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犯人探求編
4.入学試験
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魔法学園では、三年間の学生生活を送る。主に日本でいう高校生くらいの年齢の子供たちが集って魔法のことを学び、自分の適性と可能性を探っていくのだ。やがて優秀な成績を残したものは魔塔であったり王室勤務といった方向へと道が開いていく。
そして私は復活から一週間後。今、学園に入学するために入学試験に居合わせていた。
受験者たちは試験会場に殺到し、壇上にいる人物に視線を向けていた。
「本日は遠いところから来ている人たちもいる中、よくこの入学試験に集まってくれた。僕の名前はアウレリウス。一応はアークランドの第一王子なのだけれど、今日は試験官の一人としてこの場にやってきたよ」
アウレリウス・・・!!!容疑者の一人め!!
彼の自己紹介の通り、この国の王太子にして、小説で私を殺す首謀者の片割れだ。特徴的なのは、その深紅よりも赤い髪。肩甲骨より長い髪を後ろに一つで結んでいる端正な容姿の美青年だ。深く澄んだ青い瞳が髪の色と対比になっており、とても目を引く。
性格は平民にも心優しく、それゆえに日本から召喚された聖女にも優しくエスコートをする貴公子でもある。
悪役の私とは違って絶大な人気を誇る彼は、受験者たちから今も憧れの表情を向けられていた。
そのまま私はちらりと自分の横を確認する。そこに立っていたのは栗色の毛のボブカットをした子犬のように愛らしい聖女・立木心愛。小説の主人公にして、光の魔法使い。彼女は頬を紅潮させ、壇上に立つ王子に心を奪われていた。
・・・?
おかしいな。
立木心愛は珍しい光の魔法使い。とある貴族の家の召喚に巻き込まれ、この世界に落ちてしまう。そこから貴族の家は公権力の摘発を受け、立木心愛は王城にて保護されるのだ。そして王子のアウレリウスからの推薦を受け、試験免除で入学を果たすというのが流れだったはずだ。
だというのに、何故試験会場にいるんだ?
私の思考に構わず、アウレリウスは壇上で試験の説明をする。今は聖女のことより、自分の入学に専念しなくてはならない。何といったって、私はこれから倍率うん倍に勝たなくてはならないからだ。
そう、平民に門戸を開けた結果、倍率は高くなってしまったのだ。
余計なことをした過去の自分を呪う反面、ここで自分がきっちりと入学を果たすことが出来れば、自分の過去の選択は決して間違いではなかったと証明が出来る。
そう、自分の行いを正当化するために私は頑張るのだ。ここにいる連中を蹴落としてやる。
・・・というように自分の目標を心の中で整理していると、隣から誰かが私に向かって話しかけてきた。
「おうおう、そこのおチビ。なんかピリついてんのな。いやー実は俺もなんや。ここめっちゃ人多いやんけ?もー、ライバル多すぎてほんまどうしようかなって思っとったんやけど、似た境遇おって助かるわ~」
青いベリーショートの髪の少年が、私に肩を回す。金のピアスと八重歯が鼻につく。
・・・誰だこいつは。しかも私の殺気立った様子に勝手に親近感を抱かれた。試験会場で、普通そんな友達作りに勤しむ?
「あ、俺はアバラっていうんや。よろしくな!チビのお名前はなんていうんや?」
生まれてこの方、避けられてばかりの人生だったため、ニカーっと笑いながらバシバシ叩かれるのはあまりにも初めての体験だ。本当は私も学生時代にはそのような気軽な友達は欲しかったけれど、結局嫌われるだけの道のりだった。故に、少しだけ警戒を和らげる。そしてローゼルアリオンとはバレないように決めていた演技を始める。
「僕はアリオン。平民のアリオン」
「アリオン!?なんや、縁起の悪い名前やな。あの極悪魔塔主と名前一部被っとるやん。なあ知っとるか?あのカス魔塔主のせいでこんな倍率エグなったんやと。はー・・・。ほんま嫌いやわ」
「短い間になるだろうけどよろしく。ついでに知ってると思うけど、入学試験中に起こったことはすべて事故として片付けられるんだって。閻魔大王に会ったら、自分の死因はそのルールって伝えておいて」
「え?何?なんで俺が死ぬ前提で話が進んどるん・・・?」
学園に入学する前の連中からも、私は蛇蝎のごとく嫌われている。よくわかった。つまり、新入生だろうと差別はしなくていいということだ。この男のことも試験中に隙を見て背中からズドンと行くのはどうだろうか。私の戦いはもう始まっているのだ。
壇上の王子は、まず最初の試験について発表した。
「一次試験はペーパーテスト。最初は君たちの学力を試させてもらう。なお、これによって大半は脱落すると思っておいてね」
「ひゃー・・・!!ペーパーテスト・・・!!知っとる?もともと入学試験は実力勝負一本やったのに、ローゼルアリオンが余計な学力テスト増やしたんやて」
そう、私はペーパーテストを増やした。いやだって、入学試験は私のルール改定によって倍率が上がった結果、実力勝負だけでは管理できなくなったからだ。故に勉学で足を切ることにした。誰も死なないから良いじゃないか。落ちたくなかったら勉強しろ。
アバラは勉強が苦手なようで、分かりやすく項垂れる。ここでこいつは落ちるだろう。本当に短い付き合いだったな。けれどそんな私の思惑とは裏腹に、壇上の王子は初耳の情報を口にした。
「なお、試験はすべてペアで行う。ペーパーテストも然りだね。これから魔法のブレスレットを配るから、引き寄せられた人物と一緒に、制限時間内に解いてね。でははじめ」
待て待て待て、なぜペーパーテストでペア制度なんだ!!私はそんなシステム作っとらんぞ!!
王子の発言が終わるや否や、受験者全員の腕にブレスレットがはめられる。やがて、磁石のようにペアを形成し始めた。私のペアは・・・・
「おっチビと一緒かー!!なんかおチビ頭よさそうやし、俺ってば運ええかも~」
アバラだった。なんだこの、私に全く利点の無いシステムは・・・。やがて私たちのもとにテストの用紙が配られる。土魔法で机と椅子も用意され始めた。他の受験者たちも、緊張しながらペアを組み、椅子に座り始める。まるでお見合いのように、互いに緊張しながらあいさつし、やがて会場は静まり返った。
「え、何々?魔法原理学?全然わからんわ~。もう直感で記入しようか!」
「全部僕が記入するから、足手まといはちょっと静かにしててね」
「足手まとい?え?俺のこと?」
さて、うるさい関西弁の男はさておいて私はテストを確認する。
ふむ、余裕だ。所詮入試。この程度、魔塔主の私にかかれば全問正解を取れるだろう。けれど、私は入学後にローゼルアリオン本人であると疑われる行為は慎みたい。故に、満点は取らずにそれなりの高得点をたたき出すことにしよう。
・・・この文章の特徴からすると、問題は魔法実技学のドレイヴン教授が作ったものだろう。すると彼のテストの配点はよくわかっている。こちらの問題はあの先生、またこちらの問題はあの先生というように目途を付け、私はほどほどの高得点を取れるように一気に記入していった。
一方のアバラは私のことを隣で応援していた。凄いな、その頭の悪さで入学しようとする勇気が。
やがて解答時間は終わり、用紙は回収されていく。
「はー・・・。ほんま疲れたわ・・・」
お前は何もしてないだろ!!
ともかく、教師総動員で採点が行われるらしく、私たちは結果まで数時間待つことになった。
「ふむ、今年の受験者は凄いね。90点以上をマークしている子がいる。名前をレオ。ああ、心愛と組んだ子か。まあ、こういうペア制度でもしないと心愛の頭では入学できないからね」
アウレリウスは採点に勤しむ教師たちを、楽し気に観察する。彼は生徒会長であり、訳合ってこの入試を視察していた。故に、本来はしなくていい入学試験という仕事を請け負っているのだ。
受験者は多い反面、空に浮かぶ羽根ペンが一斉に動いて早急の採点が行なわれていた。
アウレリウスはそのまま、自分の教科の採点に一区切りつけている教師に話しかける。彼は植物学の教師だ。
「先生、ご苦労様です。なにか面白い生徒はいましたか?」
「ああ殿下。いえ、学力一位のレオ以外は特段目立った者はいません。一人、面白い解答をしている者はいましたが、点数は50点です」
「面白い解答?どれどれ」
問題
一定の時間、葉が月明かりに照らされることで蓄光する魔法植物とは何?
解答
月明花。ただし最新の研究で月明かりに晒されるからではなく、昼間の太陽の光を蓄えて夜に光るという説が濃厚であるため、この問題には不適切。
「・・・すごいね、問題のダメ出しをされているね。一問一答でなかなか注釈はつけないよ普通は」
「ええ、私もこの問題は不適切と知っていて出題しました。ただ植物学は入学試験をするには範囲が限定的になりますので、どうしても幅がだせないんですよ毎年毎年」
「どれどれ、解答者はアバラとアリオン。面白そうだから他の科目の解答も見てみようか」
そしてアウレリウスはアバラ・アリオンペアの解答を漁る。
「・・・面白いのはさっきの植物学だけか。残念だな。知識はありそうだけど、別に点数自体が高いわけではないんだね。すると今年の座学試験一位はレオ・心愛ペアか」
そしてアウレリウスはアバラ・アリオンペアの解答を元の場所に戻そうとするものの、あることに気が付いた。
「・・・ひょっとしてこのテストの量を、一人で解いたの?」
計9科目ある中、アバラ・アリオンペアの筆跡は一人分だった。
このテストは、最初から9科目を解ききることを目的とはしていない。9科目あれば、どれかは得意科目があるだろう。故に、担当を決め、どれだけ点を稼げるか。そういった分担も問われるのだ。
レオ・心愛ペアのテストも、5枚ほどレオが90点前後を取り、心愛が担当しただろう2科目は20点付近が関の山。計492点。
元々1科目当たり50点を取れること自体が難しいことであるため、合計492点は相当高い点数となる。
一方アバラ・アリオンペアは450点。これだけならレオ・心愛ペアのほうが上位だろう。
けれど全ての科目がぴったり50点となっていた。
同じ筆跡で、すべて同じ点数。
点数配点は記載されていない。つまり、全部解いたうえで、難易度順に配点を計算した。そのうえですべての科目を50点にしていった。いや、偶然かもしれない。もし仮にそんなことが出来れば、学園創設以来の天才になる。
「偶然かもしれないけれど、面白い子が来たね。アバラというのは雑談してただけだったから、その隣にいた彼、アリオンが全部やったのか」
楽しそうにアウレリウスは笑う。
ふと、アリオンの解答用紙をみていると、見覚えのある筆跡だと気が付いた。
「・・・うーん、気のせいだよね」
アウレリウスは学力テストの結果が揃った報告を受け、壇上に戻り始める。
そして私は復活から一週間後。今、学園に入学するために入学試験に居合わせていた。
受験者たちは試験会場に殺到し、壇上にいる人物に視線を向けていた。
「本日は遠いところから来ている人たちもいる中、よくこの入学試験に集まってくれた。僕の名前はアウレリウス。一応はアークランドの第一王子なのだけれど、今日は試験官の一人としてこの場にやってきたよ」
アウレリウス・・・!!!容疑者の一人め!!
彼の自己紹介の通り、この国の王太子にして、小説で私を殺す首謀者の片割れだ。特徴的なのは、その深紅よりも赤い髪。肩甲骨より長い髪を後ろに一つで結んでいる端正な容姿の美青年だ。深く澄んだ青い瞳が髪の色と対比になっており、とても目を引く。
性格は平民にも心優しく、それゆえに日本から召喚された聖女にも優しくエスコートをする貴公子でもある。
悪役の私とは違って絶大な人気を誇る彼は、受験者たちから今も憧れの表情を向けられていた。
そのまま私はちらりと自分の横を確認する。そこに立っていたのは栗色の毛のボブカットをした子犬のように愛らしい聖女・立木心愛。小説の主人公にして、光の魔法使い。彼女は頬を紅潮させ、壇上に立つ王子に心を奪われていた。
・・・?
おかしいな。
立木心愛は珍しい光の魔法使い。とある貴族の家の召喚に巻き込まれ、この世界に落ちてしまう。そこから貴族の家は公権力の摘発を受け、立木心愛は王城にて保護されるのだ。そして王子のアウレリウスからの推薦を受け、試験免除で入学を果たすというのが流れだったはずだ。
だというのに、何故試験会場にいるんだ?
私の思考に構わず、アウレリウスは壇上で試験の説明をする。今は聖女のことより、自分の入学に専念しなくてはならない。何といったって、私はこれから倍率うん倍に勝たなくてはならないからだ。
そう、平民に門戸を開けた結果、倍率は高くなってしまったのだ。
余計なことをした過去の自分を呪う反面、ここで自分がきっちりと入学を果たすことが出来れば、自分の過去の選択は決して間違いではなかったと証明が出来る。
そう、自分の行いを正当化するために私は頑張るのだ。ここにいる連中を蹴落としてやる。
・・・というように自分の目標を心の中で整理していると、隣から誰かが私に向かって話しかけてきた。
「おうおう、そこのおチビ。なんかピリついてんのな。いやー実は俺もなんや。ここめっちゃ人多いやんけ?もー、ライバル多すぎてほんまどうしようかなって思っとったんやけど、似た境遇おって助かるわ~」
青いベリーショートの髪の少年が、私に肩を回す。金のピアスと八重歯が鼻につく。
・・・誰だこいつは。しかも私の殺気立った様子に勝手に親近感を抱かれた。試験会場で、普通そんな友達作りに勤しむ?
「あ、俺はアバラっていうんや。よろしくな!チビのお名前はなんていうんや?」
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「僕はアリオン。平民のアリオン」
「アリオン!?なんや、縁起の悪い名前やな。あの極悪魔塔主と名前一部被っとるやん。なあ知っとるか?あのカス魔塔主のせいでこんな倍率エグなったんやと。はー・・・。ほんま嫌いやわ」
「短い間になるだろうけどよろしく。ついでに知ってると思うけど、入学試験中に起こったことはすべて事故として片付けられるんだって。閻魔大王に会ったら、自分の死因はそのルールって伝えておいて」
「え?何?なんで俺が死ぬ前提で話が進んどるん・・・?」
学園に入学する前の連中からも、私は蛇蝎のごとく嫌われている。よくわかった。つまり、新入生だろうと差別はしなくていいということだ。この男のことも試験中に隙を見て背中からズドンと行くのはどうだろうか。私の戦いはもう始まっているのだ。
壇上の王子は、まず最初の試験について発表した。
「一次試験はペーパーテスト。最初は君たちの学力を試させてもらう。なお、これによって大半は脱落すると思っておいてね」
「ひゃー・・・!!ペーパーテスト・・・!!知っとる?もともと入学試験は実力勝負一本やったのに、ローゼルアリオンが余計な学力テスト増やしたんやて」
そう、私はペーパーテストを増やした。いやだって、入学試験は私のルール改定によって倍率が上がった結果、実力勝負だけでは管理できなくなったからだ。故に勉学で足を切ることにした。誰も死なないから良いじゃないか。落ちたくなかったら勉強しろ。
アバラは勉強が苦手なようで、分かりやすく項垂れる。ここでこいつは落ちるだろう。本当に短い付き合いだったな。けれどそんな私の思惑とは裏腹に、壇上の王子は初耳の情報を口にした。
「なお、試験はすべてペアで行う。ペーパーテストも然りだね。これから魔法のブレスレットを配るから、引き寄せられた人物と一緒に、制限時間内に解いてね。でははじめ」
待て待て待て、なぜペーパーテストでペア制度なんだ!!私はそんなシステム作っとらんぞ!!
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「おっチビと一緒かー!!なんかおチビ頭よさそうやし、俺ってば運ええかも~」
アバラだった。なんだこの、私に全く利点の無いシステムは・・・。やがて私たちのもとにテストの用紙が配られる。土魔法で机と椅子も用意され始めた。他の受験者たちも、緊張しながらペアを組み、椅子に座り始める。まるでお見合いのように、互いに緊張しながらあいさつし、やがて会場は静まり返った。
「え、何々?魔法原理学?全然わからんわ~。もう直感で記入しようか!」
「全部僕が記入するから、足手まといはちょっと静かにしててね」
「足手まとい?え?俺のこと?」
さて、うるさい関西弁の男はさておいて私はテストを確認する。
ふむ、余裕だ。所詮入試。この程度、魔塔主の私にかかれば全問正解を取れるだろう。けれど、私は入学後にローゼルアリオン本人であると疑われる行為は慎みたい。故に、満点は取らずにそれなりの高得点をたたき出すことにしよう。
・・・この文章の特徴からすると、問題は魔法実技学のドレイヴン教授が作ったものだろう。すると彼のテストの配点はよくわかっている。こちらの問題はあの先生、またこちらの問題はあの先生というように目途を付け、私はほどほどの高得点を取れるように一気に記入していった。
一方のアバラは私のことを隣で応援していた。凄いな、その頭の悪さで入学しようとする勇気が。
やがて解答時間は終わり、用紙は回収されていく。
「はー・・・。ほんま疲れたわ・・・」
お前は何もしてないだろ!!
ともかく、教師総動員で採点が行われるらしく、私たちは結果まで数時間待つことになった。
「ふむ、今年の受験者は凄いね。90点以上をマークしている子がいる。名前をレオ。ああ、心愛と組んだ子か。まあ、こういうペア制度でもしないと心愛の頭では入学できないからね」
アウレリウスは採点に勤しむ教師たちを、楽し気に観察する。彼は生徒会長であり、訳合ってこの入試を視察していた。故に、本来はしなくていい入学試験という仕事を請け負っているのだ。
受験者は多い反面、空に浮かぶ羽根ペンが一斉に動いて早急の採点が行なわれていた。
アウレリウスはそのまま、自分の教科の採点に一区切りつけている教師に話しかける。彼は植物学の教師だ。
「先生、ご苦労様です。なにか面白い生徒はいましたか?」
「ああ殿下。いえ、学力一位のレオ以外は特段目立った者はいません。一人、面白い解答をしている者はいましたが、点数は50点です」
「面白い解答?どれどれ」
問題
一定の時間、葉が月明かりに照らされることで蓄光する魔法植物とは何?
解答
月明花。ただし最新の研究で月明かりに晒されるからではなく、昼間の太陽の光を蓄えて夜に光るという説が濃厚であるため、この問題には不適切。
「・・・すごいね、問題のダメ出しをされているね。一問一答でなかなか注釈はつけないよ普通は」
「ええ、私もこの問題は不適切と知っていて出題しました。ただ植物学は入学試験をするには範囲が限定的になりますので、どうしても幅がだせないんですよ毎年毎年」
「どれどれ、解答者はアバラとアリオン。面白そうだから他の科目の解答も見てみようか」
そしてアウレリウスはアバラ・アリオンペアの解答を漁る。
「・・・面白いのはさっきの植物学だけか。残念だな。知識はありそうだけど、別に点数自体が高いわけではないんだね。すると今年の座学試験一位はレオ・心愛ペアか」
そしてアウレリウスはアバラ・アリオンペアの解答を元の場所に戻そうとするものの、あることに気が付いた。
「・・・ひょっとしてこのテストの量を、一人で解いたの?」
計9科目ある中、アバラ・アリオンペアの筆跡は一人分だった。
このテストは、最初から9科目を解ききることを目的とはしていない。9科目あれば、どれかは得意科目があるだろう。故に、担当を決め、どれだけ点を稼げるか。そういった分担も問われるのだ。
レオ・心愛ペアのテストも、5枚ほどレオが90点前後を取り、心愛が担当しただろう2科目は20点付近が関の山。計492点。
元々1科目当たり50点を取れること自体が難しいことであるため、合計492点は相当高い点数となる。
一方アバラ・アリオンペアは450点。これだけならレオ・心愛ペアのほうが上位だろう。
けれど全ての科目がぴったり50点となっていた。
同じ筆跡で、すべて同じ点数。
点数配点は記載されていない。つまり、全部解いたうえで、難易度順に配点を計算した。そのうえですべての科目を50点にしていった。いや、偶然かもしれない。もし仮にそんなことが出来れば、学園創設以来の天才になる。
「偶然かもしれないけれど、面白い子が来たね。アバラというのは雑談してただけだったから、その隣にいた彼、アリオンが全部やったのか」
楽しそうにアウレリウスは笑う。
ふと、アリオンの解答用紙をみていると、見覚えのある筆跡だと気が付いた。
「・・・うーん、気のせいだよね」
アウレリウスは学力テストの結果が揃った報告を受け、壇上に戻り始める。
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