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【第6章 昇級試験】
第1節 秋の訪れ
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「一面紅葉だな。」
ロビンは1枚の紅葉を手に取り、アリスに話しかける。
「そうね。この先が試験の会場と聞いたけど、こんな山奥でやるものなのかしら?」
「上級への試験なのだから、会場もそれ相応の場所になるのは当たり前でしょ。」
「いや、なんでお前がいるんだよ!魔道士じゃないだろ!」
さり気なくついて来ていた美桜にロビンがツッコミをいれる。
「名簿を見てないの?私一応試験に参加するんだけど。」
「あれ、そうなの?」
ロビンは参加者が書かれた紙を取り出す。参加者の中に神宮寺 美桜の名前を見つける。
「シンプルに俺のミスだった。すまん。」
「気づいたならいいわ。」
美桜は少し前を歩く。それに気づいたアリスは、少し早足になる。
「何?急に歩く速度を上げて。」
「あなたこそ、なぜ私たちの前を歩くのですか?」
「あなたたちが遅いからよ。こっちにも自分のペースというものがあるわ。」
「でも試験まではまだまだ時間がありますよ?ここは仲を深めるべく、一緒にゆっくりと進むのが得策だと思うのですが。」
バチバチッ!
2人は火花を散らせる。
(何を争ってるんだこいつらは?)
ロビンは2人を変なものを見る目で見ていた。
山の中を進んでいくと開けた場所に出る。そこにはほかの魔道士も集まっている。その場所は廃墟のような場所だった。
「なんでこんな廃墟で試験をやるんだ?」
「邪魔が入らないようにするためでしょ。部外者に邪魔なんてされたら堪まったものじゃないわ。」
「それもそうか。」
試験会場にいる2人の女性が目に入る。
「あれが受付か、さっさと済ませようぜ。」
「早いに越したことはないでしょうね。」
3人は受付に向かう。
「…では、お名前に間違いはないでしょうか。」
「ああ、問題ない。」
「かしこまりました。お時間になったらお呼び致します。それまではこの敷地内で待機するように。」
ロビンたちは1本の巨木の木陰に腰掛ける。
「前とは雰囲気が違うな。みんなピリピリしているというか、緊張しているというか。」
「中級試験の会場は、本部だったはずよね?」
「確かそうだったな。筆記とか技能とか、なんか基礎的なものの応用って感じだったよな。」
ロビンは中級試験のことを懐かしむ。
「そういえば、あの事件憶えてる?」
「あの事件?」
ロビンは何かを思い出す。
「あぁ、あれか!」
1年前 中級試験会場…
「これより中級試験を始めます。参加者は全員、位置につくように。」
(ロビン何してるのー!)
今日は年に一度の昇級試験の日。アリスは時間通り会場にいたが、ロビンはこの大切な日に限って寝坊してしまう。
「ちょっと待ったー!」
1人の青年がドアを開けて会場に入る。
「誰だ?すでに試験は始まっている。」
「寝坊しましたー!」
「寝坊か。」
試験官はアリスを横目に見る。
「ちっ、並べ、お前は特別だ。」
「へへ、そりゃどうも。」
こうしてロビンは試験を受けることができた。
「なんで俺はあの時許されたんだ?まあお陰で合格できたんだけど。」
「ちなみに今回の試験官があの時と同じ人だということは知ってる?」
「なにその偶然?そんなことある?」
「それがあるんだな~。ほら。」
アリスは試験官のほうを指差す。よく見るとあの時の試験官と同じ女性だ。
「まじかよ……へま出来ねえじゃねえか。」
「そ、だから頑張ってね~。」
「お前はなんでそんなにお気楽なんだ?」
「確かにそうね。」
「私と2人は試験内容が違うからね。」
「「え?」」
2人は声を揃えて聞き返す。
「2人は技能試験でしょ?私は知能試験よ。ちなみに知能試験のほうが幾分か難しいわ。」
「道理でお前みたいな補助専門の魔道士には上位の階級が少ないわけだ。」
「なら尚の事、お前がお気楽でいる理由がわからないんだが…」
アリスに対する疑問が深まった。
「あぁそれはねぇ、言っちゃあれだけど正直かなり余裕なのよね。」
「難しいんじゃないの?」
美桜はアリスの言うことが理解できない。アリスの口から難しいと発せられているのに、余裕と答えるのは矛盾していると言える。
「そりゃ難しいよ。だけど私くらいの天才になると簡単で仕方ないのよ。」
「まあお前は根っからの天才肌だもんな。」
「そう。私は天才なの。」
「この承認欲求の塊が……」
美桜は陰口をこぼす。
「……私から聞くけど、美桜はなんで試験を受けるの?魔道士ではなかったはずよね?」
「確かに気になるな。」
2人は興味本位で美桜に近づく。
「……話すから一旦離れて。」
2人は美桜から離れて木陰に腰を掛ける。
「なんで私が上級試験を受けるかって?そんなの簡単よ、学校とかで聞く飛び級ってやつよ。」
「あの件でか?」
「そう。八岐大蛇の討伐で私の実力が認められて、上級試験を受けるチャンスを手に入れたってわけ。」
美桜は嬉しそうに答える。
「お前って魔道士になるつもりなんてあったのか?」
「最初はなかったわね。兄上からも止められてたし。ただ、魔道士としての素質は十分過ぎるくらいにはあったけど。」
「絶対スカウトとかあっ……いや、無いな。団長以外がスカウトするなんて聞いたがことない。」
カーン!
受付のほうから鐘の音がする。
「始まるようね。」
3人は受付の前に向かう。他の魔道士も受付の前に集まってくる。
「只今より、上級試験を開始致します。」
試験官は机に置いてある紙に書かれたことを読み上げる。
「試験の内容は、技能試験は"日没までにこの山の麓に辿り着くこと"、知能試験は"知識の応用"だ。」
「また、技能試験では"何が起こるか分からない"と書かれている。」
「参加者の皆々、健闘を祈る。」
ボンッ!
受付の机にあった1つの玉が爆発する。
「うわ、なんだ?!」
会場が煙に包まれる。
「……んあ?」
ロビンは目が覚めると山の中にいた。
「さっきまで会場にいただろ。しかも誰もいない。」
ロビンは辺りを見渡すが人の姿はない。どうやら試験は始まっているようだ。
「ただ日没までに麓を目指せばいいのか?」
ロビンは立ち上がって歩き出す。道中、"何が起こるか分からない"が常に頭に引っかかっていた。
「ここ、どこ?」
美桜も山の中に佇んでいた。
(普通に麓を目指せばいいの?本当にそう?)
美桜は疑問を抱えながら麓を目指す。
ガサガサッ!
「誰?」
美桜の近くの茂みから音がする。薙刀を構える。すると茂みから1人の魔道士が出てきた。槍を構えている。
「すまない、俺のために負けてくれ!」
「!!」
魔道士は美桜に槍を向けて突進してくる。
ガサッ!
「なんだ?」
ロビンの後ろから音がする。振り返ると1人の魔道士が立っている。
「どうした?試験中だろ?というかなんで剣を構えてるんだ?」
「悪いな、こういうルールなんだ。降参してくれれば傷つけたりしない。」
「降参?するわけないだろ。」
「そうか、すまない。」
魔道士は剣で降りかかる。
「ちっ、何しやがる!」
ロビンは魔道士の腹部を刀の柄で殴る。
「うっ……」
魔道士はうめき声をあげて倒れる。
「なんで急に襲いかかってきたんだ?ん?」
ロビンは魔道士の横に1枚の紙切れが落ちているのを見つける。
「なになに…」
「!」
ロビンは広角を上げる。
「なるほどな。これは"何が起こるか分からない"な。」
紙には"他の参加者と模擬戦をする"と書かれていた。
ロビンは1枚の紅葉を手に取り、アリスに話しかける。
「そうね。この先が試験の会場と聞いたけど、こんな山奥でやるものなのかしら?」
「上級への試験なのだから、会場もそれ相応の場所になるのは当たり前でしょ。」
「いや、なんでお前がいるんだよ!魔道士じゃないだろ!」
さり気なくついて来ていた美桜にロビンがツッコミをいれる。
「名簿を見てないの?私一応試験に参加するんだけど。」
「あれ、そうなの?」
ロビンは参加者が書かれた紙を取り出す。参加者の中に神宮寺 美桜の名前を見つける。
「シンプルに俺のミスだった。すまん。」
「気づいたならいいわ。」
美桜は少し前を歩く。それに気づいたアリスは、少し早足になる。
「何?急に歩く速度を上げて。」
「あなたこそ、なぜ私たちの前を歩くのですか?」
「あなたたちが遅いからよ。こっちにも自分のペースというものがあるわ。」
「でも試験まではまだまだ時間がありますよ?ここは仲を深めるべく、一緒にゆっくりと進むのが得策だと思うのですが。」
バチバチッ!
2人は火花を散らせる。
(何を争ってるんだこいつらは?)
ロビンは2人を変なものを見る目で見ていた。
山の中を進んでいくと開けた場所に出る。そこにはほかの魔道士も集まっている。その場所は廃墟のような場所だった。
「なんでこんな廃墟で試験をやるんだ?」
「邪魔が入らないようにするためでしょ。部外者に邪魔なんてされたら堪まったものじゃないわ。」
「それもそうか。」
試験会場にいる2人の女性が目に入る。
「あれが受付か、さっさと済ませようぜ。」
「早いに越したことはないでしょうね。」
3人は受付に向かう。
「…では、お名前に間違いはないでしょうか。」
「ああ、問題ない。」
「かしこまりました。お時間になったらお呼び致します。それまではこの敷地内で待機するように。」
ロビンたちは1本の巨木の木陰に腰掛ける。
「前とは雰囲気が違うな。みんなピリピリしているというか、緊張しているというか。」
「中級試験の会場は、本部だったはずよね?」
「確かそうだったな。筆記とか技能とか、なんか基礎的なものの応用って感じだったよな。」
ロビンは中級試験のことを懐かしむ。
「そういえば、あの事件憶えてる?」
「あの事件?」
ロビンは何かを思い出す。
「あぁ、あれか!」
1年前 中級試験会場…
「これより中級試験を始めます。参加者は全員、位置につくように。」
(ロビン何してるのー!)
今日は年に一度の昇級試験の日。アリスは時間通り会場にいたが、ロビンはこの大切な日に限って寝坊してしまう。
「ちょっと待ったー!」
1人の青年がドアを開けて会場に入る。
「誰だ?すでに試験は始まっている。」
「寝坊しましたー!」
「寝坊か。」
試験官はアリスを横目に見る。
「ちっ、並べ、お前は特別だ。」
「へへ、そりゃどうも。」
こうしてロビンは試験を受けることができた。
「なんで俺はあの時許されたんだ?まあお陰で合格できたんだけど。」
「ちなみに今回の試験官があの時と同じ人だということは知ってる?」
「なにその偶然?そんなことある?」
「それがあるんだな~。ほら。」
アリスは試験官のほうを指差す。よく見るとあの時の試験官と同じ女性だ。
「まじかよ……へま出来ねえじゃねえか。」
「そ、だから頑張ってね~。」
「お前はなんでそんなにお気楽なんだ?」
「確かにそうね。」
「私と2人は試験内容が違うからね。」
「「え?」」
2人は声を揃えて聞き返す。
「2人は技能試験でしょ?私は知能試験よ。ちなみに知能試験のほうが幾分か難しいわ。」
「道理でお前みたいな補助専門の魔道士には上位の階級が少ないわけだ。」
「なら尚の事、お前がお気楽でいる理由がわからないんだが…」
アリスに対する疑問が深まった。
「あぁそれはねぇ、言っちゃあれだけど正直かなり余裕なのよね。」
「難しいんじゃないの?」
美桜はアリスの言うことが理解できない。アリスの口から難しいと発せられているのに、余裕と答えるのは矛盾していると言える。
「そりゃ難しいよ。だけど私くらいの天才になると簡単で仕方ないのよ。」
「まあお前は根っからの天才肌だもんな。」
「そう。私は天才なの。」
「この承認欲求の塊が……」
美桜は陰口をこぼす。
「……私から聞くけど、美桜はなんで試験を受けるの?魔道士ではなかったはずよね?」
「確かに気になるな。」
2人は興味本位で美桜に近づく。
「……話すから一旦離れて。」
2人は美桜から離れて木陰に腰を掛ける。
「なんで私が上級試験を受けるかって?そんなの簡単よ、学校とかで聞く飛び級ってやつよ。」
「あの件でか?」
「そう。八岐大蛇の討伐で私の実力が認められて、上級試験を受けるチャンスを手に入れたってわけ。」
美桜は嬉しそうに答える。
「お前って魔道士になるつもりなんてあったのか?」
「最初はなかったわね。兄上からも止められてたし。ただ、魔道士としての素質は十分過ぎるくらいにはあったけど。」
「絶対スカウトとかあっ……いや、無いな。団長以外がスカウトするなんて聞いたがことない。」
カーン!
受付のほうから鐘の音がする。
「始まるようね。」
3人は受付の前に向かう。他の魔道士も受付の前に集まってくる。
「只今より、上級試験を開始致します。」
試験官は机に置いてある紙に書かれたことを読み上げる。
「試験の内容は、技能試験は"日没までにこの山の麓に辿り着くこと"、知能試験は"知識の応用"だ。」
「また、技能試験では"何が起こるか分からない"と書かれている。」
「参加者の皆々、健闘を祈る。」
ボンッ!
受付の机にあった1つの玉が爆発する。
「うわ、なんだ?!」
会場が煙に包まれる。
「……んあ?」
ロビンは目が覚めると山の中にいた。
「さっきまで会場にいただろ。しかも誰もいない。」
ロビンは辺りを見渡すが人の姿はない。どうやら試験は始まっているようだ。
「ただ日没までに麓を目指せばいいのか?」
ロビンは立ち上がって歩き出す。道中、"何が起こるか分からない"が常に頭に引っかかっていた。
「ここ、どこ?」
美桜も山の中に佇んでいた。
(普通に麓を目指せばいいの?本当にそう?)
美桜は疑問を抱えながら麓を目指す。
ガサガサッ!
「誰?」
美桜の近くの茂みから音がする。薙刀を構える。すると茂みから1人の魔道士が出てきた。槍を構えている。
「すまない、俺のために負けてくれ!」
「!!」
魔道士は美桜に槍を向けて突進してくる。
ガサッ!
「なんだ?」
ロビンの後ろから音がする。振り返ると1人の魔道士が立っている。
「どうした?試験中だろ?というかなんで剣を構えてるんだ?」
「悪いな、こういうルールなんだ。降参してくれれば傷つけたりしない。」
「降参?するわけないだろ。」
「そうか、すまない。」
魔道士は剣で降りかかる。
「ちっ、何しやがる!」
ロビンは魔道士の腹部を刀の柄で殴る。
「うっ……」
魔道士はうめき声をあげて倒れる。
「なんで急に襲いかかってきたんだ?ん?」
ロビンは魔道士の横に1枚の紙切れが落ちているのを見つける。
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