私のための小説

桜月猫

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25話

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 スポーツテストを終えて昼休み。
 公達はいつも通り教室でお弁当を食べていたのだが、そこに夏がやってきた。

「公くんはいますか?」

 生徒会長の登場にクラスメートは小さなざわめきと「かわいい」という呟きが起きた。

「なんですか?」
「少し向こうで話しませんか?」
「いいですけど」

 頷いた公が夏のあとについていくと、教室のほうから大きなざわめきが聞こえてきた。
 2人がやってきたのは空き教室。

「それで、話ってなんですか?」
「今朝のことなんですけど」

 恥ずかしそうにそうきりだす夏。

「私が泣いたこと誰にも言わないでね」
「もちろん言いませんよ」
「あと、あの場にいたもう1人の子にもお願いしといてもらえる?」
「わかりました」

 公が了承したのを見て夏はホッとしていた。

「そういえば、今朝のあれは一体なんだったの?」
「あれは醜い欲望と作者の暴走が組み合わさって起きた異常ですね。だから、あれほど醜い化け物が襲ってきたんです」
「そうだったの。でも、公くんはスゴいですね。あれだけの化け物相手に動じていなかったし、最後は化け物を倒したんだから」

 すると公は笑い出した。

「???どうして笑うの?」
「だって、最終的にあれを倒したのは夏先輩ですよ」
「えぇ!私あんなの倒せないよ!」

 夏は両手をブンブン振って否定する。

「いえ。間違いなく夏先輩が倒しました。夏先輩の素直な言葉であの化け物達は倒れたんですから」
「えっと………。私あの時なんて言ったっけ?混乱しながら叫んだから覚えてないの」
「あの時夏先輩は『周りにいる人が気持ち悪いよ~』って言ったんですよ」
「私そんなこと言ったんだ。なんだか恥ずかしいな」

 自分が何を言ったのか初めて知った夏は顔を赤くした。

「おかげで化け物がいなくなったので、ありがとうございます」
「あの化け物達から守ってもらったのは私のほうなんだし、お礼を言うのは私だよ。ありがとうね」

 公に笑顔を向ける夏。

「いえ。こっちが巻き込んだかたちなんで、お礼はいりませんよ」
「じゃあ、お互い様ってことかな?」
「そういうことにしときましょう」

 笑顔を向けあう2人。

 そのままキスしちゃってもいいんだぞ?

 俺の言葉で夏は顔を赤らめながら公から視線を反らした。

「そんなことしねーよ」

 つまり、夏とはキスをしたくない、と。

「そうなんですか?」

 夏が悲しそうな瞳で公を見つめた。

 夏。そう言うってことは公とキスしたいってことだぞ。

「いえ!そういうわけでは!」

 じゃあ、なんでそんなに悲しそうにしてたのかな?

「それはその!あの!えっと!」
「夏先輩。落ち着いてください。作者のペースにのせられてますよ」

 ハッとした夏は顔を赤らめてうつむいた。

 あはは。夏の反応はカワイイな~。

「否定はせんが、あまり夏先輩で遊ぶなよ」

 公の言葉で夏はさらに赤くなった。それを見て公は頭を掻きながら、あちゃ~と思ったので話を変えた。

「話はそれだけですか?」
「あっ、あと1つ」

 まだ顔は赤いが、夏は公の顔を見つめた。

「なんですか?」
「公くんや桜ちゃん達って部活は入るの?」

 どうしてそんなことを聞くのか悩んだ公だが、考えてもしかたないので答えた。

「桜と暁は部活に入りますよ。俺と楓は多分入らないでしょうね」
「そう。わかったよ」

 公は首を傾げた。

「そろそろ昼休みも終わりますから教室に帰りましょう」
「そうですね」
「じゃあまたね」
「はい」

 夏と別れて教室に帰ってきた公。すると、待ちかまえていた庵が肩を組んできた。

「なんだ?」
「なんの話をしていたんだ?」
「今朝の騒動の時に助けたことに対してお礼を言われたのと、俺や桜・楓・暁が部活入るか聞かれただけだ」
「部活?なんでそんなこと聞いたんだ?」

 首を傾げる庵。だが、公も答えを知らないので首を傾げた。

「さぁな」

 聞き耳をたてていた他のクラスメート達も訳がわからずに首を傾げ、結局疑問だけが残った昼休みだった。
 昼休みも終わり、5時間目。向日葵が教室に入ってきた。

「今からこのクラスの委員長・副委員長・風紀委員・体育委員・文化委員を決めます。委員長・副委員長以外は男女1名ずつですから」

 その一言にクラスがざわめく。

「はい。静かに」

 向日葵が手を叩くととりあえずざわめきはおさまったが、庵が手をあげながら立ち上がった。

「先生」
「なんですか?」
「いきなりそんなことを言われても困ります」

 庵の言葉に同意するようにクラス中が頷いた。

「ハイキング合宿で互いのことを知ったのですから困らないでしょ?それに自薦他薦は問わないので、自ら立候補してもいいのですよ」
「なら委員長は我に決まりだな」

 中二が立ち上がった。

「中二くんはすぐに座ってください」
「なに!我ではダメだと言うのか!」
「その通りなので座ってください」

 オブラートに包みもせずに直球でダメと言われたことにショックを受けた中二は静かに着席した。

「他にはいませんか?」
「では、私が委員長に立候補します」

 いくらハイキング合宿で互いのことを知ったとはいえ、そう簡単に決まるとは思っていなかった向日葵は驚きで一瞬固まったが、すぐに我に返る。

「他に立候補する人や推薦がなければおささんに委員長になってもらいますけど、いいですか?」

 誰からも異論は出てこなかった。

「じゃあ、長さん。あとの進行お願いします」
「わかりました」

 向日葵から引き継いで教壇に立った長。

「それじゃあ次は副委員長を決めますので、立候補、推薦がある人はいますか?できれば男子になってもらいたいです」
「ならば今度こそ我で決まりだな」

 めげずに立ち上がった中二に長の冷たい目線が突き刺さる。

「中二くん。座ってください」
「なっ、貴様も我ではダメと言うのか!」
「えぇ。ハイキング合宿でのあなたは回りに迷惑をかけてばかりいたでしょ?そんな人がみんなをまとめることなんてできません。だから、他の委員にも立候補しないでください」
「ぐぐぐ」

 事実なのでそのことには言い返せないが、今回はすぐには引き下がらなかった。

「どうせ他に立候補する人間などいないんだぞ!」
「では、私から推薦します」
「なっ、誰を推薦するんだ!」
「公くんか朧月くん。副委員長はどちらかになってほしいです」

 話を振られた朧月は逃げの一手をうつ。

「だったら公のほうがいいだろ。ハイキング合宿で中二の暴走止め慣れてるし、面倒見もいいからな」
「なっ」

 先手をうたれた公は朧月を見た。

「そうですね。公くん。副委員長になってください」

 長の真っ直ぐな視線を向けられた公は頭を掻いた。

「わかったよ、副委員長になるよ」
「ありがとうございます。それでは、公くんが副委員長になるのに反対の人は手を上げてください」

 当然中二は手をあげるが、他の人は誰も手をあげない。

「反対はなし、ということで次の風紀委員を決めたいと思います」
「それなんだけど、風紀委員には朧月を推薦する」

 お返しとばかりに公がそう言った。

「私もそれがいいと思っていました」

 長が同意したことにより、クラス全体もその流れになっていたので朧月はあっさり観念した。

「わかった。風紀委員を引き受けるよ」

 朧月が了承したので、みんなが拍手をした。

「女子のほうはA子さん。お願いできますか?」
「私が風紀委員ですか?」
「はい。私はあなたが1番適役だと思います」
「わかりました」

 また拍手がおきた。

 なぁ公。

「なんだよ、作者」

 なんで名前へのツッコミがないのさ。つまんないじゃないか。

「スルーしたほうが話が進むし、いちいち相手するのがめんどくせーんだよ。だから、今後名前については一切ツッコミをしねーから勝手にやってくれ」

 ぶー。それじゃあ私がつまらないじゃないか!

「それでいいんだよ。お前がつまらないってこは俺達にとっては安心した生活が過ごせるってことなんだからな」

 こうなったらヤケクソルーレットカモン!

「なんだ?ヤケクソルーレットって?」

 残りの委員はこのヤケクソルーレットで決まります。もちろん委員決まっていない全員の名前が書いているので中二が委員に選ばれる可能性もある。それがヤケクソルーレットよ

『止めろ(て)!』
「やれ!作者!」

 ヤケクソルーレット。スタート!

「回しやがった」

 誰になるかな。誰になるかな。はい。決まりました!体育委員男子が中二で女子がB子!文化委員男子がAくんで女子が由椰だ!

「却下します」

 長が私の決定をあっさりと却下した。

 どうして!

「全くもってダメだからです」

 なら、長はどう考えているのさ!

「私は体育委員男子が庵くんで女子が牡丹さん。文化委員男子は蛍くんで女子がほんさんがいいと思います」

 すると、満場一致の拍手が長におくられた。

「では、決定ということで、委員になった人はこれからお願いします」

 なぜだー!私が作者のはずなのになんでこんなにアウェイなのー!?

「日頃の行いです」
『うんうん』

 うわーん!

 これまた満場一致の答えに私は泣いた。
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