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第10章 後宮
第396話 目前
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戦が終わり、軍の帰還と共に東左の死を知る事になった。
結局のところ東左は最後まで影の性に逆らわず、翠玉の命を狙ったらしい。そして、そこで彼女の夫に斬られた。
肌を重ね、誰よりも信頼し、子供まで身篭った男の死を知った時、芙艶は笑ってしまった。
全く心が動かなかったのだ。むしろ安堵さえ覚えた。
自分の心がこれほどまでに壊れているとは思わなかった。
これで憂はなくなった。そう思った所に、劉妃の宮で何やら不穏な動きを感じた。
それはほんの些細なこと。劉妃の宮の女官達が少しばかり浮き足立っていたのだ。
劉妃を抑えていた東左が死んだ今、これは何か起こる。
直感でそう思った芙艶は、予定を変えて劉妃を先に片付けることにした。
東左が戻し忘れた例の黄毒の調薬方を記した物は東左が上手く劉妃の宮に隠している。在り処は芙艶も知っている。
まだ黄毒の調査を続けさせている皇帝に、女官からの垂れ込みだと伝えて話せば、すぐに見つかるはずだ。
案の定それは、すぐに見つかり、言い逃れの出来ない劉妃は拘束された。
しかしそこで誤算が起きた。
なんと宮に踏み込まれる直前、劉妃は皇子を翠玉の元に向かわせたのだ。
後宮にいては皇子の身が危ないと皇帝に訴え。仲の悪いはずの異母妹に、息子を託したのだ。
惺皇子は、翠玉の血の繋がった甥であり、夫である冬隼とも血の繋がった甥である。
継承権もないのに後宮に住み、わざわざ血の繋がらない芙艶に養育される理由は見つからない。
惺皇子が手中に入る可能性は消え失せた。
そしてそれを嘲笑うかのように、劉妃は何も明かさず自ら命を絶った。最後まで芙艶に対して反抗的なままであった。
しかし、劉妃が何も言わずに命を絶ったのは芙艶にとっては好都合だった。
すべてを都合よく、劉妃になすりつける事ができるのだ。
そしてあとは、泉妃をじわりじわりと追い詰める。そして、彼女はお産で命を落とすだろう。
残された可愛そうな子供達は、慈悲深く聡明な皇后が立派に育てていくのだ。
完璧ではないか。
そう微笑みを浮かべて、食後の茶を飲んでいると、突然部屋の扉が乱暴に開かれた。
「!?、なに……」
ごとですか?という言葉は口から出てくることは無かった。
踏み込んできたのは、明らかに皇帝陛下の私兵であった。
そう、この光景は数日前に劉妃の宮で、見た光景で……。
なぜ?どこで?
結局のところ東左は最後まで影の性に逆らわず、翠玉の命を狙ったらしい。そして、そこで彼女の夫に斬られた。
肌を重ね、誰よりも信頼し、子供まで身篭った男の死を知った時、芙艶は笑ってしまった。
全く心が動かなかったのだ。むしろ安堵さえ覚えた。
自分の心がこれほどまでに壊れているとは思わなかった。
これで憂はなくなった。そう思った所に、劉妃の宮で何やら不穏な動きを感じた。
それはほんの些細なこと。劉妃の宮の女官達が少しばかり浮き足立っていたのだ。
劉妃を抑えていた東左が死んだ今、これは何か起こる。
直感でそう思った芙艶は、予定を変えて劉妃を先に片付けることにした。
東左が戻し忘れた例の黄毒の調薬方を記した物は東左が上手く劉妃の宮に隠している。在り処は芙艶も知っている。
まだ黄毒の調査を続けさせている皇帝に、女官からの垂れ込みだと伝えて話せば、すぐに見つかるはずだ。
案の定それは、すぐに見つかり、言い逃れの出来ない劉妃は拘束された。
しかしそこで誤算が起きた。
なんと宮に踏み込まれる直前、劉妃は皇子を翠玉の元に向かわせたのだ。
後宮にいては皇子の身が危ないと皇帝に訴え。仲の悪いはずの異母妹に、息子を託したのだ。
惺皇子は、翠玉の血の繋がった甥であり、夫である冬隼とも血の繋がった甥である。
継承権もないのに後宮に住み、わざわざ血の繋がらない芙艶に養育される理由は見つからない。
惺皇子が手中に入る可能性は消え失せた。
そしてそれを嘲笑うかのように、劉妃は何も明かさず自ら命を絶った。最後まで芙艶に対して反抗的なままであった。
しかし、劉妃が何も言わずに命を絶ったのは芙艶にとっては好都合だった。
すべてを都合よく、劉妃になすりつける事ができるのだ。
そしてあとは、泉妃をじわりじわりと追い詰める。そして、彼女はお産で命を落とすだろう。
残された可愛そうな子供達は、慈悲深く聡明な皇后が立派に育てていくのだ。
完璧ではないか。
そう微笑みを浮かべて、食後の茶を飲んでいると、突然部屋の扉が乱暴に開かれた。
「!?、なに……」
ごとですか?という言葉は口から出てくることは無かった。
踏み込んできたのは、明らかに皇帝陛下の私兵であった。
そう、この光景は数日前に劉妃の宮で、見た光景で……。
なぜ?どこで?
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