悪役令嬢とドラゴン王子

杏仁豆腐

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第6章 再開

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「ルク様は今頃どうしているのでしょうか……」

私の罪が晴れてから数日が経過した。
ルクとはあれから一度も会っていない。
と言うより会えないでいるのだ。
常に私の周りには侍女たちが入れ替わり立ち代わり私の傍を離れようとしない。
部屋も食事をする、トイレに行く以外出ることが出来ないでいた。
まるで監禁状態だった。
私は窓の外を見つめながらもしかしたらルクが迎えに来てくれるのではないか、そう思っていた。


「エリーザ様。今日も良いお天気ですね。本当は外に出て気持ちのいい空気を吸われるのも良いのかもしれません」
「私は外には出れないのでしょ?」
「それは……王の命でして……」
「私を此処に閉じ込めて一体何をしようと言うのです」
「分かりません……私共には何も教えてはくださらないのです」


侍女はそう言って部屋を後にした。
私は窓の外を見ながらいつか黒い竜が空を飛んで私を迎えに来てくれる、そう信じて待っていた。
けれど待っても待っても来ることはなかった。


そしてまた暫く経ったある日。
私はいつも通り部屋で一人で過ごしているとガチャンと窓から大きな音がした。
私は窓の傍に行くが誰もいない。
しかし再び窓から大きな音がした。


「誰? 誰かいるの?」


私は誰もいない窓にそう訊ねた。
すると何処からともなく人影が現れた。
ビックリして私は窓の傍を離れると見慣れた格好の男性が宙を浮いていたのだ。


「ルク……様?」
「久しぶりだな。元気にしておったか?」


茶色の肌に、黒い髪、そして緑色の瞳…ルクだ、ルクが私を迎えに来てくれたんだ。
私は窓の扉を上げてルクに叫んだ。


「ルク様っ! 会いたかった。ずっとこの日を待っていたのですっ!」
「元気そうでよかった。迎えが遅く申し訳ない。もう其方を寂しい思いをさせない。さぁ、一緒に行こう。ドラゴンの国へ」


ルクはそう言うと私に手を差し伸べた。
私はその手をぎゅっと握り目から涙を流した。
嬉しかった、ルクが、ルクが迎えに来てくれた。
宙に浮いたままのルクの胸に飛び込んでルクを強く抱きしめた。


「おいっ! 何奴だっ! エリーザ様が。誰か、エリーザ様がっ!!」


見張りの兵士に見つかった。
ルクはそのまま私を抱きかかえたまま急加速して城から遠ざかった。
私と出会ったあの森まで一気に。


「ここまでくれば」
「ルク様。どうして私を」
「お前は私の妻になる姫だ。必ず迎えに行くと思っていたのだ。ただ、色々ごたごたしてな。迎えに行くのが遅くなってしまった。すまない。」

ルクはそう言って私に頭を下げた。
私はそんなルクを優しく抱きしめた。

「連れ出してくれて、有難う御座います。ルク様」
「エリーザ……其方の国には戻れないが、それでも私と共に来てくれるか?」

ルクは私を抱きしめながら耳元でそう言った。
私は小さく頷くとルクがぎゅっと私を抱きしめ返してくれたのだった。
私は嬉しくて、洞窟の中二人抱き締めあった。

ヨ―ルリアン帝国を離れ、私はドラゴンの住まう国に行くことを心の中で決意した。

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