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【第6章 昇級試験】
第4節 不可解な共通点
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4人は宿に着く。入り口には琉とアリスと凜が立っていた。
「お前ら、もう終わってたのか?」
「うん、かなり早くにね。」
琉は少し落ち込んでいるように見えた。ロビンは凜の耳元で囁く。
「あいつ、何かあったのか?」
「えっと……昇級試験、落ちたみたいです。」
「あ、うん。ども。」
ロビンは余裕そうな表情をするアリスを見る。
「なんでお前は得意げな表情してんだ?」
「決まってるでしょ。試験に受かったからね。」
アリスは鼻を鳴らす。
「余裕とか言ってた割にかなり嬉しそうだな。」
「そんなことないよ。」
ロビンはアリスから少し距離をとる。美桜が横から顔を出す。
「早く進んで。座りたいの。」
「いや、先行けよ。」
「じゃあおぶって。」
「はぁ?」
美桜の言葉にロビンは目を丸くする。
「いやこの距離だぞ。自分で歩けよ……」
「だって疲れたもん。それに、一応お嬢様だし。」
「お嬢様は前線に立って戦ったりしねえだろ。」
「世界中探したらいるんじゃない?例えば目の前に。」
ロビンは返す言葉が見当たらない。
「そこで油を売っている時間はない。早くこい。」
試験官に注意される。
「だとよ。行くぞ。」
5人は宿に入る。
宿に入ると美桜は早々にロビーの椅子に座る。
「お前どんだけ疲れてるの?」
「そりゃあ、参加者と散々戦ってきたから。流石にくるわ。」
ロビンは美桜が試験中、他の参加者のターゲットになっていたことを思い出す。
「そういえばそうだっな。」
「でしょ?なんで運んでくれなかったの?」
「それとこれとは別だろ。」
「ギギギ……」
美桜は歯を食いしばる。琉が紗季と試験官のほうを見ている。何があったのか気になるのだろう。
「お前も気になるのか?」
「そりゃそうさ。目の前であんなことがあったんだから。」
「…見てたのか?」
「少しだけどね。」
琉は服を整え、真剣な顔でロビンに話しかける。
「こっちに来てくれ。話したいことがある。」
ロビンは琉に着いて行く。
「話ってなんだ?」
「さっき何があったんだ?全て話してくれ。」
ロビンは咳払いをして事の経緯を話す。
「暴走状態……その言葉を聞くことになるとわね。」
「知ってるのか?」
琉は少し焦ったような表情をする。
「実は最近、イギリスでも一部の魔道士の暴走が確認されてるんだ。それだけじゃない、一般市民にも似た影響が出ている。」
「発症者の全員が先日に何かしらの飲み物を飲んでいたことがわかってる。」
「さらに、同時期にイギリスの魔力濃度に異変が見られている。」
「魔力濃度の異変……八岐大蛇の時と同じなら災害の前兆だな。」
琉は頷く。ロビンは顎に手を当てる。
「前に"焔の日"について話したはずだ。憶えているかい?」
("焔の日"…)
「ああ、憶えてる。それと関係があるのか?」
アリスが2人のほうを見る。2人は気づかない。琉は小声でロビンに話す。
「実は"焔の日"が起こる前にも魔力濃度の異変や人々の体調不良が確認されたんだ。」
「このことから、"焔の日"が再び起こるのでは?と噂されているんだ。」
試験官と紗季がロビーに戻ってくる。検査が終わったようだ。
「検査の結果がでた。原因は"イギリス産の魔力"の過剰摂取によるものだ。」
ロビンとアリスは息を呑む。
「どういうことですか?」
「文字通りの意味だ。おそらく、先日に飲んだコーヒーに含まれていたのだろう。」
「最近イギリスで起きている事件に似ていますね。」
琉が試験官に向かって言葉を放つ。
「知っているのか?」
「ええ、僕のサークルのリーダーから聞きました。」
「そうだったな。それなら知っていても不思議ではないな。」
「まあいい。詳しいことは本部に任せる。今から昇級式を行う。早く会場に来い。」
試験官は宿の奥に向かう。
「行こうぜ。」
6人は試験官に着いて行くように宿の奥に向かう。
宿の大広間には参加者たちが集まっていた。
「どれくらいの参加者が上級になったんだろうな。」
ゴーン!
鐘の音がする。式が始まるようだ。試験官が前に立つ。
「これより昇級式を始める。名前を呼ばれた者は前に出ろ。」
ゴクリ…
ロビンは唾を飲む。
「早道 香月《はやみち かっき》!」
「はいっ!」
「佐上 季衣《さがみ きい》!」
「はいっ!」
試験官が名前を呼び始める。ロビンの心臓の鼓動が速くなる。
しばらく参加者の名前を呼ばれ続けた。ロビンと美桜の名前はまだ出ていない。
「これは……知能試験の参加者が先みたいね。」
「ロビン・アポローヌ!」
「えあ、はい!」
ロビンは急に名前を呼ばれて噛んでしまう。ロビンは前に出ると隣にはアリスがいた。
「やほー。」
アリスは小さく手を振る。
「神宮寺 美桜!」
「はい。」
美桜はまだ少し疲れているようだ。声にいつものような活気が感じられない。その後も名前が呼ばれ続けた。人数は合計で20人だ。知能試験は7人、技能試験が13人だ。
「この20名が上級へと昇級する者達だ。今回昇級できなかった者達、来年の試験を楽しみにしている。諦めなければ必ず報われるということを心に留めておけ。」
試験管は20人を見下ろす。
「今回昇級した者達、これはゴールではない。新たな始まりだ。お前たちはこれから手本となるように努力しなければならない。」
「この先、逃げ出したくなるようなこともあるかもしれない。だがこれだけは言っておこう。魔道士は、諦めたら"死しか"残らない。」
アリスは胸に手を当てる。
「どんなときでもお前たちには仲間がいる。その存在を忘れるな。」
「これにて昇級式を終了する。各自、各々の帰路につくように。」
試験管の言葉を聞き、参加者は大広間から出る。アリスは凜のもとに向かう。
「ねえ、後で話があるんだけど…」
ロビンはそれを横目に見ていた。美桜がロビンの頬をつねる。
「なーに見てんの?」
「痛い痛い、離せ。」
ロビンは美桜の手を振り払う。
「あいつ、最近というか少し前から変なんだよな。」
「変って?」
「俺たちの過去について調べてると思うんだけど、何も教えてくれないし、なんというか……」
「少し……悲しそうなんだ。」
「美桜は上級魔道士に就任ってわけか。連絡ありがとう。」
ロビンは春蘭に連絡をする。
「ついでにだが、凜のことをしばらく見ていてくれないか。」
「何かあったのか?」
春蘭は不思議そうに聞き返す。
「今日、式が終わったあとにアリスが凜に何か話してたんだ。それで少し気になってな。声をかける必要はない。様子を教えてくれたらいいんだ。」
「それぐらいなら引き受けるよ。」
「ありがとう、助かるぜ。」
「サークルのメンバー同士だ。これぐらいお安い御用さ。」
春蘭は電話切る。ロビンは自分の部屋で少し考えごとをする。
(なんだ…この胸騒ぎは。まるで……何かを予知しているような。)
ロビンは窓の外を見る。空は雲で覆われており、ロビンの心にかかったモヤのようだった。
「お前ら、もう終わってたのか?」
「うん、かなり早くにね。」
琉は少し落ち込んでいるように見えた。ロビンは凜の耳元で囁く。
「あいつ、何かあったのか?」
「えっと……昇級試験、落ちたみたいです。」
「あ、うん。ども。」
ロビンは余裕そうな表情をするアリスを見る。
「なんでお前は得意げな表情してんだ?」
「決まってるでしょ。試験に受かったからね。」
アリスは鼻を鳴らす。
「余裕とか言ってた割にかなり嬉しそうだな。」
「そんなことないよ。」
ロビンはアリスから少し距離をとる。美桜が横から顔を出す。
「早く進んで。座りたいの。」
「いや、先行けよ。」
「じゃあおぶって。」
「はぁ?」
美桜の言葉にロビンは目を丸くする。
「いやこの距離だぞ。自分で歩けよ……」
「だって疲れたもん。それに、一応お嬢様だし。」
「お嬢様は前線に立って戦ったりしねえだろ。」
「世界中探したらいるんじゃない?例えば目の前に。」
ロビンは返す言葉が見当たらない。
「そこで油を売っている時間はない。早くこい。」
試験官に注意される。
「だとよ。行くぞ。」
5人は宿に入る。
宿に入ると美桜は早々にロビーの椅子に座る。
「お前どんだけ疲れてるの?」
「そりゃあ、参加者と散々戦ってきたから。流石にくるわ。」
ロビンは美桜が試験中、他の参加者のターゲットになっていたことを思い出す。
「そういえばそうだっな。」
「でしょ?なんで運んでくれなかったの?」
「それとこれとは別だろ。」
「ギギギ……」
美桜は歯を食いしばる。琉が紗季と試験官のほうを見ている。何があったのか気になるのだろう。
「お前も気になるのか?」
「そりゃそうさ。目の前であんなことがあったんだから。」
「…見てたのか?」
「少しだけどね。」
琉は服を整え、真剣な顔でロビンに話しかける。
「こっちに来てくれ。話したいことがある。」
ロビンは琉に着いて行く。
「話ってなんだ?」
「さっき何があったんだ?全て話してくれ。」
ロビンは咳払いをして事の経緯を話す。
「暴走状態……その言葉を聞くことになるとわね。」
「知ってるのか?」
琉は少し焦ったような表情をする。
「実は最近、イギリスでも一部の魔道士の暴走が確認されてるんだ。それだけじゃない、一般市民にも似た影響が出ている。」
「発症者の全員が先日に何かしらの飲み物を飲んでいたことがわかってる。」
「さらに、同時期にイギリスの魔力濃度に異変が見られている。」
「魔力濃度の異変……八岐大蛇の時と同じなら災害の前兆だな。」
琉は頷く。ロビンは顎に手を当てる。
「前に"焔の日"について話したはずだ。憶えているかい?」
("焔の日"…)
「ああ、憶えてる。それと関係があるのか?」
アリスが2人のほうを見る。2人は気づかない。琉は小声でロビンに話す。
「実は"焔の日"が起こる前にも魔力濃度の異変や人々の体調不良が確認されたんだ。」
「このことから、"焔の日"が再び起こるのでは?と噂されているんだ。」
試験官と紗季がロビーに戻ってくる。検査が終わったようだ。
「検査の結果がでた。原因は"イギリス産の魔力"の過剰摂取によるものだ。」
ロビンとアリスは息を呑む。
「どういうことですか?」
「文字通りの意味だ。おそらく、先日に飲んだコーヒーに含まれていたのだろう。」
「最近イギリスで起きている事件に似ていますね。」
琉が試験官に向かって言葉を放つ。
「知っているのか?」
「ええ、僕のサークルのリーダーから聞きました。」
「そうだったな。それなら知っていても不思議ではないな。」
「まあいい。詳しいことは本部に任せる。今から昇級式を行う。早く会場に来い。」
試験官は宿の奥に向かう。
「行こうぜ。」
6人は試験官に着いて行くように宿の奥に向かう。
宿の大広間には参加者たちが集まっていた。
「どれくらいの参加者が上級になったんだろうな。」
ゴーン!
鐘の音がする。式が始まるようだ。試験官が前に立つ。
「これより昇級式を始める。名前を呼ばれた者は前に出ろ。」
ゴクリ…
ロビンは唾を飲む。
「早道 香月《はやみち かっき》!」
「はいっ!」
「佐上 季衣《さがみ きい》!」
「はいっ!」
試験官が名前を呼び始める。ロビンの心臓の鼓動が速くなる。
しばらく参加者の名前を呼ばれ続けた。ロビンと美桜の名前はまだ出ていない。
「これは……知能試験の参加者が先みたいね。」
「ロビン・アポローヌ!」
「えあ、はい!」
ロビンは急に名前を呼ばれて噛んでしまう。ロビンは前に出ると隣にはアリスがいた。
「やほー。」
アリスは小さく手を振る。
「神宮寺 美桜!」
「はい。」
美桜はまだ少し疲れているようだ。声にいつものような活気が感じられない。その後も名前が呼ばれ続けた。人数は合計で20人だ。知能試験は7人、技能試験が13人だ。
「この20名が上級へと昇級する者達だ。今回昇級できなかった者達、来年の試験を楽しみにしている。諦めなければ必ず報われるということを心に留めておけ。」
試験管は20人を見下ろす。
「今回昇級した者達、これはゴールではない。新たな始まりだ。お前たちはこれから手本となるように努力しなければならない。」
「この先、逃げ出したくなるようなこともあるかもしれない。だがこれだけは言っておこう。魔道士は、諦めたら"死しか"残らない。」
アリスは胸に手を当てる。
「どんなときでもお前たちには仲間がいる。その存在を忘れるな。」
「これにて昇級式を終了する。各自、各々の帰路につくように。」
試験管の言葉を聞き、参加者は大広間から出る。アリスは凜のもとに向かう。
「ねえ、後で話があるんだけど…」
ロビンはそれを横目に見ていた。美桜がロビンの頬をつねる。
「なーに見てんの?」
「痛い痛い、離せ。」
ロビンは美桜の手を振り払う。
「あいつ、最近というか少し前から変なんだよな。」
「変って?」
「俺たちの過去について調べてると思うんだけど、何も教えてくれないし、なんというか……」
「少し……悲しそうなんだ。」
「美桜は上級魔道士に就任ってわけか。連絡ありがとう。」
ロビンは春蘭に連絡をする。
「ついでにだが、凜のことをしばらく見ていてくれないか。」
「何かあったのか?」
春蘭は不思議そうに聞き返す。
「今日、式が終わったあとにアリスが凜に何か話してたんだ。それで少し気になってな。声をかける必要はない。様子を教えてくれたらいいんだ。」
「それぐらいなら引き受けるよ。」
「ありがとう、助かるぜ。」
「サークルのメンバー同士だ。これぐらいお安い御用さ。」
春蘭は電話切る。ロビンは自分の部屋で少し考えごとをする。
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