しかも、気付いたのが婚約破棄の七日前!! 七日前って、どうすればいいの?!
※少しだけ内容を変更いたしました!!
※他サイト様でも掲載始めました!
私を選ばなかったくせに~推しの悪役令嬢になってしまったので、本物以上に悪役らしい振る舞いをして婚約破棄してやりますわ、ザマア~
あさぎかな@コミカライズ決定
恋愛
乙女ゲーム《時の思い出(クロノス・メモリー)》の世界、しかも推しである悪役令嬢ルーシャに転生してしまったクレハ。
「貴方は一度だって私の話に耳を傾けたことがなかった。誤魔化して、逃げて、時より甘い言葉や、贈り物を贈れば満足だと思っていたのでしょう。――どんな時だって、私を選ばなかったくせに」と言って化物になる悪役令嬢ルーシャの未来を変えるため、いちルーシャファンとして、婚約者であり全ての元凶とである第五王子ベルンハルト(放蕩者)に婚約破棄を求めるのだが――?
【完】まさかの婚約破棄はあなたの心の声が聞こえたから
えとう蜜夏
恋愛
伯爵令嬢のマーシャはある日不思議なネックレスを手に入れた。それは相手の心が聞こえるという品で、そんなことを信じるつもりは無かった。それに相手とは家同士の婚約だけどお互いに仲も良く、上手くいっていると思っていたつもりだったのに……。よくある婚約破棄のお話です。
※他サイトに自立も掲載しております
21.5.25ホットランキング入りありがとうございました( ´ ▽ ` )ノ
Unauthorized duplication is a violation of applicable laws.
ⓒえとう蜜夏(無断転載等はご遠慮ください)
5年経っても軽率に故郷に戻っては駄目!
158
恋愛
伯爵令嬢であるオリビアは、この世界が前世でやった乙女ゲームの世界であることに気づく。このまま学園に入学してしまうと、死亡エンドの可能性があるため学園に入学する前に家出することにした。婚約者もさらっとスルーして、早や5年。結局誰ルートを主人公は選んだのかしらと軽率にも故郷に舞い戻ってしまい・・・
2話完結を目指してます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる