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後日談 片翼をもがれた不死鳥
A7.初めての授業
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今日から開かれる私の呪文学。
とはいえ、別の教師が担当しているものが必修となっており、私の授業は補講のようなおまけ扱いになる。故に、学びに来るものは少数だろう。
・・・と思っていたが、予想していたよりも人が入っていた。広々とした空間に、今か今かと待ち受けている生徒が10人以上座っていた。
まず、席の一番前には金髪の少年が座っていた。こんなにウキウキで学びに来る奴がいるんだなと思うくらい、楽しそうなオーラを醸し出している。
「先生!僕、今日の授業をとっても楽しみにしていました!よろしくお願いします!」
見た目は13歳くらいだが、魔法が使えるのなら少なくとも実年齢は15歳以上なのだろう。金髪碧眼で、非常に目を引く美少年。名前をマイラという。男の子なのに女性名なのが気になるが、わざわざ私の元へやってきて、お辞儀をしては律義に挨拶をしてきた。非常にいい笑顔でニコニコしている。
「リオン先生、マイラ君は昨日編入してきた子なのです。とても優秀なのですよ」
ライゼル王子は、マイラの隣に座って私に彼の補足説明をする。
「編入?ここの学校の編入試験は難しいのか?」
「それはもう。この学校にはアークランドほどの歴史があるわけではありませんが、それでも過去に通った者は一人もございません。だというのにこのマイラ君は、昨日ふらっと現れて合格していったのです。もう、教師陣は天才の出現に大騒ぎですよ」
今日がその天才・マイラにとっての初授業らしい。それが私のでいいのか?
次に私は窓際に座っているロギルジョーを見た。今日からロギルと呼ばねばならない。あいつも、私の授業は基本的に取る方針らしい。私の視線に気が付くと、ひらひらと手を振った。私も振り返す。
「チッ」
・・・ん?
今誰か、舌打ちしたか?
私は音が聞こえた気がする方向に視線をやるが、しかしライゼル王子とマイラしかいない。王子もきょろきょろとしているので、舌打ちの音の元を探しているのだろう。すると、今の舌打ちをしたのは・・・。
気のせいだろうか。マイラが憎々しい者を見る目でロギルジョーを見ている。しかし、私の視線に気が付くとマイラは笑顔に戻す。・・・なんか、裏がありそうな奴だな。
「まさかおチビ先生の授業がこんな異郷の地で受けられるなんてなー。こういうのなんていうんやろ。世間は狭いってやつ?」
ロギルジョーの隣には、めっちゃくちゃ知ってる奴が座っていた。青い髪の特徴的な喋り口。アバラだ。
「でも、俺がアークランドの学園に居た時は、おチビは俺の隣で生徒ごっこやってたんよなー。それが今は前にいるって、なんか不思議な心地やわ~」
「うるさい。これから授業を始めるから静かにしろ」
・・・こいつ、他国に留学するとは言ってたが、まさかここだとは思わんかった。
他に知ってる奴はいないものの、なんだこの、微妙に知り合いが混ざっている懐かしい空気は。くそ、やりにくいな。全員知らん奴の方がまだ居心地がいい。まあ、そんなこんなで授業は始まった。
「私の授業は必修ではないため、特殊な魔法を中心に解説をしていく」
攻撃魔法系統は下手に教えるとアークランドに不利益を与えかねないため、悪意ある呪文から身を守る術を中心に進めていくことにした。今日は精神魔法の構造について。闇魔法がどのように相手に作用して、相手にどんな悪影響を与えるのかといったところだ。
普段の授業では中々教えてもらえないようで、実用的がゆえに皆も熱心に私の授業を聞く。
「闇魔法には精神に影響を与えるものがあるが、その場合、自分の意識そのものを覆うように、魔力を注入しろ。では・・・誰かにやってもらおうか」
授業というのは10分以上教師が一方的に喋り続けると、生徒は飽きてくるものだ。故に、定期的に刺激を入れてやる必要がある。
「はい!先生!僕がやります!!」
マイラがピシッと手を挙げた。生徒の名前が把握しきれていない現状では、自らこうやって前に出ようとしてくれるのは助かる。
「いいだろう。前に出ろ」
「はい!」
「では、私はこれからお前に魅了の魔法を撃つ。その呪縛を解除しろ」
「はい!」
決して後遺症は遺さないように、軽い魅了にとどめておく。闇魔法のエキスパートの私だから出来る芸当だ。
「魔道具を構えろ」
「大丈夫です!」
「私には見当たらないのだが、大丈夫なんだな?まあいい、いくぞ。『ドミナンス・アイ』」
細かい調整のために念のため大杖をマイラに向け、魅了の魔法を撃つ。すると、魔法を直で受けたマイラは両膝を折った。
「はあ、はあ、はあ・・・」
私を恍惚とした表情で見てくる。これが魅了の精神攻撃魔法だ。
「うう、うう、先生・・・!!」
様子がおかしいな。周囲の面々も、魅了の魔法の効果の強さに驚いている。そこまで強いものを撃った覚えはないんだが、偶然弱いところに刺さったのかもしれない。マイラは自分の身を抱きしめ、興奮を抑えようとしていた。頬はピンクに染まり、眦には涙が浮かんでいるのが煽情的だ。熱い視線を私に向ける。
「大丈夫か?難しければこちらから解除をするが」
「で、出来ます。できます、から!!えいっ!」
マイラは覚えたとおりに魅了の魔法を解除し、何とか正気に戻って立ち上がろうとする。すると周囲からは拍手が鳴り響いた。立ち上がりを支えるために手を伸ばすと、バランスを崩したのか、私の胸の中に飛び込んできた。
「あ、ご、ごめんなさい!」
「いい、気にするな」
私は妊婦故に、こうやって正面から刺激を受けるのは本当は良くない。・・・妊娠したてで、まだ危機意識が備わっていないな。これはよくない。一方マイラはしばらく私の服をぎゅっと掴んだ後、名残惜しそうに離れ、席に戻っていった。
「熟練の魔法使いほど、自分の魔力の流れを普段から調節している。だから、こういった精神系統の魔法にはかかりにくいんだ。自ら自分に向けて精神魔法を使いでもしない限り、脳を支配されることはない。それこそ、寝ている間から常に自分の魔力を調整しているんだ。無意識の状態でも他者からの洗脳に備えられているか。それが出来るかどうかが上級魔法使いと中級以下の差になる」
「ほーん。上級魔法使いってすごいんやなあ」
アバラの独り言が大きいな。しかし、教師としてやってると、こういうフィードバックがあるかないかで場の理解の進捗がよくわかる。こっちに立ってみて、ようやくアバラのありがたさが分かるな。
やがて授業は終わる。アバラとロギルジョーはこちらにとことことやってきた。
「おッチビ~。ひっさしぶりやなー!!どしたん、ここでらしからぬ教鞭をとったりして。そんなキャラとちゃうやろ?」
「おチビ先生とはなんだ。別にいいが。まあ、訳があってな。本当はここに留まる予定はなかったんだが、色々事情があるんだ」
「でも、会長さん・・・じゃなくて陛下はおチビと離れて寂しいんとちゃう?」
アバラのアウレリウスへの呼び方は、会長から陛下へと変わる。慣れない言い回しに、少し言いにくそうだ。
「おいアバラ。リオンはずっとそのことを気にしているからやめてやれ」
「そうなんや、無神経でごめんなおチビ。そういえばロギルとおチビの二人は一緒に動いとるん?えらい仲良しやな」
アバラは私とロギルジョーに視線をやる。私たちは学園滞在中、友人として親交を深めていたように見えるだろうが、本当のところはどういう関係だったかは表にしていない。ロギルジョーは咳払いし、咄嗟に誤魔化す。
「あー・・・、まあ、相棒?みたいな?やつだからな」
「相棒!?おチビ、俺を差し置いて相棒作ったんか・・・?」
ロギルジョーの弟子の件は、漏れたが最後、マラカイとアウレリウスがどう出るか分からないため、伏せているのだ。アウレリウスは・・・まあ、もう私のことを気にしてはいないだろうが、マラカイには知られると本当に弟弟子を殺しにかかってくるだろうから、たとえアバラでも安易には情報を漏らせない。
その時、誰かが私の背後に立っていることに気が付いた。私のローブを掴んでいる。
「マイラ?」
「・・・・・・」
私の背後に隠れながら、じっとロギルジョーを睨みつけている。私はロギルジョーに念話で語り掛けた。
『このマイラとかいう奴、やたらお前に敵対心を抱いてるな。お前、なにかやったのか?』
『そうなのか?いや、心当たりはねえよ』
マイラはそのまま、私の腰にぎゅっと抱き着いた。
「先生、僕は昨日から入学したため、この学校の構造が分かりません。次の授業の場所まで、案内してもらえませんか?」
どうやら、これまで彼を案内をしてくれていたライゼル王子は別の授業に行ってしまったようだ。
「いや、悪いがかくいう私も一昨日に来たばかりでな。助けにはなってやれん」
「俺が案内してやるぜ?」
ロギルジョーは自分の顔を指で差し、マイラを見る。しかし、やはりマイラはロギルジョーが嫌いのようだ。私にしがみついて離れない。
「仕方ない。どうせ私は次は空いているから、全員でいくか。それでいいか?」
「はい!あの、お手々つないでもいいですか?」
「ああ・・・」
本当に見た目も中身も年相応にしか見えないな。本当に15歳以上なのか?
私が手を差し出すと、マイラは満足げに笑っていた。アバラも授業は一緒のようで、四人で次の場所へと向かう。
「で、お前らは次の授業は何を取ったんだ?」
「ふっふっふ、魔法実技学だ!このロギル様の大得意の分野だな!それも、雷魔法についてなんだとよ!」
ロギルジョーは得意げに言っている。実際に攻撃魔法を撃つのはこいつにとって得意中の得意だからだ。しかしマイラは何か思うところがあるのか、私の手をぎゅっと強くつかんだ。そして冷たい瞳をロギルジョーに向けながら、口を開いた。
「ロギルさん」
「おう、なんだ?」
「次の授業、もし僕が勝てば、部屋の場所を交換してくれませんか?」
それは、宣戦布告というものだった。
とはいえ、別の教師が担当しているものが必修となっており、私の授業は補講のようなおまけ扱いになる。故に、学びに来るものは少数だろう。
・・・と思っていたが、予想していたよりも人が入っていた。広々とした空間に、今か今かと待ち受けている生徒が10人以上座っていた。
まず、席の一番前には金髪の少年が座っていた。こんなにウキウキで学びに来る奴がいるんだなと思うくらい、楽しそうなオーラを醸し出している。
「先生!僕、今日の授業をとっても楽しみにしていました!よろしくお願いします!」
見た目は13歳くらいだが、魔法が使えるのなら少なくとも実年齢は15歳以上なのだろう。金髪碧眼で、非常に目を引く美少年。名前をマイラという。男の子なのに女性名なのが気になるが、わざわざ私の元へやってきて、お辞儀をしては律義に挨拶をしてきた。非常にいい笑顔でニコニコしている。
「リオン先生、マイラ君は昨日編入してきた子なのです。とても優秀なのですよ」
ライゼル王子は、マイラの隣に座って私に彼の補足説明をする。
「編入?ここの学校の編入試験は難しいのか?」
「それはもう。この学校にはアークランドほどの歴史があるわけではありませんが、それでも過去に通った者は一人もございません。だというのにこのマイラ君は、昨日ふらっと現れて合格していったのです。もう、教師陣は天才の出現に大騒ぎですよ」
今日がその天才・マイラにとっての初授業らしい。それが私のでいいのか?
次に私は窓際に座っているロギルジョーを見た。今日からロギルと呼ばねばならない。あいつも、私の授業は基本的に取る方針らしい。私の視線に気が付くと、ひらひらと手を振った。私も振り返す。
「チッ」
・・・ん?
今誰か、舌打ちしたか?
私は音が聞こえた気がする方向に視線をやるが、しかしライゼル王子とマイラしかいない。王子もきょろきょろとしているので、舌打ちの音の元を探しているのだろう。すると、今の舌打ちをしたのは・・・。
気のせいだろうか。マイラが憎々しい者を見る目でロギルジョーを見ている。しかし、私の視線に気が付くとマイラは笑顔に戻す。・・・なんか、裏がありそうな奴だな。
「まさかおチビ先生の授業がこんな異郷の地で受けられるなんてなー。こういうのなんていうんやろ。世間は狭いってやつ?」
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「でも、俺がアークランドの学園に居た時は、おチビは俺の隣で生徒ごっこやってたんよなー。それが今は前にいるって、なんか不思議な心地やわ~」
「うるさい。これから授業を始めるから静かにしろ」
・・・こいつ、他国に留学するとは言ってたが、まさかここだとは思わんかった。
他に知ってる奴はいないものの、なんだこの、微妙に知り合いが混ざっている懐かしい空気は。くそ、やりにくいな。全員知らん奴の方がまだ居心地がいい。まあ、そんなこんなで授業は始まった。
「私の授業は必修ではないため、特殊な魔法を中心に解説をしていく」
攻撃魔法系統は下手に教えるとアークランドに不利益を与えかねないため、悪意ある呪文から身を守る術を中心に進めていくことにした。今日は精神魔法の構造について。闇魔法がどのように相手に作用して、相手にどんな悪影響を与えるのかといったところだ。
普段の授業では中々教えてもらえないようで、実用的がゆえに皆も熱心に私の授業を聞く。
「闇魔法には精神に影響を与えるものがあるが、その場合、自分の意識そのものを覆うように、魔力を注入しろ。では・・・誰かにやってもらおうか」
授業というのは10分以上教師が一方的に喋り続けると、生徒は飽きてくるものだ。故に、定期的に刺激を入れてやる必要がある。
「はい!先生!僕がやります!!」
マイラがピシッと手を挙げた。生徒の名前が把握しきれていない現状では、自らこうやって前に出ようとしてくれるのは助かる。
「いいだろう。前に出ろ」
「はい!」
「では、私はこれからお前に魅了の魔法を撃つ。その呪縛を解除しろ」
「はい!」
決して後遺症は遺さないように、軽い魅了にとどめておく。闇魔法のエキスパートの私だから出来る芸当だ。
「魔道具を構えろ」
「大丈夫です!」
「私には見当たらないのだが、大丈夫なんだな?まあいい、いくぞ。『ドミナンス・アイ』」
細かい調整のために念のため大杖をマイラに向け、魅了の魔法を撃つ。すると、魔法を直で受けたマイラは両膝を折った。
「はあ、はあ、はあ・・・」
私を恍惚とした表情で見てくる。これが魅了の精神攻撃魔法だ。
「うう、うう、先生・・・!!」
様子がおかしいな。周囲の面々も、魅了の魔法の効果の強さに驚いている。そこまで強いものを撃った覚えはないんだが、偶然弱いところに刺さったのかもしれない。マイラは自分の身を抱きしめ、興奮を抑えようとしていた。頬はピンクに染まり、眦には涙が浮かんでいるのが煽情的だ。熱い視線を私に向ける。
「大丈夫か?難しければこちらから解除をするが」
「で、出来ます。できます、から!!えいっ!」
マイラは覚えたとおりに魅了の魔法を解除し、何とか正気に戻って立ち上がろうとする。すると周囲からは拍手が鳴り響いた。立ち上がりを支えるために手を伸ばすと、バランスを崩したのか、私の胸の中に飛び込んできた。
「あ、ご、ごめんなさい!」
「いい、気にするな」
私は妊婦故に、こうやって正面から刺激を受けるのは本当は良くない。・・・妊娠したてで、まだ危機意識が備わっていないな。これはよくない。一方マイラはしばらく私の服をぎゅっと掴んだ後、名残惜しそうに離れ、席に戻っていった。
「熟練の魔法使いほど、自分の魔力の流れを普段から調節している。だから、こういった精神系統の魔法にはかかりにくいんだ。自ら自分に向けて精神魔法を使いでもしない限り、脳を支配されることはない。それこそ、寝ている間から常に自分の魔力を調整しているんだ。無意識の状態でも他者からの洗脳に備えられているか。それが出来るかどうかが上級魔法使いと中級以下の差になる」
「ほーん。上級魔法使いってすごいんやなあ」
アバラの独り言が大きいな。しかし、教師としてやってると、こういうフィードバックがあるかないかで場の理解の進捗がよくわかる。こっちに立ってみて、ようやくアバラのありがたさが分かるな。
やがて授業は終わる。アバラとロギルジョーはこちらにとことことやってきた。
「おッチビ~。ひっさしぶりやなー!!どしたん、ここでらしからぬ教鞭をとったりして。そんなキャラとちゃうやろ?」
「おチビ先生とはなんだ。別にいいが。まあ、訳があってな。本当はここに留まる予定はなかったんだが、色々事情があるんだ」
「でも、会長さん・・・じゃなくて陛下はおチビと離れて寂しいんとちゃう?」
アバラのアウレリウスへの呼び方は、会長から陛下へと変わる。慣れない言い回しに、少し言いにくそうだ。
「おいアバラ。リオンはずっとそのことを気にしているからやめてやれ」
「そうなんや、無神経でごめんなおチビ。そういえばロギルとおチビの二人は一緒に動いとるん?えらい仲良しやな」
アバラは私とロギルジョーに視線をやる。私たちは学園滞在中、友人として親交を深めていたように見えるだろうが、本当のところはどういう関係だったかは表にしていない。ロギルジョーは咳払いし、咄嗟に誤魔化す。
「あー・・・、まあ、相棒?みたいな?やつだからな」
「相棒!?おチビ、俺を差し置いて相棒作ったんか・・・?」
ロギルジョーの弟子の件は、漏れたが最後、マラカイとアウレリウスがどう出るか分からないため、伏せているのだ。アウレリウスは・・・まあ、もう私のことを気にしてはいないだろうが、マラカイには知られると本当に弟弟子を殺しにかかってくるだろうから、たとえアバラでも安易には情報を漏らせない。
その時、誰かが私の背後に立っていることに気が付いた。私のローブを掴んでいる。
「マイラ?」
「・・・・・・」
私の背後に隠れながら、じっとロギルジョーを睨みつけている。私はロギルジョーに念話で語り掛けた。
『このマイラとかいう奴、やたらお前に敵対心を抱いてるな。お前、なにかやったのか?』
『そうなのか?いや、心当たりはねえよ』
マイラはそのまま、私の腰にぎゅっと抱き着いた。
「先生、僕は昨日から入学したため、この学校の構造が分かりません。次の授業の場所まで、案内してもらえませんか?」
どうやら、これまで彼を案内をしてくれていたライゼル王子は別の授業に行ってしまったようだ。
「いや、悪いがかくいう私も一昨日に来たばかりでな。助けにはなってやれん」
「俺が案内してやるぜ?」
ロギルジョーは自分の顔を指で差し、マイラを見る。しかし、やはりマイラはロギルジョーが嫌いのようだ。私にしがみついて離れない。
「仕方ない。どうせ私は次は空いているから、全員でいくか。それでいいか?」
「はい!あの、お手々つないでもいいですか?」
「ああ・・・」
本当に見た目も中身も年相応にしか見えないな。本当に15歳以上なのか?
私が手を差し出すと、マイラは満足げに笑っていた。アバラも授業は一緒のようで、四人で次の場所へと向かう。
「で、お前らは次の授業は何を取ったんだ?」
「ふっふっふ、魔法実技学だ!このロギル様の大得意の分野だな!それも、雷魔法についてなんだとよ!」
ロギルジョーは得意げに言っている。実際に攻撃魔法を撃つのはこいつにとって得意中の得意だからだ。しかしマイラは何か思うところがあるのか、私の手をぎゅっと強くつかんだ。そして冷たい瞳をロギルジョーに向けながら、口を開いた。
「ロギルさん」
「おう、なんだ?」
「次の授業、もし僕が勝てば、部屋の場所を交換してくれませんか?」
それは、宣戦布告というものだった。
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