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第六話②
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「学園入学時、全生徒にある検査をさせて頂きました。聖女の資質があるかどうかの検査です。その結果、アフロディーテ、あなた以外に該当者がおりませんでした。貴女は幼き頃から不思議な力に目覚めていたのを自覚していましたね」
「はい…。魔法と呼ばれる力があることは知っていました。でもその力が聖女の力なのかまではわかりませんでした。ただ、枯れたお花を元気にしたり、指の怪我を直したり、その程度の力でしたから…」
「それが、聖女の力、なのです。光聖魔法と呼ばれる力。聖女は貴族からは決して誕生しません。どの時代も、平民から突然変異として生まれるのです。そして聖女が生まれた時代、魔族が再び襲撃する、と伝承されてます」
そんな設定になっていたのか。設定資料集を細かくチェックしてなかったから知らないことだらけだ。
あ、そういえば私の唯一のオタ友が細かい設定について熱弁していたのを思い出した。あまりにも細かい過ぎてスルーしてしまっていたその時の私をぐーぱんしてやりたいっ!
その後細かな説明を妃殿下は私達に伝えてくれた。
ま、要するに私が勇者で、アフロディーテが聖女として魔族を討伐してこいってこい、ということだ。あとのメンバーは補佐として同行しろと…。
私はメンバー選定について妃殿下に質問した。
「殿下。このパーティについての選定ですが、この者たち以外該当者はおりませんでしょうか」
「ええ。ここにいる者たちでパーティを組み、魔族討伐をお願いします。あ、そうそう。冒険者ギルトからAランクパーティ一組を同行させてほしいと要望がありました。アムル、どうしますか?」
私が決めていいのかしら。人数が多いほうが有利になるとは思う。が、有象無象ではかえって足手まといになるかもしれない。
妃殿下にそのAランクパーティの詳細について尋ねると宰相に詳細の書かれた紙を渡すよう命令された。
渡されたその紙にはAランクパーティの詳細が事細かく記されていた。
パーティは4名で全員女性。個々のランクは最上位でSランク・チームリーダー『スールズ』(タンク)。残りはAランク・『アイシャ(モンク)、『スクルド』(黒魔法士)、『ウェスタ』(白魔導士)、といったバランスのいいパーティだった。
実はこのメンバー達もゲームで登場していたのを私は知っているのだ。ただ、魔族討伐への帯同ではなく、冒険者ギルトのクエストとして参加していたのだが…。ゲームでも彼女たちはめちゃくちゃ強かったのを思い出した。
「このパーティであればとても心強いですわ。ぜひ参加していただきたいです」
「分かりました。では、手配しておきましょう。魔族討伐は恐らくそう遠くはないでしょう。伝承によると宣戦布告から2、3日後、ここより西にある大聖堂跡地が戦場となるでしょう。皆、今より討伐への準備をお願いします」
「「はlっ」」
国王陛下、王妃殿下との謁見後それぞれ討伐準備のため散らばっていった。アフロディーテの補佐役にアグニ、カミーラ、ラートリーにお願いした。
本当は第一王子ディルンガルも補佐役をお願いしたのだが、どうしても私の傍を離れたくないと駄々を捏ねてしまったのだ。本来貴方の居場所は私の傍ではないのだけれど…。
はやり私の彼ら兄弟姉妹への甘やかししすぎてしまっていたらしい…。一人っ子だった私が兄弟を持つのは本当に危険極まりない、ということがよく分かった。
そして討伐準備は着々と進み、決戦の時が迫ってきた。私は自室で自分のステータスを確認するのと、持ち物のチェック(マジックバッグの整理とも言う)をしていた。
するとドアのノック音がして、傍に控えていたラミアが扉をゆっくりと開けた。そこになっていたのは妹たちだった。二人とも不安そうな表情で私の傍に来ると抱き着いてきたのだ。
二人とも私がこれから魔族討伐へ向かうことを知っている。私の事を心配しているのだろう。私は二人の頭を撫でながら話しかけた。
「パルバーテ、タレア、私は大丈夫よ。必ず魔族を倒して帰ってくるわ。安心して頂戴、ね?」
「…お姉さま。私もお姉さまとご一緒に戦いとうございます。なぜ私にはその力が継承されなかったのでしょうか…」
「パルバーテ姉様、私も同じ気持ちですわ。お姉さまとご一緒に戦いとうございます」
「二人とも…。まだ幼い貴女達に危険なことはさせられないわ。私には力があるの。だから勇者として選ばれた。だから戦う。それだけよ。何も心配はいらないわ」
「「ですが…」」
二人ともそう言いながら抱きしめてくる。私の可愛い妹たち。貴女達が安心して暮らせるこの世界を守って見せるわ。
「イリアーナ、二人をお部屋へお願いね」
「…畏まりました、アムルディーナ殿下。さぁ、お二人方、そろそろお部屋へ戻りますよ。殿下のお邪魔をしてはなりません」
「わかったわ、イリアーナ」
「はい…。では、ごきげんよう、お姉さま」
「ええ、二人ともおとなしく過ごすのよ」
イリアーナは妹たちの専属メイドである。
しかも彼女はラミアが直属の部下で優秀な元諜報員という肩書があるのだ(ゲーム設定どおり)。彼女に守ってもらえれば安心だ。私は妹たちが部屋を出る姿を見送った。
そして、とうとう決戦の日当日を迎えたのだった。
戦いの前の武者震いをしている自分に驚いている。私はこんなに緊張してしまう性格だったのだろうか。前世の女子高生だった時には決して発現しなかった現象だろう、そう思った。
「はい…。魔法と呼ばれる力があることは知っていました。でもその力が聖女の力なのかまではわかりませんでした。ただ、枯れたお花を元気にしたり、指の怪我を直したり、その程度の力でしたから…」
「それが、聖女の力、なのです。光聖魔法と呼ばれる力。聖女は貴族からは決して誕生しません。どの時代も、平民から突然変異として生まれるのです。そして聖女が生まれた時代、魔族が再び襲撃する、と伝承されてます」
そんな設定になっていたのか。設定資料集を細かくチェックしてなかったから知らないことだらけだ。
あ、そういえば私の唯一のオタ友が細かい設定について熱弁していたのを思い出した。あまりにも細かい過ぎてスルーしてしまっていたその時の私をぐーぱんしてやりたいっ!
その後細かな説明を妃殿下は私達に伝えてくれた。
ま、要するに私が勇者で、アフロディーテが聖女として魔族を討伐してこいってこい、ということだ。あとのメンバーは補佐として同行しろと…。
私はメンバー選定について妃殿下に質問した。
「殿下。このパーティについての選定ですが、この者たち以外該当者はおりませんでしょうか」
「ええ。ここにいる者たちでパーティを組み、魔族討伐をお願いします。あ、そうそう。冒険者ギルトからAランクパーティ一組を同行させてほしいと要望がありました。アムル、どうしますか?」
私が決めていいのかしら。人数が多いほうが有利になるとは思う。が、有象無象ではかえって足手まといになるかもしれない。
妃殿下にそのAランクパーティの詳細について尋ねると宰相に詳細の書かれた紙を渡すよう命令された。
渡されたその紙にはAランクパーティの詳細が事細かく記されていた。
パーティは4名で全員女性。個々のランクは最上位でSランク・チームリーダー『スールズ』(タンク)。残りはAランク・『アイシャ(モンク)、『スクルド』(黒魔法士)、『ウェスタ』(白魔導士)、といったバランスのいいパーティだった。
実はこのメンバー達もゲームで登場していたのを私は知っているのだ。ただ、魔族討伐への帯同ではなく、冒険者ギルトのクエストとして参加していたのだが…。ゲームでも彼女たちはめちゃくちゃ強かったのを思い出した。
「このパーティであればとても心強いですわ。ぜひ参加していただきたいです」
「分かりました。では、手配しておきましょう。魔族討伐は恐らくそう遠くはないでしょう。伝承によると宣戦布告から2、3日後、ここより西にある大聖堂跡地が戦場となるでしょう。皆、今より討伐への準備をお願いします」
「「はlっ」」
国王陛下、王妃殿下との謁見後それぞれ討伐準備のため散らばっていった。アフロディーテの補佐役にアグニ、カミーラ、ラートリーにお願いした。
本当は第一王子ディルンガルも補佐役をお願いしたのだが、どうしても私の傍を離れたくないと駄々を捏ねてしまったのだ。本来貴方の居場所は私の傍ではないのだけれど…。
はやり私の彼ら兄弟姉妹への甘やかししすぎてしまっていたらしい…。一人っ子だった私が兄弟を持つのは本当に危険極まりない、ということがよく分かった。
そして討伐準備は着々と進み、決戦の時が迫ってきた。私は自室で自分のステータスを確認するのと、持ち物のチェック(マジックバッグの整理とも言う)をしていた。
するとドアのノック音がして、傍に控えていたラミアが扉をゆっくりと開けた。そこになっていたのは妹たちだった。二人とも不安そうな表情で私の傍に来ると抱き着いてきたのだ。
二人とも私がこれから魔族討伐へ向かうことを知っている。私の事を心配しているのだろう。私は二人の頭を撫でながら話しかけた。
「パルバーテ、タレア、私は大丈夫よ。必ず魔族を倒して帰ってくるわ。安心して頂戴、ね?」
「…お姉さま。私もお姉さまとご一緒に戦いとうございます。なぜ私にはその力が継承されなかったのでしょうか…」
「パルバーテ姉様、私も同じ気持ちですわ。お姉さまとご一緒に戦いとうございます」
「二人とも…。まだ幼い貴女達に危険なことはさせられないわ。私には力があるの。だから勇者として選ばれた。だから戦う。それだけよ。何も心配はいらないわ」
「「ですが…」」
二人ともそう言いながら抱きしめてくる。私の可愛い妹たち。貴女達が安心して暮らせるこの世界を守って見せるわ。
「イリアーナ、二人をお部屋へお願いね」
「…畏まりました、アムルディーナ殿下。さぁ、お二人方、そろそろお部屋へ戻りますよ。殿下のお邪魔をしてはなりません」
「わかったわ、イリアーナ」
「はい…。では、ごきげんよう、お姉さま」
「ええ、二人ともおとなしく過ごすのよ」
イリアーナは妹たちの専属メイドである。
しかも彼女はラミアが直属の部下で優秀な元諜報員という肩書があるのだ(ゲーム設定どおり)。彼女に守ってもらえれば安心だ。私は妹たちが部屋を出る姿を見送った。
そして、とうとう決戦の日当日を迎えたのだった。
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