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犯人探求編
44.仲直り大作戦②
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アウレリウスは今ここで私を孕ませるつもりだ。
ベッドに私の腰を押し付ける手は強く、絶対に逃さない覚悟を感じる。周囲を見渡すと転移を阻止する結解が更に張られていた。
「殺人犯の正体は僕が特定して始末しておくから、アリオンはお腹の子を育てるのに集中してくれればいいからね。ああ、学園は退学しようか。折を見て僕の妃として発表するから、今から楽しみだね」
頬を赤く染め、服を脱がそうとしてくる。クソ、今頃楽しく茶を飲んでいる予定だったのに、何があってこんな目にあわされているのか!!というか元はと言えば勝手に食材に血を混ぜたアウレリウスが発端なのに、なんで私が責められているのか理解できない!!
血を混ぜた・・・。
そういえばアウレリウスの腕はどうなった?今私を拘束するために力を入れているが、そんなことをして腕は・・・。
私はアウレリウスの腕を掴み、袖をめくる。傷は相変わらず残っていた。痕を強く押すと、少しだけ痛そうな表情をする。
私は両手で優しく傷の周囲に手を当て、不得手な光魔法を使う。治癒の魔法だ。本当に苦手なのだが、一年前にようやく気持ちばかりの応急処置として使えるようになった。それ以前は使用すると、逆に対象の傷がみるみる開いていくという呪いの魔法になっていたが、今では何とか実用の範囲に収まる。
傷跡は消えていく。そして、心も少し落ち着いたのか。私を拘束するアウレリウスも力を緩めていった。
「アウレリウス。約束してほしい。絶対に私のために身を犠牲にしようと思わないでくれ」
「・・・僕じゃなくて弟と仲良くする裏切り者のアリオンと約束なんて出来ない」
「違う、あいつの弱みを握ろうとしてただけなんだ。私はお前が一番なんだよ」
一番、という言葉に一瞬嬉しそうになるが、しかし顔をすぐに引き締める。
「そんなこと、ほかの奴らにも言ってるんだろう?僕は騙されないからね」
「言ってないに決まってるだろ。私の他の奴らへの態度を見ろ。明らかにお前に対して一番甘いだろ」
思うところがあるのか、アウレリウスは黙って思案する。そして笑顔になり、私を思いっきり抱きしめた。
「アリオン、僕らはちゃんと両想いってことかな?僕のこと、愛してる?」
「もちろん愛してるよ。可愛い息子だと思ってる」
刹那。
空気が凍った。
「・・・・・・・息子?」
「あ・・・・・」
しまった、息子と思って可愛がっているのは心のうちにずっととどめておいたのに、勢い余って発言してしまった。けれど、いずれは「父さんって呼んでいい」という話は振るつもりだったんだ。こんな形ではなかったが、スケジュールが早まったと思おう。
「その、父さんって呼んでもいいんだからな・・・?」
「・・・・・・」
私はポンポンと赤い髪を優しく叩くが、しかしゆっくりと、アウレリウスは私の抱擁を外す。
言ってしまった。もしこれで否定されたらどうしようか。私はそのことに内心怯えているが、しかし同時に私たちの関係を進められることに胸が高鳴っていた。
「今まで何度も話が噛み合わないことがあったけれど、ひょっとしてアリオンが僕を子ども扱いしていたのって、僕を息子か何かだと思ってたわけ?子供って、そのままの意味だったの?」
「やっと私の真意が届いたようで嬉しいよ。だからお前の体に傷がついて、喜ぶはずがないだろ?」
こちらの意思が伝わるまで本当に長かった。一度喧嘩するとより絆が深まるというが、まさにその通りだろう。
「アリオンは息子と認識している人間と性行為をするわけ?」
「するわけないだろ。だからまずは一旦ベッドから出よう」
ポンポンと肩を叩き、ベットの外へと誘導しようとする。よし、ここから私の仲直り作戦へと軌道修正が出来る。まだ終わっていない。私のプランはここからだ。大丈夫、まだ舞える。
しかし。両足首を掴まれ、そのまま扉を開けるように私の足を動かした。私は股を開くような姿勢にされる。
「絶景だね。足を開くこんな下品な姿勢、アリオンは息子の前でやって平気なのかな?」
お前が強制的にやったんだろ!!
一度修復されかかった関係が、何故か再び悪化し始めるのを肌で感じる。
「ひょっとして、私と家族になるの、嫌なのか・・・?」
「家族にはなるつもりだよ。うん」
そうか、家族になってくれるのか。私は思わず微笑んでしまう。しかし、一方のアウレリウスは完全に表情が曇っていた。
「いいか、アウレリウス。何度も言うがこういうのは伴侶になる人とやるんだ。前に処理してやったことはあるが、あれも気になってる人間とやれ。だからまずは手を離せ。この姿勢は些か恥ずかしい」
アウレリウスに対してM字開脚しているこの状態だ。ズボンは履いているからマシだが、それでもこの姿勢を男性である自分がするのは抵抗がある。早く閉じさせてほしい。
「そういえば、世界には王族がきちんと血筋を残せるように、夜伽の練習する国もあったな。水生哺乳類の中には雄が身を呈して若い雄に交尾を教えることもある。そう、これはそういうことなんだ。お前は王族だからちゃんと子供を残さないといけないからな」
とすると、同性で子を残すことがない私はうってつけなのでは・・・?
「まあでも、非常に上手だったからもう練習は不要だと思う。性処理の相手が欲しいというのなら付き合うが、出来れば私を選ぶのは最終手段に・・・」
「・・・・・・・・」
アウレリウスの顔は、私が喋るたびに段々と俯いていった。私は一度発言を止め、心配になってアウレリウスの頬を撫でる。けれど、パシっと跳ねのけられた。
「アリオン、ごめんね。しばらく、一人にしてほしいんだ」
「・・・・・・・・・!!」
アウレリウスは私の足を掴むもう片方の手を起点に、結解を外して転移で私を隣室に送る。仲直りは、失敗した。
その後アウレリウスの部屋に行き直してノックをしたものの、応答はなく。
「え?おチビ?どしたん?仲直りしてきたんとちゃうん?」
「・・・・・・・・・・」
「これは、失敗したっぽいね・・・。僕たちで慰め会しようか・・・」
アバラの部屋に行き、二人に一生懸命励まされた。思春期の子って本当に難しいなあ・・・。
ベッドに私の腰を押し付ける手は強く、絶対に逃さない覚悟を感じる。周囲を見渡すと転移を阻止する結解が更に張られていた。
「殺人犯の正体は僕が特定して始末しておくから、アリオンはお腹の子を育てるのに集中してくれればいいからね。ああ、学園は退学しようか。折を見て僕の妃として発表するから、今から楽しみだね」
頬を赤く染め、服を脱がそうとしてくる。クソ、今頃楽しく茶を飲んでいる予定だったのに、何があってこんな目にあわされているのか!!というか元はと言えば勝手に食材に血を混ぜたアウレリウスが発端なのに、なんで私が責められているのか理解できない!!
血を混ぜた・・・。
そういえばアウレリウスの腕はどうなった?今私を拘束するために力を入れているが、そんなことをして腕は・・・。
私はアウレリウスの腕を掴み、袖をめくる。傷は相変わらず残っていた。痕を強く押すと、少しだけ痛そうな表情をする。
私は両手で優しく傷の周囲に手を当て、不得手な光魔法を使う。治癒の魔法だ。本当に苦手なのだが、一年前にようやく気持ちばかりの応急処置として使えるようになった。それ以前は使用すると、逆に対象の傷がみるみる開いていくという呪いの魔法になっていたが、今では何とか実用の範囲に収まる。
傷跡は消えていく。そして、心も少し落ち着いたのか。私を拘束するアウレリウスも力を緩めていった。
「アウレリウス。約束してほしい。絶対に私のために身を犠牲にしようと思わないでくれ」
「・・・僕じゃなくて弟と仲良くする裏切り者のアリオンと約束なんて出来ない」
「違う、あいつの弱みを握ろうとしてただけなんだ。私はお前が一番なんだよ」
一番、という言葉に一瞬嬉しそうになるが、しかし顔をすぐに引き締める。
「そんなこと、ほかの奴らにも言ってるんだろう?僕は騙されないからね」
「言ってないに決まってるだろ。私の他の奴らへの態度を見ろ。明らかにお前に対して一番甘いだろ」
思うところがあるのか、アウレリウスは黙って思案する。そして笑顔になり、私を思いっきり抱きしめた。
「アリオン、僕らはちゃんと両想いってことかな?僕のこと、愛してる?」
「もちろん愛してるよ。可愛い息子だと思ってる」
刹那。
空気が凍った。
「・・・・・・・息子?」
「あ・・・・・」
しまった、息子と思って可愛がっているのは心のうちにずっととどめておいたのに、勢い余って発言してしまった。けれど、いずれは「父さんって呼んでいい」という話は振るつもりだったんだ。こんな形ではなかったが、スケジュールが早まったと思おう。
「その、父さんって呼んでもいいんだからな・・・?」
「・・・・・・」
私はポンポンと赤い髪を優しく叩くが、しかしゆっくりと、アウレリウスは私の抱擁を外す。
言ってしまった。もしこれで否定されたらどうしようか。私はそのことに内心怯えているが、しかし同時に私たちの関係を進められることに胸が高鳴っていた。
「今まで何度も話が噛み合わないことがあったけれど、ひょっとしてアリオンが僕を子ども扱いしていたのって、僕を息子か何かだと思ってたわけ?子供って、そのままの意味だったの?」
「やっと私の真意が届いたようで嬉しいよ。だからお前の体に傷がついて、喜ぶはずがないだろ?」
こちらの意思が伝わるまで本当に長かった。一度喧嘩するとより絆が深まるというが、まさにその通りだろう。
「アリオンは息子と認識している人間と性行為をするわけ?」
「するわけないだろ。だからまずは一旦ベッドから出よう」
ポンポンと肩を叩き、ベットの外へと誘導しようとする。よし、ここから私の仲直り作戦へと軌道修正が出来る。まだ終わっていない。私のプランはここからだ。大丈夫、まだ舞える。
しかし。両足首を掴まれ、そのまま扉を開けるように私の足を動かした。私は股を開くような姿勢にされる。
「絶景だね。足を開くこんな下品な姿勢、アリオンは息子の前でやって平気なのかな?」
お前が強制的にやったんだろ!!
一度修復されかかった関係が、何故か再び悪化し始めるのを肌で感じる。
「ひょっとして、私と家族になるの、嫌なのか・・・?」
「家族にはなるつもりだよ。うん」
そうか、家族になってくれるのか。私は思わず微笑んでしまう。しかし、一方のアウレリウスは完全に表情が曇っていた。
「いいか、アウレリウス。何度も言うがこういうのは伴侶になる人とやるんだ。前に処理してやったことはあるが、あれも気になってる人間とやれ。だからまずは手を離せ。この姿勢は些か恥ずかしい」
アウレリウスに対してM字開脚しているこの状態だ。ズボンは履いているからマシだが、それでもこの姿勢を男性である自分がするのは抵抗がある。早く閉じさせてほしい。
「そういえば、世界には王族がきちんと血筋を残せるように、夜伽の練習する国もあったな。水生哺乳類の中には雄が身を呈して若い雄に交尾を教えることもある。そう、これはそういうことなんだ。お前は王族だからちゃんと子供を残さないといけないからな」
とすると、同性で子を残すことがない私はうってつけなのでは・・・?
「まあでも、非常に上手だったからもう練習は不要だと思う。性処理の相手が欲しいというのなら付き合うが、出来れば私を選ぶのは最終手段に・・・」
「・・・・・・・・」
アウレリウスの顔は、私が喋るたびに段々と俯いていった。私は一度発言を止め、心配になってアウレリウスの頬を撫でる。けれど、パシっと跳ねのけられた。
「アリオン、ごめんね。しばらく、一人にしてほしいんだ」
「・・・・・・・・・!!」
アウレリウスは私の足を掴むもう片方の手を起点に、結解を外して転移で私を隣室に送る。仲直りは、失敗した。
その後アウレリウスの部屋に行き直してノックをしたものの、応答はなく。
「え?おチビ?どしたん?仲直りしてきたんとちゃうん?」
「・・・・・・・・・・」
「これは、失敗したっぽいね・・・。僕たちで慰め会しようか・・・」
アバラの部屋に行き、二人に一生懸命励まされた。思春期の子って本当に難しいなあ・・・。
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