庶民OLの私にはやっぱり公爵家の悪役令嬢には不向きなようです

第4章

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「ふぃ～……恥ずかしかった……」
「ご苦労様でした、アレーレ嬢」
「全くだわ……しかもみんなの居る前で魔力提供させるなんて……恥ずかしいったら……」


でもなんとか暴動が治まったことは良かったと心の中で思った。
その日の夜の間に昼間一部過激派の魔族達の暴動を私が沈めたことが円卓会議中の代表たちの耳に入った。
そして一週間開催される筈だった会議が二日で終わり国王やお父様たち貴族が国へと戻って来た。


屋敷に戻ってきたお父様が私の書斎に来て開口一番、ご苦労だった、と言った。
私は立ち上がりお父様に一礼すると話をした。


「いえ、大事に至らなく良かったです。それより拘束された方々はどうなるのでしょう？」
「自分の心配ではなく、拘束された者の事を気遣うとは…全く大した娘だ。彼らは明日『サターニャ国』へ向かうことになるだろう。そこでサターニャ国王による裁きが下る。会議ではサターニャ王に全て一任する事となった」


そうなのですね、と私が言うとお父様が私の所へ歩み寄り抱きしめた。
大事なくてよかった、と嬉しそうな、そして少し声を震わせて私の耳元でそう言った。
心配させてごめんなさい、でも私が止めなきゃって何故か思ってしまったの。
どうしてそう思ったのか今考えると分からない。
お父様はそれから直ぐに自室へ向かった。


「アレーレ様、もうすぐお風呂の準備が出来ます。お入りになりますか？」


サロンが私の部屋に来てそう言った。
お風呂で疲れを落とそう、サロンに案内され私はお風呂に入ることにした。
いつも通りにモロとソロとサロンの三人に身体や髪の毛を洗って貰い湯船に浸かる。
はぁ～、気持ちがいいわ。最初は人に身体を見られるのが嫌だったけれど本当に慣れって怖いわね……前もそんなことを思ってた気がするけれど……庶民だったOL時代の私には考えられないことだもんねぇ～。


お風呂を済ませて寝室へ向かうとマロンが部屋の前で待っていた。
どうしたのだろう、と思いマロンに話しかけた。


「アレーレ様、本日は大変お疲れ様でございました。私もお供していたのに何も出来ず申し訳ありません。何のお役にも立てず……」


そんなことで気を病んでいるなんて…なんてかわいい子なの。
私はそっとマロンの頭を撫でると優しく話しかけた。


「大丈夫よ。貴女はよくやったわ。馬車でここへ私を運んでくれたのだから。お手柄だったわ。有難う、マロン」
「アレーレ様……」


マロンは私の言葉で目に涙を零してしまう。
目から零れ落ちる滴を私は指で掬った。
そんなに泣くことでは無いのに、この子の従順さは侍女として立派だわ。
私はマロンに自室で休むよう命じて寝室にあるベッドに腰かけた。


「オロバス、そこにいるのでしょ？」
「御意」
「今日は助かったわ。有難う、よく働いてくれました」


私がそう言うと何処からともなくオロバスが現れた。
サラサラさの銀髪を靡かせながら整った顔立ちのオロバス。
本当に素敵な男性だと思ってしまう。