コンサルティング会社を作ってみよう

小賀 いちご (いちご)

文字の大きさ
30 / 53

30

しおりを挟む
おじさんは危険性がある事を認識していないので、もう一度説明した方が良いのか検討していると、おじさんから心配ないと言われてしまった。わたしはその根拠がどこからその自信がくるのか説明してもらいたかったが、リサの両親はその辺には興味がない様だ。続きに気持ちが向いている。



「部屋に持っていかないでどうするの?」

「例えばですが、お湯を用意できる近くに簡単な場所を用意するとかですかね?宿屋の中を見ていないので場所の用意ができるかはわかりませんが、場所を一つにすることでタオルの集配の手間を減らすことが出来ます」

「確かにそうね。場所が一つなら全部そこに用意するだけで助かるわ」

おばさんは利点に納得してもらえたみたいだ。ただ、場所が用意できるかは別問題になるし、ほかの事もある程度目安を決めたから場所は検討した方が良いと思う。

「場所もですが、洗面器やタオルの数はどうしますか?数の検討は必要だと思います。この辺は経費に直結するので大事だと思いますが」

「そうね、部屋分用意するべき?余っても乾かなかったときに使えば問題ないし。ダメになったら掃除に使えばいいもの。無駄にはならないと思うわ」

「確かにそうですね。始めに購入資金はかかりますが後の使用方法まで考えているなら問題ないと思います。収納場所はありますか?」

「大丈夫よ。シーツを入れるところに入れれば入るわ」

「なら、そこは問題ないとして。場所とお湯を入れる容器の問題ですね。洗面器にするのかピッチャーに用意して、お湯を捨てるものも用意するのか、バケツにするか。どうしますか?」

「お湯をたくさん用意するのも沸かすのが大変だから洗面器にするかな?でも運ぶのが危ないような気がするしね」

「それなら、部屋が用意できればそこにワゴンで運べばどうでしょうか?こぼすことも少ないかもしれません。籠を用意してタオルを入れてもらえば簡単だと思いますし」

「そうなると場所の問題になるな」

おじさんは黙って話を聞いていたが、一つの部屋で完結する方を選びたいようだ。人間、誰しも楽が出来るなら楽をしたいものだと思う。わたしも同意見なので否定はしない。わたしはおじさんたちの意見に同意をしながらお兄さんを盗み見る、何を考えているのだろうか。お兄さんは黙っては話を聞いているだけだ。反応は薄く、何を考えているか分からない。

見ているだけでは埒が明かないので、思い切って話を振ることにした。

「お兄さん。お兄さんはどう思いますか?お兄さんも一緒に働くんです。考えを聞けたら嬉しいです」

「いいんじゃないかな?」

お兄さんは当たり障りのない返事だ。どちらとも取れる返事でなんとも言えない。それを聞いていたおばさんが助け舟のつもりなのか口を挟んでくる。

「昨日話をしたときに、宿屋に着いたときにサッパリできる方が良いとこの子も行ってたのよ。ねえ」

最後の一言はお兄さんに向けられている。お兄さんの意見を肯定しているようで、その実何も言わせていない。

なんだろう?わたしは居心地の悪さを感じていた。お兄さんの発言を封じていい子に仕立てているような感じがする。もう一度水を向けても同じ結果が待ち構えているのは間違いない。わたしは様子を見ながらお兄さんが一人の時に話を聞くことにした。

おじさんたちに向けて具体策を用意するが、この後は宿屋の中を見せてもらった方がよさそうだ。

「おじさん、具体的な数字を決めるのも大事ですが、場所の検討を済ませてから決めましょう。その方が無駄が省けると思います」

わたしの意見に全員同意してもらえたので、宿屋の中をチェックさせてもらえることになった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

貴族令嬢、転生十秒で家出します。目指せ、おひとり様スローライフ

ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞にて奨励賞を頂きました。ありがとうございます! 貴族令嬢に転生したリルは、前世の記憶に混乱しつつも今世で恵まれていない環境なことに気が付き、突発で家出してしまう。 前世の社畜生活で疲れていたため、山奥で魔法の才能を生かしスローライフを目指すことにした。しかししょっぱなから魔物に襲われ、元王宮魔法士と出会ったり、はては皇子までやってきてと、なんだかスローライフとは違う毎日で……?

中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています

浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】 ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!? 激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。 目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。 もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。 セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。 戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。 けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。 「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの? これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、 ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。 ※小説家になろうにも掲載中です。

不倫されて離婚した社畜OLが幼女転生して聖女になりましたが、王国が揉めてて大事にしてもらえないので好きに生きます

天田れおぽん
ファンタジー
 ブラック企業に勤める社畜OL沙羅(サラ)は、結婚したものの不倫されて離婚した。スッキリした気分で明るい未来に期待を馳せるも、公園から飛び出てきた子どもを助けたことで、弱っていた心臓が止まってしまい死亡。同情した女神が、黒髪黒目中肉中背バツイチの沙羅を、銀髪碧眼3歳児の聖女として異世界へと転生させてくれた。  ところが王国内で聖女の処遇で揉めていて、転生先は草原だった。  サラは女神がくれた山盛りてんこ盛りのスキルを使い、異世界で知り合ったモフモフたちと暮らし始める―――― ※第16話 あつまれ聖獣の森 6 が抜けていましたので2025/07/30に追加しました。

置き去りにされた転生シンママはご落胤を秘かに育てるも、モトサヤはご容赦のほどを 

青の雀
恋愛
シンママから玉の輿婚へ 学生時代から付き合っていた王太子のレオンハルト・バルセロナ殿下に、ある日突然、旅先で置き去りにされてしまう。 お忍び旅行で来ていたので、誰も二人の居場所を知らなく、両親のどちらかが亡くなった時にしか発動しないはずの「血の呪縛」魔法を使われた。 お腹には、殿下との子供を宿しているというのに、政略結婚をするため、バレンシア・セレナーデ公爵令嬢が邪魔になったという理由だけで、あっけなく捨てられてしまったのだ。 レオンハルトは当初、バレンシアを置き去りにする意図はなく、すぐに戻ってくるつもりでいた。 でも、王都に戻ったレオンハルトは、そのまま結婚式を挙げさせられることになる。 お相手は隣国の王女アレキサンドラ。 アレキサンドラとレオンハルトは、形式の上だけの夫婦となるが、レオンハルトには心の妻であるバレンシアがいるので、指1本アレキサンドラに触れることはない。 バレンシアガ置き去りにされて、2年が経った頃、白い結婚に不満をあらわにしたアレキサンドラは、ついに、バレンシアとその王子の存在に気付き、ご落胤である王子を手に入れようと画策するが、どれも失敗に終わってしまう。 バレンシアは、前世、京都の餅菓子屋の一人娘として、シンママをしながら子供を育てた経験があり、今世もパティシエとしての腕を生かし、パンに製菓を売り歩く行商になり、王子を育てていく。 せっかくなので、家庭でできる餅菓子レシピを載せることにしました

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

『異世界に転移した限界OL、なぜか周囲が勝手に盛り上がってます』

宵森みなと
ファンタジー
ブラック気味な職場で“お局扱い”に耐えながら働いていた29歳のOL、芹澤まどか。ある日、仕事帰りに道を歩いていると突然霧に包まれ、気がつけば鬱蒼とした森の中——。そこはまさかの異世界!?日本に戻るつもりは一切なし。心機一転、静かに生きていくはずだったのに、なぜか事件とトラブルが次々舞い込む!?

掃除婦に追いやられた私、城のゴミ山から古代兵器を次々と発掘して国中、世界中?がざわつく

タマ マコト
ファンタジー
王立工房の魔導測量師見習いリーナは、誰にも測れない“失われた魔力波長”を感じ取れるせいで奇人扱いされ、派閥争いのスケープゴートにされて掃除婦として城のゴミ置き場に追いやられる。 最底辺の仕事に落ちた彼女は、ゴミ山の中から自分にだけ見える微かな光を見つけ、それを磨き上げた結果、朽ちた金属片が古代兵器アークレールとして完全復活し、世界の均衡を揺るがす存在としての第一歩を踏み出す。

処理中です...