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【第7章 追憶を求める者】
追憶ーその2
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ロビンは庭を見ていると、頭に痛みが走る。
(っっ!なんだ……こんな…ときに……)
ロビンの頭にいつかの光景が映し出される。
「ここにスペアを埋めておくわ。もし、お母さんの帰りが遅かったらここを掘り返して、カギをとって家で待っててね。」
「っ!」
(この……映像は?)
ロビンは頭を振ると、2人に伝えに行く。
「カギの場所がわかった。」
「どこに?」
「あの花壇だ。」
ロビンは庭にある1つの花壇を指差す。春蘭は言われた通り、花壇の土を掘り返す。ロビンの言う通り、カギが出てきた。
「どうしてわかったんだい?記憶がないはずじゃ?」
「なんというか……頭の中に流れてきたんだ。」
春蘭は顎に手を当てる。
「記憶が反応してる?いや、考えるのは後だ。早く家に入ろう。」
春蘭は鍵穴にカギを刺す。形状がピッタリ合わさり、解錠に成功する。
ガチャ…
「どうなってんだ?」
「これは……一体?」
「…こんなことが……ありえるのか?」
3人は息を呑む。家の中はなんと手入れがされていないのにも関わらず、恐ろしいほどに綺麗なのだ。まるで、時間が止まっているように。
「この感じ……敷地内全体に魔法がかかっているみたいだ。でもなんのために?」
「それは調べないと分からないだろ?手を動かそうぜ…」
ロビンは本棚を調べるが、特にこれといって使えそうなものは見当たらない。部屋を散策していると、写真立てを見つける。ロビンは写真立てを手に取る。
「これは……」
ロビンの意識が遠のく。ロビンは床に座り込む。
「ロビン。」
「ロビン。」
「ロビン。私の可愛いロビン。」
「早く起きて。今日はあなたの誕生日でしょ。」
ロビンは欠伸をしながら体を起こす。
「あ、おはようお母さん。」
「ふふ、おはようロビン。」
「朝食が出来てるわよ。今日はあなたの好きなフレンチトーストよ。」
母は1階に降りる。ロビンは服を着替えると母を追うように急いで1階に降りる。
「あ、おはようロビン。」
「アリスおはよう。」
アリスはすでに椅子に座って朝食を食べていた。ロビンはアリスの隣に座って朝食を食べ始める。
「アリス、また髪伸びた?」
「そうなの!また伸びたの。これで少しは大人っぽくなった?」
「うん、なった。」
「やったー!」
アリスは声をあげて喜ぶ。母はそれを笑って眺めていた。
「っっ!」
ロビンは顔に手を当てる。
「今……のは?」
ロビンは立ち上がる。
(今のは……俺の記憶か?いつの記憶だ?俺はアリスと一緒に生活してた。なんで?)
「駄目だ、考えてる場合じゃない。」
ロビンは2階に上がる。
2階にはいくつかの部屋があった。ロビンは手前の部屋に入る。
「これは……子どもの部屋か?」
そこは子どもの部屋のようだ。見るからに男子が喜ぶようなものになっている。机の上に帽子が置いてある。
「帽子?見るからに子供用だな。」
ロビンは再び意識が遠のいていく感覚がした。
(ちっ、また……かよ……)
「お母さん。ここどこ?」
「ここは昔、ルアーザ様の手で悪者が退治された場所よ。」
「ルアーザ様がいなかったら今の私たちの生活もなかったかもしれないわ。」
「そうなんだ。ならルアーザ様に感謝しないとね。」
ロビンは両手を合わせて祈った。
「ふふっ、そうね。」
母も手を合わせて祈る。
「もうこんな時間……ロビン、帰るわよ。」
「え~、もう少し祈る。」
「今日の夕食はハンバーグよ。」
「ええ!?うん、わかった。」
ロビンは母の手を握って夕暮れを背に、家へと帰る。
「これは……なんだ?どこに行ってたんだ?それに……」
「ルアーザって誰だ?」
ロビンの頭に疑問が増えた。ロビンは部屋を見渡すが、これといって重要そうなものは見当たらない。
ロビンは反対の部屋に入る。そこは女の子が好きそうな部屋だった。
「ここは……もしかしてアリスの部屋か?さっきのが俺の部屋だとしたら……」
アリスの部屋には特に目立ったものはない。鏡の前に1枚の写真があるくらいだ。ロビンは写真を手に取る。
「これは……」
写真にはロビンと父と母、アリスも写っていた。ロビンの頭にいつかの光景が広がる。
「今日は私たちの家に、新しいお友達が来るの。」
「ああ、例の子か。」
「新しいお友達って誰?」
ピンポーン
「来たみたいね。ロビン、出迎えてあげて。」
ロビンは玄関に行く。玄関には1人の少女と女性が立っていた。女性のほうは背が高くて顔が見えない。
「君の名前は?」
ロビンは少女に名前を聞く。
「アリス・クローヴァー。……あなたは?」
「僕はロビン・アポローヌ。よろしく!」
「よ、よろしく…」
ロビンとアリスは手を交わす。
ロビンは額に手を当てる。
(どういうことだ?アリスは孤児なのか?それに、あの女性はなんだ?顔が見えなかったから分からない。)
(頭が痛い。情報過多だ。一旦整理しよう。)
ロビンは床に座って情報を整理する。
(さっきまで見た景色は俺の過去だろう。これは紛れもない事実だ。最後の光景……アリスは孤児なのか?だとしたらあの女性は誰だ?)
ロビンは己の過去の一部を知ることができたが、それに応じて新しい謎が頭に浮かぶ。
(なんだこの感じ……頭が、モヤモヤする……)
「早く……次の場所に行こう。ぶっ倒れる前に…」
ロビンは一番奥の部屋に入る。そこは両親の部屋のようだ。机の上にはペンダントが置いてあるが、少し焦げている。ロビンはペンダントを手に取るが、何も起こらない。
「これ、開くのか?」
ロビンはペンダントを開く。
(くっ……)
バタンッ!
ロビンは意識を失った。
「うう……」
ロビンは目を覚ます。辺りは炎に包まれていた。隣には母が倒れている。
「お母さん!起きて!ねえ起きて!」
母は目を覚ます。
「ロビン……逃げ……て……アリスと……一緒……に…」
ロビンが慌てていると後ろからガーネットが駆けつける。
「はぁ……ガーネットさん。2人を……お願いします。私は……もう、助からないと思うの。だから、お願い……」
母の目には光がなかった。
「……わかりました。」
ガーネットはうつむいて答える。
「行くよ。ロビン、アリス。辛いだろうけど、仕方ないの。」
「やだ!お母さんを置いて行きたくない!」
「私だってそうよ!本当は……見捨てたくなんかない……でも、もう……あの人を助けられないの……」
ガーネットは2人を抱きしめる。
「ごめん……ごめんね……」
2人は大人しくなり、ガーネットに着いていく。
ガーネットは2人を安全なところに連れていき、他の魔道士に2人を引き渡す。
「2人共。この人の言うことを聞くんだよ。」
「もう行っちゃうの?帰ってくるよね?」
アリスは心配そうに聞く。ガーネットは視線を逸らす。
「……分からない……けど、必ず帰って来る。だから安心して。」
ガーネットは魔道士のほうを見る。
「2人をよろしくね。」
「了解しました。………お気をつけて。」
「うん……」
魔道士と2人は街から離れる。ガーネットは燃えゆく街の方を見る。空には1つの人影が見えた。人影には翼があるように見える。
「あいつか。」
「あんたの……好きにはさせない!」
ガーネットは魔力で槍を作り出す。飛行魔法を使い、空を飛ぶ男に近づく。そのまま男に向かって槍を向けながら突撃する。
「くたばれ!」
「おっと、危ないなぁ。」
男は避ける。
「ちっ、避けたか。」
「お前は何者だ?」
「俺様の正体を聞くだあ?見たらわかるだろ。人間だ。」
ガーネットは表情を変えないが、内心呆れている。
「貴様、何を言っている?」
「俺は何も嘘をついてない。なんせ俺は元々人間なのだからな。」
「意味が分からない。」
ガーネットは戸惑いの声をあげる。
「クックック、戸惑っているな。分からなくていい、分かる必要もない。」
ガーネットは不愉快に感じる。
「お前は私の縄張りを荒らした。その罪、身をもって償ってもらう!」
ガーネットは槍に魔力を溜める。
「やる気か?いいぜ、相手になってやるよ。先に言っておくが、俺はお前らみたいなやつに殺られるほどやわじゃないぞ?」
「……黙れ…」
ガーネットは渾身の一撃を男に放つ。
「やってみろよ!」
男は炎をまき散らす。
ズザァッ!
ガーネットの一撃が男の翼を切り落とす。
「ほう、意外と威力が高いな。」
「だが……他人の心配をするよりも自分の心配をしたらどうだ?」
男はガーネットの左腕を指差す。ガーネットは左腕を見ると、手に魔法陣が刻まれていた。
「貴様…」
直後、ガーネットの左腕が燃え上り炎に包まれる。
「くっ……」
ガーネットは地面に向かって落下する。
「けほっ……」
男は少し吐血する。ガーネットの攻撃が効いているようだ。
「流石に効いたか。他の奴等が来る前に撤退するか…」
男は夜の闇へと飛び去っていった。
「ロビン!起きろ!」
ロビンは目を覚ます。目の前には心配そうな春蘭と凜がいた。
「何があったんですか?かなり魘されてましたよ。」
「……"焔の日"に何があったのかを見た。」
「「ッ!」」
ロビンは小さな声で答える。2人は驚きを隠せない。
「辛いかもしれないが話してくれ。お願いだ。」
春蘭はロビンに念入ってお願いする。
「……わかってる。元から話すつもりだ。」
ロビンは椅子に座る。
「9年前、ここロンドンで後に"焔の日"と呼ばれる事件が起きた。これはお前らも知ってるだろ?」
「あぁ。僅かな者しか聞くことができないがね。」
ロビンは話を続ける。
「"焔の日"で……俺の母親は死んだ。」
「「…っ!」」
2人は少し視線を逸らす。流石に気まずいようだ。
「えっと……助けることはできなかったのですか?」
「ガーネットが言うには、もう手遅れだったらしい。」
「ガーネットが?夢に出てきたのか?」
「ガーネットは俺たちを他の団員に預けると、1人で"焔の日"の元凶を討伐しに向かった。」
凜は少し後ろに下がる。
「結果は、奴に深手を負わすことができたが……ガーネットも重症を負った。引き分けだ。」
「元凶の姿は?」
春蘭は真剣な顔で質問する。
「人の姿をしていて翼が生えている。ガーネットから昨日聞いたことだが、"焔の日"の元凶はヴァンパイアと呼ばれるやつだ。春蘭は何か知ってるか?」
春蘭は顎に手を当ててしばらく考える。
「聞いたことないな。」
「お前が知らないって相当だな。」
しばらく沈黙が続いた。
「一旦支部に戻りましょう。」
「そうだな、ここで考えてても時間の無駄だしな。」
3人は家を出て、雪道の中支部へと向かう。途中吹雪にあおられるが……
ガチャ…
「何か見つかったか?」
ドアの陰からカーザスが現れる。
「ああ、今から整理する。」
「聞かせてもらってもいいか?」
「構わない。」
「…感謝する。」
4人は支部の一室で情報を整理する。
「ヴァンパイア、か……まさかこの名前を聞くことになるとはな。」
「知っているみたいだね。」
「イギリスの魔道士ならほとんどが知っている。9年前に起きた"焔の日"の元凶……私たちは奴を常に追い続けた。」
「しかし奴の足取りを掴むことはできなかった。よほど狡猾な手段を使ってこちらの目を掻い潜ったのだろう。」
カーザスの言葉に感情がこもる。その証拠に右手を強く握る。
「……アリスはどこにいるんだ?」
ロビンはアリスの手掛かりが見つかっていないことが気がかりで仕方ない。
「確かに、なんの情報も得られませんでしたね…」
「こちらも偵察隊に捜索をしてもらってはいるが見つかる気配がない。」
「すみません、少しお話が…」
1人の執事がカーザスに話しかける。
「……わかった。下がれ…」
「お前たちに会いたい人がいるとのことだ。"あの人"なら何かを知っているかもしれない。」
「"あの人"って?」
「ルアーザ様だ。」
「…っ!」
ロビンは目を丸くする。
「ここだ。」
3人はカーザスの後を着いていくと、1つの部屋の前に辿り着く。部屋の扉は他のものと比べて、一回りほど大きい。
「この中にルアーザ様がいる。くれぐれも無礼なことがないように。」
カーザスは念を押す。
「春蘭、誰かわかるか?」
「知っているさ。ルアーザ・サルトラン、世界に3人しか存在しない神級魔道士の1人。そして、イギリスを災禍から守り抜いた英雄でもある。」
「英雄………」
ロビンはドアノブに手をかけて扉を開ける。
ギィ……
中はかなり広い空間が広がっている。部屋の隅には大きな本棚があり、たくさんの本が並べられている。奥の机には1人の女性が手を組んで座っていた。
「そなたたちのことを待っていたよ。私はルアーザ・サルトラン。そなたたちのことは知っている。自己紹介は結構だ。」
「立ち話もあれだ、ソファに座るといい。」
3人はソファに座る。
「君たちをここに呼んだのは、今この街で起きていることを伝えるためだ。」
「そのことについては団長から知らされている。」
春蘭は紅茶を飲んでから話を再開する。
「最近、人々の体に異変が起きている。症状は、魔道士に見られる暴走状態に似たようなものだ。」
「その通りだ。すでに情報が回っていたか。」
「それなら俺も知ってるぞ。昇級試験のときに琉から聞いた。」
「この件はかなり深刻なものとなっている。だが私は、これは災禍の始まりに過ぎないと思っている。」
ガチャ…
ガーネットが部屋に入ってくる。
「あれ?ガーネット?というか、担いでるのって……」
ロビンはガーネットが担いでいる人が誰なのか一目でわかった。
ボフッ
ガーネットは担いでいた人をソファに座らせる。
「え?アリス?どこにいたんだ?」
「街の一角にある廃墟よ。そこで倒れてた。」
「かなり体が冷えてるわ。何か温かいものを持ってくる。」
ガーネットは温かいものを探す。
「廃墟?まさか……でもどうやって?あそこはこちらの監視下のはずたが?」
ルアーザは何か心当たりがあるようだ。立ち上がるとアリスに近づく。
「なにする気だ?」
「目を覚まさせる。」
ルアーザは詠唱をする。アリスの周りにホワホワとした白いたまが浮かぶ。それはすぐに消える。
「んっ……あ…れ?」
アリスは目を覚ます。
「ここ……は?」
「イギリス支部だ。意識はハッキリするか?俺のことがわかるか?」
「うん………ロビン……でしょ?流石に……わかるよ……」
「うん……わかる………うん……あっ…
アリスはロビンの肩を持つ。アリスは必死な顔をしていた。
「ロビンに言わないといけないことがあるの。」
「なんだよ急に?」
「いいから聞いて。」
ロビンはアリスの気迫に押される。
「な、なんだ?」
「"ディファラス"に気をつけて!」
(っっ!なんだ……こんな…ときに……)
ロビンの頭にいつかの光景が映し出される。
「ここにスペアを埋めておくわ。もし、お母さんの帰りが遅かったらここを掘り返して、カギをとって家で待っててね。」
「っ!」
(この……映像は?)
ロビンは頭を振ると、2人に伝えに行く。
「カギの場所がわかった。」
「どこに?」
「あの花壇だ。」
ロビンは庭にある1つの花壇を指差す。春蘭は言われた通り、花壇の土を掘り返す。ロビンの言う通り、カギが出てきた。
「どうしてわかったんだい?記憶がないはずじゃ?」
「なんというか……頭の中に流れてきたんだ。」
春蘭は顎に手を当てる。
「記憶が反応してる?いや、考えるのは後だ。早く家に入ろう。」
春蘭は鍵穴にカギを刺す。形状がピッタリ合わさり、解錠に成功する。
ガチャ…
「どうなってんだ?」
「これは……一体?」
「…こんなことが……ありえるのか?」
3人は息を呑む。家の中はなんと手入れがされていないのにも関わらず、恐ろしいほどに綺麗なのだ。まるで、時間が止まっているように。
「この感じ……敷地内全体に魔法がかかっているみたいだ。でもなんのために?」
「それは調べないと分からないだろ?手を動かそうぜ…」
ロビンは本棚を調べるが、特にこれといって使えそうなものは見当たらない。部屋を散策していると、写真立てを見つける。ロビンは写真立てを手に取る。
「これは……」
ロビンの意識が遠のく。ロビンは床に座り込む。
「ロビン。」
「ロビン。」
「ロビン。私の可愛いロビン。」
「早く起きて。今日はあなたの誕生日でしょ。」
ロビンは欠伸をしながら体を起こす。
「あ、おはようお母さん。」
「ふふ、おはようロビン。」
「朝食が出来てるわよ。今日はあなたの好きなフレンチトーストよ。」
母は1階に降りる。ロビンは服を着替えると母を追うように急いで1階に降りる。
「あ、おはようロビン。」
「アリスおはよう。」
アリスはすでに椅子に座って朝食を食べていた。ロビンはアリスの隣に座って朝食を食べ始める。
「アリス、また髪伸びた?」
「そうなの!また伸びたの。これで少しは大人っぽくなった?」
「うん、なった。」
「やったー!」
アリスは声をあげて喜ぶ。母はそれを笑って眺めていた。
「っっ!」
ロビンは顔に手を当てる。
「今……のは?」
ロビンは立ち上がる。
(今のは……俺の記憶か?いつの記憶だ?俺はアリスと一緒に生活してた。なんで?)
「駄目だ、考えてる場合じゃない。」
ロビンは2階に上がる。
2階にはいくつかの部屋があった。ロビンは手前の部屋に入る。
「これは……子どもの部屋か?」
そこは子どもの部屋のようだ。見るからに男子が喜ぶようなものになっている。机の上に帽子が置いてある。
「帽子?見るからに子供用だな。」
ロビンは再び意識が遠のいていく感覚がした。
(ちっ、また……かよ……)
「お母さん。ここどこ?」
「ここは昔、ルアーザ様の手で悪者が退治された場所よ。」
「ルアーザ様がいなかったら今の私たちの生活もなかったかもしれないわ。」
「そうなんだ。ならルアーザ様に感謝しないとね。」
ロビンは両手を合わせて祈った。
「ふふっ、そうね。」
母も手を合わせて祈る。
「もうこんな時間……ロビン、帰るわよ。」
「え~、もう少し祈る。」
「今日の夕食はハンバーグよ。」
「ええ!?うん、わかった。」
ロビンは母の手を握って夕暮れを背に、家へと帰る。
「これは……なんだ?どこに行ってたんだ?それに……」
「ルアーザって誰だ?」
ロビンの頭に疑問が増えた。ロビンは部屋を見渡すが、これといって重要そうなものは見当たらない。
ロビンは反対の部屋に入る。そこは女の子が好きそうな部屋だった。
「ここは……もしかしてアリスの部屋か?さっきのが俺の部屋だとしたら……」
アリスの部屋には特に目立ったものはない。鏡の前に1枚の写真があるくらいだ。ロビンは写真を手に取る。
「これは……」
写真にはロビンと父と母、アリスも写っていた。ロビンの頭にいつかの光景が広がる。
「今日は私たちの家に、新しいお友達が来るの。」
「ああ、例の子か。」
「新しいお友達って誰?」
ピンポーン
「来たみたいね。ロビン、出迎えてあげて。」
ロビンは玄関に行く。玄関には1人の少女と女性が立っていた。女性のほうは背が高くて顔が見えない。
「君の名前は?」
ロビンは少女に名前を聞く。
「アリス・クローヴァー。……あなたは?」
「僕はロビン・アポローヌ。よろしく!」
「よ、よろしく…」
ロビンとアリスは手を交わす。
ロビンは額に手を当てる。
(どういうことだ?アリスは孤児なのか?それに、あの女性はなんだ?顔が見えなかったから分からない。)
(頭が痛い。情報過多だ。一旦整理しよう。)
ロビンは床に座って情報を整理する。
(さっきまで見た景色は俺の過去だろう。これは紛れもない事実だ。最後の光景……アリスは孤児なのか?だとしたらあの女性は誰だ?)
ロビンは己の過去の一部を知ることができたが、それに応じて新しい謎が頭に浮かぶ。
(なんだこの感じ……頭が、モヤモヤする……)
「早く……次の場所に行こう。ぶっ倒れる前に…」
ロビンは一番奥の部屋に入る。そこは両親の部屋のようだ。机の上にはペンダントが置いてあるが、少し焦げている。ロビンはペンダントを手に取るが、何も起こらない。
「これ、開くのか?」
ロビンはペンダントを開く。
(くっ……)
バタンッ!
ロビンは意識を失った。
「うう……」
ロビンは目を覚ます。辺りは炎に包まれていた。隣には母が倒れている。
「お母さん!起きて!ねえ起きて!」
母は目を覚ます。
「ロビン……逃げ……て……アリスと……一緒……に…」
ロビンが慌てていると後ろからガーネットが駆けつける。
「はぁ……ガーネットさん。2人を……お願いします。私は……もう、助からないと思うの。だから、お願い……」
母の目には光がなかった。
「……わかりました。」
ガーネットはうつむいて答える。
「行くよ。ロビン、アリス。辛いだろうけど、仕方ないの。」
「やだ!お母さんを置いて行きたくない!」
「私だってそうよ!本当は……見捨てたくなんかない……でも、もう……あの人を助けられないの……」
ガーネットは2人を抱きしめる。
「ごめん……ごめんね……」
2人は大人しくなり、ガーネットに着いていく。
ガーネットは2人を安全なところに連れていき、他の魔道士に2人を引き渡す。
「2人共。この人の言うことを聞くんだよ。」
「もう行っちゃうの?帰ってくるよね?」
アリスは心配そうに聞く。ガーネットは視線を逸らす。
「……分からない……けど、必ず帰って来る。だから安心して。」
ガーネットは魔道士のほうを見る。
「2人をよろしくね。」
「了解しました。………お気をつけて。」
「うん……」
魔道士と2人は街から離れる。ガーネットは燃えゆく街の方を見る。空には1つの人影が見えた。人影には翼があるように見える。
「あいつか。」
「あんたの……好きにはさせない!」
ガーネットは魔力で槍を作り出す。飛行魔法を使い、空を飛ぶ男に近づく。そのまま男に向かって槍を向けながら突撃する。
「くたばれ!」
「おっと、危ないなぁ。」
男は避ける。
「ちっ、避けたか。」
「お前は何者だ?」
「俺様の正体を聞くだあ?見たらわかるだろ。人間だ。」
ガーネットは表情を変えないが、内心呆れている。
「貴様、何を言っている?」
「俺は何も嘘をついてない。なんせ俺は元々人間なのだからな。」
「意味が分からない。」
ガーネットは戸惑いの声をあげる。
「クックック、戸惑っているな。分からなくていい、分かる必要もない。」
ガーネットは不愉快に感じる。
「お前は私の縄張りを荒らした。その罪、身をもって償ってもらう!」
ガーネットは槍に魔力を溜める。
「やる気か?いいぜ、相手になってやるよ。先に言っておくが、俺はお前らみたいなやつに殺られるほどやわじゃないぞ?」
「……黙れ…」
ガーネットは渾身の一撃を男に放つ。
「やってみろよ!」
男は炎をまき散らす。
ズザァッ!
ガーネットの一撃が男の翼を切り落とす。
「ほう、意外と威力が高いな。」
「だが……他人の心配をするよりも自分の心配をしたらどうだ?」
男はガーネットの左腕を指差す。ガーネットは左腕を見ると、手に魔法陣が刻まれていた。
「貴様…」
直後、ガーネットの左腕が燃え上り炎に包まれる。
「くっ……」
ガーネットは地面に向かって落下する。
「けほっ……」
男は少し吐血する。ガーネットの攻撃が効いているようだ。
「流石に効いたか。他の奴等が来る前に撤退するか…」
男は夜の闇へと飛び去っていった。
「ロビン!起きろ!」
ロビンは目を覚ます。目の前には心配そうな春蘭と凜がいた。
「何があったんですか?かなり魘されてましたよ。」
「……"焔の日"に何があったのかを見た。」
「「ッ!」」
ロビンは小さな声で答える。2人は驚きを隠せない。
「辛いかもしれないが話してくれ。お願いだ。」
春蘭はロビンに念入ってお願いする。
「……わかってる。元から話すつもりだ。」
ロビンは椅子に座る。
「9年前、ここロンドンで後に"焔の日"と呼ばれる事件が起きた。これはお前らも知ってるだろ?」
「あぁ。僅かな者しか聞くことができないがね。」
ロビンは話を続ける。
「"焔の日"で……俺の母親は死んだ。」
「「…っ!」」
2人は少し視線を逸らす。流石に気まずいようだ。
「えっと……助けることはできなかったのですか?」
「ガーネットが言うには、もう手遅れだったらしい。」
「ガーネットが?夢に出てきたのか?」
「ガーネットは俺たちを他の団員に預けると、1人で"焔の日"の元凶を討伐しに向かった。」
凜は少し後ろに下がる。
「結果は、奴に深手を負わすことができたが……ガーネットも重症を負った。引き分けだ。」
「元凶の姿は?」
春蘭は真剣な顔で質問する。
「人の姿をしていて翼が生えている。ガーネットから昨日聞いたことだが、"焔の日"の元凶はヴァンパイアと呼ばれるやつだ。春蘭は何か知ってるか?」
春蘭は顎に手を当ててしばらく考える。
「聞いたことないな。」
「お前が知らないって相当だな。」
しばらく沈黙が続いた。
「一旦支部に戻りましょう。」
「そうだな、ここで考えてても時間の無駄だしな。」
3人は家を出て、雪道の中支部へと向かう。途中吹雪にあおられるが……
ガチャ…
「何か見つかったか?」
ドアの陰からカーザスが現れる。
「ああ、今から整理する。」
「聞かせてもらってもいいか?」
「構わない。」
「…感謝する。」
4人は支部の一室で情報を整理する。
「ヴァンパイア、か……まさかこの名前を聞くことになるとはな。」
「知っているみたいだね。」
「イギリスの魔道士ならほとんどが知っている。9年前に起きた"焔の日"の元凶……私たちは奴を常に追い続けた。」
「しかし奴の足取りを掴むことはできなかった。よほど狡猾な手段を使ってこちらの目を掻い潜ったのだろう。」
カーザスの言葉に感情がこもる。その証拠に右手を強く握る。
「……アリスはどこにいるんだ?」
ロビンはアリスの手掛かりが見つかっていないことが気がかりで仕方ない。
「確かに、なんの情報も得られませんでしたね…」
「こちらも偵察隊に捜索をしてもらってはいるが見つかる気配がない。」
「すみません、少しお話が…」
1人の執事がカーザスに話しかける。
「……わかった。下がれ…」
「お前たちに会いたい人がいるとのことだ。"あの人"なら何かを知っているかもしれない。」
「"あの人"って?」
「ルアーザ様だ。」
「…っ!」
ロビンは目を丸くする。
「ここだ。」
3人はカーザスの後を着いていくと、1つの部屋の前に辿り着く。部屋の扉は他のものと比べて、一回りほど大きい。
「この中にルアーザ様がいる。くれぐれも無礼なことがないように。」
カーザスは念を押す。
「春蘭、誰かわかるか?」
「知っているさ。ルアーザ・サルトラン、世界に3人しか存在しない神級魔道士の1人。そして、イギリスを災禍から守り抜いた英雄でもある。」
「英雄………」
ロビンはドアノブに手をかけて扉を開ける。
ギィ……
中はかなり広い空間が広がっている。部屋の隅には大きな本棚があり、たくさんの本が並べられている。奥の机には1人の女性が手を組んで座っていた。
「そなたたちのことを待っていたよ。私はルアーザ・サルトラン。そなたたちのことは知っている。自己紹介は結構だ。」
「立ち話もあれだ、ソファに座るといい。」
3人はソファに座る。
「君たちをここに呼んだのは、今この街で起きていることを伝えるためだ。」
「そのことについては団長から知らされている。」
春蘭は紅茶を飲んでから話を再開する。
「最近、人々の体に異変が起きている。症状は、魔道士に見られる暴走状態に似たようなものだ。」
「その通りだ。すでに情報が回っていたか。」
「それなら俺も知ってるぞ。昇級試験のときに琉から聞いた。」
「この件はかなり深刻なものとなっている。だが私は、これは災禍の始まりに過ぎないと思っている。」
ガチャ…
ガーネットが部屋に入ってくる。
「あれ?ガーネット?というか、担いでるのって……」
ロビンはガーネットが担いでいる人が誰なのか一目でわかった。
ボフッ
ガーネットは担いでいた人をソファに座らせる。
「え?アリス?どこにいたんだ?」
「街の一角にある廃墟よ。そこで倒れてた。」
「かなり体が冷えてるわ。何か温かいものを持ってくる。」
ガーネットは温かいものを探す。
「廃墟?まさか……でもどうやって?あそこはこちらの監視下のはずたが?」
ルアーザは何か心当たりがあるようだ。立ち上がるとアリスに近づく。
「なにする気だ?」
「目を覚まさせる。」
ルアーザは詠唱をする。アリスの周りにホワホワとした白いたまが浮かぶ。それはすぐに消える。
「んっ……あ…れ?」
アリスは目を覚ます。
「ここ……は?」
「イギリス支部だ。意識はハッキリするか?俺のことがわかるか?」
「うん………ロビン……でしょ?流石に……わかるよ……」
「うん……わかる………うん……あっ…
アリスはロビンの肩を持つ。アリスは必死な顔をしていた。
「ロビンに言わないといけないことがあるの。」
「なんだよ急に?」
「いいから聞いて。」
ロビンはアリスの気迫に押される。
「な、なんだ?」
「"ディファラス"に気をつけて!」
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(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
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