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アメジストは退屈
進化の善し悪し
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アメジストが目を開くと、空が暗くなっている代わりにいくつもの光が広がっていた。
「夜まで寝てたのか私。あー腹減ったな。適当に飯屋入るか」
自分の足に任せてごはんが食べられる場所を探すアメジスト。
彼女が足を止めたのは香ばしいスパイスの匂いがするお店だった。
中では奴隷であろう首輪を着けた兎耳のヒューマンが汚れたエプロンを着て一人で注文を受け、料理を運んでいる。
アメジストは空いている席に座り、メニューを開くとすぐに決まったのか数秒で閉じる。
そして店員に「おーい」と声をかけた。
「はい、ご注文お願いします」
「牛肉と豚肉、鶏肉の適当焼き一つずつ」
「適当焼一つずつですね。他の方来られるのでしたら時間をずらすことも可能ですが」
「私一人で食うからいい」
「お一人でですか!?えっと失礼ですがお肉の大きさは他のお客様を見れば分かると思うんですけれど…」
「分かってる。金もあるんだし問題ないだろ?」
「わ…分かりました。順番にお運びしますのでお待ちください」
周りの客を見ると椅子が余っているはずなのに奴隷には床に座らせ、食事も肉の切れ端程度のものしか与えられていない。
(これじゃ奴隷がいつ反逆してもおかしくないはずだな。前にこの町に来た時は養子みたいに接していたやつのほうが多かったんだが)
「なんだ?僕のペットに興味あるのか?」
奴隷を見ている視線に気付いたのか、いかにもどこかなおぼっちゃんの見た目をした青年が席を立ちアメジストに近づいた。
青年が連れているのかなり珍しいと言われている女性の鳥人。
その珍しさは人と鳥の境目にあり、一般的には頭に飾り、背中に飛べないくらいの羽くらいの三割鳥側といったところから体毛が生えてきて言葉を話すことが困難になるほど鳥に染まっている鳥人もいる。
その中で成人が連れている鳥人は体毛は生えていないが飛ぶことが可能な羽が背中から生えており、言葉も理解できているようだった。
「そりゃあ鳥人の中でも珍しいからね。人っ子一人殺せそうだけどそうしないのはこの短小が大人を雇っているかこの短小自体が強いか…それはないな」
「おい女。誰に向かってその汚い言葉を言ってるんだ」
「目の前にいるママのミルクから卒業できてなさそうなおぼっちゃん以外にいないだろ」
恐る恐る運ばれてきた料理を一口食べるとまた青年の方に顔を向ける。
「ウチの仲間からこの町でまだ奴隷商売と奴隷連れているバカがいるって聞いて驚いたね。他の所なんてとっくに独立か交流選んで生活してるっていうのにここだけ全てが中途半端。折角の珍品も扱い方のわからないガキに手渡せば腐ってしまうからもったいない」
「うるさい!これは僕のものなんだ。僕がどう使おうが勝手だろう!」
「ああ勝手だな。そしてそんな扱いをした最後に奴隷が反逆するっていうのも仕方のないことだな」
アメジストが一つ目の料理を食べ終え、二つ目の料理に手を付けようとしたとき、後ろから一枚の羽が飛んできて机に刺さる。
「なんだ?同族だから私が鶏肉食べるのが気に入らないのか?」
羽を飛ばしたのは奴隷の鳥人。
振り返ると飼い主である青年は既に白目をむいて横たわっていた。
「おいおい、ご主人様倒れてるぞ。大丈夫なのか?」
「この男のこと?毒打ち込んだだけだし死んでもいい男だから別にいいよ」
「ほーん。じゃあ私は飯食ってるから」
「待て、あんたも飼い主に反逆した元奴隷じゃないの?」
「誰が奴隷だ。私はあの方一筋で他のやつに従う気は全くないぞ」
「従われてるならそれは奴隷でしょ?いいように使われてるだけで…」
言い終わる前に円盤型の刃物が鳥人のすぐ横の床に刺さる。
「薄汚い町で金でやり取りされてるような連中と一緒にするな。私は私の意思で魔王様に従って、私のやりたいことをやってんだ」
「魔王に従ってる…?あんたまさかアスモディアンか?」
「そんなことどうでもいいだろ。魔王様の不安の種を潰すため、お前には色々聞きたいことがあるから今私の前に座るか殴られて気絶するか選べ」
「…ちっ!」
立ち上がってアメジストの方に歩く鳥人。
しかし立ち止まると羽の勢いを使って一目散に出口へと羽ばたいた。
「おやおやそうはさせないよ」
突如出口に糸が張られ、止まれなかった鳥人はがんじがらめになって倒れた。
「ダメじゃないかアメジスト。君に飛べる手段は無いのだし他の連中から聞いたところこの鳥人は重要な人物だと聞いたのだから抵抗できないようにしておかないとって君は小生の登場を無視して肉を食べるのか」
全身を暑そうなコートで覆ったトパーズは倒れてもがいている鳥人を縛り直したあとアメジストの前の席に座る。
「実は離れた場所から君がここに入っていったのを見ていてね、入口で聞き耳を立てていたら思ったとおり君は喧嘩をふっかけるだろう。そのまま殴り倒すかと思いきや君に似合わない交渉を仕掛けようとするから僕は思わず入口に糸を仕掛けてしまったよ」
最後の料理が運ばれ食べるのに夢中でアメジストは返事をしない。
「今捕まえたこの鳥人が重要人物と決まったわけではないがこのまま小生は反逆者のリーダーを捕まえて殺す気でいるが君はどうする?」
「どうするって言われてもな…なぁ、この町のヒューマンはこんなに変わったのか?」
「君が前にここを訪れたのは十年以上も前だろう。十年も経てば良くも悪くもヒューマンは変わるさ」
「悪い方にしか変わってないだろ。私が奴隷だったら飼い主を殺してるぞ」
「それは君が強いからできることだろう?弱いやつは逆らったらどうなるか分かっているから逆らうことができないんだ。だから生きようと飼い主にしがみつくしかないんだ」
「とことん腐ってやがるな」
「腐っていていても町は生きているだろう?だから小生達は回っている歯車を止めないためにも反逆を抑圧しなければならないのさ」
トパーズは縛り上げた鳥人を担ぐと手を振って店を出ていった。
「あいつにとってはこの町自体はどうでもいいってわけか…抑圧したって新しくここに来た奴が同じことをやるって分かってるだろうにな」
「あ…あのお客様…」
「あん?」
三つ目の料理を食べ終えたアメジストに話しかけてきたのは兎耳の店員。
「さっきのお話を聞いてしまったのですが、他のお客様が帰ってしまったのでお話を聞いてもいいですか?」
「夜まで寝てたのか私。あー腹減ったな。適当に飯屋入るか」
自分の足に任せてごはんが食べられる場所を探すアメジスト。
彼女が足を止めたのは香ばしいスパイスの匂いがするお店だった。
中では奴隷であろう首輪を着けた兎耳のヒューマンが汚れたエプロンを着て一人で注文を受け、料理を運んでいる。
アメジストは空いている席に座り、メニューを開くとすぐに決まったのか数秒で閉じる。
そして店員に「おーい」と声をかけた。
「はい、ご注文お願いします」
「牛肉と豚肉、鶏肉の適当焼き一つずつ」
「適当焼一つずつですね。他の方来られるのでしたら時間をずらすことも可能ですが」
「私一人で食うからいい」
「お一人でですか!?えっと失礼ですがお肉の大きさは他のお客様を見れば分かると思うんですけれど…」
「分かってる。金もあるんだし問題ないだろ?」
「わ…分かりました。順番にお運びしますのでお待ちください」
周りの客を見ると椅子が余っているはずなのに奴隷には床に座らせ、食事も肉の切れ端程度のものしか与えられていない。
(これじゃ奴隷がいつ反逆してもおかしくないはずだな。前にこの町に来た時は養子みたいに接していたやつのほうが多かったんだが)
「なんだ?僕のペットに興味あるのか?」
奴隷を見ている視線に気付いたのか、いかにもどこかなおぼっちゃんの見た目をした青年が席を立ちアメジストに近づいた。
青年が連れているのかなり珍しいと言われている女性の鳥人。
その珍しさは人と鳥の境目にあり、一般的には頭に飾り、背中に飛べないくらいの羽くらいの三割鳥側といったところから体毛が生えてきて言葉を話すことが困難になるほど鳥に染まっている鳥人もいる。
その中で成人が連れている鳥人は体毛は生えていないが飛ぶことが可能な羽が背中から生えており、言葉も理解できているようだった。
「そりゃあ鳥人の中でも珍しいからね。人っ子一人殺せそうだけどそうしないのはこの短小が大人を雇っているかこの短小自体が強いか…それはないな」
「おい女。誰に向かってその汚い言葉を言ってるんだ」
「目の前にいるママのミルクから卒業できてなさそうなおぼっちゃん以外にいないだろ」
恐る恐る運ばれてきた料理を一口食べるとまた青年の方に顔を向ける。
「ウチの仲間からこの町でまだ奴隷商売と奴隷連れているバカがいるって聞いて驚いたね。他の所なんてとっくに独立か交流選んで生活してるっていうのにここだけ全てが中途半端。折角の珍品も扱い方のわからないガキに手渡せば腐ってしまうからもったいない」
「うるさい!これは僕のものなんだ。僕がどう使おうが勝手だろう!」
「ああ勝手だな。そしてそんな扱いをした最後に奴隷が反逆するっていうのも仕方のないことだな」
アメジストが一つ目の料理を食べ終え、二つ目の料理に手を付けようとしたとき、後ろから一枚の羽が飛んできて机に刺さる。
「なんだ?同族だから私が鶏肉食べるのが気に入らないのか?」
羽を飛ばしたのは奴隷の鳥人。
振り返ると飼い主である青年は既に白目をむいて横たわっていた。
「おいおい、ご主人様倒れてるぞ。大丈夫なのか?」
「この男のこと?毒打ち込んだだけだし死んでもいい男だから別にいいよ」
「ほーん。じゃあ私は飯食ってるから」
「待て、あんたも飼い主に反逆した元奴隷じゃないの?」
「誰が奴隷だ。私はあの方一筋で他のやつに従う気は全くないぞ」
「従われてるならそれは奴隷でしょ?いいように使われてるだけで…」
言い終わる前に円盤型の刃物が鳥人のすぐ横の床に刺さる。
「薄汚い町で金でやり取りされてるような連中と一緒にするな。私は私の意思で魔王様に従って、私のやりたいことをやってんだ」
「魔王に従ってる…?あんたまさかアスモディアンか?」
「そんなことどうでもいいだろ。魔王様の不安の種を潰すため、お前には色々聞きたいことがあるから今私の前に座るか殴られて気絶するか選べ」
「…ちっ!」
立ち上がってアメジストの方に歩く鳥人。
しかし立ち止まると羽の勢いを使って一目散に出口へと羽ばたいた。
「おやおやそうはさせないよ」
突如出口に糸が張られ、止まれなかった鳥人はがんじがらめになって倒れた。
「ダメじゃないかアメジスト。君に飛べる手段は無いのだし他の連中から聞いたところこの鳥人は重要な人物だと聞いたのだから抵抗できないようにしておかないとって君は小生の登場を無視して肉を食べるのか」
全身を暑そうなコートで覆ったトパーズは倒れてもがいている鳥人を縛り直したあとアメジストの前の席に座る。
「実は離れた場所から君がここに入っていったのを見ていてね、入口で聞き耳を立てていたら思ったとおり君は喧嘩をふっかけるだろう。そのまま殴り倒すかと思いきや君に似合わない交渉を仕掛けようとするから僕は思わず入口に糸を仕掛けてしまったよ」
最後の料理が運ばれ食べるのに夢中でアメジストは返事をしない。
「今捕まえたこの鳥人が重要人物と決まったわけではないがこのまま小生は反逆者のリーダーを捕まえて殺す気でいるが君はどうする?」
「どうするって言われてもな…なぁ、この町のヒューマンはこんなに変わったのか?」
「君が前にここを訪れたのは十年以上も前だろう。十年も経てば良くも悪くもヒューマンは変わるさ」
「悪い方にしか変わってないだろ。私が奴隷だったら飼い主を殺してるぞ」
「それは君が強いからできることだろう?弱いやつは逆らったらどうなるか分かっているから逆らうことができないんだ。だから生きようと飼い主にしがみつくしかないんだ」
「とことん腐ってやがるな」
「腐っていていても町は生きているだろう?だから小生達は回っている歯車を止めないためにも反逆を抑圧しなければならないのさ」
トパーズは縛り上げた鳥人を担ぐと手を振って店を出ていった。
「あいつにとってはこの町自体はどうでもいいってわけか…抑圧したって新しくここに来た奴が同じことをやるって分かってるだろうにな」
「あ…あのお客様…」
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