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世界樹の子 前編
新たな目的
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リトスのカットラスを片手に魔王と戦うライナと合流する隆。
無駄な動きを一切せず戦いを繰り広げるライナに思わず感心してしまう隆だが急いで魔王の背後をとる。
「いなづっ…!」
上に跳ぼうとしたライナの足は上がらずその隙を見逃してくれるような相手ではない。
背後から殴る隆を無視して口から巨大な火の玉を放つ魔王。
今のライナには避けられるはずもなくさすがに無理だとカットラスだけ構えると火の玉は弾かれてカットラスは砕けてしまった。
「まだ戦えと言うのでござるか…もう手持ちないのでござるが」
「おっっらぁぁぁ!」
邪魔と言わんばかりに振り向きざまに攻撃されても挫けず立ち向かう隆。
ライナは残り一本だけ残ったクナイを咥えて感覚の無くなった足を動かす。
「そのしつこさ、もはや称賛に値するな!」
「知らねえのか!?魔王ってのは倒されるもんなんだよ!」
魔王の顔を殴っては殴り返され首が取れそうになる隆。
そこへ魔王の腹の下へと滑りこんだライナは咥えたクナイで魔王の腹を流れるように切り裂いた。
「グゥッ…!」
「そこだぁぁぁぁぁ!」
突如燃え上がった拳で腕が伸びなくなるまでラッシュを叩きこむ。
最後の一撃は重い魔王の体を数回転させるほど力強く、格好つけるため拳を空に突き上げた。
一方、リトスは一度死んだ時と同じ場所にいた。
前回とは違い、そばにラルアがいる。
(ここは?僕は死んだはずなのだけれど)
「さぁ?でも死んだことに変わりないよ」
(冷静だね)
「一回ここに来てるからね。ほら前にも…って覚えてないんだっけ」
「死んだというのに呑気なもんじゃのー」
「ほら来た」
魂に響く声にも驚かなくなったリトス。
「負けた。おぬしら本当に強くなったの」
(勝ったんだ)
「みたいだね」
「おぬしらな…この魔王に勝ったのだからもっと喜んだらどうなんじゃ…まぁよい。さっさと生き返らせるとするかのう」
リトスが意識を取り戻すと村の建物が直り少女の姿になった魔王と仲良く話している隆達の姿があった。
話に混じるとアランがどうしてあの魔法を使えたのかという話題になっていた。
アラン曰く「風の噂で凄い魔法が騎士団本部の地下にあるらしいと聞いて忍び込んだら本当にあったから盗んだ」とのこと。
「おぬしら一人もまともな奴がおらんの…さて、もう決断をせねばならんだろう」
「そうだね。皆、今まで旅に付き合ってくれてありがとう。別れるのは寂しいけど…」
「「待った」」
話の途中で手を上げる隆とライナ。
「俺、帰る場所ねえよ」
「拙者も追われている身なので帰るに帰れないでござる」
(僕も家という家はないね)
沈黙する一同。
それもそのはずここで解散されてもアラン以外追われている身のため行く当てがない。
リトスもそのうちの一人なのである。
「住処でも見つけて穏やかに暮らそうかな…」
「隠居にはまだ早いじゃろう」
(ちょっといいかい?)
「どうしたのラルア?」
(できればで構わないのだけれど、僕の生まれた場所、親である世界樹へ一緒に行ってくれないか?)
「私はいいけど…」
周りの様子を疑うと全員が承諾した。
「それじゃ妾は村人生き返らせて帰るぞ。部下には妾が負けたと伝えておくからもうおぬしらを襲うことはない」
「へっ、襲われてももう負ける気しねえよ。それよりいつも移動してるその魔法使って世界樹まで連れて行ってくれ」
「そういうと思うたわ。しかしこの魔法は一度自らの足で行ったことのある所しか行けんのじゃよ」
「世界樹は魔力を少しでも持つと近づけないみたいですからなぁ」
しかし隆が取り出した地図の世界樹は死の街のすぐ奥のように書いてある。
アランの話が本当ならば魔の力の塊のようなアスモディアンがこのような世界樹の近くに住むわけがない。
「ってことはこの地図が間違ってるってことか?」
「ほぼあっておる。しかし死の街と世界樹は隔離されているように離れておるのじゃ」
「そうはいっても世界樹の近くに死の街があるのはおかしいだろうよ」
「何といったら伝わりやすいかの…妾がまだ生まれたばかりの頃この世界樹はなかったんじゃよ。妾のいる城も浮かんでおらず地についておった。しかし世界樹は突然生えた、生えたというより現れ城を空へ浮かせてしもうた。そして迷惑に思うた父上は切り倒そうと近づいたがバチッという音がした後、塵となって消えた」
だから誰も近づけない。そのため空を飛べるものしか城に入ることは叶わず魔王の母は絶望して自ら世界樹に近づいて消えてしまった。
そしてまだ物心ついて間もない今の魔王であるティアマトが繰り上がって魔王になった。
「本来なら父上がまだ魔王をやっておるのだが…話が逸れたの。世界樹に行くのはいいがそこから先で何が起ころうと妾は力を貸せぬからそれだけは気を付けるようにするんじゃぞ」
魔王はまだ村人を生き返らせないといけないため少しここに残ることになり、一行は世界樹を目指し村を出るのだった。
無駄な動きを一切せず戦いを繰り広げるライナに思わず感心してしまう隆だが急いで魔王の背後をとる。
「いなづっ…!」
上に跳ぼうとしたライナの足は上がらずその隙を見逃してくれるような相手ではない。
背後から殴る隆を無視して口から巨大な火の玉を放つ魔王。
今のライナには避けられるはずもなくさすがに無理だとカットラスだけ構えると火の玉は弾かれてカットラスは砕けてしまった。
「まだ戦えと言うのでござるか…もう手持ちないのでござるが」
「おっっらぁぁぁ!」
邪魔と言わんばかりに振り向きざまに攻撃されても挫けず立ち向かう隆。
ライナは残り一本だけ残ったクナイを咥えて感覚の無くなった足を動かす。
「そのしつこさ、もはや称賛に値するな!」
「知らねえのか!?魔王ってのは倒されるもんなんだよ!」
魔王の顔を殴っては殴り返され首が取れそうになる隆。
そこへ魔王の腹の下へと滑りこんだライナは咥えたクナイで魔王の腹を流れるように切り裂いた。
「グゥッ…!」
「そこだぁぁぁぁぁ!」
突如燃え上がった拳で腕が伸びなくなるまでラッシュを叩きこむ。
最後の一撃は重い魔王の体を数回転させるほど力強く、格好つけるため拳を空に突き上げた。
一方、リトスは一度死んだ時と同じ場所にいた。
前回とは違い、そばにラルアがいる。
(ここは?僕は死んだはずなのだけれど)
「さぁ?でも死んだことに変わりないよ」
(冷静だね)
「一回ここに来てるからね。ほら前にも…って覚えてないんだっけ」
「死んだというのに呑気なもんじゃのー」
「ほら来た」
魂に響く声にも驚かなくなったリトス。
「負けた。おぬしら本当に強くなったの」
(勝ったんだ)
「みたいだね」
「おぬしらな…この魔王に勝ったのだからもっと喜んだらどうなんじゃ…まぁよい。さっさと生き返らせるとするかのう」
リトスが意識を取り戻すと村の建物が直り少女の姿になった魔王と仲良く話している隆達の姿があった。
話に混じるとアランがどうしてあの魔法を使えたのかという話題になっていた。
アラン曰く「風の噂で凄い魔法が騎士団本部の地下にあるらしいと聞いて忍び込んだら本当にあったから盗んだ」とのこと。
「おぬしら一人もまともな奴がおらんの…さて、もう決断をせねばならんだろう」
「そうだね。皆、今まで旅に付き合ってくれてありがとう。別れるのは寂しいけど…」
「「待った」」
話の途中で手を上げる隆とライナ。
「俺、帰る場所ねえよ」
「拙者も追われている身なので帰るに帰れないでござる」
(僕も家という家はないね)
沈黙する一同。
それもそのはずここで解散されてもアラン以外追われている身のため行く当てがない。
リトスもそのうちの一人なのである。
「住処でも見つけて穏やかに暮らそうかな…」
「隠居にはまだ早いじゃろう」
(ちょっといいかい?)
「どうしたのラルア?」
(できればで構わないのだけれど、僕の生まれた場所、親である世界樹へ一緒に行ってくれないか?)
「私はいいけど…」
周りの様子を疑うと全員が承諾した。
「それじゃ妾は村人生き返らせて帰るぞ。部下には妾が負けたと伝えておくからもうおぬしらを襲うことはない」
「へっ、襲われてももう負ける気しねえよ。それよりいつも移動してるその魔法使って世界樹まで連れて行ってくれ」
「そういうと思うたわ。しかしこの魔法は一度自らの足で行ったことのある所しか行けんのじゃよ」
「世界樹は魔力を少しでも持つと近づけないみたいですからなぁ」
しかし隆が取り出した地図の世界樹は死の街のすぐ奥のように書いてある。
アランの話が本当ならば魔の力の塊のようなアスモディアンがこのような世界樹の近くに住むわけがない。
「ってことはこの地図が間違ってるってことか?」
「ほぼあっておる。しかし死の街と世界樹は隔離されているように離れておるのじゃ」
「そうはいっても世界樹の近くに死の街があるのはおかしいだろうよ」
「何といったら伝わりやすいかの…妾がまだ生まれたばかりの頃この世界樹はなかったんじゃよ。妾のいる城も浮かんでおらず地についておった。しかし世界樹は突然生えた、生えたというより現れ城を空へ浮かせてしもうた。そして迷惑に思うた父上は切り倒そうと近づいたがバチッという音がした後、塵となって消えた」
だから誰も近づけない。そのため空を飛べるものしか城に入ることは叶わず魔王の母は絶望して自ら世界樹に近づいて消えてしまった。
そしてまだ物心ついて間もない今の魔王であるティアマトが繰り上がって魔王になった。
「本来なら父上がまだ魔王をやっておるのだが…話が逸れたの。世界樹に行くのはいいがそこから先で何が起ころうと妾は力を貸せぬからそれだけは気を付けるようにするんじゃぞ」
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