私のための小説

桜月猫

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7話

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「ただいま」
「おかえりなさい。なんだか疲れてるみたいね」
「いろいろあってね」

 公は苦笑したあとため息を吐いた。

「そう。とりあえず着替えてきたら?」
「そうする」

 部屋に戻った公は制服を脱いで部屋着に着替えると、ベッドにダイブした。

「はぁ~。ホントに疲れた」

 公の疲れの1番の原因は実力テストだ。

「いや、それ以上に作者のせいだよ」

 私?

「そうだよ。入学式でもドッキリしかけたり乱入したりと引っ掻きまわしやがって」

 入学式なんだし派手にしようと頑張ったのに~。

「入学式に派手さなんて必要ねーよ」

 そんなこと言いだしたらあの校長とかどうなるのよ。

「あ~。あれは訳がわからん。なんであんな格好で出てきてあんなしゃべり方したのか全く理解できないな」

 それに、方向性は違うけど、夏も目立ってたし。

「あれは可愛かったな」

 最初から最後まで噛みっかみだったしね~。あれも1つの萌え要素よね。

「守ってあげたいって思えるくらい可愛かったな」

 だってさ、夏。


          ◇


 生徒会室で夏は顔を赤くしていた。

「ほら、やっぱり私の言ってた通り、みんな可愛いって思っているのよ」
「でも、公くんが思っているだけで、みんなが思っていると決まったわけじゃないですよ!」
「じゃあアンケートでもとるか?」

 廻の提案に夏の顔がさらに真っ赤になった。

「それはしなくていいです!」
「え~。夏の可愛さをみんなで共有したいのに~」
「そんなこと絶対にしないでください!」

 怒りながら秋に迫る夏。

「もう手遅れな気がするけどな」

 小声でボソッと呟いた廻は2人のじゃれあいの仲裁に入るために2人のもとへと向かった。


          ◇


「えっ?どういうことだ?作者。夏先輩がどうかしたのか?」

 なんでもないから気にしな~い、気にしな~い。気にしたら負けだよ。

「すでに負けてる感じがするのはなぜだろう」

 しかし、状況がわかっていない公は私に突っかかってくることもできずに悶々としていた。

「まぁいいや」

 ベッドから起き上がり、部屋を出た公は疲れた気持ちを切り替えるために顔を洗おうと洗面脱衣所の扉を開けて固まった。
 固まった理由は中に少女がいたから。それも下着姿の少女が。

『……………………………』

 たっぷり3秒見つめあった2人。直後、先に行動をおこしたのは少女の方だった。

「公!」

 少女は恥ずかしがることもせずに公に抱きついた。

「久しぶり」
「あぁ。久しぶりだな」

 少し呆然としながらも、返事はしっかりした公はハッと我に返る。

「じゃなくて、とりあえずまず離れて服を着ろ!」

 少女を引き剥がそうとするが、少女は離れまいと力強く抱きついて抵抗する。

 うらやましいかぎりじゃない。下着姿の少女に抱きつかれて。それに、「キャーーーー!」って叫ばれなかっただけありがたいと思わないと。

「それはそうだけど」
「公は私に抱きつかれるのはイヤ?」

 上目遣いにそう問いかけられた公は言葉をつまらせた。

「それに、たっぷりと私の下着姿を見たのに服を着ても今さら」

 それを言われると何も言い返せない公なのだが、それでも少女を引き剥がして扉を閉めた。

「なんでここにかおりがいるんだよ」

 薫とは先ほどの少女の名前で、公と同い年のいとこだ。普通なら夏休みか正月に会うくらいの相手なので公が不思議に思うのも無理はない。
 必死に理由を考えていた公だが、どれだけ考えても理由が思いつかなかったので考えるのをやめて理由を知っている人間に聞くことにした。
 と、いうわけでダイニングにやって来た公。

「公。お昼はチャーハンでいいかしら?」
「それでいいよ」

 マザーは冷凍庫から冷凍食品のチャーハンを取り出すと電子レンジに入れて解凍を始めた。

「それで母さん」
「なに?公」
「なんでうちに薫がいるんだよ」
「あら。もう見つけちゃったの?」
「あぁ。さっき会ったよ」

 洗面脱衣所でね~。

「あらあら。でも、薫の悲鳴は聞こえてこなかったわね」

 薫ったら叫ばずに公に抱きついたのよ。

「そうなの?じゃあ、キャーーーー!」
「なんで母さんが叫ぶんだよ!」
「洗面脱衣所でのラッキースケベでは悲鳴をあげるのがテンプレだからよ」
「それは見られた薫がするべきことだろ!」
「その薫がしなかったから代わりにね」
「しなくていいから」

 公がため息を吐いていると、電子レンジが「チン!」と鳴った。

「はい。チャーハン」
「ありがとう。それで、なんで薫がいるんだ?」

 問いかけながら公はチャーハンを食べ始めた。

「なんでって、薫も今年から小説高校に通うからよ」
「なっ!」

 チャーハンを食べていた公の手が止まった。

「正月に会ったときにはそんなこと一言も言ってなかったぞ」
「内緒にしていたからに決まっているでしょ」
「なんで内緒にするんだよ」
「それは公を驚かしたかったから」

 バスタオルを巻いただけの薫がダイニングに入ってきた。

「ちょっ!なんて格好で来てるんだよ!薫!」
「お風呂上がりの格好だけど?」
「だからってバスタオル1枚でくるんじゃねーよ!」
「つまりバスタオルを巻かずに裸で来い、と」
「違うわ!なんでそうなるんだよ!」

 叫ぶ公を見ながらニヤニヤする薫。

「ホントは見たいくせに」
「そう言ってバスタオルの中はちゃんと下着着てるんだろ」

 呆れた様子で公が言うので薫はバスタオルの前を広げた。その中は全裸。しかもたっぷり5秒間見せつけてからバスタオルを閉じた。
 予想外のことに固まった公の手からスプーンが抜け落ちた。

「残念。下着は着けていない」

 公にとっては残念ではなくご褒美になっただけだけどね。しかし、いいおっぱいしてたね~。手のひらから少しこぼれるぐらいの大きさで形もいいし、ハリがあって可愛い大きさの乳首も少し上を向いていて「やめい!」

 私の言葉を公が遮ってきた。

 なにするのよ。

「お前こそなに詳細に書いてやがる!」

 いや~あまりに見事なボン!キュ!ボン!のナイスバティ!だったからこの感動を読者のみんなにも味わってほしかったのよ!

「プロポーションには自信あり」

 うん。その言葉に嘘偽りなし!

 薫は見せつけるようにバスタオルを再度オープンするが、今度は公によって強制的に閉じられた。

「薫も止めろ!ってか、なんで下着を履いてないんだよ!」
「だからバスタオル巻いてる」
「だったら、なんでバスタオルを開いたんだよ!」
「公が疑ったから」
「それは悪かった」

 公が頭を下げたので、薫は公の頭を撫でた。

「許す」
「ありがとう。でも、だからって普通裸を見せないだろ。しかも、2回目は絶対見せる必要無かっただろ」
「公だから見せた」
「恥じらいはないのか!」
「見せて恥じるようなプロポーションはしてない」
「羞恥心の話だ!」
「公相手にそんなものない」

 平然と言ってのける薫に公は頭を抱えた。

「もう1度見る?」
「さっさと服を着てこい」

 大きなため息を吐きながら公は脱衣所の方を指差した。

「はーい」

 素直に言うことを聞いてダイニングを出ていく薫。
 薫が出ていって落ち着いた公はスプーンを拾った。そしてニヤニヤしながらスプーンを差し出してきているマザーに差し出した。

「なんだい、母さん」

 聞きたくはなかったが、聞かないといつまでもニヤニヤしていそうなので、公は仕方なく問いかけた。

「両家の親公認だから今夜にでもヤっちゃっていいわよ」
「親が言うセリフじゃねーよ!」
「そうかしら。仲のいい幼なじみやいとこがいるマンガやアニメではテンプレのセリフだと思うけど」
「そうだったとしても、自分の親からそのセリフは聞きたくねーよ」

 ちなみに、桜の親もその話は公認してるから桜とヤってもいいよ。

「なに言ってやがる!」

 親からそういう話を聞きたくないって言うから私から言ったのよ。

「ホントなのか?母さん」
「ホントよ」

 マザーの肯定に公は頭を抱え、大きくため息を吐いた。

 だから、2人を妻にして同時にヤっちゃっていいんだよ。

「アホか!ここは日本で一夫一妻なんだよ!」

 えっ?私、ここが日本だとは言ってないよ?

「はっ?日本語喋ってるし普通に日本だろ?」

 ざんね~ん。そんな設定どこにもありませ~ん!

 驚愕する公を見ながら私は設定を考える。

 場所は2.5次元世界。一夫多妻・一妻多夫などなんでもありの異次元の世界。

 これでよし。

「待て!2.5次元世界ってなんだよ!」

 3次元現実2次元創作が融合した世界だよ。この小説の場合、3次元登場人物2次元が融合するから2.5次元世界なんだよ。

「わかったような、わからないような」

 異次元の世界ってところにはツッコマないの?

「よくよく考えれば、今まで十分異次元だったから今さらだって思ったからな」

 そういえばそうね。まぁ、そういう設定だから2人を妻にしてイチャラブしながらヤっちゃうといいよ!

「しねーよ!ってか、薫は俺に好意的だから付き合って結婚出来るかもしれないが、桜は全く好意的じゃないから付き合うことすら出来ねーだろ!」
「だったら私と付き合う?」

 着替え終えた薫が入ってきたのだが、公の目は点になった。
 薫の服装、上はYシャツだけ。しかも、ボタンをとめずに前は全開。下もパンツだけ。
 公はスプーンを置くと頭に両手をあてて大きなため息を吐いた。

「なんて格好してるんだよ」
「お風呂上がりの萌え衣装だけど?」

 薫は公の隣の椅子を引くと右膝と両手を座面について前屈みになって公を見上げた。

「どうかな?」

 首を傾げる薫。前屈みになってるのでYシャツを着ている意味はなく、おっぱいまる見えの状態なので公は目を背けた。

「誰がどう見ても萌えじゃねーよ」

 萌えというより完璧エロだね。

「興奮する?」
「しねーよ」
「押し倒していいよ?」
「押し倒しもしねーよ」
「付き合う?」
「付き合わねーよ」
「残念。でも、今日から一緒に暮らすからまだチャンスはある」
「なに!?」

 聞き流せない一言に公は薫の方を向き、おっぱいを直視してまた顔を背けた。

「ここで暮らすってどういうことだよ」
「だってうちからだと通学に片道2時間もかかる。でもここからだと30分で済む。ならここで暮らすのは普通の考え」
「まぁ、そうだな」

 薫の考えは理解できたので、公は薫がこの家で暮らすことに反対することはしなかった。

「だからよろしく」
「よろしく。だけど、もう少し羞恥心をもってくれ」
「善処する」

 薫の返事に公はまたため息を吐いた。
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