紡ぐ者

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【第22章 人智を超える者】

第2節 猶予

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「なっ?!」
裁判場に驚きの声があふれる。
「決闘だと……?ギルガラントと椿が……?」
天垣は今の状況に混乱している。
「あなたは椿が勝つと思っているのですか?」
「分からん。だが、椿のほうに勝算があるように思える。」
「あなたは推理力が弱いですね。……この勝負、おそらく五分五分と言ったところでしょう。」
「なぜそう言える?」
「椿の実力はあなたも知っての通り、規格外の強さを持っています。一方でギルガラントはと言うと、椿ほどではありませんが高い実力を有しています。そして、ギルガラントは椿に対して有利にでることがてきます。あの2人の相性は、椿のほうが不利というわけです。」
天垣は妙に納得する。アーロンドと共に、最も椿と行動してきたからかもしれない。
「では、決闘は1時間後に始める。それまでに準備を済ませておくように。」
「はいはい。行くわよ、玖羽。」
椿は被告席から玖羽を連れて離れる。廊下では、美桜が椿を待っていた。
「少し聞きたいことがある。」
「………場所を変えましょ。」
3人は人気のない部屋に入る。部屋に入るや否や、美桜は椿に寄り詰める。
「なんでその刀を持ってるの?それはロビンのものでしょ?」
「あぁ、そうだが?」
美桜は椿の襟を掴む。
「教えなさい。さっきからその刀に何をしていたの?」
「なんのことだ?」
「隠すな。あんたは裁判中、刀に何度も触れていた。その度にその刀の魔力が動いていた。何をしていたの?」
「教える必要があるのか?」
「早くしなさい。」
美桜は冷静さを保ちながらも、瞳の奥には怒りの感情がある。椿はいち早くそれに気づく。
「はぁ、教えてやる。」
椿は美桜を振り払うと、近くの椅子に腰掛ける。
「まずこの刀だが、これは私が打ったものだ。」
「は?」
美桜は言葉が思うように出てこない。
「この刀は、私が打ったものの中で最高傑作と呼べるものだ。だが、それはとてつもなく危険なものでもあった。」
椿は鞘から刀を抜く。
「この刀には、恐ろしい量の魔力が籠もっていたのだ。当然、打ち終えた直後に魔力は暴走した。私はなんとかその暴走を抑えたが、それにより私の家系の才能を知ることになった。」
「才能?」
「魔力を操る才能だ。」
「……魔道士なら普通じゃない?」
「本当にそうか?一度に大量の魔力や、暴走した魔力を制御できるのか?」
「うっ、それは無理……。」
「私は可能だ。その後私は、この刀を抜くことはなかった。唯一抜いたのは、九尾を刀に封印するときだけだ。」
美桜は1つ気になることができる。
「なんで九尾を封印したの?」
「答えは簡単、魔力を抑えるためだ。」
「そんな理由で俺は封印されたのか……。」
九尾は出てきた瞬間、ガッカリしたように大きなため息をつく。
「その刀を抜いたらどうなるの?」
椿の目に涙が浮かんだように見えた。
「分からない。ただ一度だけ、私は刀を抜こうとしたことがある。だが、私は刀を抜くことを躊躇った。その結果、悲惨な結果を招くことになったが……。」
「悲惨な結果?」
「200年も前のことだ。あんたが知る必要はない。」
椿は刀を鞘にしまう。
「というか、今抜いてたじゃん。」
「いや、さっきの状態は抜いたとは言えない。この刀の魔力は抑えてある。それを解いて鞘から抜いたときこそ、本当にこの刀を抜いたことになる。」
「抜く意志はあるの?」
「ないわけではない。だが、抜く勇気が持てない。」
椿は刀を腰にかけると、「外の空気に当たる。」と言い残して部屋から出る。



「うぅ……」
椿は雨にうたれるなか、刀に手をかける。
「……やめなさい。」
老人のか細い声が聞こえる。それを聞いた椿は刀を抜く力が弱まる。
「逃げろ……儂らのことは気にするな……。もう誰も助からない。せめて……お主だけでも……。」
椿はもう一度刀を抜こうとするが、頭の中に恐怖が溢れ出してくる。
(制御できなかったらどうするの?この刀を抜くとどうなるの?そもそも私は戦えるの?まず私は助かるの?)
椿は刀を抜くのが怖くなる。気づけば、その場から走り出していた。ただ生きることだけを考えて、必死に走り続けた。
 しばらく走り続けて空を見上げたとき、雲の隙間から日差しが差し込む。椿は村の様子が気になって引き返す。裸足で走ってきたため、足は傷だらけになっている。木片や石を踏むたび、足に痛みが走る。
「……酷い……。」
椿は村の状況を見て地面に膝から崩れ落ちる。建物はほとんど破壊され、人が生きた形跡はほとんど残されていない。瓦礫の隙間に老人の姿が見える。椿は瓦礫を持ち上げ、老人を救出する。
「戻ってこなくてよかったものを……。」
「だって……あのまま逃げたら、見殺しにしたみたいじゃん……。」
椿は涙を必死にこらえる。老人は椿の頭に手を置く。
「強く……なりたいのか?」
椿は無言で首を縦にふる。
「儂はしばらくは地上に残ることができる。お主を鍛えるくらいならできるじゃろう。」
老人は手に魔力を集める。
「じゃが、儂が教えられるのは魔力の扱いだけじゃ。刀に関しては、申し訳ないが自分で鍛えてくれ。」
老人は立ち上がってどこかへ向かって歩き出す。椿は老人の後ろを追う。



「………。」
椿は刀に視線を落とす。
「…………恐怖、か。」
(恐怖を克服したとき、人間はどうなるのだろうか……。更に強くなる?恐れるものがなくなる?)
椿は空を見る。
「………どれも違うな。……私は、その答えが知りたいのかもしれない。」
椿は胸に手を当てる。鼓動は何かを知らせるように、大きく鳴っていた。



「なんだ?」
ブレインは受話器を手に取る。電話越しに少女の声が聞こえてくる。
「ちょいちょいちょい!魔獣の量がヤバいって!応援をこっちにくれない?」
「君の実力なら問題ないと思うが?」
「あ、そうだったそうだった。神呪の律令を使えばいいんだ。」
「別にそれを使えと言っているわけではな……」
少女はブレインの話を聞くまもなく電話を強引に切る。
「私の好きなことは遊ぶこと。趣味も遊ぶこと。得意なことも遊ぶこと。そして私の力は遊ぶこと。さぁさぁ、君たちは私の遊び相手になってくれる??」
少女の鞭が呪いの力で満たされる。少女が鞭を振ると、魔獣の下から巨大な鳥が飛び出して魔獣を蹴散らす。
「やりー!」
鳥は小さくなって少女の肩に止まる。
「うーん、やっぱり弱かったかー。まっ、力を使ったらの話だけど。」
少女は鳥を撫で、餌を与える。鳥は餌を見るやいなやすぐに食らいつく。
「おっとっと、がっつきすぎじゃない?」
鳥は少女に顔を擦りつける。
「もぉー、ほんっとに私のことが好きねー。じゃーあー、ちょーっとお願いしちゃおっかな~。」
鳥は大きくなり少女は背中に飛び乗る。少女を乗せた鳥はどこかに向かって飛び去る。



「やぁ参謀。君の妹が呼んでるよ。」
ブレインはパソコンの電源を切ってカーネリアの後ろを歩く。
「僕の横を歩きたくないのかい?」
「並列で歩けば邪魔になるだろう?」
「なるほどねぇ。参謀だから、そこまで考えて行動するのかい?」
「なんとなくだ。」
気づけば、ユニウェルの部屋の前についた。
「入るぞ。」
ブレインはドアをノックする。ユニウェルは傷口を抑えながらドアを開ける。
「……早いな。」
「妹の頼みだから、だろ?」
「私の言葉を代弁するな。それに、内容も全て違う。」
カーネリアは笑いながら部屋から出る。
「で、私になんのようだ?」
「もうすぐフレイリアが戻ってくるらしい。」
「フレイリアか。彼女から先程連絡があった。魔獣を倒すために応援をくれとの内容だったが、どうにかなっただろう。神呪の律令のことを思い出したようだしな。」
「なんで忘れてんだ……。」
ユニウェルは水を飲む。机の上にはかなりの数のペットボトルが置いてある。
「飲み過ぎじゃないか?」
「これぐらいが丁度いい。」
「もういいか?私はまだ仕事が残っているのだが。」
「まだ頼みを伝えてない。」
「はぁ、頼みとはなんだ?」
「フレイリアをこの部屋に入れるな。」
「……わかった。だが、自由人のあいつのことだ。予想外のことをしてくるかもしれない。そのときは悪いが、侵入を許すことになる可能性がある。」
「ふんっ、わかってる。」
ブレインは部屋から出る。ドアを閉めて振り返った瞬間、自身の足元にいる少女の姿が目に映る。
「あ、見つかっちゃった。」
ブレインは少女を掴んで持ち上げる。
「わあっ?!」
「もう戻ってきたのか、フレイリア。」
「えへへ、会いたかったでしょ~?」
「別に。」
ブレインはフレイリアを床に落とす。
「いったいな!もぉーっ!」
フレイリアが騒いでいると、部屋からユニウェルが飛び出してくる。
「うーるーさーいーっ!!!」
ユニウェルを見た瞬間、フレイリアはその場から全速力で逃げ出す。ユニウェルは2つのエアガンを取り出してフレイリアを追いかける。
「怪我が治るのはまだ先だな……。」
「お前も大変だな、参謀さん。」
1人の男が話しかけてくる。
「いつ戻って来た?」
「ついさっきだ。」
男は椅子に座って足を組む。
「魔道士の様子は?」
「どうやら、裁定者ギルガラントと神宮寺 椿が決闘をするらしいぜ。」
「お前の上司には何も言われなかったのか?」
「あの人は俺を信頼しきってるみたいだからな。3日くらい消えたとしても何も言わない。」
ブレインは椅子に座り腕を組む。
「ちなみに、今のところは全て順調なのか?」
「あぁ。決闘が終わるくらいに、奴が現れるだろう。」
「結構前から言ってるけど、奴って誰のことだ?」
「それはグレイ・ローズに聞いてくれ。私は奴について話すつもりはない。」
男は立ち上がって服装を整える。
「わかったわかった。んじゃっ、俺はこれで。」
男はその場をあとにする。
(まったく、何を考えているのか分からないな。)


「……なんのよう?」
グレイ・ローズが振り返ると、男がこちらに疑問をぶつけたそうな顔をして立っていた。
「…戻ってきたんだ。」
「ちょっと時間ができたからな。……さて、話してもらうぜ。」
男はグレイ・ローズに近づく。
「参謀のブレインが言っている、"奴"とはなんだ?」
「"奴"、か。」
グレイ・ローズは話すべきか迷っているように見える。
「お前はそれを知って、どうするつもりだ?」
「さあな。内容によるんじゃないか?」
「内容次第、か。…………今は私たち2人だけか。」
グレイ・ローズは床に杖を立てる。すると、床に魔法陣が現れ、2人を囲う。
「なんだ?!」
「これで外へ声が聞こえることはない。お前の要望通り、奴について話そう。」
男は唾を飲む。
「奴について話す前に、悪魔について話そう。」
グレイ・ローズは男の周りを円を描くように歩き出す。
「かつて、この世界は貴族たちの手によって支配されていた。そして、つの事件をきっかけに、ニグレードは10体の悪魔を生み出した。10体の悪魔は人間を超える絶大な力を秘めており、それぞれが独自の能力を持っていた。呪い、腐食、心、竜、破壊、災い、疫病、時空、夢、そして死だ。」
「呪い……呪いはグリモワールの力で間違いないか?」
「あぁ。あと、悪魔には序列がある。先程言った能力は、全て昇順だ。」
「昇順……グリモワールは悪魔の中では最弱だったのか。」
「"悪魔の中で"、だ。」
「この10体の中にお前らが言う、"奴"がいるのか?」
「そうだ。それと、私は奴と一度遭遇している。」
「なぜ先に言わないんだ?」
「思い出したくないからだ。」
男はグレイ・ローズの手が少し震えているように見えた。
「奴は死を司る悪魔だ。」
「死の悪魔……一番最後に言っていたということは、序列ではトップというわけか。それが現れるのか?」
「その可能性が高い。」
「あいつらに伝えるべきか?」
「いや、それでは混乱を招くだけだ。そうなると奴らが好き放題できてしまう。」
「ちっ、面倒だな…。」
男は腕時計に視線を落とす。
「タイムオーバーだ。俺はもう行くぜ。」
「待て。」
グレイ・ローズは男を呼び止める。
「なんかあるのか?」
「お前も気づいているだろう?せっかく幹部が全員揃ったんだ。少し世間話でもしよう。」
グレイ・ローズは男をエントランスへと連れて行く。エントランスにはすでに他の幹部ちが集まっていた。
「全員揃ったね。しかしいつぶりだろう……。こうやって、僕たちが顔を揃えるのは。」
「ロイヤル……。お前は相変わらず、そのトランプを持ち歩いているんだな。」
カーネリアは男にトランプを1枚渡す。
「君はこれが好きなんだろう?」
トランプはスペードのエースだった。
「ふんっ、憶えているとはな。」
男はトランプをカーネリアに返す。
「で、殺戮者(スローター)。お前は何があったんだ?」
男はユニウェルのほうを見る。
「それは私も気になる。教えて教えて!」
フレイリアは厚かましい態度でユニウェルに聞く。
「ちっ、黙……れっ!」
ユニウェルはフレイリアにかかと落としをする。フレイリアは股の下をくぐってユニウェルから逃げる。
「お前……。殺す!」
ユニウェルはフレイリアを追いかける。
「さっきからずっとこんな感じなんだ。怪我が治るのはいつになるのやら……。」
「俺にはフリーダムが悪いように見えるが?」
「君はほんとに、コードネームで呼ぶのが好きだね。コードネーム自由の遊人(フリーダムプレイヤー)、本名フレイリア。君はこういうふうに憶えているのかい?」
「ただのクセだ。」
「またか……。」
2人の後ろからブレインが音もなく現れる。
「急に出てくるな。………またかとはどういうことだ?」
「あの2人の喧嘩だ。仲裁をしてくる。」
ブレインは足音を立てながら2人に近づく。
「大人しく……しろっ!」
ユニウェルはフレイリアに向かって弾丸を降り注がせる。フレイリアは鳥に乗って弾丸の隙間を通り抜ける。
「当たらないねぇ。」
(こいつっ……)
「そこまでだ。」
ブレインは2人の間に割って入る。
「今は仲間同士で揉めている場合ではない。ユニウェル、武器をしまえ。フレイリア、お前はすぐに人を煽るな。」
ユニウェルはすんなりと武器をしまい、フレイリアは鳥の後ろに隠れる。
「これからのお前たちの行動について話す。なるべく簡潔に伝えるつもりだ。聞き逃すなよ?」
「はいはい、早く教えてくれ。」
「まずはロイヤル。お前はフランスに戻れ。」
「おいおい……、僕に死ねって言ってるのかい?」
「お前が戻ったとしても、殺されることはないだろう。そもそも、お前は死なないはずだ。」
「そうだったそうだった。うっかり忘れてたよ。」
「スローター、お前はしっかり療養をしろ。」
「その前にこいつをボコボコにしたいんだが?」
「頼むから完治してからにしてくれ。」
ユニウェルはフレイリアを睨みつけてから部屋に戻る。
「フリーダム、お前は各地の偵察を行ってくれ。悪魔を見つけたとしても、絶対に手を出すなよ?」
「はいはい、負けるとわかってる戦いに興味はありませ~ん。」
フレイリアは鳥の背中で寝転がる。
「そしてトランス。お前は………、行ったか。」
「彼にはなんて言おうとしたんだい?」
「元の場所に戻れと言うつもりだったが……。」
「それなら、さっき本部に向かうと言っていたよ。」
「はっ、私の考えはお見通しというわけか。」
「君とは、最も付き合いが長いからかい?」
「それもあるだろう。」
ブレインはグレイ・ローズのほうを見る。グレイ・ローズは静かに首を縦にふる。
「では、何も起こらないことを祈る。」
ブレインはグレイ・ローズと共に姿を消す。残ったカーネリアとフレイリアは互いに視線を合わせる。
「どうするの?」
「僕は指示に従うさ。君はどうするんだ?君は命令無視が最も多いからね。」
「う~ん、とりあえず………、飛びまくる!」
フレイリアは鳥に乗って窓から飛び出す。カーネリアはその様子を唖然としながら見ていた。
「それじゃあ、僕も向かうとするか。……フランスのみんなは、一体どんな反応をするのやら…。」
カーネリアはコツコツと足音を立てながら建物から出る。



「はぁっ……はぁ………。」
インザードは肩で息をきる。目の前には1人の青年が立っている。その後ろで、魔獣が命令を持つように待機している。
「誰だ……お前は!」
青年はインザードを視界から外さずに、ただジッと見つめているだけだった。
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