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犯人探求編
18.フェイタル・ナーク
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マラカイとアウレリウスが睨みあう中、私は元の大人の姿に戻す。
・・・こんなホイホイ元の姿には戻りたくないが、しかし、こうでもしないことには、この二人を制圧できないだろう。両者とも、まがりなりにも魔法の天才で、それぞれの分野で私以上に特化した怪物だからだ。
アウレリウスは自分の背後の高魔力反応を感知するが、しかし前方に破壊王がいる状態で後ろに意識を割けない。一方マラカイは私が姿を戻したのをみて、目を見開く。
私は使い慣れた自分の黒い杖を召喚し、魔法を解き放った。
「フェイタル・ナーク」
麻酔のように、気絶にいたる魔法。それをあたり一帯に魔力の波を伸ばす。
黒い波が、私を中心に波のように広がり始めた。
アウレリウスの盾の中にいたことが幸いだった。これが外であればこの魔法は彼には効かなかった。両者とも、私の闇魔法の前に意識を保てず、膝を折りだす。そしてその眠りには抗えず、床に倒れだした。
「流石は『支配のローゼルアリオン』。せんせ、僕に膝を、折らせることが、できるのはせんせ~だけ・・・で・・・す・・・」
バタリと崩れた。今のうちにマラカイを家に転移で送り返す。一方のアウレリウスは防御に特化しているだけあって、少々魔法に耐性はあるのか、マラカイよりは意識が長かった。
「アリ、オン・・・?どうして、ここに。いや、やっと会えたのに、意識が・・・」
最後の意識を振り絞って私の方へ膝で歩いてくるが、しかし意識が途切れるのが早かった。歯を食いしばり、名残惜しそうにアウレリウスも同様にぱたりと力尽きた。
ふう・・・。こんなところで戦争なんて起こされたら私の計画が無茶苦茶になるだろう・・・。
私も流石にこれ以上は魔法を使用できるだけの余裕はない。なんとか、意識を失っているアウレリウスを壁際に運び、廊下の壁に立てかける。そして、魔力切れを起こした私も同様に、その場の床に沈んだ。
「あ、おはようございますせんせー」
目が覚めるとベッドの中にいて、目の前にはマラカイがいた。ここは私の自室だ。
「全くもう、寝起き一発目で先生をここまで回収してきたんですからね!あの小僧にだけ魔法を使っていればいいのに、なんで旦那の僕も巻き添えにしたんですかね!!お仕置きにお尻をつねっちゃいますからね!えい!!」
「触るな気色悪い!!」
ここまで運んできてくれたのは素直に嬉しい。今日はもう授業を受けられるだけの余裕が無かっただろうから。いやまて、そもそもこいつが学園にまで押しかけなければこんなことにはならんかっただろ。
とはいえ魔力切れもマラカイがどうにかしてくれたと状況から推察する。
「マラカイ、どうやって私の魔力を回復させてくれたんだ?」
「・・・・・・・」
「おい、私の魔力を、どうやって回復させたんだ?」
「・・・・・・・・・・・・」
「おい!何をしたんだ!!いったい私に何をしたんだ!!!なんでいつも鬱陶しいくらいに饒舌なのに喋らないんだ!!」
肩を掴んで揺さぶるが、何も喋らない。まあいい、知らない方が幸せなこともあるだろう。私の耳たぶを揉んで遊んでるマラカイを振り払い、身を起こして座る。
「いいか、アウレリウスには手を出すな。これから先いかなることがあろうとも、絶対に手を出すな」
「嫌でーす」
「なっ・・・!?決して私があの子に殺されようとも、傷一つつけることを許さんからな」
「せんせーが僕とエッチしてくれたら記憶の片隅にはおいてあげまーす」
マラカイはアウレリウスの話題が出た途端に態度を豹変させて体を反対にした。こいつが私の命令を聞かないのは珍しい。私へのセクハラをやめろと言っても一切聞かない男ではあるが、それ以上に話を聞く気が無いという意思表示をしている。
アウレリウスに傷をつけられる人間はこの国に何人いるんだというレベルだ。それくらいに彼は守護の魔法に愛されている。けれど、マラカイの規格外とどちらが勝つかは分からない。裏返せばこのマラカイが変なことさえしなければ、あの子は平穏に過ごせるんだ。
私のために命を捧げてくれたあの子の為なら、私はなんだってする。足を開いてもいい。
私はベッドで寝そべって不貞腐れるマラカイの腕を掴んだ。そう、交尾の誘いだ。
マラカイは頭を動かして私の手を見る。けれど、振り払った。
「いやですよ。主目的に他の男が関わっているエッチなんて。僕は、先生と相思相愛になりたいんですー。そこまで僕を縛りたいのなら、先生の洗脳魔法で僕を縛るなり、僕を情夫にするなりしてください」
「お前から先に言ったんだろうが!・・・目的を共有している元弟子兼共犯者に洗脳をかけられるわけないだろう。ただでさえお前は頭がおかしいのに、手元が狂ってこれ以上狂人になられたらかなわん」
「えへへ~せんせー大好き♡」
そのまま身を起こして私に抱き着き、口づけをする。本当に、私からは拒絶しているにもかかわらず、何故こいつがここまでべたべたしてくるのかが分からん。
「せんせー、僕ね。学生時代にこの国を破壊してみようかなあって思ったことがあるんですよ。だって、学園内って血筋がどうなの身分がどうなのって鬱陶しかったんですからね。多少魔法が使えるだけの有象無象が、たったそれだけのことで僕にマウントをとってくる。なら、圧倒的破壊力の前に生まれなんて関係ないって、馬鹿でもわかるように見せてあげようと思ったんです」
こいつ・・・そんなこと思っていたのか・・・。犯罪者予備軍として今から牢にぶち込んだほうがいいだろうか。
「でもねぇ、せんせーを初めて知った時に『ああ、勝てないな』って思っちゃったんです。そりゃ破壊で僕以上に特化している人間はいないでしょうよ。でもそれは力技の話。結局どんな強い戦士であっても、人を支配できる人間には屈するしかないんです」
魔法学園では三年生になると、星辰魔導議会というトーナメントが行われる。そこで誰が最も戦闘に秀でているか、その年の主席が誰かの判定が行われるのだが、マラカイが三年の頃、彼は圧倒的魔力で相手を殺しかけた。その年は事前に頭のおかしい三年がいるということで私は特別に参席していたが、あらかじめ会場の支配力を私に上書きし、マラカイの力を抑えていたのだ。
コロシアムの会場で、私を見上げるマラカイのあの時の遊び相手を見つけたような表情。いまだに忘れることが出来ない。
「だからですね、僕が暴れても先生がいれば僕を封じられる。僕は先生には頭を下げざるを得ないんですよ」
「・・・けれど私とお前が単純に正面から戦えば、おそらく私が負けるだろう」
「でもそうはなりません。僕はもう先生の支配力にからめとられていて、心が奴隷になっているんですから。故に、先生がいるから僕はこの国を壊さない。裏返せば、先生がこの先命を落とすことがあれば、この国を破壊します」
私はマラカイの頭をスパンと叩く。
「いいぞ、と言うわけないだろうが。私の命とお前に関連性はない。人を引き金にして犯罪の動機にするのはやめろ」
「いた、あいたた。愛の鞭ですねー。もう、僕のことこんなに雑に扱ってくれるのは貴方しかいませんよー」
そうして会話を終える。マラカイと話し終えた時には、既に外は夕暮れだった。
さて、今日のアウレリウスとの対話であった通り、もし生徒会を目指すのならトップ層にいなくてはならないだろう。生徒会長は貴族出身の現時点での主席が座るという暗黙のルールがあり、私も学生時代は生徒会長だった。一方、役員自体は会長の好きな人材が登用され、とはいえ周囲の目もあるため結局トップ層の者が採用される。
「ふむ、魔力回復にはマラカイを採血しておいて、必要な時に飲むとかした方がいいのか?うえ・・・」
「僕が試験会場にいればいいんですよ!!監督官の前で僕たちのディープキスを見せつけましょう!!」
「頼むから静かにしていてくれ」
マラカイは私の命令通り静かにしたものの、しかし私の体をぺたぺたと触って興奮している。鬱陶しいがこの間に思考をまとめようか。
・・・けれど、何かいい案が出る前に、マラカイは私に話しかける。強張った声だ。
「先生。学園がちょっとまずい事態になりました」
「・・・なんだ」
いつものこいつの調子だったら喋る前に跳ねのけるのだが、明らかに真剣な空気だ。
「あの、聖女でしたっけ。騒ぎたてています。『アリオンに闇魔法を使って昏倒させられた』、と」
・・・こんなホイホイ元の姿には戻りたくないが、しかし、こうでもしないことには、この二人を制圧できないだろう。両者とも、まがりなりにも魔法の天才で、それぞれの分野で私以上に特化した怪物だからだ。
アウレリウスは自分の背後の高魔力反応を感知するが、しかし前方に破壊王がいる状態で後ろに意識を割けない。一方マラカイは私が姿を戻したのをみて、目を見開く。
私は使い慣れた自分の黒い杖を召喚し、魔法を解き放った。
「フェイタル・ナーク」
麻酔のように、気絶にいたる魔法。それをあたり一帯に魔力の波を伸ばす。
黒い波が、私を中心に波のように広がり始めた。
アウレリウスの盾の中にいたことが幸いだった。これが外であればこの魔法は彼には効かなかった。両者とも、私の闇魔法の前に意識を保てず、膝を折りだす。そしてその眠りには抗えず、床に倒れだした。
「流石は『支配のローゼルアリオン』。せんせ、僕に膝を、折らせることが、できるのはせんせ~だけ・・・で・・・す・・・」
バタリと崩れた。今のうちにマラカイを家に転移で送り返す。一方のアウレリウスは防御に特化しているだけあって、少々魔法に耐性はあるのか、マラカイよりは意識が長かった。
「アリ、オン・・・?どうして、ここに。いや、やっと会えたのに、意識が・・・」
最後の意識を振り絞って私の方へ膝で歩いてくるが、しかし意識が途切れるのが早かった。歯を食いしばり、名残惜しそうにアウレリウスも同様にぱたりと力尽きた。
ふう・・・。こんなところで戦争なんて起こされたら私の計画が無茶苦茶になるだろう・・・。
私も流石にこれ以上は魔法を使用できるだけの余裕はない。なんとか、意識を失っているアウレリウスを壁際に運び、廊下の壁に立てかける。そして、魔力切れを起こした私も同様に、その場の床に沈んだ。
「あ、おはようございますせんせー」
目が覚めるとベッドの中にいて、目の前にはマラカイがいた。ここは私の自室だ。
「全くもう、寝起き一発目で先生をここまで回収してきたんですからね!あの小僧にだけ魔法を使っていればいいのに、なんで旦那の僕も巻き添えにしたんですかね!!お仕置きにお尻をつねっちゃいますからね!えい!!」
「触るな気色悪い!!」
ここまで運んできてくれたのは素直に嬉しい。今日はもう授業を受けられるだけの余裕が無かっただろうから。いやまて、そもそもこいつが学園にまで押しかけなければこんなことにはならんかっただろ。
とはいえ魔力切れもマラカイがどうにかしてくれたと状況から推察する。
「マラカイ、どうやって私の魔力を回復させてくれたんだ?」
「・・・・・・・」
「おい、私の魔力を、どうやって回復させたんだ?」
「・・・・・・・・・・・・」
「おい!何をしたんだ!!いったい私に何をしたんだ!!!なんでいつも鬱陶しいくらいに饒舌なのに喋らないんだ!!」
肩を掴んで揺さぶるが、何も喋らない。まあいい、知らない方が幸せなこともあるだろう。私の耳たぶを揉んで遊んでるマラカイを振り払い、身を起こして座る。
「いいか、アウレリウスには手を出すな。これから先いかなることがあろうとも、絶対に手を出すな」
「嫌でーす」
「なっ・・・!?決して私があの子に殺されようとも、傷一つつけることを許さんからな」
「せんせーが僕とエッチしてくれたら記憶の片隅にはおいてあげまーす」
マラカイはアウレリウスの話題が出た途端に態度を豹変させて体を反対にした。こいつが私の命令を聞かないのは珍しい。私へのセクハラをやめろと言っても一切聞かない男ではあるが、それ以上に話を聞く気が無いという意思表示をしている。
アウレリウスに傷をつけられる人間はこの国に何人いるんだというレベルだ。それくらいに彼は守護の魔法に愛されている。けれど、マラカイの規格外とどちらが勝つかは分からない。裏返せばこのマラカイが変なことさえしなければ、あの子は平穏に過ごせるんだ。
私のために命を捧げてくれたあの子の為なら、私はなんだってする。足を開いてもいい。
私はベッドで寝そべって不貞腐れるマラカイの腕を掴んだ。そう、交尾の誘いだ。
マラカイは頭を動かして私の手を見る。けれど、振り払った。
「いやですよ。主目的に他の男が関わっているエッチなんて。僕は、先生と相思相愛になりたいんですー。そこまで僕を縛りたいのなら、先生の洗脳魔法で僕を縛るなり、僕を情夫にするなりしてください」
「お前から先に言ったんだろうが!・・・目的を共有している元弟子兼共犯者に洗脳をかけられるわけないだろう。ただでさえお前は頭がおかしいのに、手元が狂ってこれ以上狂人になられたらかなわん」
「えへへ~せんせー大好き♡」
そのまま身を起こして私に抱き着き、口づけをする。本当に、私からは拒絶しているにもかかわらず、何故こいつがここまでべたべたしてくるのかが分からん。
「せんせー、僕ね。学生時代にこの国を破壊してみようかなあって思ったことがあるんですよ。だって、学園内って血筋がどうなの身分がどうなのって鬱陶しかったんですからね。多少魔法が使えるだけの有象無象が、たったそれだけのことで僕にマウントをとってくる。なら、圧倒的破壊力の前に生まれなんて関係ないって、馬鹿でもわかるように見せてあげようと思ったんです」
こいつ・・・そんなこと思っていたのか・・・。犯罪者予備軍として今から牢にぶち込んだほうがいいだろうか。
「でもねぇ、せんせーを初めて知った時に『ああ、勝てないな』って思っちゃったんです。そりゃ破壊で僕以上に特化している人間はいないでしょうよ。でもそれは力技の話。結局どんな強い戦士であっても、人を支配できる人間には屈するしかないんです」
魔法学園では三年生になると、星辰魔導議会というトーナメントが行われる。そこで誰が最も戦闘に秀でているか、その年の主席が誰かの判定が行われるのだが、マラカイが三年の頃、彼は圧倒的魔力で相手を殺しかけた。その年は事前に頭のおかしい三年がいるということで私は特別に参席していたが、あらかじめ会場の支配力を私に上書きし、マラカイの力を抑えていたのだ。
コロシアムの会場で、私を見上げるマラカイのあの時の遊び相手を見つけたような表情。いまだに忘れることが出来ない。
「だからですね、僕が暴れても先生がいれば僕を封じられる。僕は先生には頭を下げざるを得ないんですよ」
「・・・けれど私とお前が単純に正面から戦えば、おそらく私が負けるだろう」
「でもそうはなりません。僕はもう先生の支配力にからめとられていて、心が奴隷になっているんですから。故に、先生がいるから僕はこの国を壊さない。裏返せば、先生がこの先命を落とすことがあれば、この国を破壊します」
私はマラカイの頭をスパンと叩く。
「いいぞ、と言うわけないだろうが。私の命とお前に関連性はない。人を引き金にして犯罪の動機にするのはやめろ」
「いた、あいたた。愛の鞭ですねー。もう、僕のことこんなに雑に扱ってくれるのは貴方しかいませんよー」
そうして会話を終える。マラカイと話し終えた時には、既に外は夕暮れだった。
さて、今日のアウレリウスとの対話であった通り、もし生徒会を目指すのならトップ層にいなくてはならないだろう。生徒会長は貴族出身の現時点での主席が座るという暗黙のルールがあり、私も学生時代は生徒会長だった。一方、役員自体は会長の好きな人材が登用され、とはいえ周囲の目もあるため結局トップ層の者が採用される。
「ふむ、魔力回復にはマラカイを採血しておいて、必要な時に飲むとかした方がいいのか?うえ・・・」
「僕が試験会場にいればいいんですよ!!監督官の前で僕たちのディープキスを見せつけましょう!!」
「頼むから静かにしていてくれ」
マラカイは私の命令通り静かにしたものの、しかし私の体をぺたぺたと触って興奮している。鬱陶しいがこの間に思考をまとめようか。
・・・けれど、何かいい案が出る前に、マラカイは私に話しかける。強張った声だ。
「先生。学園がちょっとまずい事態になりました」
「・・・なんだ」
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