ビッチ令嬢と副団長

香月みまり

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フィランダーside

売り言葉に買い言葉の顛末

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宿舎を出るまでに、この先どうすべきか悩んだ。

とにかく彼女とゆっくり話をして、もしそんな、、、噂のような事をしているなら説得して辞めさせなければ、、、。

騎士団に戻る事も考えたが、帰宅前にまだ数人が仕事をしていたのを思い出す。

それならば、、、。

宿舎から、200メートルほど先に自宅がある。

幹部は宿舎に入居はできないため、辺境から戻った折に騎士団に近い場所に家を借りていた。

彼女を連れて、帰宅する事にした。

家に戻れば、何事かと驚いた様子の執事のジャンに誰も通すなと言い捨てて、部屋に彼女を押し込んだ。

リビングでも良かったのだが、これからの彼女との舌戦を考えると、彼と、メイドのアンナを随分驚かせてしまうだろう事が予想された。

室内に入り、彼女を座らせてランプに火を入れる。

「いつもああなのか?」
低い声で、そう聞くと彼女はぽかんと俺を見上げた、、、まるで何に俺が怒っているのか分からないとでも言うように。

まさか、そこまで彼女の貞操観念は緩くなっているのかと、、、俺は絶望的な気持ちになった。
「いつも、あぁして男たちの誘いに乗っているのか?って事だ」


噛み砕くように説明すると、彼女はようやく俺の問いの意味を理解したらしい。

瞳をパチパチと瞬いて、そして笑った。

皮肉を含んだ、彼女らしくない狡猾な女の笑みだった。

「えぇ、そうよ。悪い?貴方には関係ない事だわ!」

そう言って睨みつけられて、、、信じられない思いで彼女を見つめた。

「君はそんな人じゃなかっただろう?」

「そう?あなたが知らなかっただけじゃない?」 

彼女は足を組んで、腹立たしいとばかりにこちらを見上げている。

この事について、何の関係もない俺に指図される筋合いはないと、、、反抗的な態度だった。


はぁっと大きな息を吐いて彼女はソファから腰を上げた。

もう俺と話す事なんて無いとでも言うように。

「勝手でしょ!ぱぁっとやりたい気分だったのよそれだけ、3人もいれば満足できたのに、思わぬ邪魔が入って残念だわ!」

去り際に捨て台詞のように言い放った彼女の言葉に、俺の我慢が限界に達した。

まだ芽吹く前の、少女の頃からずっと彼女だけを見てきた。
焦がれて焦がれて、手に入らない事に絶望して、、、それでも未だ諦めらない彼女が

俺がそばに居ない内に、、知らない間に、、、他の男たちに食い荒らされていたなんて、、、我慢ならない。


そんな事実を受け入れたくなくて、腹立たしくて、、、。

気がついたら、戸口へ向かった彼女を引き戻して、動きを封じていた。

当然彼女はバタバタとももがいて、離せと叫んでいたが、、、もうそんな事どうでもよかった。

ゆきずりの男達でもいいのなら、相手が俺でも問題ないはずである。

彼女の肌を、他の男が知っていると言う事実が、俺には耐えがたい。

彼女の身体は、やはり軽くて柔らかくて、そのまま持ち上げて部屋の一角にあるベッドに少し強引に転がす。

ベッドに転がされた彼女はスプリングで少し弾んで、それでも体勢を整えて、強い眼差しでこちらを睨みつけてきた。

しかしすでに俺は腹を決めていた。怯む事なく、ベッドに足をかけると、彼女を逃さないように彼女の前に立ちはだかる。


「そうか、、、それは申し訳ない事をした。」


そうして、こちらを見上げて半開きになっている彼女の、可愛らしい唇を強引に奪った。

ずっとずっと、焦がれていた彼女の唇は、食べてしまいたいくらいに甘くて柔らかい、、、

名残惜しく思いながら唇を離す。唖然とこちらを見上げるヘーゼル色の少し潤んだ瞳と、ほのかに赤い頬が、少し離れた所に置かれたランプの光に照らされて、、、

たまらない。

わずかだが、彼女が頬を染めてくれた事が嬉しかった。


「だったら、埋め合わせをしてやる。外で問題をおこされるくらいなら俺で処理をしとけ。したかったんだろう?3人分以上に満足させてやる」

他の男に抱かれるなら、俺でいいじゃないか。

だって俺は君が好きで好きで、焦がれてきたんだ。君が知っている誰よりも、君を愛しながら抱く事ができる自信が、、俺にはある。
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