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後日談 片翼をもがれた不死鳥
A5.狂王アウレリウス
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交渉は決裂した。ライゼル王子は、私にここの魔法学校の教師になってほしいと頼んだが、即答でNOである。この間、光魔法の使い手との縁は大事にしろとロギルジョーに言ったばかりだが、こればかりは受け入れられない。
「ままま、待ってください!私の話を最後まで聞いてください!」
「聞いても時間の無駄だ。そもそもお前、私がここの魔法学校の教師になるとはどういうことか、分かった上で言ってるのか?」
ライゼルは王子らしからぬ振る舞いで私にしがみつく。そんな仕草をしたとて、私はアウレリウス以外のおねだりは効かん!!アウレリウスのおねだりは本当に親心をくすぐる愛らしい仕草だった。ああ、撫でたい。
「他国の生徒を育てるということは、つまり自国の周辺に脅威をまき散らすのと等しいではないか!!何が悲しくて我が息子の立場を脅かす行為をせにゃならんのだ!!」
「というわけでライゼル王子。俺たち行くんで、本当に悪いな」
ライゼル王子はイヤイヤと首を振っている。ちょっと泣きそうである。
「見返りはもう一つございます!!」
「そうか」
「せめて聞いてくださいよ!!アークランドの国益に繋がります!!おそらく、貴方の息子とは狂王アウレリウスのことでしょう!?」
静寂。
・・・・・・・・・狂、王?
「私が、いえ、エデンリーフの民がそう呼んでいるわけではありません。アークランドとエデンリーフの共通の隣国である、『統制領ガイスト』でそう呼ばれているのです!!」
統制領ガイスト。それは、アークランドよりも先に革命が起こり、民主主義の波の発端となった国である。
しかしつい先月、ついに武力制圧がトップで起こった。徹底した思想統制と監視がはびこっており、アークランドとエデンリーフにいずれは戦争を仕掛けてくると警戒されている。いつの世も、主義主張が異なれば他国を敵とみなすものなのだ。
「アウレリウス王は統制領ガイストとの国境に兵を集めています。このため、エデンリーフでは戦争が起こるのではと警戒されているのです」
「・・・それがどうして狂った王なんて呼ばれる所以となる」
「政治形態の違いです。ガイスト国は国民自らが王を打倒した国。そこからガイスト国は一部の武力を持つものに権力が集中し、やがて国は軍に乗っ取られました。すると、隣国で王を戴いているにもかかわらず、ましてや軍国主義の陰謀ごと打ち砕いた国があったらどうしますか」
ふむ。私がガイストの指導者だったら、アウレリウスが憎いだろうな。全く同じ流れが隣国で起こり、その上で陰謀が露わになったということは、自身の工作がさらけ出されるに等しいからだ。すると、アークランドをどうにかするために情報工作を仕込むだろう。
「そうです。ガイスト国はアークランドを狙っていると予想されています。アウレリウス王は聡いためにそれに気が付き、兵を国境に集めているのです。けれど、その事実を統制領ガイストは誇張し、アークランドに向かった逃亡者は、全員狂王によって惨殺されると吹き込んでいるのです」
「ロギルジョー!!予定変更だ!!ガイストを落とすぞ!!」
「元闇の支配者のあんたがそれを言うと洒落にならんわ!!」
許さん、アウレリウスを狂った王呼ばわりだと?それも自分たちの都合で?なんという怪しからん奴らだ!!天誅をくだしてやるわ!!
私とロギルジョーは小説の原作で暴れまくった、年季の入った悪役である。聖女のいない今、我々を止められる人間など世界にはアウレリウスくらいなのである!!
ライゼル王子は私を掴んだまま離さない。話はまだ終わらないようだ。
「ですがもし、貴方がこの学園に居てくだされば、私はアークランド王国への友好関係を保証しましょう!さすればガイストはアークランドへ、安易に攻め入ったりしてきませんから!!」
「・・・・・・」
友好関係、か。確か今は、特段協定もない非友好国だったはずだ。このエデンリーフも統制領ガイストも、アークランドに比べれば所詮は小国。両国とも近年力を増しているとは聞くが、アークランドの敵ではないという認識だ。
「たとえアークランドと言えども、ガイストと一触即発の状態でエデンリーフと事を構えることは避けたいとアウレリウス王はお考えになるはずです。協定があるだけで、戦力を半端にこちらに割かなくていいですからね。ええ、大変聡い王ですから!!絶対に!!そう!!考えるはずです!!」
「ロギルジョー。他国の王子にまで家族が褒められると、流石の私も照れるな。なるか。教師」
「あんた本当によくそんなんで政治の世界を生きてこられたな!?」
私が了承しかけると、ライゼル王子はほっとしたようで力を抜いた。
「よかった・・・。ローゼルアリオン殿のような、大賢者クラスの魔法使いの力を借りれるなんて、我が国には願ってもないお話ですから」
「おべっかはいい。契約書を作るぞ」
魔法使いは契約を重視する。私たちはソファに座り直し、控えの騎士はお茶の二杯目を淹れに慌てて部屋の外へ行った。
互いに契約書の作成は慣れているため、あっという間に紙面に記入し、サインをする。
「にしてもお師匠よ」
「なんだ、不肖弟子」
「教師になるはいいが、あんたに出来るのか?ただでさえ俺とのコミュニケーションすら、俺の寛大な心によってぎりぎり成り立っているっつーのに」
なんだこいつは。失礼だな。
とはいえロギルジョーの気持ちもわかる。私はご覧のように、喋れば喋るほどに相手からの好感度が下がっていく特異体質を持っているのである。本当に厄介な体質だと、自分でも辟易する。
「特異体質じゃねえよ。アンタの言葉選びに問題があんだよ。もう少し相手に愛を持って接してくれよ」
「うるさい。とにかく、授業と認識するから悪いんだ。いわば大学の講義みたいなことをすればいい。ついてこられるものだけついてこい。それでライゼル王子。私に何の科目を担当してほしいんだ」
「呪文学です」
呪文学・・・?
私とロギルジョーは顔を見合わせる。何故なら、呪文学はジェルドが担当していた科目だ。
「・・・よりにもよって、私があいつと同じ職になるとはな・・・」
「なんか、運命ってあるんだな」
授業をするとなると、どうしても自分が受けてきた授業を思い返す必要がある。すると、頭の中はジェルドとの思い出であふれかえる。ロギルジョーも同じことを思ったのか、苦い顔をしていた。抑えていた寂寥感が、どうしてもこみあげてくるのだ。生徒目線になって、ようやくわかった。あいつは、厳しくも優しい、いい先生だった。
王子は不思議そうな顔をしながらこちらを見て、契約書を丁寧に仕舞っていた。
「とはいえ、ローゼルアリオン殿には非常勤という形をお願いしたいと思っております。呪文学は必修となりますので、流石に一時的なお方にすべてをお任せするわけにはいきませんから」
「なるほど。私の授業は、単位とは関係ない希望制という扱いか?」
「大体、そんな感じになります」
それは嬉しい。私は別に教師として食べていくわけではない。ジェルドの捜索をしながら、日銭を稼ぎたいだけなのだ。ロギルジョーも、悪くない契約内容にうなずいた。
「諸国を見ながら修行するっていうのも悪くねえが、目的を果たすためには根を張った方がいいかもしれねえな」
「寝泊まりする場所は、この学園の空き教室の隣に設けます。三人で一部屋になりますが、大丈夫でしょうか?」
「三人で一部屋?」
私と、ロギルジョーと、・・・・・?誰だ・・・?
こちらの困惑を一切気にせず、王子は二杯目の茶を口にしている。私もロギルジョーも、王子の言い間違いかと思い、ティーカップを手に持った。
念のために確認するが、後ろに幽霊がいるとかではないよな。うむ。いない。
「我が国は福祉にも力を入れておりますから、安心してくださって大丈夫です!勿論、費用はこちらがすべて負担しますし、ローゼルアリオン殿が安心できるように最善の環境を整えます!不安だと思いますが、全力でサポートいたしますから」
「あ、ああ・・・。エデンリーフは教師に優しい国なんだな・・・?」
なにか、なにかライゼル王子と私達で齟齬がないか?ロギルジョーが持つティーカップの水面は細かく揺れている。おかしいな。私のティーカップも、さざ波が起こっている。
「もちろん、産休も取得できますから、ご安心ください!ローゼルアリオン殿が体をいたわれる範囲で教鞭をとっていただけましたら十分ですから」
「サンキュー・・・?」
さんきゅう。産休・・・?
産休!?!?
王子は無慈悲にも言葉を続ける。
「それにしても、他国のお世継ぎが我が国でお生まれになられると考えるのは、私も胸が高鳴ります。何かご入用でしたらアークランドにご連絡も致しますので、大変ですが頑張りましょう!!」
私とロギルジョーは衝撃発言を受け、ティーカップを下に落とした。
つまりは、こういうことだ。
私はアウレリウスの子を妊娠していたのだった。
「ままま、待ってください!私の話を最後まで聞いてください!」
「聞いても時間の無駄だ。そもそもお前、私がここの魔法学校の教師になるとはどういうことか、分かった上で言ってるのか?」
ライゼルは王子らしからぬ振る舞いで私にしがみつく。そんな仕草をしたとて、私はアウレリウス以外のおねだりは効かん!!アウレリウスのおねだりは本当に親心をくすぐる愛らしい仕草だった。ああ、撫でたい。
「他国の生徒を育てるということは、つまり自国の周辺に脅威をまき散らすのと等しいではないか!!何が悲しくて我が息子の立場を脅かす行為をせにゃならんのだ!!」
「というわけでライゼル王子。俺たち行くんで、本当に悪いな」
ライゼル王子はイヤイヤと首を振っている。ちょっと泣きそうである。
「見返りはもう一つございます!!」
「そうか」
「せめて聞いてくださいよ!!アークランドの国益に繋がります!!おそらく、貴方の息子とは狂王アウレリウスのことでしょう!?」
静寂。
・・・・・・・・・狂、王?
「私が、いえ、エデンリーフの民がそう呼んでいるわけではありません。アークランドとエデンリーフの共通の隣国である、『統制領ガイスト』でそう呼ばれているのです!!」
統制領ガイスト。それは、アークランドよりも先に革命が起こり、民主主義の波の発端となった国である。
しかしつい先月、ついに武力制圧がトップで起こった。徹底した思想統制と監視がはびこっており、アークランドとエデンリーフにいずれは戦争を仕掛けてくると警戒されている。いつの世も、主義主張が異なれば他国を敵とみなすものなのだ。
「アウレリウス王は統制領ガイストとの国境に兵を集めています。このため、エデンリーフでは戦争が起こるのではと警戒されているのです」
「・・・それがどうして狂った王なんて呼ばれる所以となる」
「政治形態の違いです。ガイスト国は国民自らが王を打倒した国。そこからガイスト国は一部の武力を持つものに権力が集中し、やがて国は軍に乗っ取られました。すると、隣国で王を戴いているにもかかわらず、ましてや軍国主義の陰謀ごと打ち砕いた国があったらどうしますか」
ふむ。私がガイストの指導者だったら、アウレリウスが憎いだろうな。全く同じ流れが隣国で起こり、その上で陰謀が露わになったということは、自身の工作がさらけ出されるに等しいからだ。すると、アークランドをどうにかするために情報工作を仕込むだろう。
「そうです。ガイスト国はアークランドを狙っていると予想されています。アウレリウス王は聡いためにそれに気が付き、兵を国境に集めているのです。けれど、その事実を統制領ガイストは誇張し、アークランドに向かった逃亡者は、全員狂王によって惨殺されると吹き込んでいるのです」
「ロギルジョー!!予定変更だ!!ガイストを落とすぞ!!」
「元闇の支配者のあんたがそれを言うと洒落にならんわ!!」
許さん、アウレリウスを狂った王呼ばわりだと?それも自分たちの都合で?なんという怪しからん奴らだ!!天誅をくだしてやるわ!!
私とロギルジョーは小説の原作で暴れまくった、年季の入った悪役である。聖女のいない今、我々を止められる人間など世界にはアウレリウスくらいなのである!!
ライゼル王子は私を掴んだまま離さない。話はまだ終わらないようだ。
「ですがもし、貴方がこの学園に居てくだされば、私はアークランド王国への友好関係を保証しましょう!さすればガイストはアークランドへ、安易に攻め入ったりしてきませんから!!」
「・・・・・・」
友好関係、か。確か今は、特段協定もない非友好国だったはずだ。このエデンリーフも統制領ガイストも、アークランドに比べれば所詮は小国。両国とも近年力を増しているとは聞くが、アークランドの敵ではないという認識だ。
「たとえアークランドと言えども、ガイストと一触即発の状態でエデンリーフと事を構えることは避けたいとアウレリウス王はお考えになるはずです。協定があるだけで、戦力を半端にこちらに割かなくていいですからね。ええ、大変聡い王ですから!!絶対に!!そう!!考えるはずです!!」
「ロギルジョー。他国の王子にまで家族が褒められると、流石の私も照れるな。なるか。教師」
「あんた本当によくそんなんで政治の世界を生きてこられたな!?」
私が了承しかけると、ライゼル王子はほっとしたようで力を抜いた。
「よかった・・・。ローゼルアリオン殿のような、大賢者クラスの魔法使いの力を借りれるなんて、我が国には願ってもないお話ですから」
「おべっかはいい。契約書を作るぞ」
魔法使いは契約を重視する。私たちはソファに座り直し、控えの騎士はお茶の二杯目を淹れに慌てて部屋の外へ行った。
互いに契約書の作成は慣れているため、あっという間に紙面に記入し、サインをする。
「にしてもお師匠よ」
「なんだ、不肖弟子」
「教師になるはいいが、あんたに出来るのか?ただでさえ俺とのコミュニケーションすら、俺の寛大な心によってぎりぎり成り立っているっつーのに」
なんだこいつは。失礼だな。
とはいえロギルジョーの気持ちもわかる。私はご覧のように、喋れば喋るほどに相手からの好感度が下がっていく特異体質を持っているのである。本当に厄介な体質だと、自分でも辟易する。
「特異体質じゃねえよ。アンタの言葉選びに問題があんだよ。もう少し相手に愛を持って接してくれよ」
「うるさい。とにかく、授業と認識するから悪いんだ。いわば大学の講義みたいなことをすればいい。ついてこられるものだけついてこい。それでライゼル王子。私に何の科目を担当してほしいんだ」
「呪文学です」
呪文学・・・?
私とロギルジョーは顔を見合わせる。何故なら、呪文学はジェルドが担当していた科目だ。
「・・・よりにもよって、私があいつと同じ職になるとはな・・・」
「なんか、運命ってあるんだな」
授業をするとなると、どうしても自分が受けてきた授業を思い返す必要がある。すると、頭の中はジェルドとの思い出であふれかえる。ロギルジョーも同じことを思ったのか、苦い顔をしていた。抑えていた寂寥感が、どうしてもこみあげてくるのだ。生徒目線になって、ようやくわかった。あいつは、厳しくも優しい、いい先生だった。
王子は不思議そうな顔をしながらこちらを見て、契約書を丁寧に仕舞っていた。
「とはいえ、ローゼルアリオン殿には非常勤という形をお願いしたいと思っております。呪文学は必修となりますので、流石に一時的なお方にすべてをお任せするわけにはいきませんから」
「なるほど。私の授業は、単位とは関係ない希望制という扱いか?」
「大体、そんな感じになります」
それは嬉しい。私は別に教師として食べていくわけではない。ジェルドの捜索をしながら、日銭を稼ぎたいだけなのだ。ロギルジョーも、悪くない契約内容にうなずいた。
「諸国を見ながら修行するっていうのも悪くねえが、目的を果たすためには根を張った方がいいかもしれねえな」
「寝泊まりする場所は、この学園の空き教室の隣に設けます。三人で一部屋になりますが、大丈夫でしょうか?」
「三人で一部屋?」
私と、ロギルジョーと、・・・・・?誰だ・・・?
こちらの困惑を一切気にせず、王子は二杯目の茶を口にしている。私もロギルジョーも、王子の言い間違いかと思い、ティーカップを手に持った。
念のために確認するが、後ろに幽霊がいるとかではないよな。うむ。いない。
「我が国は福祉にも力を入れておりますから、安心してくださって大丈夫です!勿論、費用はこちらがすべて負担しますし、ローゼルアリオン殿が安心できるように最善の環境を整えます!不安だと思いますが、全力でサポートいたしますから」
「あ、ああ・・・。エデンリーフは教師に優しい国なんだな・・・?」
なにか、なにかライゼル王子と私達で齟齬がないか?ロギルジョーが持つティーカップの水面は細かく揺れている。おかしいな。私のティーカップも、さざ波が起こっている。
「もちろん、産休も取得できますから、ご安心ください!ローゼルアリオン殿が体をいたわれる範囲で教鞭をとっていただけましたら十分ですから」
「サンキュー・・・?」
さんきゅう。産休・・・?
産休!?!?
王子は無慈悲にも言葉を続ける。
「それにしても、他国のお世継ぎが我が国でお生まれになられると考えるのは、私も胸が高鳴ります。何かご入用でしたらアークランドにご連絡も致しますので、大変ですが頑張りましょう!!」
私とロギルジョーは衝撃発言を受け、ティーカップを下に落とした。
つまりは、こういうことだ。
私はアウレリウスの子を妊娠していたのだった。
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