幼なじみ彼女と俺の距離

茜色蒲公英

文字の大きさ
8 / 14

回避不能な願い事

しおりを挟む
静音が持ってきただっこに借りたであろう官能小説を読んでいるところを見られてしまいビンタされせっかくの食事が気まずくなっている。
何か話題を出そうと、謝ろうとしたが一喝されてしまい外からの音のみが部屋に流れる。

「ごちそうさまでした」

静音は食べ終えると布団のある部屋に行き、襖を締めてしまった。
来ている浴衣から普段着に着替えるのだろう。
俺ものんびりしていられないと急いでご飯をかき込み味噌汁で流す。
食べ終わり食器を片付けて普段着に着替え終わっても襖はまだ開かず、少し待つと襖は開いた。

「静音、さっきはすまない」

「何を」

冷ややかな声だった。
恋愛シュミレーションで例えるなら好感度がマイナスにいってしまっている。
ここで「いや、なんでもない」と言おうものなら一ヶ月は話してくれないだろう。

「ブックカバーをしている小説を勝手に読んでしまったことだ。なんでも言うことを聞くから許してくれないか?」

「なんでもって…なんでも?」

「ああ。許してくれるのだったらなんでもする」

「……分かった」

許してもらえたのかそうでないのかは分からず、旅館を出て家に帰った俺達。
俺から「なんでも」とは言ったが静音のことだから無茶なことは言わないだろう。
せいぜい「この本を勧めるから読んで欲しい」だとか「図書館に一緒に行きたい」と俺のできないことは言わないはず。
…が、しかしその考えは家に帰ってきてすぐに打ち砕かれることとなった。

「ただいまー」

俺と静音はそれぞれの家に帰り駅で買ったお土産を母さんに渡すと俺はソファに座りこんだ。
スマホの電源を入れると午後一時。移動に時間がかかって途中昼飯も食べていなかったので腹が鳴る。

「何か作るか…」

「何も食べてないの?冷凍のチャーハンならあるけど」

「助かる」

レンジで温めていると静音からメッセージが届いた。

『なんでも言うこと聞いてくれるって言ってたけど』

『それがどうかしたのか』と返信。

『お母さんに何がいいか聞いてみたら学校で一緒にご飯を食べるのはどうかだって』

俺と静音はクラスが別で俺はいつもだっこと昼飯を食べている。
静音も友達と食べているみたいだが一緒にいる理由もいない理由も特にはない。

『いいんじゃないのか』と返信をするとチャーハンが温め終わり、一旦スマホを置いた。

「どう?旅行は楽しかった?」

「楽しかった…というよりはゆっくりできたな。人が少ないから人ごみで疲れるような事もなかった」

「それは良かった。休みが全員被れば行けるんだけどねぇ…あっ、そうそう。静音ちゃんとはどこまで進んだの?」

「進んだって何がだ?」

「そりゃ恋の進展に決まってるじゃない。やるところまでやったんじゃないの?」

「一緒に風呂入ったくらいでほかは何もなかった」

「えぇ~つまんない。でも一緒に寝たりはしたでしょ」

「ああ。布団くっつけてきたりしてきてな。まさか静音のお母さんが教えたのか…」

「あの人そんなガンガンする人じゃないでしょ。静音ちゃんと付き合ってからあの子積極的になってるみたいだし男のアンタからもそろそろ仕掛けたほうがいいんじゃない?」

男としてか。
そうは言われても静音が彼女になるまで同世代の女子と絡んだことがほとんどない俺に知識などない。
せいぜいプリントを後ろに回したり伝言ぐらいで話らしい話は皆無に近い。
なのでネットに頼るしかない俺は「デート 誘い方」などで調べてみるがお前ら何回「そういう」経験をしてきたんだと言いたくなるような誘い方しか書いておらず参考になりそうにない。
やはり異性との付き合いは経験しかないのだろうか。
だとすると世の中の男性は精神が強すぎるだろう。別れたけど次があると心を入れ替えるには俺だったら数年かかる自信がある。
告白されたからそこまで好きじゃないけれど付き合ってあげてそこまでいい相手じゃなかったから別れたとなれば後ろから包丁で刺されかねない。
静音から刺されるところを想像していると持っていたスマホに着信が入る。相手は静に借りたであろう官能小説を読んでいるところを見られてしまいビンタされせっかくの食事が気まずくなっている。
何か話題を出そうと、謝ろうとしたが一喝されてしまい外からの音のみが部屋に流れる。

「ごちそうさまでした」

静音は食べ終えると布団のある部屋に行き、襖を締めてしまった。
来ている浴衣から普段着に着替えるのだろう。
俺ものんびりしていられないと急いでご飯をかき込み味噌汁で流す。
食べ終わり食器を片付けて普段着に着替え終わっても襖はまだ開かず、少し待つと襖は開いた。

「静音、さっきはすまない」

「何を」

冷ややかな声だった。
恋愛シュミレーションで例えるなら好感度がマイナスにいってしまっている。
ここで「いや、なんでもない」と言おうものなら一ヶ月は話してくれないだろう。

「ブックカバーをしている小説を勝手に読んでしまったことだ。なんでも言うことを聞くから許してくれないか?」

「なんでもって…なんでも?」

「ああ。許してくれるのだったらなんでもする」

「……分かった」

許してもらえたのかそうでないのかは分からず、旅館を出て家に帰った俺達。
俺から「なんでも」とは言ったが静音のことだから無茶なことは言わないだろう。
せいぜい「この本を勧めるから読んで欲しい」だとか「図書館に一緒に行きたい」と俺のできないことは言わないはず。
…が、しかしその考えは家に帰ってきてすぐに打ち砕かれることとなった。

「ただいまー」

俺と静音はそれぞれの家に帰り駅で買ったお土産を母さんに渡すと俺はソファに座りこんだ。
スマホの電源を入れると午後一時。移動に時間がかかって途中昼飯も食べていなかったので腹が鳴る。

「何か作るか…」

「何も食べてないの?冷凍のチャーハンならあるけど」

「助かる」

レンジで温めていると静音からメッセージが届いた。

『なんでも言うこと聞いてくれるって言ってたけど』

『それがどうかしたのか』と返信。

『お母さんに何がいいか聞いてみたら学校で一緒にご飯を食べるのはどうかだって』

俺と静音はクラスが別で俺はいつもだっこと昼飯を食べている。
静音も友達と食べているみたいだが一緒にいる理由もいない理由も特にはない。

『いいんじゃないのか』と返信をするとチャーハンが温め終わり、一旦スマホを置いた。

「どう?旅行は楽しかった?」

「楽しかった…というよりはゆっくりできたな。人が少ないから人ごみで疲れるような事もなかった」

「それは良かった。休みが全員被れば行けるんだけどねぇ…あっ、そうそう。静音ちゃんとはどこまで進んだの?」

「進んだって何がだ?」

「そりゃ恋の進展に決まってるじゃない。やるところまでやったんじゃないの?」

「一緒に風呂入ったくらいでほかは何もなかった」

「えぇ~つまんない。でも一緒に寝たりはしたでしょ」

「ああ。布団くっつけてきたりしてきてな。まさか静音のお母さんが教えたのか…」

「あの人そんなガンガンする人じゃないでしょ。静音ちゃんと付き合ってからあの子積極的になってるみたいだし男のアンタからもそろそろ仕掛けたほうがいいんじゃない?」

男としてか。
そうは言われても静音が彼女になるまで同世代の女子と絡んだことがほとんどない俺に知識などない。
せいぜいプリントを後ろに回したり伝言ぐらいで話らしい話は皆無に近い。
なのでネットに頼るしかない俺は「デート 誘い方」などで調べてみるがお前ら何回「そういう」経験をしてきたんだと言いたくなるような誘い方しか書いておらず参考になりそうにない。
やはり異性との付き合いは経験しかないのだろうか。
だとすると世の中の男性は精神が強すぎるだろう。別れたけど次があると心を入れ替えるには俺だったら数年かかる自信がある。
告白されたからそこまで好きじゃないけれど付き合ってあげてそこまでいい相手じゃなかったから別れたとなれば後ろから包丁で刺されかねない。
静音から刺されるところを想像していると持っていたスマホに着信が入る。相手は静音だ。

「俺だ。どうした?」

「さっき言った何でも一つ言っていいってやつなんだけど…お母さんがいいって言ったから一週間こっちの家に泊まってほしい…え?何お母さん。一か月?」

まずい。非常にまずい。俺の想像力が足りなかった。
静音一人で考えていると思ったがまさか親に相談しているとは思わなかった。

「じゃあそういうことだから…明日から一か月私の家に泊まりに来て」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

貴方を愛することできますか?

詩織
恋愛
中学生の時にある出来事がおき、そのことで心に傷がある結乃。 大人になっても、そのことが忘れられず今も考えてしまいながら、日々生活を送る

偽装夫婦

詩織
恋愛
付き合って5年になる彼は後輩に横取りされた。 会社も一緒だし行く気がない。 けど、横取りされたからって会社辞めるってアホすぎません?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

解けない魔法を このキスで

葉月 まい
恋愛
『さめない夢が叶う場所』 そこで出逢った二人は、 お互いを認識しないまま 同じ場所で再会する。 『自分の作ったドレスで女の子達をプリンセスに』 その想いでドレスを作る『ソルシエール』(魔法使い) そんな彼女に、彼がかける魔法とは? ═•-⊰❉⊱•登場人物 •⊰❉⊱•-═ 白石 美蘭 Miran Shiraishi(27歳)…ドレスブランド『ソルシエール』代表 新海 高良 Takara Shinkai(32歳)…リゾートホテル運営会社『新海ホテル&リゾート』 副社長

25年の後悔の結末

専業プウタ
恋愛
結婚直前の婚約破棄。親の介護に友人と恋人の裏切り。過労で倒れていた私が見た夢は25年前に諦めた好きだった人の記憶。もう一度出会えたら私はきっと迷わない。

俺の可愛い幼馴染

SHIN
恋愛
俺に微笑みかける少女の後ろで、泣きそうな顔でこちらを見ているのは、可愛い可愛い幼馴染。 ある日二人だけの秘密の場所で彼女に告げられたのは……。 連載の気分転換に執筆しているので鈍いです。おおらかな気分で読んでくれると嬉しいです。 感想もご自由にどうぞ。 ただし、作者は木綿豆腐メンタルです。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

処理中です...