22 / 124
犯人探求編
21.中間学力考査
しおりを挟む
「本当にごめんね、僕が闇魔法を使ったせいで君にも疑いが向いてしまった。感情すら制御できないなんて、こんなのが王太子なんて笑わせるよね。その上庇われるなんて、本当に君には迷惑しかかけていないよ」
「いえ、僕は少しだけ嬉しかったので、気にしないでください」
「嬉しかった・・・?・・・・・・・・・?」
アウレリウスはこてんと首を傾げた。私が書いた手紙をあれだけ大切にしてくれたんだ。結果はともかくその心は本当に嬉しい。
あの後アウレリウスは意識を取り戻し、校長に直訴したらしい。けれどあまり深く突っ込むと聖女を追放せねばなくなる。故に、公式的にはこの件は未解決ということで闇に葬られることとなった。
そして時が経ち、現在九月末。
いよいよ今日は中間考査の実試験の日。この日に至るまでアウレリウスと文通をしていたが、しかしやはり人目を避けつつ会うのには限界があった。段々と私とアウレリウスの関係を揶揄する輩も現れ出したのだが、けれど手紙を受け取ったときの花がほころぶような笑顔を見るたびに、私も幸せになったものだ。とはいえ急いで生徒会に入り、誰にも噂されない環境で手紙を渡したいのが本音だ。
「ねえ、魔塔主に好きな人っているかな・・・。君なら何か知っているんじゃない?」
「え?こ、婚約者がいるからその人が好きなんじゃないでしょうか」
「あれは義務的な関係。そうじゃなくって、魔塔主が大好きな相手だよ」
確かに私とジェルドは義務的な関係だが、即断されるとは驚いた。なんでそんなプライベートなことを知っているんだ・・・?
大好きな相手・・・。まあ、強いて言うなら・・・。
「生徒会長のことは好いてますよ。多分、魔塔主の知り合いの中で一番好感度が高いんじゃないでしょうか」
アウレリウスは、私の発言に固まった。
そして私を凝視している。
「アリオンが僕のことを好いている・・・?」
「ま、まあ、そうじゃなかったら筆不精な人なので、こんなに熱心に文通をしてくれていませんからね・・・」
「一番好き、アリオンが僕のことを、知り合いの中で一番好き・・・」
何度も私の言葉を反芻する。
親心としての好いているという意味だが、ひょっとして恋愛的な意味にとらえて、気持ち悪いとかでショックを受けてないか?
アウレリウスから私への未練を絶つことが主目的のはずが、文通が段々と楽しくなってきている自分がいた。それを気持ち悪いと思われたら、今の私にはショックが大きい。
ひょっとして罵倒をされるんじゃないかと、恐る恐るアウレリウスから離れる。
「あ・・・ご、ごめんね。なんだか、君からそういわれると本人から直接言ってもらったような不思議な感覚になるんだ」
その顔はとても真っ赤だった。そしてとてもうれしそうだった。
よかった、恋愛という意味合いでは捉えなかったようで。
私はアウレリウスよりも肉体的には六歳上のため、なんなら精神的にはさらに上であるせいで、つい年齢差を感じるのだ。その、手紙に古臭い表現とか、気持ち悪い表現とか使っていないかとか。いわゆるおじさん構文とかになっていないかとか・・・。
「さて、今日の中間考査の内容は今朝発表されたのだけれど、準備は出来ているかな?」
「ええ、頑張って立木さんを打倒していきます。会長は安心して待っていてください」
「うん、いってらっしゃい」
アウレリウスは僕を見送りながら、2日前に実施した学力考査の順位一覧の掲示を見ていた。
今回の一年生の科目は8科目で、それぞれ選択した授業によって有利不利はあれど、合計点で競う。
1位は私、アリオン。800点満点中800点。
2位のレオの620点から大きく点を突き放し、また立木心愛は16位だった。生徒会副会長兼、我が弟のロージも、掲示板を見て、ただ立ちすくんでいた。
「満点な上に、学園の最高記録を圧倒して塗り替えていますね。昨年の僕は650点で学年一位だったんですが・・・」
「凄いね。確か、一年最初の考査は僕が743点で、学園史上最高の天才と言われたマラカイ殿が782点、学園時代のアリオンは733点だったよね。それらを全部凌駕しているなんて・・・」
学生時代のことなんてほとんど忘れていると思いきや、すべてが基礎に直結する内容であったため、今やり直せば大分簡単だった。日本で言ういわば、中学一年生レベルのことを大人が解いているに等しい。逆に満点じゃなかったらマラカイに笑われていたと思う。
しばらく歩いていると、今度はジェルドがやってきた。
「学園創設史上最高得点、本当によくやった。お前の名はこの学園の歴史に残るだろう。本当に、縁起の悪い名前というのが唯一の欠点だな」
褒めの部分はありがたく頂戴しよう。正直なところ、実技が何か分からなかった学力試験の段階では、万が一があると考えた。故に、実技に何か起こっても、学力がニューレコードを取っていれば生徒会へ入る言い訳としては弁が立つと思い、このようなことをしたのだ。
・・・いやまあ、本音を言うと立木心愛を圧倒的実力差で完膚なきまで叩きのめしたくなったのが実際のところではあるが・・・。
ジェルドは、何か私を探るように顔を覗く。
そして驚愕の発言をする。
「お前は、ローゼルアリオンか?」
私は、今の発言に驚くあまり、呼吸を止めた。目を見開き、やがて止まった呼吸は荒い形で蘇る。けれどジェルドはふっと息を吐く。
「すまない、悪い冗談だ。・・・実はな、お前が俺の婚約者に似ていると思う時があるんだ。たゆまぬ努力、その末の成果。どうにもあいつの後を追っているような悪い予感がしてな」
「あ・・・いえ、でもそれは、侮蔑の表現ですので金輪際控えていただけると嬉しいです」
「ああ、本当に悪かった。お前とあいつは違う。あいつと違ってお前は友人から慕われ、なにより疑われた際には自分の意見をきっちりと言い放った。あいつとお前は、全く似ていないさ」
「ありがとうございます」
頭を軽く下げ、会話を打ち切る。心臓に悪い発言を受け、急いでこの場を後にしたくなり、この場から立ち去る。背後からもの言いたげなジェルドの視線を無視し、今度こそ試験会場に向かって進んでいった。
「おチビ~!!お前、満点で学園の記録を塗り替えたんやってな~!!親友として鼻が高いわ~!!」
「おめでとうアリオン。やっぱり君、入試では完全に遊んでたでしょ。でも、そんな君と一緒の学年で、そしてこんなに近くで一緒に学べるのは誇らしいよ」
「ありがとうアバラ、レオ」
親友といったアバラの言葉は解せないが、一位を祝ってくれたことは嬉しい。そしてレオは、悔しい思いをしているだろうに、素直に祝福をしてくれた。何より私さえいなければ本当はレオが首席になっていた。それについて申し訳なく思う。
けれどアバラは、私に笑顔を向けた後、その顔は段々と曇っていった。
「アバラ?どうしたの?」
「いや・・・あのな。俺、学力試験最下位やってん。するとな、この実技で上位を取らんと退学って警告されたんよ・・・」
「そっか・・・短い間だったけどありがとうアバラ」
「俺ら親友やおな!?そんな呆気ない別れある!?」
レオも、アバラとの別れを惜しむような表情をする。私も、段々とこいつに親しみを覚えてくる自分がいた。けれど、ここでこいつを復讐待ち受ける学園から逃がせるのは、本音を言うとちょっとだけ嬉しい。
レオは、アバラに手を差し伸べる。
「僕は学力二位で、余裕がある。僕にアバラ退学阻止の協力をさせてほしい」
「ありがとな、レオ。でも、それはあかんのや。お前たちは自分の出来ることを精一杯し」
「え・・・いや、そんな余裕アバラには・・・」
アバラは決意を固めたように拳を握る。
「あかん。上り詰めて、いずれは魔塔主を見返すって決めたんや。それがダチの手を借りてここに残り続けても、それは俺の実力とちゃう。魔塔主にざまあみろっていう時、俺は何も隠すことなく正面から向き合いたいんや」
私とレオはぽかんとアバラを見つめ、そしてほほ笑んだ。
「・・・アバラ。僕は先で待ってるからね」
「おうよ!おチビはきちっとあの聖女に借りを返してこい!!」
立木心愛は、学力試験の圧倒的敗北を目の当たりにし、私のカンニング説を広めている。けれど、私より点数が高い者がいない状態で、一体どうしてカンニングが出来ようか。それも、時間配分も酷な状態で。
過去に不正の疑惑をかけられていたローゼルアリオンでさえ、満点は出せなかった。一体どんな不正をすれば満点がとれるのか。なおかつ私の授業態度は完ぺきだ。故に、教師陣や生徒会の間では私は信用されていた。
反対に、そういった考察が出来ようもない生徒間では私の不正説は流れている。
「あら、不正をしてまでアウレリウスに引っ付こうとしている地味男じゃない」
「そういう君は、身分の高い人に親し気に名前を呼ぶなんて、その程度の品格すら身につけられていない16位の立木さんじゃないか」
「調子に乗っていられるのもここまでよ。魔法学園はあくまで戦闘を身に着けるところ。どんだけお頭が良かろうと、結局は強い者が優先されるんだから」
それだけ言うと取り巻きを連れ、どこかへ立ち去る。取り巻き達は私のことを睨み、心愛についていった。
実技試験は入試と一緒の時と同じ舞台の紫紺の森。
私たちは足を踏み入れた。
「いえ、僕は少しだけ嬉しかったので、気にしないでください」
「嬉しかった・・・?・・・・・・・・・?」
アウレリウスはこてんと首を傾げた。私が書いた手紙をあれだけ大切にしてくれたんだ。結果はともかくその心は本当に嬉しい。
あの後アウレリウスは意識を取り戻し、校長に直訴したらしい。けれどあまり深く突っ込むと聖女を追放せねばなくなる。故に、公式的にはこの件は未解決ということで闇に葬られることとなった。
そして時が経ち、現在九月末。
いよいよ今日は中間考査の実試験の日。この日に至るまでアウレリウスと文通をしていたが、しかしやはり人目を避けつつ会うのには限界があった。段々と私とアウレリウスの関係を揶揄する輩も現れ出したのだが、けれど手紙を受け取ったときの花がほころぶような笑顔を見るたびに、私も幸せになったものだ。とはいえ急いで生徒会に入り、誰にも噂されない環境で手紙を渡したいのが本音だ。
「ねえ、魔塔主に好きな人っているかな・・・。君なら何か知っているんじゃない?」
「え?こ、婚約者がいるからその人が好きなんじゃないでしょうか」
「あれは義務的な関係。そうじゃなくって、魔塔主が大好きな相手だよ」
確かに私とジェルドは義務的な関係だが、即断されるとは驚いた。なんでそんなプライベートなことを知っているんだ・・・?
大好きな相手・・・。まあ、強いて言うなら・・・。
「生徒会長のことは好いてますよ。多分、魔塔主の知り合いの中で一番好感度が高いんじゃないでしょうか」
アウレリウスは、私の発言に固まった。
そして私を凝視している。
「アリオンが僕のことを好いている・・・?」
「ま、まあ、そうじゃなかったら筆不精な人なので、こんなに熱心に文通をしてくれていませんからね・・・」
「一番好き、アリオンが僕のことを、知り合いの中で一番好き・・・」
何度も私の言葉を反芻する。
親心としての好いているという意味だが、ひょっとして恋愛的な意味にとらえて、気持ち悪いとかでショックを受けてないか?
アウレリウスから私への未練を絶つことが主目的のはずが、文通が段々と楽しくなってきている自分がいた。それを気持ち悪いと思われたら、今の私にはショックが大きい。
ひょっとして罵倒をされるんじゃないかと、恐る恐るアウレリウスから離れる。
「あ・・・ご、ごめんね。なんだか、君からそういわれると本人から直接言ってもらったような不思議な感覚になるんだ」
その顔はとても真っ赤だった。そしてとてもうれしそうだった。
よかった、恋愛という意味合いでは捉えなかったようで。
私はアウレリウスよりも肉体的には六歳上のため、なんなら精神的にはさらに上であるせいで、つい年齢差を感じるのだ。その、手紙に古臭い表現とか、気持ち悪い表現とか使っていないかとか。いわゆるおじさん構文とかになっていないかとか・・・。
「さて、今日の中間考査の内容は今朝発表されたのだけれど、準備は出来ているかな?」
「ええ、頑張って立木さんを打倒していきます。会長は安心して待っていてください」
「うん、いってらっしゃい」
アウレリウスは僕を見送りながら、2日前に実施した学力考査の順位一覧の掲示を見ていた。
今回の一年生の科目は8科目で、それぞれ選択した授業によって有利不利はあれど、合計点で競う。
1位は私、アリオン。800点満点中800点。
2位のレオの620点から大きく点を突き放し、また立木心愛は16位だった。生徒会副会長兼、我が弟のロージも、掲示板を見て、ただ立ちすくんでいた。
「満点な上に、学園の最高記録を圧倒して塗り替えていますね。昨年の僕は650点で学年一位だったんですが・・・」
「凄いね。確か、一年最初の考査は僕が743点で、学園史上最高の天才と言われたマラカイ殿が782点、学園時代のアリオンは733点だったよね。それらを全部凌駕しているなんて・・・」
学生時代のことなんてほとんど忘れていると思いきや、すべてが基礎に直結する内容であったため、今やり直せば大分簡単だった。日本で言ういわば、中学一年生レベルのことを大人が解いているに等しい。逆に満点じゃなかったらマラカイに笑われていたと思う。
しばらく歩いていると、今度はジェルドがやってきた。
「学園創設史上最高得点、本当によくやった。お前の名はこの学園の歴史に残るだろう。本当に、縁起の悪い名前というのが唯一の欠点だな」
褒めの部分はありがたく頂戴しよう。正直なところ、実技が何か分からなかった学力試験の段階では、万が一があると考えた。故に、実技に何か起こっても、学力がニューレコードを取っていれば生徒会へ入る言い訳としては弁が立つと思い、このようなことをしたのだ。
・・・いやまあ、本音を言うと立木心愛を圧倒的実力差で完膚なきまで叩きのめしたくなったのが実際のところではあるが・・・。
ジェルドは、何か私を探るように顔を覗く。
そして驚愕の発言をする。
「お前は、ローゼルアリオンか?」
私は、今の発言に驚くあまり、呼吸を止めた。目を見開き、やがて止まった呼吸は荒い形で蘇る。けれどジェルドはふっと息を吐く。
「すまない、悪い冗談だ。・・・実はな、お前が俺の婚約者に似ていると思う時があるんだ。たゆまぬ努力、その末の成果。どうにもあいつの後を追っているような悪い予感がしてな」
「あ・・・いえ、でもそれは、侮蔑の表現ですので金輪際控えていただけると嬉しいです」
「ああ、本当に悪かった。お前とあいつは違う。あいつと違ってお前は友人から慕われ、なにより疑われた際には自分の意見をきっちりと言い放った。あいつとお前は、全く似ていないさ」
「ありがとうございます」
頭を軽く下げ、会話を打ち切る。心臓に悪い発言を受け、急いでこの場を後にしたくなり、この場から立ち去る。背後からもの言いたげなジェルドの視線を無視し、今度こそ試験会場に向かって進んでいった。
「おチビ~!!お前、満点で学園の記録を塗り替えたんやってな~!!親友として鼻が高いわ~!!」
「おめでとうアリオン。やっぱり君、入試では完全に遊んでたでしょ。でも、そんな君と一緒の学年で、そしてこんなに近くで一緒に学べるのは誇らしいよ」
「ありがとうアバラ、レオ」
親友といったアバラの言葉は解せないが、一位を祝ってくれたことは嬉しい。そしてレオは、悔しい思いをしているだろうに、素直に祝福をしてくれた。何より私さえいなければ本当はレオが首席になっていた。それについて申し訳なく思う。
けれどアバラは、私に笑顔を向けた後、その顔は段々と曇っていった。
「アバラ?どうしたの?」
「いや・・・あのな。俺、学力試験最下位やってん。するとな、この実技で上位を取らんと退学って警告されたんよ・・・」
「そっか・・・短い間だったけどありがとうアバラ」
「俺ら親友やおな!?そんな呆気ない別れある!?」
レオも、アバラとの別れを惜しむような表情をする。私も、段々とこいつに親しみを覚えてくる自分がいた。けれど、ここでこいつを復讐待ち受ける学園から逃がせるのは、本音を言うとちょっとだけ嬉しい。
レオは、アバラに手を差し伸べる。
「僕は学力二位で、余裕がある。僕にアバラ退学阻止の協力をさせてほしい」
「ありがとな、レオ。でも、それはあかんのや。お前たちは自分の出来ることを精一杯し」
「え・・・いや、そんな余裕アバラには・・・」
アバラは決意を固めたように拳を握る。
「あかん。上り詰めて、いずれは魔塔主を見返すって決めたんや。それがダチの手を借りてここに残り続けても、それは俺の実力とちゃう。魔塔主にざまあみろっていう時、俺は何も隠すことなく正面から向き合いたいんや」
私とレオはぽかんとアバラを見つめ、そしてほほ笑んだ。
「・・・アバラ。僕は先で待ってるからね」
「おうよ!おチビはきちっとあの聖女に借りを返してこい!!」
立木心愛は、学力試験の圧倒的敗北を目の当たりにし、私のカンニング説を広めている。けれど、私より点数が高い者がいない状態で、一体どうしてカンニングが出来ようか。それも、時間配分も酷な状態で。
過去に不正の疑惑をかけられていたローゼルアリオンでさえ、満点は出せなかった。一体どんな不正をすれば満点がとれるのか。なおかつ私の授業態度は完ぺきだ。故に、教師陣や生徒会の間では私は信用されていた。
反対に、そういった考察が出来ようもない生徒間では私の不正説は流れている。
「あら、不正をしてまでアウレリウスに引っ付こうとしている地味男じゃない」
「そういう君は、身分の高い人に親し気に名前を呼ぶなんて、その程度の品格すら身につけられていない16位の立木さんじゃないか」
「調子に乗っていられるのもここまでよ。魔法学園はあくまで戦闘を身に着けるところ。どんだけお頭が良かろうと、結局は強い者が優先されるんだから」
それだけ言うと取り巻きを連れ、どこかへ立ち去る。取り巻き達は私のことを睨み、心愛についていった。
実技試験は入試と一緒の時と同じ舞台の紫紺の森。
私たちは足を踏み入れた。
13
あなたにおすすめの小説
【完結】星に焦がれて
白(しろ)
BL
気付いたら八年間囲われてた話、する? わんこ執着攻め×鈍感受け
「お、前、いつから…?」
「最初からだよ。初めて見た時から俺はお前のことが好きだった」
僕、アルデバラン・スタクにはどうしても敵わない男がいた。
家柄も、センスも、才能も、全てを持って生まれてきた天才、シリウス・ルーヴだ。
僕たちは十歳の頃王立の魔法学園で出会った。
シリウスは天才だ。だけど性格は無鉄砲で無計画で大雑把でとにかく甘えた、それに加えて我儘と来た。それに比べて僕は冷静で落ち着いていて、体よりも先に頭が働くタイプだったから気が付けば周りの大人たちの策略にはめられてシリウスの世話係を任されることになっていた。
二人組を作る時も、食事の時も、部屋だって同じのまま十八で学園を卒業する年まで僕たちは常に一緒に居て──そしてそれは就職先でも同じだった。
配属された辺境の地でも僕はシリウスの世話を任され、日々を慌ただしく過ごしていたそんなある日、国境の森に魔物が発生した。それを掃討すべく現場に向かうと何やら魔物の様子がおかしいことに気が付く。
その原因を突き止めたシリウスが掃討に当たったのだが、魔物の攻撃を受けてしまい重傷を負ってしまう。
初めて見るシリウスの姿に僕は動揺し、どうしようもなく不安だった。目を覚ますまでの間何をしていていも気になっていた男が三日振りに目を覚ました時、異変が起きた。
「…シリウス?」
「アルはさ、優しいから」
背中はベッドに押し付けられて、目の前には見たことが無い顔をしたシリウスがいた。
いつだって一等星のように煌めいていた瞳が、仄暗い熱で潤んでいた。とても友人に向ける目では、声では無かった。
「──俺のこと拒めないでしょ?」
おりてきた熱を拒む術を、僕は持っていなかった。
その日を境に、僕たちの関係は変わった。でも、僕にはどうしてシリウスがそんなことをしたのかがわからなかった。
これは気付かないうちに八年間囲われて、向けられている愛の大きさに気付かないまますったもんだする二人のお話。
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
ラストダンスは僕と
中屋沙鳥
BL
ブランシャール公爵令息エティエンヌは三男坊の気楽さから、領地で植物の品種改良をして生きるつもりだった。しかし、第二王子パトリックに気に入られて婚約者候補になってしまう。側近候補と一緒にそれなりに仲良く学院に通っていたが、ある日聖女候補の男爵令嬢アンヌが転入してきて……/王子×公爵令息/異世界転生を匂わせていますが、作品中では明らかになりません。完結しました。
雪解けに愛を囁く
ノルねこ
BL
平民のアルベルトに試験で負け続けて伯爵家を廃嫡になったルイス。
しかしその試験結果は歪められたものだった。
実はアルベルトは自分の配偶者と配下を探すため、身分を偽って学園に通っていたこの国の第三王子。自分のせいでルイスが廃嫡になってしまったと後悔するアルベルトは、同級生だったニコラスと共にルイスを探しはじめる。
好きな態度を隠さない王子様×元伯爵令息(現在は酒場の店員)
前・中・後プラスイチャイチャ回の、全4話で終了です。
別作品(俺様BL声優)の登場人物と名前は同じですが別人です! 紛らわしくてすみません。
小説家になろうでも公開中。
第十王子は天然侍従には敵わない。
きっせつ
BL
「婚約破棄させて頂きます。」
学園の卒業パーティーで始まった九人の令嬢による兄王子達の断罪を頭が痛くなる思いで第十王子ツェーンは見ていた。突如、その断罪により九人の王子が失脚し、ツェーンは王太子へと位が引き上げになったが……。どうしても王になりたくない王子とそんな王子を慕うド天然ワンコな侍従の偽装婚約から始まる勘違いとすれ違い(考え方の)のボーイズラブコメディ…の予定。※R 15。本番なし。
【8話完結】強制力に負けて死に戻ったら、幼馴染の様子がおかしいのですが、バグですか?
キノア9g
BL
目が覚めたら、大好きだったRPGの世界に転生していた。
知識チートでなんとか死亡フラグを回避した……はずだったのに、あっさり死んで、気づけば一年前に逆戻り。
今度こそ生き残ってみせる。そう思っていたんだけど——
「お前、ちょっと俺に執着しすぎじゃない……?」
幼馴染が、なんかおかしい。妙に優しいし、距離が近いし、俺の行動にやたら詳しい。
しかも、その笑顔の奥に見える“何か”が、最近ちょっと怖い。
これは、運命を変えようと足掻く俺と、俺だけを見つめ続ける幼馴染の、ちょっと(だいぶ?)危険な異世界BL。
全8話。
婚約破棄させた愛し合う2人にザマァされた俺。とその後
結人
BL
王太子妃になるために頑張ってた公爵家の三男アランが愛する2人の愛でザマァされ…溺愛される話。
※男しかいない世界で男同士でも結婚できます。子供はなんかしたら作ることができます。きっと…。
全5話完結。予約更新します。
オメガ転生。
桜
BL
残業三昧でヘトヘトになりながらの帰宅途中。乗り合わせたバスがまさかのトンネル内の火災事故に遭ってしまう。
そして…………
気がつけば、男児の姿に…
双子の妹は、まさかの悪役令嬢?それって一家破滅フラグだよね!
破滅回避の奮闘劇の幕開けだ!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる