紡ぐ者

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【第21章 紡ぐ者】

第10節 師と弟子

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「やっと……頂上?」
美桜は息を切らしながら頂上にたどり着く。頂上は開けており、訓練場のような雰囲気を感じる。
「誰もいない?」
美桜は冬刹という人物を探すが、ここは山の頂上、人がいるはずがない。美桜は地面に座り込む。青が美桜の前に出てくる。
「疲れたのか?」
「そりゃそうでしょ。ここまで歩いてきたんだから。」
「ちっ、なんだと思えば龍神か。何をしに来た?」
美桜は背後から凄まじい威圧感を感じる。
(……えっ、誰?なにこれ?体が……動かない?)
「何か言ったらどうだ?」
声は徐々に近づいてくる。美桜が後ろを見ると、1人の青年が立っていた。
「え?人?」
「貴様、我を人と呼ぶか?ふんっ、最初はその無礼を許そう。確かに、我は人と間違われやすい。だが次はない。」
青年は美桜の前に移動する。
「あんたは……誰?」
「我は冬刹。我のことはすでに知っていると思ったがな、神宮寺 美桜。」
「あんたが冬刹?てか、なんで私の名前を知ってるの?!」
「ここから見ていた。それだけのことだ。」
冬刹は修練場を見下ろす。
「真絶め、面倒なやつを送りつけてくれたな。」
冬刹は美桜のほうを見ると、背負っていた棍を美桜に向ける。
「来い。時間を無駄にはしたくない。」
「少しは休ませてくれてもいいでしょ?、って思ったけど、時間を無駄にしたくないのは同じみたいね。」
美桜は薙刀の刃を後ろに向けて持つ。
「最初に聞きたいけど、あんたと真絶はどういう関係なの?」
「真絶……あいつは昔、我に稽古をつけろと頼んできた。最初は我も断っていたが、あいつがあまりにもしつこいため仕方なく稽古をつけてやった。以来、あいつとは妙な師弟関係が生まれてしまった。弟子など、我には必要ない。」
「その割には、あまり不満ではなさそうね?」
冬刹は何も言わず、棍を振り回す。衝撃波が地面を抉りながら美桜に迫る。
「っと……」
美桜は薙刀の柄を上手く使い、衝撃波を飛び越える。
「前だ!」
冬刹は棍を振り下ろす。美桜は薙刀で防いで冬刹振り払う。冬刹は地面に着地してすぐ、再び衝撃波を放つ。
「くっ……」
美桜は衝撃波に飛ばされないよう、地面に薙刀を突き刺して持ち堪える。冬刹はその隙を狙って棍を投げる。
「あわっ?!」
美桜は咄嗟に棍を躱す。冬刹は美桜に接近して体術を繰り出す。
「ちょっ……」
美桜は必死に躱す。冬刹は一言も発することなく攻撃を続ける。
(怖いからなんか喋って!)
冬刹の投げた棍が、美桜の背後から飛んでくる。美桜は体を回転させて後ろに跳び、棍を躱す。冬刹は棍を手に取ると、美桜に向かって振り下ろす。
「あぐっ……」
美桜は薙刀で棍を受け止める。冬刹は棍を薙刀から離すと、続け様に美桜に向かって棍を振る。
「……遅い。」
美桜は一瞬の隙をつかれ、冬刹に地面に倒される。
「これが魔力を制限した貴様の実力だ。我の相手にもならない。」
美桜は起き上がって薙刀を背負う。
「知ってる。魔力を使えなきゃ、私は弱い。だならこそ、ここに来た。強くなるには、格上の相手と戦わないとだめでしょ?」
「確かに、それが一番手っ取り早い。しかし、実力の差が大きすぎれば、訓練にはならない。」
「実力の差がありすぎても、相手の弱点を狙えば勝負にはなる。話は変わるけど、あんたは真絶にどうやって武術を教えたの?」
「我はあいつに教えたつもりはない。ただ適当に、我と数回ほど勝負をしただけだ。」
美桜は冬刹から何かを感じる。冬刹は何かを気にしているようだ。
「焦ってる?」
「……それで、稽古をつけてほしいのか?」
「そのためにここに来たんだから。」
「いいだろう。ただし、今日の日没までだ。」



同時刻ーアメリカ支部にて……
「入れ。」
ドアを開けてマールドがソールの部屋に入ってくる。
「偵察は終わりました~。」
マールドは机に偵察記録を置く。
「結果は?」
「詳しいことは書類を見てください。まあ簡潔に言えば、"災害"が訪れますね。」
「"災害"か……天候は?」
「案の定、ここ最近は不安定。ただ言えることとして、一ヶ月も晴れの日がない。空の雲は消えていない。むしろ増えている。まっ、異常事態なのは間違いないけど。」
「ご苦労だった。引き続き調査にあたってくれ。」
「了~解っ。その前に、半日くらい休暇をもらってもいいかな~?まる二日はまともに休めてないんだ~。」
「あぁ、構わない。休憩も大事なことだ。」
「あざーすっ。」
マールドはドアを閉めずに自分の部屋に向かう。
「まったく、自由なものだ。」


「おや~?君がここに来るなんて……明日は大雪でも降るのかな~?」
「お前は私をなんだと思ってる?」
マールドの前からカトラリーが歩いてくる。
「いや~、だって君がここに現れるなんて滅多にないじゃ~ん?」
「はっ、たまに顔を見せるくらいで十分だろ?」
カトラリーはマールドの横を通り過ぎようとする。
「へぇ~、もしかしなくとも、顔を見せられない理由があるの~?」
カトラリーの足がピタリと止まる。
「お前、なんの真似だ?」
カトラリーはノコギリに手をかける。
「いや~、私は純粋な疑問をぶつけただけだよ~。」
「ふんっ、くだらない話に興味はない。私は急いでいる。」
「例えば~……呪法連合の幹部とか!」
カトラリーはマールドのほうを見る。マールドはふふんっ、と鼻を鳴らしている。
「なぜそう思った?私が顔を見せないからか?」
「そうだねぇ~。」
「ちっ、そんな根も葉もない根拠で私を疑うのか?だとしたら、流石に黙ってないぞ。」
カトラリーはノコギリの刃を見せる。
「ストップストップ!流石に証拠がなさ過ぎたね。」
カトラリーはマールドの様子を観察する。カトラリーはマールドのヘラヘラした態度に苛立ちを憶えるが、同時に、違和感も憶える。
「そういえば、お前は悲しいと思うときがあるのか?」
「ん?なんで急にそんなことを聞くんだい?」
「純粋な疑問だ。お前だって、私に聞いてきたんだ。」
「あぁ、そうだね。悲しいと思うときねぇ……流石にあるよ。」
カトラリーはマールドを少し警戒する。
「じゃあ……」
カトラリーは懐からクッキーの入った袋を取り出す。すでに何枚か食べてある。
「あ、それ私の。」
「すまんな。お前のとは知らずに食べてしまった。」
「大丈夫大丈夫。また買えばいいから。」
「そうか。」
カトラリーは袋をしまってマールドと別れる。
(あいつの言い方……"流石に"とはなんだ?それではまるで、私が「お前には悲しみの感情がない。」と言っているみたいじゃないか。それに、一瞬、目が泳いでいたな。何か隠しているのか?)
「どうやら、探りを入れる必要があるみたいだな。」


「はぁ……」
マールドは街中を1人で歩いている。
「どうした?疲れているのか?」
 建物の陰から男の声がする。
「流石にね~……まる二日休憩なしはキツかったよ~。」
「君にとある情報を持ってきた。さっき海を見てきたが、かなり荒れている。君の言う、"災害"が近いんじゃないのか?」
「災害ねぇ……起きてほしくないけど、この状況じゃあ、避けられそうにないねぇ。」
マールドは飲料水を取り出して一気に飲み干す。
「いつでも手は貸すけど?」
「いやいいよ~。今の君は、表に立つのは難しいでしょ~?」
「そうだよ。まっ、事件を解決すれば、そんなことはなくなるけど。」
男はマールドに背を向ける。
「どのみち、気をつけることだ。君を失うと、今後、大きな損失になる。」
「えぇ、わかってる。」
男の足音が徐々に遠くなっていく。
「おっと、もうこんな時間だ。早く戻って夕食だ~♪」
マールドは支部に向かって走り出す。


「んぁ?なんしてんだ?」
カトラリーは休憩室で一服する男性を見つける。
「カトラリー君か。君も休憩か?」
「いいや、ただ通りすがっただけだ。」
カトラリーは男性を不思議そうに見る。
「その顔……俺のことは知ってるだろ?」
「あぁ知ってるさ。イギリス支部最高管理者、
ハーベスト・マーダス。私の疑問は、あんたがなんでここでタバコを吸ってるかだ。」
「なんだそんなことか。1本いるか?」
「いらん。タバコは体に悪い。」
「へぇ、殺しに躊躇がない君は、タバコには興味がないのか。」
「体調崩して早死する気はねぇ。」
カトラリーは袋に入っているクッキーを食べきる。
「ここであったのも何かの縁だ。君の本名を教えてくれないか?」
「なんで教える必要がある?」
「知っておけば、今後役に立つかもしれないぞ?」
「だからって、簡単に教えるほど甘くねぇ。」
カトラリーは休憩室から出る。


「……いないのか?」
ソールはマールドの部屋のドアをノックするが、返事はない。
「あれ?もしかして待ってた?」
廊下からマールドが歩いてくる。
「ふむ、外出していたのか。君に伝えたいことがある。」
「言ってみて。」
「海が荒れている。先程、観測隊から入った情報だ。」
「あぁ……うん、わかった。調べておくね。」
マールドはそう言い残して部屋に入る。ソールはマールドの態度に違和感を感じる。
(やけに反応が薄い。知っていたのか?いや、彼女のことだ。何かしらの方法で入手したのだろう。おそらく、先程外出していたときに。)


「はあっ!」
 美桜は薙刀を振り下ろす。冬刹は棍でいなす。
(またいなされた。だけど、それはもう、何回も見た!)
美桜は薙刀を翻して、冬刹に向かって振り上げる。冬刹はわかっていたかのようにゆっくりと躱す。
「躱され……」
「隙っ……」
冬刹は美桜の態勢を崩す。美桜は正面から地面に倒れる。
「だいぶ上達した。だが、我には遠く及ばない。」
「痛てて……ふぅ……」
美桜は立ち上がって、山陰に消えようとする夕陽を見る。
「ここまでだ。早く山を下るといい。夜は危険だ。あと、真絶には、当分は山に人を入れるなと伝えておけ。」
「それはわかったけど……あんたは、何をそんなに焦ってるの?」
冬刹は夕陽から視線を逸らす。
「もう1つ伝言を頼みたい。」
「言ってみて。」
「もうじき……"竜"が現れる。」
「……竜?」
青と赤は顔を出す。
「うわっ、急に出てきた!」
「そいつは見たのか?」
「あぁ、やつは太平洋の上空を進んでいた。だがあの動き、誘われていると言ったほうがいい。やつを見つけた時、我はすぐに撤退したな。」
「誘われている?」
「何者かが竜をおびき寄せている可能性がある。我も向かうべきだか、先日、かなりの時間ここを開けていたからな。しばらくはここを離れることができない。」
「わかった。どこに向かってたとかはわかる?」
「おそらく……方角的にアメリカだ。」
「行くよ。」
美桜は青と赤をしまう。
「竜と戦うのか?」
「まぁ、放置することはできない。」
「先に言わせてもらうが、あの竜は危険だ。通常の竜なら貴様でも倒せるが、やつは特異の竜だ。他とはわけが違う。我が戦わなかった理由でもある。」
「それでも、戦わなきゃいけない。危険が迫ってるなら尚更よ。」
美桜は階段をたどって山を降りる。


「戻ったか。」
支部の建物の前で、3人が待機していた。
「彼の鍛錬はどうだった?……その様子では、何か伝言を受け取ったらしいな?」
「うん、しばらくは山に人を入れるなだって。」
「ははっ、それはいつものことだ。」
「あぁそれと、めちゃくちゃ重要なことを言うから。」
「ほぅ、続けてくれ。」
「太平洋上空を、特異の竜がアメリカに向かって進んでるらしい。」
「特異の竜、か。2人は明日にでもアメリカへと向かってくれ。祭鷹は悪いが、俺とここに残れ。」
「なぜですか?僕も向かったほうが、勝率が上がるはず。」
「彼女を疑うわけではないが、この情報が必ずしも正しいとは限らない。太平洋上空を進んでいる限り、竜がこちらに来る可能性も考えられる。その際、こちらが手薄では壊滅してしまうだろ?」
祭鷹は腰に手を立ててため息をつく。
「わかった。あなたがそう言うなら、僕はその指示に従うまでだ。」
「君たちに部屋を2つ用意しておいた。それぞれ好きな方を使いたまえ。」
「あぁ、助かる。」
2人は部屋の鍵を受け取り、部屋に向かってその場から去る。


「……風だ。」
玖羽はビルの屋上で夜風にあたっていた。
「あんたがここにいるなんて珍しい。明日は竜巻でも起こるの?」
椿が後ろから話しかける。
「夜風にあたるのはいつものことだ。それより、お前のプランはどうなってる?」
「今は何も言えない。でも私の予想が正しければ、あと数日で竜が現れるはず。」
「ほんとに竜が現れるのか?俺は何も感じないが…」
「えぇ、それが普通よ。だけど、空気が変。長い間、龍神と共に過ごしてきたからわかる。空気の中に、全てを切り刻む突風のような気配がある。この風も、その影響かもしれない。」
玖羽は風をつかもうとするが、案の定、風は指の隙間を通り抜ける。
「竜の被害はでてるのか?」
「今のところはない。でも、予兆が見え始めてる。例えば、海が荒れているとか、常に雲がかかっている。あとは、この風とか。」
玖羽は立ち上がって部屋に戻る。椿は屋上に端に座る。
「で、いつまでそこにいるわけ?」
「ふぅ、やっぱりバレるか。久しぶりだね。と言っても、1週間くらいかな?」
屋上の建物の陰からカーネリアがトランプをきりながら現れる。
「あんたはいつまで私につきまとうわけ?」
「つきまとうとは酷いな。それに、僕は君たちと敵対したいわけじゃない。竜を倒すのなら協力するよ。」
「必要ない。」
椿はカーネリアの親切を一蹴する。
「そうかい。まぁ、僕はしばらくこの街に滞在する。手を借りたくなったら、いつでも僕のところに来るといい。……見つけられればの話だが。」
カーネリアはビルの中へと進んでいく。

「へぇ、ずっと待っていたのかい?」
廊下を歩いていると、目の前に玖羽が立っていた。
「お前がやけにしつこいからな。……随分と余裕そうだな?」
カーネリアは先程から得意げな表情を浮かべている。
「別に。君を前にして余裕でいられる人間はまずいない。君には僕が余裕そうに見えるらしいけど、実際はかなり焦っているよ。」
「その言葉、一体どこまで信用できるんだ?」
玖羽はカーネリアから目を離さない。
「まさか、ここまで警戒されるとは……君は、僕を逃がす気はないな?これも彼女の命令かい?」
「さあな。どちらにせよ、お前をただで逃がす気は毛頭ない。」
玖羽は短剣を抜いてカーネリアに向ける。
「はぁ……僕は争う気はないけどなぁ。」
「大人しく観念しろ。俺から逃げられると思うな。」
「確かに、タイマンでは君に軍配がある。しかし、君は自身が標的(ターゲット)になっていることに気づいているのかい?」
「ターゲット……」
玖羽は自身の左にある窓に目を向ける。
(まさか…)
玖羽が窓から離れようとしたとき、窓ガラスを割って飛び込んできた弾丸により、短剣を弾き落とされる。
「ちっ、応援か……」
「早く隠れたほうがいい。今のは警告だ。」
「そんなん知るかっ!」
 玖羽は飛び出してカーネリアの襟を掴む。
「せっかく、警告してあげたのに……」
 次の瞬間、玖羽の脇腹を弾丸が貫通する。
「ぐっ……」
 玖羽は床に倒れ込み脇腹をおさえる。
「今の君なら、その程度なんの問題もないだろう?怪我が治ったら、僕を追ってくるといい。また、相手をしてあげるよ。」
カーネリアはその場からゆっくりと去って行った。カーネリアは歩いている最中、携帯を取り出して誰かに連絡する。
「彼はしばらくは動けない。ん?僕は何もしていないって?ははっ、君が狙撃しやすいよう、彼の気を逸らしてあげたじゃないか。」
電話越しの相手は何かを喋る。
「あぁ、彼女に手を出すのはやめておいたほうがいい。……なんでかって?自殺行為と同義だからだ。」
相手は納得すると電話切る。カーネリアは携帯をしまって窓を開ける。
「ここから飛び降りたらどうなるのやら……」     
カーネリアは窓から体を乗り出して下を見る。遥か下に地上が見える。カーネリアは窓枠に登ると、窓枠から跳んで地面に向かって落下する。
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