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第9章 使、命
第346話 別
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追ってくる緋堯の兵達はなかなか執拗だった。
彼らを穴に誘い込んで、そのうちに作戦を決行させる、翠玉の狙いは上手くいった。
事態を察した彼らは、慌てて自軍の援護に向かうために穴を出るか、もしくはこのまま進んでせめて本陣に打撃をくらわせることを考えるか、翠玉には二通りの予想があった。
結局、彼らは後者を選んだ、ように思えた。
ここまでに外に出る穴はいくらでもあった。しかし彼らはそんなものに興味がないと言うように、執拗に翠玉達を追ってきた。
敵側からは、時折狭い洞内に矢が放たれ、それを出っ張った鍾乳石に身を隠してやり過ごした。
反対に翠玉と隆蒼も、手持ちの暗器を駆使して彼らの足止めをしたが、致命傷を与えられている手答えは無かった。
「このままだとまずいわ。とにかく地上に出ましょう」
たしか、この先の出口は自軍の管轄内である。追ってくる敵兵は今どれくらいいるのか分からない。地上ならば、自軍の兵もいるし、広いところの方が戦い易い。
そう3人で頷き合って出口を目指した
「クッ!、、、ッ」
何度目かの、敵からの矢が来たのはその直後だった。
「隆蒼!」
翠玉の後ろを守っていた隆蒼が、膝を折った。
どうやらわずかに退避が間に合わなかったらしい。
彼の右膝に矢が刺さっていた。
慌てて駆け寄ろうとする翠玉に、彼は手をかざしてこなくていいと訴える。
「大したことありません。大丈夫ですから」
そう言って彼は、足を踏み出して進む。
相当痛いのだろう、普段あまり表情のない彼が、表情を歪めて、額を脂汗が流れている。
それでも彼は一歩一歩、前に進む。
無理をさせたくはないが、しかしこの状況で置いていくことはできない。しかも通路は狭く肩を貸すこともできない。
出口までは、まだ少しある。
その前に敵兵に追いつかれる。
そこまで考えた時、隆蒼の身体が傾いだ。
危ない!と支えようと手を出したところで、どうやら彼が分岐の窪みに腰を下ろした事を理解する。
「か、なん。」
はぁはぁと荒い息で彼は翠玉の後ろに立つ華南を呼ぶ。
顔色が随分と悪い。
「翠玉様を頼む、、、毒矢だったらしい、おれは、多分この先には進めない」
サッと血の気がひいた。
毒矢が刺さって。この人はどれだけ歩いた?
「このっ馬鹿!!早く言いなさい」
すぐに動いたのは華南で、彼女は自分の髪紐を解くと、隆蒼の鎧をかき分けて、その膝上をきつく縛り上げる。
そして次の瞬間容赦なく刺さった矢を抜き取り、その傷口に口をつけて毒を吸い出す。
「馬鹿お前やめろ!」
慌てて止めようとする隆蒼に、ペッと血の塊を吐いた華南は
「ちゃんと濯ぐわよ、あんたは自分の心配してな!」
怒ったように呟いてそしてまた傷に口をつけた。
それを呆然と見ていた翠玉は、通路を人が近づいて来る気配を敏感に察した。
少し降った岩陰に身を隠し、暗器を投げつける。
誰かに当たったらしい、大きなものがどさりと崩れ落ちる音がする。
次の瞬間、矢の雨が通路を流れてくる。
飛距離的にまだすこし距離はある。
ゆっくり後退して、二人のもとに戻る。
どうやら華南は隆蒼を分岐を少し入った岩陰に隠したらしい。
隆蒼の元に行き、翠玉は腰に巻いた装具を彼に投げる。
翠玉の装備した暗器一式を収納したものだ。
「使いなさい。必ずあなたの手で返してよね」
それが何であるか理解した隆蒼が、翠玉を見上げて「なりません」とかすれた声で呟いた。
しかし翠玉はそれを無視する。
「華南いくわよ」
「はい」
隆蒼のもとに座った華南が立ち上がる
と思った
突然彼女の身体が傾いだように一瞬感じて
翠玉はそれを咄嗟に目で追ってしまった。
一瞬だった。
隆蒼の胸ぐらを掴んだ華南が、隆蒼に口付けたのだ。
そしてすぐに唇を離すと、華南は素早い動作で立ち上がる。
「死んだら容赦しないからね」
隆蒼をひと睨みして、そして
「翠玉様、まいりましょう」と唖然としている翠玉の腰を押した。
彼らを穴に誘い込んで、そのうちに作戦を決行させる、翠玉の狙いは上手くいった。
事態を察した彼らは、慌てて自軍の援護に向かうために穴を出るか、もしくはこのまま進んでせめて本陣に打撃をくらわせることを考えるか、翠玉には二通りの予想があった。
結局、彼らは後者を選んだ、ように思えた。
ここまでに外に出る穴はいくらでもあった。しかし彼らはそんなものに興味がないと言うように、執拗に翠玉達を追ってきた。
敵側からは、時折狭い洞内に矢が放たれ、それを出っ張った鍾乳石に身を隠してやり過ごした。
反対に翠玉と隆蒼も、手持ちの暗器を駆使して彼らの足止めをしたが、致命傷を与えられている手答えは無かった。
「このままだとまずいわ。とにかく地上に出ましょう」
たしか、この先の出口は自軍の管轄内である。追ってくる敵兵は今どれくらいいるのか分からない。地上ならば、自軍の兵もいるし、広いところの方が戦い易い。
そう3人で頷き合って出口を目指した
「クッ!、、、ッ」
何度目かの、敵からの矢が来たのはその直後だった。
「隆蒼!」
翠玉の後ろを守っていた隆蒼が、膝を折った。
どうやらわずかに退避が間に合わなかったらしい。
彼の右膝に矢が刺さっていた。
慌てて駆け寄ろうとする翠玉に、彼は手をかざしてこなくていいと訴える。
「大したことありません。大丈夫ですから」
そう言って彼は、足を踏み出して進む。
相当痛いのだろう、普段あまり表情のない彼が、表情を歪めて、額を脂汗が流れている。
それでも彼は一歩一歩、前に進む。
無理をさせたくはないが、しかしこの状況で置いていくことはできない。しかも通路は狭く肩を貸すこともできない。
出口までは、まだ少しある。
その前に敵兵に追いつかれる。
そこまで考えた時、隆蒼の身体が傾いだ。
危ない!と支えようと手を出したところで、どうやら彼が分岐の窪みに腰を下ろした事を理解する。
「か、なん。」
はぁはぁと荒い息で彼は翠玉の後ろに立つ華南を呼ぶ。
顔色が随分と悪い。
「翠玉様を頼む、、、毒矢だったらしい、おれは、多分この先には進めない」
サッと血の気がひいた。
毒矢が刺さって。この人はどれだけ歩いた?
「このっ馬鹿!!早く言いなさい」
すぐに動いたのは華南で、彼女は自分の髪紐を解くと、隆蒼の鎧をかき分けて、その膝上をきつく縛り上げる。
そして次の瞬間容赦なく刺さった矢を抜き取り、その傷口に口をつけて毒を吸い出す。
「馬鹿お前やめろ!」
慌てて止めようとする隆蒼に、ペッと血の塊を吐いた華南は
「ちゃんと濯ぐわよ、あんたは自分の心配してな!」
怒ったように呟いてそしてまた傷に口をつけた。
それを呆然と見ていた翠玉は、通路を人が近づいて来る気配を敏感に察した。
少し降った岩陰に身を隠し、暗器を投げつける。
誰かに当たったらしい、大きなものがどさりと崩れ落ちる音がする。
次の瞬間、矢の雨が通路を流れてくる。
飛距離的にまだすこし距離はある。
ゆっくり後退して、二人のもとに戻る。
どうやら華南は隆蒼を分岐を少し入った岩陰に隠したらしい。
隆蒼の元に行き、翠玉は腰に巻いた装具を彼に投げる。
翠玉の装備した暗器一式を収納したものだ。
「使いなさい。必ずあなたの手で返してよね」
それが何であるか理解した隆蒼が、翠玉を見上げて「なりません」とかすれた声で呟いた。
しかし翠玉はそれを無視する。
「華南いくわよ」
「はい」
隆蒼のもとに座った華南が立ち上がる
と思った
突然彼女の身体が傾いだように一瞬感じて
翠玉はそれを咄嗟に目で追ってしまった。
一瞬だった。
隆蒼の胸ぐらを掴んだ華南が、隆蒼に口付けたのだ。
そしてすぐに唇を離すと、華南は素早い動作で立ち上がる。
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