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リボフラの城下町
盗賊達との戦い
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宿に泊まったその翌日、機嫌の悪い隆とリトスは言葉を交わすことなく宿を出た。
(きまずい)
宿での喧嘩は結局二部屋に分かれ、血に塗れたロビーの掃除は早く決めなかった隆の責任となって隆がすることになった。
隆の機嫌の悪さは手持ちの金が少なくなったこともあるが、何より隆が不死身なことを逆手にとって喧嘩気分で殺してくるリトスが許せなかった。
一方でリトスは寝不足だった。
部屋に入ってラルアに着替えを手伝ってもらえたところまでは問題はなかったのだが、部屋に一つしかベッドがないことに気づいた二人がどうにかしてコミュニケーションを交わしていたら夜が開け始めていた。
「ね、眠い…ねぇラルア、この近くに水場ない?」
リトスがそう聞くとラルアは首を振って裾を三回引っ張る。
「無いのかぁ…ふわぁ…」
道端で寝るわけにもいかず、大きなあくびをするリトス。
街の外に出た三人は早速アジトに向かうことにした。
その途中で手配犯の手下らしき盗賊が男女合わせて五人の声がリトスの耳に入り、ラルアに身を隠す合図をして岩場に身を潜めた。
「聞いてくれよ、この前俺が襲った商人宝石商だったんだよ!」
「聞いたぞ。ジャック、その話何回目だ?少なくともこのウェンは五回程聞いたぞ」
「そうそう、それならアタイだってこの前用心棒連れた宝石商殺したもん」
「おいおい、その話だって数ヶ月前だろ?低レベルの争いは醜いな」
「そういうあなたは…ここ数ヶ月何も盗ってない…」
何も分からない隆はそのまま見えてくる盗賊に気づかれ、対峙してしまった。
「なんで…突っ立ってるの…」
黒く染められた人形を抱え、顔を長い髪で隠された少女がニヤリと笑う。
「しらねーよ、仲間がお前らに気づいて隠れたんだけど俺に教えてくれなかったんだよ」
「それって仲間っていうのか…?まぁ俺らに気づいて隠れたってことはアタイらのことをおおよそ分かってんでしょ?なら出す物出しなよ」
「へっ、誰が出すかよ!」
袋から手甲を取り出して装備する隆。
盗賊達はその装備に驚き、目を輝かせた。
「ダマスカス鋼の手甲か!これは売れば高いぞ!」
「絶対…切り落とす…!」
武器をそれぞれ構える盗賊に思わず怯む隆。
それもそのはず、隆史の狙いは武器を見せつけて相手をビビらせることが目的だったのだ。
「おいお前ら!一対五は無理だから助けてくれ!」
隆が岩に向かって叫ぶと雑草と土を丸めた手のひらサイズの団子が飛んできた。
(がんばれ)
「頑張れじゃねーよ!こんな泥団子でどうやって戦えっつーんだよ!」
「知らない。私達の居場所バラして不意打ちはできなくなるし、ラルアに朝食もあげないような男は知らない」
「お前ら…ああ分かった!俺一人でやってやるよ!」
やけっぱちになって大きな斧を持った男に殴りかかる隆。
「ふん、仲間に見捨てられるとは哀れだな」
斧を縦に振り、隆は斧が頭上に来たことを察すると体を捻らせて拳を振り上げて跳ねる。
すると斧が大きな音を立てて砕け、男の手には木の棒だけが残った。
「どうだ!名づけて『アッパーブレイク』だ!」
「凄い…ダマスカス鋼の中でもさらに硬い部類のやつだ…」
「うむ、小生の斧は砕けてしまったから相当な代物だろう。だが今の動きで素人だとわかった。後は任せた」
「「「言われなくても!」」」
人形を持った少女以外が隆を囲い、隆は三方向から狙われうことになった。
「一人はブーメラン、一人は鉤爪、一人は剣か…あのガキが気になるな」
「よそ見とは余裕だね!」
素早く走って来て剣で腹を突き刺された隆。
しかし隆は「痛えじゃねえか!」と言って角の生えた男の顔面を正面から殴り、腹に刺さった剣を引き抜いて壊した。
「あーックソ、慣れねえな。あいつに切り刻まれたから少しは慣れてるとは思ったんだけどな」
「なにコイツ…刺されたのに普通に立ってるんだけど」
「どうせ痩せ我慢だろ!おらぁ!」
鉤爪を着けた男が背後から襲い掛かり、今度は背中に刺さった。
「いってえなぁ!!」
裏拳をしようと体を回転させるが、その前に引き抜かれる。
「へっ、そんな襲い拳が当たるわけないだろ?ほら!そこに隠れてるお仲間さん!早くしないとこの男死んじゃうぞ!」
「そうね。死んでくれれば私も村に帰れるんだけど…死なないのよ、そいつ」
「えっ?」
「避けろペルタ!」
「ドラァ!」
リトス達の方を見ていた男は殴りかかっていた隆に気づかず、岩に向かって殴り飛ばされてしまった。
「ちっ、こんな戦い方じゃ身が持たねえな…」
男を殴り飛ばした隆の体の傷は既に治り、来ていた服も再生していた。
「こいつ…ただのヒューマンじゃない…」
「アスモディアン寄りのヒューマンか。ならウールの出番だろう」
「うん…『カースティグラビティ』」
「ぐわっ!?体が…!!」
人形を持った少女が呪文を唱えると人形が黒く光って隆の体が地面に沈みかけ始めた。
「うまく…立てねえ…まるで重力が数倍になったみてえだ…」
「ご名答…だけど惜しい…答えは重力十倍…」
「ナイスウール!で、これからどうするの?アタイがブーメラン投げても重力で落ちちゃうんだけど」
「それなら心配するな、こうすればいい」
「てめえら…うがっ!」
大きな斧を持っていた男が斧だった棒を隆の頭上に近づけると勢いよく隆の頭に振り落とされ、隆は気を失った。
「なるほど、頭いいな」
「じゃあ…解呪するね…」
盗賊達が隆に視線が集中していた時、岩の裏ではラルアが鉤爪を着けていた男を蔦で巻きつけて身動きができない状態にしていた。
「んー!んー!」
「ほーらペルタ君暴れない。暴れるとラルアの養分になるよ」
(おいしそう)
涎を垂らして見られていることに恐怖を感じたペルタは大人しくなった。
「生憎私はちょっと目が悪いから君がどんな表情をしているのか分からないけど暴れてないってことはラルアが何するか分かったってことだよね。じゃあいくつか質問するから合っていたら一回『うん』。違っていたら二回『うん』と言うこと。一度でも嘘をついたら殺す。君は『嘘をついているかそうでないかなんて分からないだろう』なんて思ってるだろうけど…まぁそれは君の勝手ってところかな。じゃあ始めよっか…」
こうしてリトスが質問を始めている頃、気絶をした隆の装備を外そうと悪戦苦闘していた。
「これ…外れないな…」
「ああ、だが無理に外そうとすれば腕ごとついてくるぞ」
「何それぇ…腕ごと付いた武器なんて買い取ってくれる人いないでしょー」
「ならこのまま持ち帰って…こいつが起きたら拷問とかして取ってもらえば…」
「おっ、いいアイディア!ゴウ、アンタこいつ担いでってよ。重い斧なくなったからいけるでしょ?」
「ああ、じゃあ戻るか」
「そうだなー、俺の剣もこいつに壊されちったからなー」
隆を担いで来た道を戻っていく盗賊達。
しかしリトスはペルタの尋問に聴力を集中していたので気づかず、ペルタ自身も仲間達が置いていくはずがないと思い、生き延びるために質問に答えていくのだった。
「質問その八、仲間の中に好きな人がいる」
「…うん」
「キャー!誰々!?口だけ解放させてあげるから教えて!その甘酸っぱい恋をお姉さんに教えて!」
(だめだこりゃ)
(きまずい)
宿での喧嘩は結局二部屋に分かれ、血に塗れたロビーの掃除は早く決めなかった隆の責任となって隆がすることになった。
隆の機嫌の悪さは手持ちの金が少なくなったこともあるが、何より隆が不死身なことを逆手にとって喧嘩気分で殺してくるリトスが許せなかった。
一方でリトスは寝不足だった。
部屋に入ってラルアに着替えを手伝ってもらえたところまでは問題はなかったのだが、部屋に一つしかベッドがないことに気づいた二人がどうにかしてコミュニケーションを交わしていたら夜が開け始めていた。
「ね、眠い…ねぇラルア、この近くに水場ない?」
リトスがそう聞くとラルアは首を振って裾を三回引っ張る。
「無いのかぁ…ふわぁ…」
道端で寝るわけにもいかず、大きなあくびをするリトス。
街の外に出た三人は早速アジトに向かうことにした。
その途中で手配犯の手下らしき盗賊が男女合わせて五人の声がリトスの耳に入り、ラルアに身を隠す合図をして岩場に身を潜めた。
「聞いてくれよ、この前俺が襲った商人宝石商だったんだよ!」
「聞いたぞ。ジャック、その話何回目だ?少なくともこのウェンは五回程聞いたぞ」
「そうそう、それならアタイだってこの前用心棒連れた宝石商殺したもん」
「おいおい、その話だって数ヶ月前だろ?低レベルの争いは醜いな」
「そういうあなたは…ここ数ヶ月何も盗ってない…」
何も分からない隆はそのまま見えてくる盗賊に気づかれ、対峙してしまった。
「なんで…突っ立ってるの…」
黒く染められた人形を抱え、顔を長い髪で隠された少女がニヤリと笑う。
「しらねーよ、仲間がお前らに気づいて隠れたんだけど俺に教えてくれなかったんだよ」
「それって仲間っていうのか…?まぁ俺らに気づいて隠れたってことはアタイらのことをおおよそ分かってんでしょ?なら出す物出しなよ」
「へっ、誰が出すかよ!」
袋から手甲を取り出して装備する隆。
盗賊達はその装備に驚き、目を輝かせた。
「ダマスカス鋼の手甲か!これは売れば高いぞ!」
「絶対…切り落とす…!」
武器をそれぞれ構える盗賊に思わず怯む隆。
それもそのはず、隆史の狙いは武器を見せつけて相手をビビらせることが目的だったのだ。
「おいお前ら!一対五は無理だから助けてくれ!」
隆が岩に向かって叫ぶと雑草と土を丸めた手のひらサイズの団子が飛んできた。
(がんばれ)
「頑張れじゃねーよ!こんな泥団子でどうやって戦えっつーんだよ!」
「知らない。私達の居場所バラして不意打ちはできなくなるし、ラルアに朝食もあげないような男は知らない」
「お前ら…ああ分かった!俺一人でやってやるよ!」
やけっぱちになって大きな斧を持った男に殴りかかる隆。
「ふん、仲間に見捨てられるとは哀れだな」
斧を縦に振り、隆は斧が頭上に来たことを察すると体を捻らせて拳を振り上げて跳ねる。
すると斧が大きな音を立てて砕け、男の手には木の棒だけが残った。
「どうだ!名づけて『アッパーブレイク』だ!」
「凄い…ダマスカス鋼の中でもさらに硬い部類のやつだ…」
「うむ、小生の斧は砕けてしまったから相当な代物だろう。だが今の動きで素人だとわかった。後は任せた」
「「「言われなくても!」」」
人形を持った少女以外が隆を囲い、隆は三方向から狙われうことになった。
「一人はブーメラン、一人は鉤爪、一人は剣か…あのガキが気になるな」
「よそ見とは余裕だね!」
素早く走って来て剣で腹を突き刺された隆。
しかし隆は「痛えじゃねえか!」と言って角の生えた男の顔面を正面から殴り、腹に刺さった剣を引き抜いて壊した。
「あーックソ、慣れねえな。あいつに切り刻まれたから少しは慣れてるとは思ったんだけどな」
「なにコイツ…刺されたのに普通に立ってるんだけど」
「どうせ痩せ我慢だろ!おらぁ!」
鉤爪を着けた男が背後から襲い掛かり、今度は背中に刺さった。
「いってえなぁ!!」
裏拳をしようと体を回転させるが、その前に引き抜かれる。
「へっ、そんな襲い拳が当たるわけないだろ?ほら!そこに隠れてるお仲間さん!早くしないとこの男死んじゃうぞ!」
「そうね。死んでくれれば私も村に帰れるんだけど…死なないのよ、そいつ」
「えっ?」
「避けろペルタ!」
「ドラァ!」
リトス達の方を見ていた男は殴りかかっていた隆に気づかず、岩に向かって殴り飛ばされてしまった。
「ちっ、こんな戦い方じゃ身が持たねえな…」
男を殴り飛ばした隆の体の傷は既に治り、来ていた服も再生していた。
「こいつ…ただのヒューマンじゃない…」
「アスモディアン寄りのヒューマンか。ならウールの出番だろう」
「うん…『カースティグラビティ』」
「ぐわっ!?体が…!!」
人形を持った少女が呪文を唱えると人形が黒く光って隆の体が地面に沈みかけ始めた。
「うまく…立てねえ…まるで重力が数倍になったみてえだ…」
「ご名答…だけど惜しい…答えは重力十倍…」
「ナイスウール!で、これからどうするの?アタイがブーメラン投げても重力で落ちちゃうんだけど」
「それなら心配するな、こうすればいい」
「てめえら…うがっ!」
大きな斧を持っていた男が斧だった棒を隆の頭上に近づけると勢いよく隆の頭に振り落とされ、隆は気を失った。
「なるほど、頭いいな」
「じゃあ…解呪するね…」
盗賊達が隆に視線が集中していた時、岩の裏ではラルアが鉤爪を着けていた男を蔦で巻きつけて身動きができない状態にしていた。
「んー!んー!」
「ほーらペルタ君暴れない。暴れるとラルアの養分になるよ」
(おいしそう)
涎を垂らして見られていることに恐怖を感じたペルタは大人しくなった。
「生憎私はちょっと目が悪いから君がどんな表情をしているのか分からないけど暴れてないってことはラルアが何するか分かったってことだよね。じゃあいくつか質問するから合っていたら一回『うん』。違っていたら二回『うん』と言うこと。一度でも嘘をついたら殺す。君は『嘘をついているかそうでないかなんて分からないだろう』なんて思ってるだろうけど…まぁそれは君の勝手ってところかな。じゃあ始めよっか…」
こうしてリトスが質問を始めている頃、気絶をした隆の装備を外そうと悪戦苦闘していた。
「これ…外れないな…」
「ああ、だが無理に外そうとすれば腕ごとついてくるぞ」
「何それぇ…腕ごと付いた武器なんて買い取ってくれる人いないでしょー」
「ならこのまま持ち帰って…こいつが起きたら拷問とかして取ってもらえば…」
「おっ、いいアイディア!ゴウ、アンタこいつ担いでってよ。重い斧なくなったからいけるでしょ?」
「ああ、じゃあ戻るか」
「そうだなー、俺の剣もこいつに壊されちったからなー」
隆を担いで来た道を戻っていく盗賊達。
しかしリトスはペルタの尋問に聴力を集中していたので気づかず、ペルタ自身も仲間達が置いていくはずがないと思い、生き延びるために質問に答えていくのだった。
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