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ファウルダース侯爵家結婚編
脱出作戦3
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―――パァンッ!
火薬の匂いとともに派手に響いた銃声は、運動会で聞くリレーのスタート合図と一緒だった。
背筋に冷や汗が落ちる。
これ、本物かも。
間違っても人に向けて引き金を引かないようにしないと。
私は銃をおろしつつ、安全装置をもう一度はめる。
結構反動が強くて、腕がじんじんする。
「道を開けてください。私をアンリの元へ」
「……姫君、ご乱心召されるな」
「乱心なんてしていません。乱心していたらこれを今すぐ私の頭に撃ち込んでいます。人を殺すのに特化した道具なので、一瞬で死ねますから」
エンゾさんに微笑みかければ、彼は頬をひくりと引き攣らせた。
「……トビ、これは約定に反するのでは?」
「さてな。アレがこんな強硬手段を取るのはお前のせいだろう。俺は知らん」
冷たくエンゾさんをあしらったトビは私の方へと振り返った。
「怪我をする前にやめておけ。お前が怪我をしたら、お前を助けに来る男どもが手をつけられなくなる。それこそ本当に死人が出るぞ」
「なら、その人たちを外へ。それからアンリ達にかけた命令を解いてください」
トビがエンゾさんを見る。
兵士達が伺うようにエンゾさんを見やれば、エンゾさんは視線だけで外に出るよう促した。
宝物庫の中には、私とトビ、それからエンゾさんの三人だけになる。
「……これで満足ですか」
「アンリたちにかけた命令を解いてください」
エンゾさんはため息をついて、宝物庫の扉に一番近い兵士に話しかけた。
少し距離があるから聞こえないけど、たぶん命令を取り消してくれてるんだと思う。
「命令は取り消しました。さぁ姫君、それを置いてこちらへ」
「いいえ。私はルドランスに帰ります」
「帰るにしても馬車の手配が必要でしょう」
もっともなことを言われてしまい、私はおもむろに銃を下げる。
「こちらへ」
エンゾさんの圧が強い。
私は銃を元あった台座へと置くと、ぐちゃぐちゃになっていた布をそっと直す。
すごすごとエンゾさんとトビの近くまで近寄った。
それでも腕が届かない距離までで、それ以上は近寄らない。
エンゾさんは私に微笑みかけると、手を差し出す。
「姫君、お手を」
「……結構です」
「お手を」
……圧が強い。
エンゾさんってこんな人だったの? お茶会に誘ってきた時は行動力ある人だなって思ったけど、今は行動力ありすぎてちょっと強引だ。
私を攫おうとしたトビに一言物申していたエンゾさんはどこいった。……その後すぐに手のひら返して私をオルレットに連れて行くのに賛同してたことを思い出した。人の嫌なところばかり目について、本当に嫌になる。
「……」
「ふふ。ではエスコートさせていただきましょう」
本当にこの人の考えが読めない。
にこやかに浮かべている笑顔が胡散臭くて、私はトビを見る。
トビは私に一瞥をくれただけで何も言わなかった。
どうしよう、これで良かったのかな。大丈夫かな。
アンリたちは逃げられたかな。
ユーグさんには最悪アンリだけでもって伝えているから、逃げてくれているといいんだけど。
それにトビが私をルドランスに帰してくれるって約束したし―――。
つらつらと考え事をしながら歩いていて、ふと気がつく。
エンゾさんが向かう方向は、天落の宮ではなかった。
「エンゾ様? そちらはお宮ではないのでは?」
「さすがに今夜ばかりはこの騒動ですので、目の届く所にいていただかないと」
エンゾさんのあまり理由になっていないような理由に顔をしかめてる間にも、彼は母屋の敷地の門をくぐっていく。
なんだろう。すごく嫌な予感がする。
この騒ぎのせいか、人の行き交いは夜にも関わらずまばらにあるんだけど。
「おい、エンゾ。どういうつもりだ」
とうとう、一緒に着いてきていたトビも怪訝に思ったのか声を上げた。
トビが足を止めたので、エンゾさんも足を止める。
エンゾさんは相変わらずの笑顔を貼りつけていた。
「どういうつもりだ、とは?」
「そっちは客間じゃないだろう」
「客間ではありませんが、お部屋のご用意はできてますよ」
そう言って笑うエンゾさんに、トビは深く息をついた。
「またろくでもない事を考えてるな。ソレを寄越せ。俺が面倒を見る」
「くつろぐのはこの先でも良いのでは?」
「馬鹿か。俺にコレを抱く趣味はない」
コレとかソレとか言様がひどいけど、トビが指してるのは私のことだよね?
それに抱くって。
……やっぱり私、はめられた?
警戒してエンゾさんの手から離れようとすれば、ギリッと痛いほどに手のひらが握られる。
痛みに顔をしかめてエンゾさんを見れば、寒々しいほどの笑顔で私を見ていた。
「トビがしないなら、私がおもてなしして差し上げます。これでも運良く、香の大家の血筋ですから」
背筋がぞっとして、肌が粟立つ。
この、目は。
エンゾ様が私を見る目は、捕食者のそれだ。
「……っ、離して! 私、トビと行きますから!」
「連れないことを言わないでください、姫君。極上の夜を捧げてあげますゆえ」
「そんなもの入りません!」
「おい、エンゾ」
半分絶叫にも近かったと思う。
見咎めたトビが私達の間に入ろうとしてくるたけど。
「兵よ、手はず道理に」
「何?」
エンゾさんが所々に警護のために立っていた兵士に目配せすると、彼らは恭しい態度ではありながら、トビの腕を拘束した。
「なんの真似だ」
「トビも素直になればいいのです。私の子種だけでは心許ないですし、やはりここは本家筋のがやはりほしいですから。そう望むのは、私だけではないということですよ」
「貴様、俺をも謀るか」
「謀ってなどおりません。少しばかり、その気になってもらうために少々乱暴なことをさせていただきますが……」
待って、待って、待って。
いったいエンゾさんは、何をする気なの!?
「天落香の準備はいかがです?」
「焚き始めましたので、もう間もなく」
兵士の一人が答える。
私はエンゾさんが口にしたものの名前に、反射的に体が強ばった。
いやだ。
それは、いや!
「離して!」
「離しません。大人しくしてください」
「この……っ!」
私はなりふりかまわず、エンゾさんが握る手を振りほどこうとするけど、彼の力は強くて。
離してほしいのに離してくれない。
ままならない私は、カッとなって空いていた手でエンゾさんの頬を平手打ちした。
パンッ、と、銃声より軽い音が鳴る。
エンゾさんは頬を平手打ちにされても笑っていた。
「最低。女の敵。クズ。ゴミ。離してよ」
「ゴミはちょっと言い過ぎではありませんか?」
「知らない。自分のやってることを顧みてから言って」
平手打ちした手が痛い。
私の手だって痛いならエンゾさんも痛いはずなのに、エンゾさんは飄々と笑っている。
それが不気味だった。
「エンゾ。こんなことをしても無意味だ。血に意味はない」
「無意味ではありません。天降り人は存在が特別なのです。その特別を残すのは至極当然なことでしょう?」
話が通じない。
なんなの。
エンゾさんのこの天降り人への執着心は、なんなの。
エンゾさんのその執着心が気味が悪くて、私は後ずさる。当然、エンゾさんは私の手を離してくれないけど。
「トビなら分かってくれると思ったんですが……仕方ありません。お前たち、準備でき次第、トビを薫香の間へ」
「は」
「おい、エンゾ!」
「姫君は私と共に先に参りましょう。閨の準備は整えてございますよ」
トビが兵士たちに引きずられるように連れて行かれる。
嘘でしょう。
血の気が引いていく。
だめだ。
これに着いてっちゃだめだ。
「離して! 私は行かない!」
「これは姫君のお仕事ですよ。あなたはこのためにここへと落とされたのです」
「ふざけないで!」
「ふざけておりませんよ」
話が通じない!
ぐいっと引かれるのを、その場に踏みとどまって抵抗していると、エンゾさんがため息をつく。
「本当は、これは使いたく無かったのですが」
そう言って、懐から何かを取り出す。
小瓶のようなそれをエンゾさんは私に見せてきた。
「天落香の香水です。液化しても天降り人に効いてくれるといいのですが」
私はまるで凶器のようなそれに、身をすくませた。
それは、いや。
そんなの、いや……!
「やめてよ! 離してっ! 離してってば……っ!」
どうしてこんなのばっかり!
私が天降り人だからいけないの!?
私が女だからいけないの!?
こんな世界に来たくなかった、女になんて生まれるんじゃなかった!
どうして神様は、私に普通をくれないの!?
「たすけて、アンリ……っ!」
神様が助けてくれないなら、せめて。
その願いは通じてくれたのか、不意にガシャンと何かが割れる音がした。
視界の中で背後から鋭い何かが伸びる。
それに驚いたエンゾさんは思わずといった様子で、私の手を離した。
つんのめった私が後ろに倒れ込むのを、誰かが受け止めてくれる。
「間に合った……!」
聞き慣れた声とともに、視界に飛び込んでくる銀色。
私は上を向き、背中から抱きしてめくれるスミレ色の瞳に手を伸ばす。
喉の奥から何かがせり上がってきた。
「アンリ……!」
助けに来てくれた。
そのまま逃げてしまえば良かったのに、私も一緒に連れ出しに来てくれた。
私の王子様―――ううん、私の騎士様。
アンリは私にあの日だまりのような笑顔を見せてくれると、ぎゅっと後ろから抱きかかえてくれる。
「置いていくなって言ったろ。僕だって置いていかないさ」
「うん」
お腹にまわったたくましい腕に安堵する。
もう大丈夫。
アンリがいるなら、安心していい。
我慢していた涙が一筋、頬を流れ落ちていった。
火薬の匂いとともに派手に響いた銃声は、運動会で聞くリレーのスタート合図と一緒だった。
背筋に冷や汗が落ちる。
これ、本物かも。
間違っても人に向けて引き金を引かないようにしないと。
私は銃をおろしつつ、安全装置をもう一度はめる。
結構反動が強くて、腕がじんじんする。
「道を開けてください。私をアンリの元へ」
「……姫君、ご乱心召されるな」
「乱心なんてしていません。乱心していたらこれを今すぐ私の頭に撃ち込んでいます。人を殺すのに特化した道具なので、一瞬で死ねますから」
エンゾさんに微笑みかければ、彼は頬をひくりと引き攣らせた。
「……トビ、これは約定に反するのでは?」
「さてな。アレがこんな強硬手段を取るのはお前のせいだろう。俺は知らん」
冷たくエンゾさんをあしらったトビは私の方へと振り返った。
「怪我をする前にやめておけ。お前が怪我をしたら、お前を助けに来る男どもが手をつけられなくなる。それこそ本当に死人が出るぞ」
「なら、その人たちを外へ。それからアンリ達にかけた命令を解いてください」
トビがエンゾさんを見る。
兵士達が伺うようにエンゾさんを見やれば、エンゾさんは視線だけで外に出るよう促した。
宝物庫の中には、私とトビ、それからエンゾさんの三人だけになる。
「……これで満足ですか」
「アンリたちにかけた命令を解いてください」
エンゾさんはため息をついて、宝物庫の扉に一番近い兵士に話しかけた。
少し距離があるから聞こえないけど、たぶん命令を取り消してくれてるんだと思う。
「命令は取り消しました。さぁ姫君、それを置いてこちらへ」
「いいえ。私はルドランスに帰ります」
「帰るにしても馬車の手配が必要でしょう」
もっともなことを言われてしまい、私はおもむろに銃を下げる。
「こちらへ」
エンゾさんの圧が強い。
私は銃を元あった台座へと置くと、ぐちゃぐちゃになっていた布をそっと直す。
すごすごとエンゾさんとトビの近くまで近寄った。
それでも腕が届かない距離までで、それ以上は近寄らない。
エンゾさんは私に微笑みかけると、手を差し出す。
「姫君、お手を」
「……結構です」
「お手を」
……圧が強い。
エンゾさんってこんな人だったの? お茶会に誘ってきた時は行動力ある人だなって思ったけど、今は行動力ありすぎてちょっと強引だ。
私を攫おうとしたトビに一言物申していたエンゾさんはどこいった。……その後すぐに手のひら返して私をオルレットに連れて行くのに賛同してたことを思い出した。人の嫌なところばかり目について、本当に嫌になる。
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「ふふ。ではエスコートさせていただきましょう」
本当にこの人の考えが読めない。
にこやかに浮かべている笑顔が胡散臭くて、私はトビを見る。
トビは私に一瞥をくれただけで何も言わなかった。
どうしよう、これで良かったのかな。大丈夫かな。
アンリたちは逃げられたかな。
ユーグさんには最悪アンリだけでもって伝えているから、逃げてくれているといいんだけど。
それにトビが私をルドランスに帰してくれるって約束したし―――。
つらつらと考え事をしながら歩いていて、ふと気がつく。
エンゾさんが向かう方向は、天落の宮ではなかった。
「エンゾ様? そちらはお宮ではないのでは?」
「さすがに今夜ばかりはこの騒動ですので、目の届く所にいていただかないと」
エンゾさんのあまり理由になっていないような理由に顔をしかめてる間にも、彼は母屋の敷地の門をくぐっていく。
なんだろう。すごく嫌な予感がする。
この騒ぎのせいか、人の行き交いは夜にも関わらずまばらにあるんだけど。
「おい、エンゾ。どういうつもりだ」
とうとう、一緒に着いてきていたトビも怪訝に思ったのか声を上げた。
トビが足を止めたので、エンゾさんも足を止める。
エンゾさんは相変わらずの笑顔を貼りつけていた。
「どういうつもりだ、とは?」
「そっちは客間じゃないだろう」
「客間ではありませんが、お部屋のご用意はできてますよ」
そう言って笑うエンゾさんに、トビは深く息をついた。
「またろくでもない事を考えてるな。ソレを寄越せ。俺が面倒を見る」
「くつろぐのはこの先でも良いのでは?」
「馬鹿か。俺にコレを抱く趣味はない」
コレとかソレとか言様がひどいけど、トビが指してるのは私のことだよね?
それに抱くって。
……やっぱり私、はめられた?
警戒してエンゾさんの手から離れようとすれば、ギリッと痛いほどに手のひらが握られる。
痛みに顔をしかめてエンゾさんを見れば、寒々しいほどの笑顔で私を見ていた。
「トビがしないなら、私がおもてなしして差し上げます。これでも運良く、香の大家の血筋ですから」
背筋がぞっとして、肌が粟立つ。
この、目は。
エンゾ様が私を見る目は、捕食者のそれだ。
「……っ、離して! 私、トビと行きますから!」
「連れないことを言わないでください、姫君。極上の夜を捧げてあげますゆえ」
「そんなもの入りません!」
「おい、エンゾ」
半分絶叫にも近かったと思う。
見咎めたトビが私達の間に入ろうとしてくるたけど。
「兵よ、手はず道理に」
「何?」
エンゾさんが所々に警護のために立っていた兵士に目配せすると、彼らは恭しい態度ではありながら、トビの腕を拘束した。
「なんの真似だ」
「トビも素直になればいいのです。私の子種だけでは心許ないですし、やはりここは本家筋のがやはりほしいですから。そう望むのは、私だけではないということですよ」
「貴様、俺をも謀るか」
「謀ってなどおりません。少しばかり、その気になってもらうために少々乱暴なことをさせていただきますが……」
待って、待って、待って。
いったいエンゾさんは、何をする気なの!?
「天落香の準備はいかがです?」
「焚き始めましたので、もう間もなく」
兵士の一人が答える。
私はエンゾさんが口にしたものの名前に、反射的に体が強ばった。
いやだ。
それは、いや!
「離して!」
「離しません。大人しくしてください」
「この……っ!」
私はなりふりかまわず、エンゾさんが握る手を振りほどこうとするけど、彼の力は強くて。
離してほしいのに離してくれない。
ままならない私は、カッとなって空いていた手でエンゾさんの頬を平手打ちした。
パンッ、と、銃声より軽い音が鳴る。
エンゾさんは頬を平手打ちにされても笑っていた。
「最低。女の敵。クズ。ゴミ。離してよ」
「ゴミはちょっと言い過ぎではありませんか?」
「知らない。自分のやってることを顧みてから言って」
平手打ちした手が痛い。
私の手だって痛いならエンゾさんも痛いはずなのに、エンゾさんは飄々と笑っている。
それが不気味だった。
「エンゾ。こんなことをしても無意味だ。血に意味はない」
「無意味ではありません。天降り人は存在が特別なのです。その特別を残すのは至極当然なことでしょう?」
話が通じない。
なんなの。
エンゾさんのこの天降り人への執着心は、なんなの。
エンゾさんのその執着心が気味が悪くて、私は後ずさる。当然、エンゾさんは私の手を離してくれないけど。
「トビなら分かってくれると思ったんですが……仕方ありません。お前たち、準備でき次第、トビを薫香の間へ」
「は」
「おい、エンゾ!」
「姫君は私と共に先に参りましょう。閨の準備は整えてございますよ」
トビが兵士たちに引きずられるように連れて行かれる。
嘘でしょう。
血の気が引いていく。
だめだ。
これに着いてっちゃだめだ。
「離して! 私は行かない!」
「これは姫君のお仕事ですよ。あなたはこのためにここへと落とされたのです」
「ふざけないで!」
「ふざけておりませんよ」
話が通じない!
ぐいっと引かれるのを、その場に踏みとどまって抵抗していると、エンゾさんがため息をつく。
「本当は、これは使いたく無かったのですが」
そう言って、懐から何かを取り出す。
小瓶のようなそれをエンゾさんは私に見せてきた。
「天落香の香水です。液化しても天降り人に効いてくれるといいのですが」
私はまるで凶器のようなそれに、身をすくませた。
それは、いや。
そんなの、いや……!
「やめてよ! 離してっ! 離してってば……っ!」
どうしてこんなのばっかり!
私が天降り人だからいけないの!?
私が女だからいけないの!?
こんな世界に来たくなかった、女になんて生まれるんじゃなかった!
どうして神様は、私に普通をくれないの!?
「たすけて、アンリ……っ!」
神様が助けてくれないなら、せめて。
その願いは通じてくれたのか、不意にガシャンと何かが割れる音がした。
視界の中で背後から鋭い何かが伸びる。
それに驚いたエンゾさんは思わずといった様子で、私の手を離した。
つんのめった私が後ろに倒れ込むのを、誰かが受け止めてくれる。
「間に合った……!」
聞き慣れた声とともに、視界に飛び込んでくる銀色。
私は上を向き、背中から抱きしてめくれるスミレ色の瞳に手を伸ばす。
喉の奥から何かがせり上がってきた。
「アンリ……!」
助けに来てくれた。
そのまま逃げてしまえば良かったのに、私も一緒に連れ出しに来てくれた。
私の王子様―――ううん、私の騎士様。
アンリは私にあの日だまりのような笑顔を見せてくれると、ぎゅっと後ろから抱きかかえてくれる。
「置いていくなって言ったろ。僕だって置いていかないさ」
「うん」
お腹にまわったたくましい腕に安堵する。
もう大丈夫。
アンリがいるなら、安心していい。
我慢していた涙が一筋、頬を流れ落ちていった。
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