隘路

DarkQuord

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振り返る

秘密の家

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 次の日から、変な噂が広まっていた。

 "あの時、俺からブランコを取ったあいつらは、おじさんに殺された"

 まさか、そんな事あるわけないだろ。
 でも、確かにあの立ち入り禁止のテープはよく分からなかったし、あの全校集会の事もあってちょっと怖くなった。

 けどまあ、そんな事ないだろう!と思い込むことにした。

 しばらくして、公園に入れるようになったから、またみんなで野球しに行った。

 みんなまだ来てないから、ベンチに大人しく座って待っていよう。
 視界にあのブランコが入ると、噂の事もあって嫌な気分になるな…

「坊主!これ落としたぞ!」
 幸次「あ、ありがとうおっちゃん!」

 後ろからおじさんが話しかけてきて、俺のハンカチを拾ってくれた。

「坊主、野球好きなのか?」
 幸次「そうだよ、いつも友達とやるんだ」

 このおっちゃんは野球に詳しくて、強い選手の話をいっぱいしてくれた。他にも、ボールの打ち方、取り方、走り方、色んな事を教えてくれた。

 佐藤「幸次ー!来たぞー!」
 幸次「あっ、みんな来たからもういくね、ありがとうおっちゃん!」

「おう、頑張れよ坊主」

 その日から、おっちゃんとはたまに会って、その度野球の話をした。
 おっちゃんは面白くて、優しくて、さとちゃん達とは違った楽しさがあった。

 この日もおっちゃんと会って野球の話をしてた。
 いつもと同じ内容だけど、それでよかった。

「そうだ、坊主。俺んちに色々あんだけどよ、見てくか?」

 幸次「えぇ!いいの?」

「あぁいいとも、お前みたいな坊主は立派に成長するべきだからな!」

 やった!おっちゃんは物知りだから、おっちゃんの家はきっと凄いんだろうな~楽しみ!

「俺んちはこっちだ、行くぞ」

「おいそこの男、待て!」

 遠くから紺色の服を着た人が二人走ってくる。

「チッあと少しだったのによ」

 そう呟いた瞬間、おっちゃんは俺の腕を引っ張ってその人達から逃げ始めた。
 俺は凄く嫌な予感がした。
 このおっちゃんは、実は凄い悪い人なんじゃないかって思った。
 そういや、噂にも"おじさんが"ってあったし…
 そう思うと怖くなって…俺は叫んだ。

 幸次「痛いよおっちゃん!放して!」
 おっちゃん「坊主、うるさいぞ!」

 おっちゃんは足が早くて、俺の足じゃ到底追い付けないから、引っ張られて無理やり走らされて腕と足が凄く痛い。

 しばらくして、おっちゃんの家に着いたらしくて、おっちゃんはやっと手を放してくれた。

「はぁ…いいか、坊主。あの人達は悪い奴らだ。勝手に俺を悪者だと決めつけて、俺を捕まえようとしてくるんだ。

 だから、あの人達は信じちゃだめだぞ。」

 幸次「う、うん…分かったよ、おっちゃん」

「よし、偉いぞ坊主。さ、この話はやめだ!坊主、あっちの部屋にたくさんあるから好きに見てていいぞ!俺は休んでからいく」

「分かった、おっちゃんありがとう!」

 窓があって中が見える棚の中には、色々な新聞が入ってた。こんなチームが優勝したというのが、おっきく書いてあるやつばかりだ。

 本棚には、難しそうな本と野球の本があった。
 俺は本棚から野球の本を取り出して、ページをめくってみた。
 でも難しい漢字が多くて、あまり読めなかった。
 それに、なんだか外が騒がしくなってきた気がする。

「おーい坊主、こっちの部屋に来てくれ」
 幸次「はーい」

 俺はおっちゃんに呼ばれて、2階の部屋に連れてかれた。

「よし、しばらくここで待っててくれ、坊主」
 幸次「うん、分かった」

 その部屋は暗くて、ジメジメしててちょっと嫌な感じがする。
 電気がほしいけど、暗くていまいち見えない。
 壁を手探りで伝って何とか歩けてるけど、足元が見えないのが怖い。

「…だろ、な…子…た?」

 部屋の外からおっちゃんと誰かの声が聞こえる。
 うわっ、なんか蹴っちゃったし、痛って~…
 そして壁を触っていたら、窓っぽいのを見つけた。

 これを開ければ少しは明るくなるはず…!
 固くて中々開かなっ…おら!
 よし…ちょっと開いた…これで少し見えるようになった。

 天井から電気の紐がぶら下がっているのが見えた。
 それを引っ張って電気をつけた。

 これで明るく…ってうわっ!?

 部屋の中には変な道具が転がっていて、中にはノコギリも落ちていた。
 なんでこんな事に!?とにかく、早くここから…

「あ~こっちですよ、この部屋」

 おっちゃん!?やばい、どこかに隠れなきゃ…

 そう動こうとした前に、扉が開いた。

「おう坊主!こいつは…」
「いけ!入れ!」

 なんだ!?おっちゃんの後ろから人が沢山…!
 しかも、おっちゃんが扉のとこに立ってて出れない!そこからしか出れないのに!

「坊や、お兄さんと一緒に来てくれる?」

 この服…警察?
 でも、なんで警察がおっちゃんの家に…それで俺に話しかけてくるんだ…?

 訳の分からないまま、俺はその警察の兄さんの言う通りについていく事になった。
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