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『第3章 黒い霧、悪夢の織り手』
巨躯、化け物-2
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止まった時間の中、少しずつ、本当に少しずつ迫る鎌を見て悠は考える。
(これ、どうしよう……)
悠は自身に命の危機が迫っているのにも関わらず、妙に冷静であった。走馬燈を何回も見、さらにはこの”止まった時間”も経験すること数回。
そして気が付く共通点。
(いつも、俺の命が危ないときに時間が止まってる……?)
この世界に来るときに襲われた隕石片にぶつかりそうになった時も、清廉騎士団にに襲われた時も、今回の化け物に襲われた時も。共通するのは”悠の命の危機”であった。
しかしそのことに気が付いても、状況は良くなるわけではない。悠の体はヴィスラに思い切り引っ張られて宙に浮き、足を踏ん張れない状態。かといって、ゆっくりと落ちてくる化け物の鎌は、悠の首目掛けて振り落とされるのは目に見えていた。
(……あっ)
悠はふと、あることを思いつく。
大事に背に差した己の釣り竿一式。釣り竿にリールに、先には鋭い”釣り針”。大事にしてきた己の道具であり、悠の元の世界から持ってこられた数少ないモノ。だが。
(命には代えられないっ!)
悠は釣り竿を背から抜くと、その巨躯の化け物に向かってキャスティングをする。
同時に、止まった時間は進み始める。
「悠、危ないさねっ!」
「うぉおっ!」
悠の体がヴィスラに思い切り引っ張られる。
引っ張られた勢いで首元が圧迫され、悠は一瞬だけ息が詰まる。
ゴウッ。
同時に悠の鼻先、寸前のところを化け物の鎌が通り過ぎる。だが悠はヴィスラに引っ張られ、鼻先を煌めく鎌が通り過ぎたのにも関わらず、まばたき1つしなかった。
「掛かったっ! 俺の人生で最大の大物だぜっ」
悠が手に持つ釣り竿。釣り竿の先からから伸びる釣り糸、そしてその先に付いた釣り針は化け物の目へと突き刺さっていた。
悠はリールをしっかりと握りながら、ヴィスラの後ろへと転がっていく。
「ん;いど;gんhぃ!!!!!」
涎を垂らし、奇妙な叫び声をあげて化け物は咆吼を上げる。
化け物は潰れていない濁った黄色い左目で悠を睨み付ける。そして醜く脂肪の付いた腹部を揺らしながら、4対の枯れ枝にも似た手を伸ばす。
「おーおー、でかいの。まァまァの力さね」
だがその突進をヴィスラは右手1本で受け止める。
その右手はいつの間に変化したのか紅い鱗に覆われており、鋭いかぎ爪が化け物の腹部へと深々と突き立てられていた。
「ん;いど;gんhぃ!!!!!」
枯れ枝のような腕が伸び、ヴィスラの頭や首を掴み締め上げる。
地面へと転がった悠はその様子を見て、ヴィスラに向かって叫ぶ。
「おい、ヴィスラ! 大丈夫か!?」
「……こんなの、撫でられているようなもんさね」
ヴィスラは右手を化け物の腹部を引き抜くと、両手で化け物の手を掴む。
そして力任せに化け物の手を握りつぶす。
「ん;いど;gんhぃ!!!!!」
化け物の手は無残にも潰れ、細い骨が手の甲から突き出ていた。
化け物の手はヴィスラから離れ、手から赤い血をまき散らして化け物は逃げようとヴィスラに背を向ける。
「おィおィ、アタシに喧嘩を売っておいて、命を置いて行かないなんてどういう了見さね」
逃げる化け物を見ながら、ヴィスラは思い切り息を吸う。
「” 黄金の 大渦”」
ヴィスラの口から黄金色の業火が放たれる。
その業火は草を焼き、木々を焼き、そして逃げる化け物を焼く。黄金の業火に巻き込まれた化け物は燃えながらも木々を尾なぎ倒して暴れ、叫ぶがそれもまたすぐに聞こえなくなるのであった。
(これ、どうしよう……)
悠は自身に命の危機が迫っているのにも関わらず、妙に冷静であった。走馬燈を何回も見、さらにはこの”止まった時間”も経験すること数回。
そして気が付く共通点。
(いつも、俺の命が危ないときに時間が止まってる……?)
この世界に来るときに襲われた隕石片にぶつかりそうになった時も、清廉騎士団にに襲われた時も、今回の化け物に襲われた時も。共通するのは”悠の命の危機”であった。
しかしそのことに気が付いても、状況は良くなるわけではない。悠の体はヴィスラに思い切り引っ張られて宙に浮き、足を踏ん張れない状態。かといって、ゆっくりと落ちてくる化け物の鎌は、悠の首目掛けて振り落とされるのは目に見えていた。
(……あっ)
悠はふと、あることを思いつく。
大事に背に差した己の釣り竿一式。釣り竿にリールに、先には鋭い”釣り針”。大事にしてきた己の道具であり、悠の元の世界から持ってこられた数少ないモノ。だが。
(命には代えられないっ!)
悠は釣り竿を背から抜くと、その巨躯の化け物に向かってキャスティングをする。
同時に、止まった時間は進み始める。
「悠、危ないさねっ!」
「うぉおっ!」
悠の体がヴィスラに思い切り引っ張られる。
引っ張られた勢いで首元が圧迫され、悠は一瞬だけ息が詰まる。
ゴウッ。
同時に悠の鼻先、寸前のところを化け物の鎌が通り過ぎる。だが悠はヴィスラに引っ張られ、鼻先を煌めく鎌が通り過ぎたのにも関わらず、まばたき1つしなかった。
「掛かったっ! 俺の人生で最大の大物だぜっ」
悠が手に持つ釣り竿。釣り竿の先からから伸びる釣り糸、そしてその先に付いた釣り針は化け物の目へと突き刺さっていた。
悠はリールをしっかりと握りながら、ヴィスラの後ろへと転がっていく。
「ん;いど;gんhぃ!!!!!」
涎を垂らし、奇妙な叫び声をあげて化け物は咆吼を上げる。
化け物は潰れていない濁った黄色い左目で悠を睨み付ける。そして醜く脂肪の付いた腹部を揺らしながら、4対の枯れ枝にも似た手を伸ばす。
「おーおー、でかいの。まァまァの力さね」
だがその突進をヴィスラは右手1本で受け止める。
その右手はいつの間に変化したのか紅い鱗に覆われており、鋭いかぎ爪が化け物の腹部へと深々と突き立てられていた。
「ん;いど;gんhぃ!!!!!」
枯れ枝のような腕が伸び、ヴィスラの頭や首を掴み締め上げる。
地面へと転がった悠はその様子を見て、ヴィスラに向かって叫ぶ。
「おい、ヴィスラ! 大丈夫か!?」
「……こんなの、撫でられているようなもんさね」
ヴィスラは右手を化け物の腹部を引き抜くと、両手で化け物の手を掴む。
そして力任せに化け物の手を握りつぶす。
「ん;いど;gんhぃ!!!!!」
化け物の手は無残にも潰れ、細い骨が手の甲から突き出ていた。
化け物の手はヴィスラから離れ、手から赤い血をまき散らして化け物は逃げようとヴィスラに背を向ける。
「おィおィ、アタシに喧嘩を売っておいて、命を置いて行かないなんてどういう了見さね」
逃げる化け物を見ながら、ヴィスラは思い切り息を吸う。
「” 黄金の 大渦”」
ヴィスラの口から黄金色の業火が放たれる。
その業火は草を焼き、木々を焼き、そして逃げる化け物を焼く。黄金の業火に巻き込まれた化け物は燃えながらも木々を尾なぎ倒して暴れ、叫ぶがそれもまたすぐに聞こえなくなるのであった。
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