庶民OLの私にはやっぱり公爵家の悪役令嬢には不向きなようです

杏仁豆腐

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第1章

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「まぁっ！！　アレーレ様が魔力をお使いになったわっ」
「素敵なお色ですこと」
「まるで神様の扱われる炎のようですわっ」
「流石アレーレ様」
「国内１,2を争うだけの魔力量をお持ちですもの、当然ですわっ！」

あれ、皆のリアクションが可笑しいというか、私が魔力を持っていることを知っているかの反応じゃない、これって。
何も知らない私って大バカ者ってことなのかなぁ～。

そう思いながら右手を握りつぶすと青い炎がスーッと消えた。
そう言う事ね、私は生まれつきこういう力を持っていたという事なのね。

「ほほほ。これくらい私なら当然だわっ」
「流石、アレーレ様」
「素晴らしいですわぁ～」
「これでゴードン様も公爵として安泰ですわね」

皆の歓喜の声と私を称賛する言葉が私の耳に入ってくる。
うーん、何か変な気もするけれど抑々魔法が使えるっていったいどういう事なんだろう。

それに私以外に魔法が使える人がここにはいない、それに扱える人も限られている様子。
それに私が先程出した青い炎は一体どんな効果があるのか、赤い炎だったら何となくわかるのだけれど……。
私は疑問を感じながら、でもその事を皆に悟られないように平然と女子会をやり過ごした。

「ふ～、疲れたわ…」
「お疲れ様です。アレーレ様」

女子会が終わり貴族の娘たちが居なくなった後私は暫く椅子に座っていた。
色々な事を考えてたら疲れてしまったのだ。
こういう疑問に思ったことは侍女のマロンに聞くのが一番、私はそう思いマロンに話しかけた。

「時にマロン。貴女口は堅くて？」

唐突な質問を傍に居たマロンに訊ねた。
え…？　という表情で私の顔を凝視するマロン。
結構可愛いのよね、この子の顔ってばっ。
幼げない顔が私の意地悪したがる心が擽られるのよねぇ。

「はい。お言いつけなら他の方には決して漏らしたりはいたしません」
「では、こっちに来なさい」
「はい……」

マロンはてくてくと私の直ぐ横までくると私の隣に座るよう命令した。
ちょこんとこれから何が起こるか不安がるマロンの表情がとってもキュートだ。
そしてマロンの耳元でそっと小さな声で話をした。

「あのね、私実はある世界からこの世界に転生してきたの。だからこの世界の事が今一つ分かってないのよ。貴女私の侍女でしょ？　これから私の傍にずっといて色々とこの世界の事を教えて欲しいのよ」
「ええ～っ！！」
「マロンっ！！　声が大きいっ！！」
「ひぇ～っ。すみませんすみません、どうかお許しください、アレーレ様ぁ～っ」

五月蝿い、とマロンの口を塞ぐ私。
じたばたして苦しそうにしているマロンを見ているとなんだか意地悪しちゃくなってしまう私がいるのだ。
でも死んでしまったら可哀そうだからとマロンの口元から手を放した。

「はぁはぁ……苦しいですぅ～。アレーレ様ぁ～」
「マロンが大きい声を出すからでしょ。今の話は他言無用？　宜しくて？」
「あ、はいっ。口が裂けてもこのマロン、誰にも口外したりは致しませんっ」
「宜しい。これからは常に私の傍で色々な事を私に教えなさい。さっきの女子会のように…」
「…女子会…？」

あ、そっか、こっちの世界じゃあれを女子会とは言わないのか…なんていうのかしら。
お茶会？　
井戸端会議？　
どうもどれもしっくりこないわ。
一体全体なんていう名前にしたら良いのかしら。
そんなどうでもいいようなことを考えていると急に眠気に襲われて机の上に突っ伏してしまった。

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