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リボフラの城下町
盗賊団の崩壊
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隆がラーヴァナ(アメジスト)と戦っていた頃、リトスとラルアはペルタから盗賊のアジトを聞き出し、案内されてアジトの目と鼻の先にいた。
「さて、これからどうしようかな」
アジトのある洞窟の中からは多くの声が聞こえ、その数は十数人を超えていた。
「なぁ、ここまで連れてくればもういいだろ?だから早くこの縄解いてくれよ」
「ダメ。君が私達のことを報告しないっていう保証はないでしょ?質問した時に命は助けるって言ったけど解放するとは一言も言ってないからね」
「ひでぇ…」
「酷くないよー、盗賊のやることに比べたらねー」
そう言いつつリトスはアジトに入れる方法を体を揺らして考えていた。
(ペルタに爆弾埋め込んでアジトに突撃させたいけど私の使える魔法はファイアとポイズンだけ。ファイアもポイズンも威力があるわけじゃないから洞窟内を毒で埋め尽くしたりするのは無理。一人一人の正確な位置が把握できてるわけじゃないからラルアに無茶をさせることもできないし。そういえば隆は連れ去られてここに来たんだから…)
「ペルタ君、私達を攫って来たって言ってアジトの中に入れて。そこから一人ずつ倒していくから」
(めいあん)
「バカ言うなよ!それじゃ俺が皆を裏切ることになるだろ!」
「私達をここまで連れてきて何を今更。ほら、縄を解いてあげるから」
「嫌だ!それだけは絶対にしない!」
そう言ってペルタはアジトに駆け出して行ってしまった。
「仕方ない。ラルア、お願い」
(うん)
アジトに着いたペルタ。
そこでは盗賊仲間が自分の盗った宝を見せつけ合い、その中にはペルタを置いていった仲間達もいた。
「おい!さっきはよくも置いていってくれたな!」
「ちょっ、あんた何その格好?まるで縛り付けられたけど生き延びてきたみたいな格好じゃん!」
「いやその通りなん‥」
そう言い終わる前に縄が瞬間的に締まり、縛っていた上半身と腕が嫌な音を立てて宙を舞い、床に転げ落ちた。
「い…いやぁぁぁ!!」
ブーメランを持っていた女が悲鳴を上げると洞窟の外から疾風のような速さで蔦が女の足を縛り付け、宙に浮かせて洞窟の外へと引っ張っていった。
「誰か助けて!誰かぁ!」
一人の仲間が助けようとするが、あまりの速さに手が届かない。
やがて全身を蔦で包まれた状態でリトスの前まで運ばれた。
(つれた)
「さすがラルア。仕事が早い」
「お前…よくもペルタを!」
「芋虫みたいな状態でそんなこと言われてもねー。それよりうちの手甲を着けたバカどこに行ったか知ってる?」
「それより?私の仲間を殺しておいてよくそんなことを言えるわね!」
「うるさいな、早くしないと君の仲間が来て面倒なことになるんだけど」
「ふん、心配しなくてももう来るわ。あんたはせいぜい侵されないように神にでも祈ることね」
その女が言うとおりアジトから複数の足音が聞こえてきていた。
「足音からして二人ってところかな…盗賊って仲間を人質にとっても躊躇ないの?」
「どうかしらね、試しにやってみれば?」
「じゃあ遠慮なく」
リトスがラルアに指示を出すと蔦が勢いよく伸び、簀巻きにされた男が二人、リトスの前に転がった。
「畜生…!動けねえ!」
「ぐああああ!!」
「嘘でしょ…アジトの中では三本の指に入るほど力の強い二人が…」
身動きができずに地面に転がる仲間。
リトスが質問をして「うるせえ!」と答えると一人がミイラと化し、もう一人の仲間も恐怖で声が出なくなり、皮だけになった。
「ねぇ」
リトスに声をかけられて泣きそうになる。
次は自分の番なのではないかと。
このエルフが自分の表情が見えていないが恐怖していることが分かって笑っているようにも思えた。
「はい…なんでしょう…」
「私、ちょっと目が悪くて何も見えないから君達のアジトを案内してもらってもいい?」
(いじわる)
「はい…」
蔦を解いてアジトの中に入るリトス達。
当然他の盗賊達から視線が集まり、リトス達を囲むが女盗賊が「やめろ!」と一喝する。
すると囲んでいた盗賊たちは離れ、人形を抱えた少女だけが残る。
「さっき追いかけたチョウとリキは…?」
「死んだ。そこをどいて」
「どかない…そのエルフとアルラウネは?」
「なんだっていいでしょ?ボスのところに行くからどいて」
「良くない…ちゃんとに説明して…」
「できない。今はこの人たちをボスに届けることが最優先なの、分かって」
「分かるわけない…とりあえずその人たちに拘束術を…」
「バカ!やめ―」
危険を感じたラルアは素早く地面に手を当てて盗賊達の足に蔦を巻きつけ、人形を抱えている少女の足元には木の幹を生成して天井に押しつぶした。
(あぶない)
「もう嫌だ…なんで一日にこんなに仲間を殺されなくちゃいけないんだよ…」
「ラルア、今もの凄い音がしたんだけど何があったの?もしかして周りの盗賊一斉に殺した?」
(ううん)
「じゃあ今の音って…」
「そこのクソガキがグリムを殺したんだよ!セリア、てめえなんて奴を連れてきたんだ!」
「仕方ないだろ!さっきチョウ達が私を助けに来たとき目の前で二人が殺されたんだ!従うしかないだろ!」
「だったらてめえも死ねばよかっただろ!」
アジト内に響く仲間割れの声。
リトスはほかの仲間が来るか心配していたが、ここにいる盗賊で全員のようでホッとする。
「ラルア、蔦は固定しておいて奥に行こっか。そうすれば手をつけてなくてもいいでしょ?」
(うん)
ラルアは服を引っ張って返事をしようとするが両手が塞がっていて返事ができない。
そしてラルアは面倒になり、縛っていた盗賊全員を養分にした。
「あれ?なんか急に静かになったんだけど…殺っちゃった?」
(うん)
「まったく…でもどうせ最後は口封じするつもりだったしいいか」
こうしてリトス達はアジトの奥へと進み、戦い終えた隆と再開するのだった。
「さて、これからどうしようかな」
アジトのある洞窟の中からは多くの声が聞こえ、その数は十数人を超えていた。
「なぁ、ここまで連れてくればもういいだろ?だから早くこの縄解いてくれよ」
「ダメ。君が私達のことを報告しないっていう保証はないでしょ?質問した時に命は助けるって言ったけど解放するとは一言も言ってないからね」
「ひでぇ…」
「酷くないよー、盗賊のやることに比べたらねー」
そう言いつつリトスはアジトに入れる方法を体を揺らして考えていた。
(ペルタに爆弾埋め込んでアジトに突撃させたいけど私の使える魔法はファイアとポイズンだけ。ファイアもポイズンも威力があるわけじゃないから洞窟内を毒で埋め尽くしたりするのは無理。一人一人の正確な位置が把握できてるわけじゃないからラルアに無茶をさせることもできないし。そういえば隆は連れ去られてここに来たんだから…)
「ペルタ君、私達を攫って来たって言ってアジトの中に入れて。そこから一人ずつ倒していくから」
(めいあん)
「バカ言うなよ!それじゃ俺が皆を裏切ることになるだろ!」
「私達をここまで連れてきて何を今更。ほら、縄を解いてあげるから」
「嫌だ!それだけは絶対にしない!」
そう言ってペルタはアジトに駆け出して行ってしまった。
「仕方ない。ラルア、お願い」
(うん)
アジトに着いたペルタ。
そこでは盗賊仲間が自分の盗った宝を見せつけ合い、その中にはペルタを置いていった仲間達もいた。
「おい!さっきはよくも置いていってくれたな!」
「ちょっ、あんた何その格好?まるで縛り付けられたけど生き延びてきたみたいな格好じゃん!」
「いやその通りなん‥」
そう言い終わる前に縄が瞬間的に締まり、縛っていた上半身と腕が嫌な音を立てて宙を舞い、床に転げ落ちた。
「い…いやぁぁぁ!!」
ブーメランを持っていた女が悲鳴を上げると洞窟の外から疾風のような速さで蔦が女の足を縛り付け、宙に浮かせて洞窟の外へと引っ張っていった。
「誰か助けて!誰かぁ!」
一人の仲間が助けようとするが、あまりの速さに手が届かない。
やがて全身を蔦で包まれた状態でリトスの前まで運ばれた。
(つれた)
「さすがラルア。仕事が早い」
「お前…よくもペルタを!」
「芋虫みたいな状態でそんなこと言われてもねー。それよりうちの手甲を着けたバカどこに行ったか知ってる?」
「それより?私の仲間を殺しておいてよくそんなことを言えるわね!」
「うるさいな、早くしないと君の仲間が来て面倒なことになるんだけど」
「ふん、心配しなくてももう来るわ。あんたはせいぜい侵されないように神にでも祈ることね」
その女が言うとおりアジトから複数の足音が聞こえてきていた。
「足音からして二人ってところかな…盗賊って仲間を人質にとっても躊躇ないの?」
「どうかしらね、試しにやってみれば?」
「じゃあ遠慮なく」
リトスがラルアに指示を出すと蔦が勢いよく伸び、簀巻きにされた男が二人、リトスの前に転がった。
「畜生…!動けねえ!」
「ぐああああ!!」
「嘘でしょ…アジトの中では三本の指に入るほど力の強い二人が…」
身動きができずに地面に転がる仲間。
リトスが質問をして「うるせえ!」と答えると一人がミイラと化し、もう一人の仲間も恐怖で声が出なくなり、皮だけになった。
「ねぇ」
リトスに声をかけられて泣きそうになる。
次は自分の番なのではないかと。
このエルフが自分の表情が見えていないが恐怖していることが分かって笑っているようにも思えた。
「はい…なんでしょう…」
「私、ちょっと目が悪くて何も見えないから君達のアジトを案内してもらってもいい?」
(いじわる)
「はい…」
蔦を解いてアジトの中に入るリトス達。
当然他の盗賊達から視線が集まり、リトス達を囲むが女盗賊が「やめろ!」と一喝する。
すると囲んでいた盗賊たちは離れ、人形を抱えた少女だけが残る。
「さっき追いかけたチョウとリキは…?」
「死んだ。そこをどいて」
「どかない…そのエルフとアルラウネは?」
「なんだっていいでしょ?ボスのところに行くからどいて」
「良くない…ちゃんとに説明して…」
「できない。今はこの人たちをボスに届けることが最優先なの、分かって」
「分かるわけない…とりあえずその人たちに拘束術を…」
「バカ!やめ―」
危険を感じたラルアは素早く地面に手を当てて盗賊達の足に蔦を巻きつけ、人形を抱えている少女の足元には木の幹を生成して天井に押しつぶした。
(あぶない)
「もう嫌だ…なんで一日にこんなに仲間を殺されなくちゃいけないんだよ…」
「ラルア、今もの凄い音がしたんだけど何があったの?もしかして周りの盗賊一斉に殺した?」
(ううん)
「じゃあ今の音って…」
「そこのクソガキがグリムを殺したんだよ!セリア、てめえなんて奴を連れてきたんだ!」
「仕方ないだろ!さっきチョウ達が私を助けに来たとき目の前で二人が殺されたんだ!従うしかないだろ!」
「だったらてめえも死ねばよかっただろ!」
アジト内に響く仲間割れの声。
リトスはほかの仲間が来るか心配していたが、ここにいる盗賊で全員のようでホッとする。
「ラルア、蔦は固定しておいて奥に行こっか。そうすれば手をつけてなくてもいいでしょ?」
(うん)
ラルアは服を引っ張って返事をしようとするが両手が塞がっていて返事ができない。
そしてラルアは面倒になり、縛っていた盗賊全員を養分にした。
「あれ?なんか急に静かになったんだけど…殺っちゃった?」
(うん)
「まったく…でもどうせ最後は口封じするつもりだったしいいか」
こうしてリトス達はアジトの奥へと進み、戦い終えた隆と再開するのだった。
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