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アメジストは退屈
生き残るには
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反逆者の主犯を探し出すべくマスターの下で働きながら情報を集めるアメジストとトパーズ。
しかし有益な情報は集まらず、二人にできるのは目の前で反逆が起きたら捕まえる程度のことだった。
マスターの店が休みの日、アメジストは新しい奴隷が入っていないか奴隷屋を訪れていた。
「じじい、新しい人入ってない?」
片手をあげて挨拶をするとヒューマンの店主は苦々しい顔をした。
「まーたおめぇか脳筋女。もう反逆者っていうのは見つかったのか?」
「見つけてたらこんなところ来るわけないだろ。見た感じ怪しそうなやつはいなさそうだが」
アメジストが険しい顔をして店内を見渡すと「売り物が怖がる」と店主が小突く。
「怪しかったら取り扱わねぇよ。まぁ売った後のことは知らねぇけど」
「そんなことしてると売られる前に殺されるぞ」
「ところがそうでもねぇんだこれが。俺も奴隷が反逆するのを聞いてこいつらの動向に気をつけていたがどうにも俺を殺したりする気はねぇらしい」
「でも私が前に見せた鳥人はじじいが扱ってたんだろ?」
「扱ってたな。アレを擁護するわけじゃねぇがお前が連れてきた時と俺が扱ってた時の目は違ったな。見るからに敵意を向けられていた」
「それじゃ飼い主に買われてから変わったってことか。じゃあやっぱりあいつら主犯にあったことあるじゃんか…」
「いや、そうとは限らねぇ。誰かに何かを伝えるっていう方法は本人から伝えること以外にも方法はいくつかあるだろ。手紙だったり伝言だったり…」
「どちらにしろ本人からどこかに出てるし発信源を掴まなきゃ無理だな」
「俺も売り上げが減ってるがお前も大変だな。風の噂じゃ魔王が条約破棄して侵攻しようとしてるなんて言われてるからな。もしかして奴隷の反逆と関わっていたりするのか?」
「魔王様とそんなものを同列にするな。魔王様は戦好きだが侵攻は考えていない」
「おっかねぇ顔するな…冗談に決まってるだろ」
「冗談でも魔王様のことは貶すな」
アメジストは店主をひと睨みすると店を去って町の巡回を始めた。
反逆する奴隷を次々と捕まえていくので町では知らない人はいなくなっており、道の真ん中で飼い主に反逆する奴隷は見かけなくなっていた。
「あ、お姉ちゃんだー!」
後ろから声をかけられ、振りかえると少女か駆け寄ってきていた。
「お前はあの時川にいた…」
「レーヴェっていうんだ!お姉ちゃん今日はお店に行かないの?」
「今日は休みだからな。だからいつもみたいに暴れてる奴隷がいないか見て歩いてるんだが…今日はいないみたいだな」
「お姉ちゃんが強いから暴れなくなったのかもね!」
拳を握って上に突き上げるレーヴェ。
「そのまま大人しくしてくれればいいんだがな…お前もそう思うだろ?」
「うーん…でも奴隷の人達が暴れてるのってただ暴れたいからじゃないんでしょ?」
「ちっこいお前に言っても分からないがあいつらは奴隷を解放して仲良く暮らせるようになりたいんだとよ。生きる術がないから自分から売り物になったやつが大半だっていうのにおかしい話だ」
「おかしくなんてない」
「あ?」
アメジストがレーヴェを睨むが動揺しない。
「この町に住む人達は感覚が狂ってるんだよ。家族として一緒に生活すればいいのにそんなことはせず首輪で繋げて足枷をつけて束縛してるんだよ」
「奴隷になるのが嫌なら食料のある山や森、人から奪えばいいだろ。他の町や村に行っても金が必要だったり村に行くまでに野垂れ死んで動物の餌になるだろうけどな」
「そんなのおかしいよ!お姉ちゃんは強いからそういうことが言えるんだよ!」
「強くなきゃ生き残れないのはアスモディアンならガキでも知ってることだ。生まれた時から強い奴もいるがここで奴隷やってない奴らは得意なことを伸ばして一人で生きていける力を身につけたんだ。たまに強い種族なのに奴隷になっている奴が店に並んでるだろ?あれは自分が強い種族だとふんぞり返って他に追い抜かれた結果だ」
「それはアスモディアンの話でしょ!あの檻の中にはヒューマンだっていたし…」
「いたな。ちょっと前マスターに聞いてみたがあいつらは別の町から来たらしいな」
「別の町からって…人攫いでしょ」
「全員自分から奴隷になりに来ていた。飯さえ食えればそれでいい、住む場所があればそれでいいなんて中途半端な願望で奴隷になりに来てんだ。仲間を失って生きていける力が無いやつなんて買う理由は見た目くらいのもんだろ」
「…っ。なんで、なんでそんな酷いことが言えるの?」
「酷い?酷いのは自ら売り物になって『こんな扱いは想像してなかった』と吠えるやつの頭だろ」
「そっか…ならその力を奪ってその分皆を生きられるようにしないとね!」
レーヴェは手から赤い光を放つと咄嗟にアメジストは距離をとる。
「ちっ、接近戦は無理そうだな…『サイクル』!」
風の刃を飛ばす呪文を唱えるが何も起きない。
「どういうことだ?」
「アハハ!『クエイク』!」
少女が呪文を唱えると弱い地震が起こり、地面から飛び出した尖った岩がアメジストの腹を突き破った。
「カハッ…」
再生しようと試みるアメジストだが穴が空いたまま再生ができない。
「お姉ちゃん魔力を使って再生できるんだー。でもできないでしょ?皆!やっちゃって!」
少女が叫ぶと解放していた鳥人が現れ、素早く動けないアメジストの肩を足で鷲掴みにして建物の壁に叩きつけた。
「この前のお礼だ!」
「『ウォーターランス』!」
空中に放り投げられたアメジストを川から顔を出した人魚の槍に貫かれ、そのまま地面へと落下した。
「俺はあの糸を使う野郎に捕まったんだけどよ、憂さ晴らしに殴らせてもらうぜ」
アメジストを見下し、首をつかんで持ち上げる狼男。
「はぁぁぁ…」
「熱っ!?」
狼男が手を離し、再びアメジストを見ると額に角が生え、傷一つなくなった体の熱さで周りが揺らいでるように見えた。
「えっ!?光を浴びたのになんで魔力で再生してるの!?」
「レーヴェ!早くこっち来て俺を助けっ…」
「よそ見とはいい度胸だなぁ!」
アメジストは股間を蹴り上げて狼男を浮かすと腹を殴って地面に叩きつけ、苦しんでいる狼男の顔を踏み砕いた。
「あ…あ…『ウォーターランス』!」
人魚が焦って出した水の槍はアメジストに届くことなく蒸発する。
「も、もう知らない!逃げるから!」
「沸騰しろ。『フレイム』」
「後ろがガラ空きだぞ!」
川に手を付けようとする鳥人。
それを読んでいたのか見もせずに足を掴み、鳥人は勢いよく炎に包まれた。
「さて、仕上げだな」
ほとんど炭になった鳥人を川に投げ捨て少女の方を見るといなくなっていた。
「ちっ、まだ遠くには行ってねぇだろ…」
角が無くなった状態に戻るとアメジストはその場に倒れてしまい、そのまま意識を失ってしまった。
しかし有益な情報は集まらず、二人にできるのは目の前で反逆が起きたら捕まえる程度のことだった。
マスターの店が休みの日、アメジストは新しい奴隷が入っていないか奴隷屋を訪れていた。
「じじい、新しい人入ってない?」
片手をあげて挨拶をするとヒューマンの店主は苦々しい顔をした。
「まーたおめぇか脳筋女。もう反逆者っていうのは見つかったのか?」
「見つけてたらこんなところ来るわけないだろ。見た感じ怪しそうなやつはいなさそうだが」
アメジストが険しい顔をして店内を見渡すと「売り物が怖がる」と店主が小突く。
「怪しかったら取り扱わねぇよ。まぁ売った後のことは知らねぇけど」
「そんなことしてると売られる前に殺されるぞ」
「ところがそうでもねぇんだこれが。俺も奴隷が反逆するのを聞いてこいつらの動向に気をつけていたがどうにも俺を殺したりする気はねぇらしい」
「でも私が前に見せた鳥人はじじいが扱ってたんだろ?」
「扱ってたな。アレを擁護するわけじゃねぇがお前が連れてきた時と俺が扱ってた時の目は違ったな。見るからに敵意を向けられていた」
「それじゃ飼い主に買われてから変わったってことか。じゃあやっぱりあいつら主犯にあったことあるじゃんか…」
「いや、そうとは限らねぇ。誰かに何かを伝えるっていう方法は本人から伝えること以外にも方法はいくつかあるだろ。手紙だったり伝言だったり…」
「どちらにしろ本人からどこかに出てるし発信源を掴まなきゃ無理だな」
「俺も売り上げが減ってるがお前も大変だな。風の噂じゃ魔王が条約破棄して侵攻しようとしてるなんて言われてるからな。もしかして奴隷の反逆と関わっていたりするのか?」
「魔王様とそんなものを同列にするな。魔王様は戦好きだが侵攻は考えていない」
「おっかねぇ顔するな…冗談に決まってるだろ」
「冗談でも魔王様のことは貶すな」
アメジストは店主をひと睨みすると店を去って町の巡回を始めた。
反逆する奴隷を次々と捕まえていくので町では知らない人はいなくなっており、道の真ん中で飼い主に反逆する奴隷は見かけなくなっていた。
「あ、お姉ちゃんだー!」
後ろから声をかけられ、振りかえると少女か駆け寄ってきていた。
「お前はあの時川にいた…」
「レーヴェっていうんだ!お姉ちゃん今日はお店に行かないの?」
「今日は休みだからな。だからいつもみたいに暴れてる奴隷がいないか見て歩いてるんだが…今日はいないみたいだな」
「お姉ちゃんが強いから暴れなくなったのかもね!」
拳を握って上に突き上げるレーヴェ。
「そのまま大人しくしてくれればいいんだがな…お前もそう思うだろ?」
「うーん…でも奴隷の人達が暴れてるのってただ暴れたいからじゃないんでしょ?」
「ちっこいお前に言っても分からないがあいつらは奴隷を解放して仲良く暮らせるようになりたいんだとよ。生きる術がないから自分から売り物になったやつが大半だっていうのにおかしい話だ」
「おかしくなんてない」
「あ?」
アメジストがレーヴェを睨むが動揺しない。
「この町に住む人達は感覚が狂ってるんだよ。家族として一緒に生活すればいいのにそんなことはせず首輪で繋げて足枷をつけて束縛してるんだよ」
「奴隷になるのが嫌なら食料のある山や森、人から奪えばいいだろ。他の町や村に行っても金が必要だったり村に行くまでに野垂れ死んで動物の餌になるだろうけどな」
「そんなのおかしいよ!お姉ちゃんは強いからそういうことが言えるんだよ!」
「強くなきゃ生き残れないのはアスモディアンならガキでも知ってることだ。生まれた時から強い奴もいるがここで奴隷やってない奴らは得意なことを伸ばして一人で生きていける力を身につけたんだ。たまに強い種族なのに奴隷になっている奴が店に並んでるだろ?あれは自分が強い種族だとふんぞり返って他に追い抜かれた結果だ」
「それはアスモディアンの話でしょ!あの檻の中にはヒューマンだっていたし…」
「いたな。ちょっと前マスターに聞いてみたがあいつらは別の町から来たらしいな」
「別の町からって…人攫いでしょ」
「全員自分から奴隷になりに来ていた。飯さえ食えればそれでいい、住む場所があればそれでいいなんて中途半端な願望で奴隷になりに来てんだ。仲間を失って生きていける力が無いやつなんて買う理由は見た目くらいのもんだろ」
「…っ。なんで、なんでそんな酷いことが言えるの?」
「酷い?酷いのは自ら売り物になって『こんな扱いは想像してなかった』と吠えるやつの頭だろ」
「そっか…ならその力を奪ってその分皆を生きられるようにしないとね!」
レーヴェは手から赤い光を放つと咄嗟にアメジストは距離をとる。
「ちっ、接近戦は無理そうだな…『サイクル』!」
風の刃を飛ばす呪文を唱えるが何も起きない。
「どういうことだ?」
「アハハ!『クエイク』!」
少女が呪文を唱えると弱い地震が起こり、地面から飛び出した尖った岩がアメジストの腹を突き破った。
「カハッ…」
再生しようと試みるアメジストだが穴が空いたまま再生ができない。
「お姉ちゃん魔力を使って再生できるんだー。でもできないでしょ?皆!やっちゃって!」
少女が叫ぶと解放していた鳥人が現れ、素早く動けないアメジストの肩を足で鷲掴みにして建物の壁に叩きつけた。
「この前のお礼だ!」
「『ウォーターランス』!」
空中に放り投げられたアメジストを川から顔を出した人魚の槍に貫かれ、そのまま地面へと落下した。
「俺はあの糸を使う野郎に捕まったんだけどよ、憂さ晴らしに殴らせてもらうぜ」
アメジストを見下し、首をつかんで持ち上げる狼男。
「はぁぁぁ…」
「熱っ!?」
狼男が手を離し、再びアメジストを見ると額に角が生え、傷一つなくなった体の熱さで周りが揺らいでるように見えた。
「えっ!?光を浴びたのになんで魔力で再生してるの!?」
「レーヴェ!早くこっち来て俺を助けっ…」
「よそ見とはいい度胸だなぁ!」
アメジストは股間を蹴り上げて狼男を浮かすと腹を殴って地面に叩きつけ、苦しんでいる狼男の顔を踏み砕いた。
「あ…あ…『ウォーターランス』!」
人魚が焦って出した水の槍はアメジストに届くことなく蒸発する。
「も、もう知らない!逃げるから!」
「沸騰しろ。『フレイム』」
「後ろがガラ空きだぞ!」
川に手を付けようとする鳥人。
それを読んでいたのか見もせずに足を掴み、鳥人は勢いよく炎に包まれた。
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