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【第7章 追憶を求める者】
第1節 不穏であり不吉である
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「はぁ~寒っ…」
ロビンはこたつに入って暖をとっている。外には雪が積もっている。去年とは違い今年は雪が降るのが早い。
「まだ12月1日だろ、早すぎるだろ。」
ピンポーン
「こんなときに誰だ?」
ロビンはこたつから出て玄関に向かう。玄関にはすでに美桜が入ってきている。なにやら焦っているようだ。
「どうしたこんな時間に、まだ9時だろ。」
「どうしたじゃない!アリスが家にいないの!」
ロビンは話が入ってこない。
「あいつが家にいないのはいつも通りじゃないか?」
「流石に電話にも出ないのはおかしいでしょ!」
「え?出ないのか?」
ロビンはスマホを取り出してアリスに電話をかける。数分ほどかけてみるが出る気配がない。
「…なんで?」
「それが分からないからここに来たの!ロビンなら何か知ってるんじゃないかと思って!」
ロビンは考えてみるがこんなことは今までなかったので何も分からない。しかしあることを思い出す。それは昇級試験の出来事だ。
「凜には聞いたのか?」
「聞いてないけど。彼女がどうしたの?」
「いや、昇級試験のときにアリスが凜に何か話してるのを思い出して。」
「その後に俺は春蘭に凜を見張ってるよう頼んだんだが、何もなかったんだよ。」
「……聞く価値はあるわね。行くわよ。」
「着替えてくる。」
「早くして。」
ロビンは自分の部屋に戻って服を着替える。
「凜はいる?」
2人は拠点で凜を探す。
「いますよ。」
凜がソファから顔を出す。
「あんたに聞きたいことがあるの。」
美桜はソファに座ると圧をかけるように凜に聞く。
「ええっとぉ……」
凜は少し戸惑う。が、すぐに口を開く。
「試験が終わったあと、私はアリスさんと何回か調べごとをしたんですよ。履歴ありますよ。見ますか?」
「見せて。」
凜はパソコンを立ち上げて履歴を見せる。そこには"焔の日"について調べた痕跡があった。
「!」
ロビンは息を呑む。
(マズイ……何か…ものすごく嫌な予感がする。)
ロビンは背筋が凍り付き額から冷や汗が垂れる。
「……あいつは…何か言ってたか?」
「いえ、特には。ただ1言、「わかった」とだけです。」
「……何か調べてわかったことは?」
ロビンは恐る恐る聞いてみる。
「"焔の日"がいつ起こったのかがわかりました。12月5日、アリスさんの誕生日と同じです。」
ロビンは額に手を当てる。
「ありがとう……2人に着いてきて欲しい場所がある。」
「どこですか?」
「団長のもとだ。」
拠点を出る2人を玖羽は部屋の隅から見ていた。
大魔統制会 団長室…
ロビンと凜は団長室の前に立つ。美桜は体調が悪いらしい。
「いつからだ、美桜の体調が崩れたのは?」
「最近です。体内の魔力の乱れが原因だと思います。」
「大事にはなってないか?」
「なってないです。」
「……ならいい。」
ロビンの表情は曇ったままだ。ノックをして部屋に入る。
「おや珍しい、凜君が訪れるとは。」
凜は少しロビンの後ろに隠れる。
「しかし、用があるのはロビン君のようですね。」
ロビンはアーロンドをじっと見る。
「その目、聞きたいことはわかりました。アリス君についてですね?」
「そうだ。お前なら何か知ってるんじゃないか?俺たちを保護下に置いたのもお前だしな。」
アーロンドは顎を撫でる。
「確かに、私が何かを知っているという予想は的外れではないですね。ですが、残念なことに私から言えることは何もありません。」
「しかし彼女から「あなたによろしく」とだけは聞いています。」
ロビンは目を見開く。
「まさか…」
「あなたも同じ考えに辿り着いたでしょう?」
「え?え?どういうことですか?」
凜は戸惑っている。
「彼女が"今"どこにいるのか?それは、」
「ロンドンです。」
ヒースロー国際空港……
アリスは空港の入口で1人立っている。
「ごめんね、ロビン……でも、もう…下がれない。それに……あなたを巻き込みたくないの……」
アリスは雪の中を進んでどこかへ向かう。
「ロ、ロンドン?!」
「ああ、それしか考えられない。」
ロビンは驚く凜に冷静に返す。
「あいつは昔から自分の過去について調べていた。その度に嫌な予感がしたんだ。」
「まさか、それが現実になるとはな……」
ロビンは苦い顔をする。
「それで、行くんですか?行かないんですか?」
「え?」
ロビンはキョトンとする。
「彼女を探すのではないんですか?」
「ああ、探したいよ。ロンドンに行けたらの話だが。」
アーロンドはロビンはの様子を見ている。
「では私が手配しましょう。ついでに調べて欲しいことがあるので。」
「"焔の日"について調べろと?いいぜ、引き受ける。」
「話が早くて助かります。」
アーロンドは立ち上がってロビンに近づく。
「調べるにあたって、あなたは"必ず"自らの過去と向き合うことになるでしょう。」
「そのとき、あなたは想像を絶する苦痛を味わうことになるでしょう。それでも引き受けるんですか?」
「もう覚悟はとっくの昔に出来てる。どんな過去だろうと俺は、受け入れるつもりだ。」
「よろしい、ロンドン行きの便を手配しましょう。出発は明日の朝です。」
「あと2人ほど同行者を募るといいでしょう。1人は危険です。」
アーロンドは自分の机でパソコンを開き作業を始める。2人は部屋を出て拠点へと向かう。
「戻ってきたか。」
玖羽が2人のほうを見る。奥の椅子には春蘭が座っていて、美桜は机でぐったりしている。
「何かわかったかい?」
ロビンはなんなとなくだが察した。
「明日の朝、ロンドンに向かう。団長から2人ぐらい連れが必要とのことだ。」
「私が行く、って言いたいけど……今は無理。」
「なら僕が美桜の代わりに行こう。サークルのリーダーとしての責務でもある。」
「俺はなしだ。リーダーがいなくなったら誰がここを管理するんだって話だ。」
「あと1人か。」
部屋の中に沈黙が走る。
「あのー……」
「ん?」
凜が恐る恐る手を上げる。
「私が行きましょうか?戦力にはならないと思うけど、捜索などには役に立てるはずです。」
ロビンは少し考える。
「確かに必要だな。春蘭、このメンバーでいいか?」
「僕は賛成だ。初めて行く場所にはガイドが必要になる。それに、僕たち2人なら戦力としては十分だからね。」
「決まりだな。時間を再確認しようぜ。」
ロビンは2人と時間を再確認し、自宅に帰る。
ロビンは暗闇を1人で歩いていた。
(アリス……なんで急に…)
「うぉっ!」
ロビンは段差に躓く。考えごとをしていて気づかなかったのだ。ロビンは夜空を見上げる。
(あいつも、何かに躓いたのかな…)
アリスのことが気になって頭から離れない。
ロビンは自宅に着く。自宅のポストに一通の手紙が入っていた。封筒は大魔統制会のものだ。
「誰からだ?」
ロビンはリビングで封筒を開ける。中からは英語で書かれた手紙が出てきた。
「……この手紙が届く頃、私はアリスと一緒にいるでしょう。ですが、あなたがこちらに来る頃には別々になっていると思います。こちらに来ることは団長から聞いています。ロンドンに着いたら支部に向かいカーザスと合流してください。ガーネット・ディセプライ」
ロビンはガーネットという女性に心当たりがない。
「誰だ?」
ロビンは不審に思うが今の状況では疑う余地がない。手紙をそっと閉じて机に置く。ロビンはそのまま浴室に向かう。
「そなたがここに来たのには何か理由があるのだろう?」
「別に、ただ故郷を見に来たついでよ。」
アリスは1人の女性と話している。女性はただならぬ雰囲気を放っている。
「しかし、そなたの心の内側には何か燃えているものがあるようだが?」
「………。」
アリスは黙り込む。
「それは人に知られたくないものなのか?」
「………。」
「少しティータイムにしましょう。喉がお疲れでしょう。」
「気遣いありがとう。だが、私のはいい。彼女のを用意してくれ。」
「承知しました。」
もう1人の女性はキッチンに向かう。
「そなたは彼女、ガーネットのことを知っているかい?」
「……いいえ、天級魔道士にして、イギリス支部の最高戦力ということ以外は何も知りません。」
「ふむ、そんなものか…」
女性はアリスに聞こえない声で喋る。ガーネットがキッチンから戻ってくる。アリスの前にティーカップを置く。
「……ありがとう。」
ガーネットは女性の耳元で話しかける。
「偵察に向かってもよろしいですか?」
「ああ、かまわない。」
ガーネットは軽くお辞儀をすると外へ向かう。
「あの人、左手に火傷のようなものがあるけど、あれはなんですか?」
「あれは見たとおり魔法による火傷だ。彼女は9年前の"焔の日"のとき、事件の元凶と退治している。」
アリスは"焔の日"と聞いて女性のハッとする。
「あのときはまだ上級だったから逃がすことになってしまったが、十分に健闘してくれた。そのかいあってこうして今、イギリス支部の最高戦力となっている。」
アリスはうつむいて考えごとをしている。
(あの人、私のことを知っているような立ち振る舞いをしていた。それにこの紅茶……私の一番好きなもの。)
アリスの頭には疑問が溜まっていた。
「…色々聞きたいことがあるわ。」
女性は手を組む。
「なんでも聞くといい。」
「まず、私はあなたを知らない。だけど先程からの振る舞いからして、あなたは……ルアーザ・サルトラン本人ね?」
しばらく沈黙が続く。
「その名を知っているとは、私も有名になったものだ。」
女性は視線を天井にやる。
「いかにも、私がルアーザ・サルトラン。階級はそなたの知っての通り、神級だ。」
アリスは唾を飲み、冷や汗が垂れる。なんせ目の前には、《世界に3人しか存在しない最強の魔道士》の1人がいるのだから。
ロビンはこたつに入って暖をとっている。外には雪が積もっている。去年とは違い今年は雪が降るのが早い。
「まだ12月1日だろ、早すぎるだろ。」
ピンポーン
「こんなときに誰だ?」
ロビンはこたつから出て玄関に向かう。玄関にはすでに美桜が入ってきている。なにやら焦っているようだ。
「どうしたこんな時間に、まだ9時だろ。」
「どうしたじゃない!アリスが家にいないの!」
ロビンは話が入ってこない。
「あいつが家にいないのはいつも通りじゃないか?」
「流石に電話にも出ないのはおかしいでしょ!」
「え?出ないのか?」
ロビンはスマホを取り出してアリスに電話をかける。数分ほどかけてみるが出る気配がない。
「…なんで?」
「それが分からないからここに来たの!ロビンなら何か知ってるんじゃないかと思って!」
ロビンは考えてみるがこんなことは今までなかったので何も分からない。しかしあることを思い出す。それは昇級試験の出来事だ。
「凜には聞いたのか?」
「聞いてないけど。彼女がどうしたの?」
「いや、昇級試験のときにアリスが凜に何か話してるのを思い出して。」
「その後に俺は春蘭に凜を見張ってるよう頼んだんだが、何もなかったんだよ。」
「……聞く価値はあるわね。行くわよ。」
「着替えてくる。」
「早くして。」
ロビンは自分の部屋に戻って服を着替える。
「凜はいる?」
2人は拠点で凜を探す。
「いますよ。」
凜がソファから顔を出す。
「あんたに聞きたいことがあるの。」
美桜はソファに座ると圧をかけるように凜に聞く。
「ええっとぉ……」
凜は少し戸惑う。が、すぐに口を開く。
「試験が終わったあと、私はアリスさんと何回か調べごとをしたんですよ。履歴ありますよ。見ますか?」
「見せて。」
凜はパソコンを立ち上げて履歴を見せる。そこには"焔の日"について調べた痕跡があった。
「!」
ロビンは息を呑む。
(マズイ……何か…ものすごく嫌な予感がする。)
ロビンは背筋が凍り付き額から冷や汗が垂れる。
「……あいつは…何か言ってたか?」
「いえ、特には。ただ1言、「わかった」とだけです。」
「……何か調べてわかったことは?」
ロビンは恐る恐る聞いてみる。
「"焔の日"がいつ起こったのかがわかりました。12月5日、アリスさんの誕生日と同じです。」
ロビンは額に手を当てる。
「ありがとう……2人に着いてきて欲しい場所がある。」
「どこですか?」
「団長のもとだ。」
拠点を出る2人を玖羽は部屋の隅から見ていた。
大魔統制会 団長室…
ロビンと凜は団長室の前に立つ。美桜は体調が悪いらしい。
「いつからだ、美桜の体調が崩れたのは?」
「最近です。体内の魔力の乱れが原因だと思います。」
「大事にはなってないか?」
「なってないです。」
「……ならいい。」
ロビンの表情は曇ったままだ。ノックをして部屋に入る。
「おや珍しい、凜君が訪れるとは。」
凜は少しロビンの後ろに隠れる。
「しかし、用があるのはロビン君のようですね。」
ロビンはアーロンドをじっと見る。
「その目、聞きたいことはわかりました。アリス君についてですね?」
「そうだ。お前なら何か知ってるんじゃないか?俺たちを保護下に置いたのもお前だしな。」
アーロンドは顎を撫でる。
「確かに、私が何かを知っているという予想は的外れではないですね。ですが、残念なことに私から言えることは何もありません。」
「しかし彼女から「あなたによろしく」とだけは聞いています。」
ロビンは目を見開く。
「まさか…」
「あなたも同じ考えに辿り着いたでしょう?」
「え?え?どういうことですか?」
凜は戸惑っている。
「彼女が"今"どこにいるのか?それは、」
「ロンドンです。」
ヒースロー国際空港……
アリスは空港の入口で1人立っている。
「ごめんね、ロビン……でも、もう…下がれない。それに……あなたを巻き込みたくないの……」
アリスは雪の中を進んでどこかへ向かう。
「ロ、ロンドン?!」
「ああ、それしか考えられない。」
ロビンは驚く凜に冷静に返す。
「あいつは昔から自分の過去について調べていた。その度に嫌な予感がしたんだ。」
「まさか、それが現実になるとはな……」
ロビンは苦い顔をする。
「それで、行くんですか?行かないんですか?」
「え?」
ロビンはキョトンとする。
「彼女を探すのではないんですか?」
「ああ、探したいよ。ロンドンに行けたらの話だが。」
アーロンドはロビンはの様子を見ている。
「では私が手配しましょう。ついでに調べて欲しいことがあるので。」
「"焔の日"について調べろと?いいぜ、引き受ける。」
「話が早くて助かります。」
アーロンドは立ち上がってロビンに近づく。
「調べるにあたって、あなたは"必ず"自らの過去と向き合うことになるでしょう。」
「そのとき、あなたは想像を絶する苦痛を味わうことになるでしょう。それでも引き受けるんですか?」
「もう覚悟はとっくの昔に出来てる。どんな過去だろうと俺は、受け入れるつもりだ。」
「よろしい、ロンドン行きの便を手配しましょう。出発は明日の朝です。」
「あと2人ほど同行者を募るといいでしょう。1人は危険です。」
アーロンドは自分の机でパソコンを開き作業を始める。2人は部屋を出て拠点へと向かう。
「戻ってきたか。」
玖羽が2人のほうを見る。奥の椅子には春蘭が座っていて、美桜は机でぐったりしている。
「何かわかったかい?」
ロビンはなんなとなくだが察した。
「明日の朝、ロンドンに向かう。団長から2人ぐらい連れが必要とのことだ。」
「私が行く、って言いたいけど……今は無理。」
「なら僕が美桜の代わりに行こう。サークルのリーダーとしての責務でもある。」
「俺はなしだ。リーダーがいなくなったら誰がここを管理するんだって話だ。」
「あと1人か。」
部屋の中に沈黙が走る。
「あのー……」
「ん?」
凜が恐る恐る手を上げる。
「私が行きましょうか?戦力にはならないと思うけど、捜索などには役に立てるはずです。」
ロビンは少し考える。
「確かに必要だな。春蘭、このメンバーでいいか?」
「僕は賛成だ。初めて行く場所にはガイドが必要になる。それに、僕たち2人なら戦力としては十分だからね。」
「決まりだな。時間を再確認しようぜ。」
ロビンは2人と時間を再確認し、自宅に帰る。
ロビンは暗闇を1人で歩いていた。
(アリス……なんで急に…)
「うぉっ!」
ロビンは段差に躓く。考えごとをしていて気づかなかったのだ。ロビンは夜空を見上げる。
(あいつも、何かに躓いたのかな…)
アリスのことが気になって頭から離れない。
ロビンは自宅に着く。自宅のポストに一通の手紙が入っていた。封筒は大魔統制会のものだ。
「誰からだ?」
ロビンはリビングで封筒を開ける。中からは英語で書かれた手紙が出てきた。
「……この手紙が届く頃、私はアリスと一緒にいるでしょう。ですが、あなたがこちらに来る頃には別々になっていると思います。こちらに来ることは団長から聞いています。ロンドンに着いたら支部に向かいカーザスと合流してください。ガーネット・ディセプライ」
ロビンはガーネットという女性に心当たりがない。
「誰だ?」
ロビンは不審に思うが今の状況では疑う余地がない。手紙をそっと閉じて机に置く。ロビンはそのまま浴室に向かう。
「そなたがここに来たのには何か理由があるのだろう?」
「別に、ただ故郷を見に来たついでよ。」
アリスは1人の女性と話している。女性はただならぬ雰囲気を放っている。
「しかし、そなたの心の内側には何か燃えているものがあるようだが?」
「………。」
アリスは黙り込む。
「それは人に知られたくないものなのか?」
「………。」
「少しティータイムにしましょう。喉がお疲れでしょう。」
「気遣いありがとう。だが、私のはいい。彼女のを用意してくれ。」
「承知しました。」
もう1人の女性はキッチンに向かう。
「そなたは彼女、ガーネットのことを知っているかい?」
「……いいえ、天級魔道士にして、イギリス支部の最高戦力ということ以外は何も知りません。」
「ふむ、そんなものか…」
女性はアリスに聞こえない声で喋る。ガーネットがキッチンから戻ってくる。アリスの前にティーカップを置く。
「……ありがとう。」
ガーネットは女性の耳元で話しかける。
「偵察に向かってもよろしいですか?」
「ああ、かまわない。」
ガーネットは軽くお辞儀をすると外へ向かう。
「あの人、左手に火傷のようなものがあるけど、あれはなんですか?」
「あれは見たとおり魔法による火傷だ。彼女は9年前の"焔の日"のとき、事件の元凶と退治している。」
アリスは"焔の日"と聞いて女性のハッとする。
「あのときはまだ上級だったから逃がすことになってしまったが、十分に健闘してくれた。そのかいあってこうして今、イギリス支部の最高戦力となっている。」
アリスはうつむいて考えごとをしている。
(あの人、私のことを知っているような立ち振る舞いをしていた。それにこの紅茶……私の一番好きなもの。)
アリスの頭には疑問が溜まっていた。
「…色々聞きたいことがあるわ。」
女性は手を組む。
「なんでも聞くといい。」
「まず、私はあなたを知らない。だけど先程からの振る舞いからして、あなたは……ルアーザ・サルトラン本人ね?」
しばらく沈黙が続く。
「その名を知っているとは、私も有名になったものだ。」
女性は視線を天井にやる。
「いかにも、私がルアーザ・サルトラン。階級はそなたの知っての通り、神級だ。」
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