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3日目
自覚
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2人が入っていったのはどこかの家だった。これまた大きい家だ。日本の大豪邸。昔は大金持ちだったと想像できる。
敷地に入っていく姿を見ながら小次郎は茂みを抜けた。尾行していたのは見られていないはずだ。
まるでお城のような囲いを撫でる。これはコンクリートだ。この村にしては異質だ。ほとんど木造の家なのに。鴨島家も広かったが、囲いは木材であった。
頭の中に疑問が多すぎる。この家が特別金持ちなだけなのかもしれないが、今までの不信感が疑問を生み出してきた。
壁に背中をつけながら敷地内を覗き込む。そこには――誰もいない。小石の道の先に扉があるだけだ。
扉には『遠藤家』と書かれてある。知らない家。気になるのは2つの家が異様に大きいことだ。なにか関係があるのかも。それは後で考えることにする。
あの2人は中に入ったのだろう。聞きたいことがあったが、扉を叩けば尾行していたのがバレるかもしれない。
「ここまでか……出てきた時にたまたま会いましたー、って感じでいくか」
――またひとつ。「ん?」と小次郎が何かを見つけた。
入って右側の奥。家が邪魔でよく見えないが、この村にしては奇妙な代物がチラリと覗いていた。
――黒いビニールシートだった。運動会で敷いてあるような、あのビニールシート。普通は青色だ。でも見えているのは黒色だ。
異常。異質。『異』という漢字、それに準ずるあらゆる熟語が頭に思い浮かんでいた。これもちょっとの疑問だ。
ほんのちょっとの疑問。道端に落ちている小石のようなモノだった。だがそれが心に残る。連鎖的に疑問が爆発してしまう。
爆発してしまっては止められない。コンビは連れてきていない。ここに来るとも言っていない。だが今は刑事として――。
――なんて関係ない。気になることはとことんまで探求するのが小次郎だ。
周りに人がいないことを確認して家に侵入する。不法侵入だが関係ない。刑事に嘘をついた時点で相手も悪いのだから。
家の中には人がいる。バレないようにしないと。それでいて素早く移動する。後方に注意しながら。
「多分これ……」
黒いビニールシートに包まれた3つ。形でわかる。それは死体だった。何回も見たことがある。だからすぐにわかった。
「言ってることが本当なら、獣に襲われた死体……だよな」
これもまた興味本位だ。あの少女は獣の種類を言っていない。周りで人を襲うような獣といえば、猪とか熊とかだろうか。
傷跡があるはず。噛まれたにしろ、引っ掻かれたにしろ。そこに手がかりがあるかもしれない。
罪悪感がないことはない。しかし罪悪感程度では止まらない。小次郎はビニールシートを外した――。
死体だ。何の変哲もない死体だ。黒い服は違和感があったが、そこまで気にすることじゃない。
「――違う。これは他殺だ……!!」
もっと大きな情報が頭に入ってきたからだ。死体は首を切られている。頸動脈をバッサリとだ。
傷口からして刃物。間違っても獣が付けるような怪我じゃない。獣が付けたにしては綺麗すぎる。車の時と同じだ。
人の手によるもの。他の場所から来た人とは考えにくい。なら内部の出来事。――この村の誰かがやったのだ。
推測と言われれば否定できない。事実ただの推測だ。ただそれを許さない心がある。くどいようだが、今までの出来事がそれを固めていた。
「――状況はどうだ?」
「最悪。過去最悪の状態だよ」
声が聞こえてきた。この場面を見られるとマズイ。本能的にそう感じた。
引っ張られるように体が動く。近くの木の小屋、その後ろに身を隠した。
「アイツを生贄にするつもりだったの。なのに消えたんだよ。予備なんて用意してなかった」
「なんで予備を用意してなかったんだよ!?」
「だーって逃げるとは思ってなかったもん!!」
「――やかましい」
3人の声が聞こえてきた。チラッと覗いてみる。1人は亜依。もう1人は猟虎。この2人は見ていたから分かる。
だがもう1人。外国人と思えるほどの高身長。禿げた頭。ボディビルダーのような体格。そして――死体と同じ真っ黒な衣装を身に纏っていた。
敷地に入っていく姿を見ながら小次郎は茂みを抜けた。尾行していたのは見られていないはずだ。
まるでお城のような囲いを撫でる。これはコンクリートだ。この村にしては異質だ。ほとんど木造の家なのに。鴨島家も広かったが、囲いは木材であった。
頭の中に疑問が多すぎる。この家が特別金持ちなだけなのかもしれないが、今までの不信感が疑問を生み出してきた。
壁に背中をつけながら敷地内を覗き込む。そこには――誰もいない。小石の道の先に扉があるだけだ。
扉には『遠藤家』と書かれてある。知らない家。気になるのは2つの家が異様に大きいことだ。なにか関係があるのかも。それは後で考えることにする。
あの2人は中に入ったのだろう。聞きたいことがあったが、扉を叩けば尾行していたのがバレるかもしれない。
「ここまでか……出てきた時にたまたま会いましたー、って感じでいくか」
――またひとつ。「ん?」と小次郎が何かを見つけた。
入って右側の奥。家が邪魔でよく見えないが、この村にしては奇妙な代物がチラリと覗いていた。
――黒いビニールシートだった。運動会で敷いてあるような、あのビニールシート。普通は青色だ。でも見えているのは黒色だ。
異常。異質。『異』という漢字、それに準ずるあらゆる熟語が頭に思い浮かんでいた。これもちょっとの疑問だ。
ほんのちょっとの疑問。道端に落ちている小石のようなモノだった。だがそれが心に残る。連鎖的に疑問が爆発してしまう。
爆発してしまっては止められない。コンビは連れてきていない。ここに来るとも言っていない。だが今は刑事として――。
――なんて関係ない。気になることはとことんまで探求するのが小次郎だ。
周りに人がいないことを確認して家に侵入する。不法侵入だが関係ない。刑事に嘘をついた時点で相手も悪いのだから。
家の中には人がいる。バレないようにしないと。それでいて素早く移動する。後方に注意しながら。
「多分これ……」
黒いビニールシートに包まれた3つ。形でわかる。それは死体だった。何回も見たことがある。だからすぐにわかった。
「言ってることが本当なら、獣に襲われた死体……だよな」
これもまた興味本位だ。あの少女は獣の種類を言っていない。周りで人を襲うような獣といえば、猪とか熊とかだろうか。
傷跡があるはず。噛まれたにしろ、引っ掻かれたにしろ。そこに手がかりがあるかもしれない。
罪悪感がないことはない。しかし罪悪感程度では止まらない。小次郎はビニールシートを外した――。
死体だ。何の変哲もない死体だ。黒い服は違和感があったが、そこまで気にすることじゃない。
「――違う。これは他殺だ……!!」
もっと大きな情報が頭に入ってきたからだ。死体は首を切られている。頸動脈をバッサリとだ。
傷口からして刃物。間違っても獣が付けるような怪我じゃない。獣が付けたにしては綺麗すぎる。車の時と同じだ。
人の手によるもの。他の場所から来た人とは考えにくい。なら内部の出来事。――この村の誰かがやったのだ。
推測と言われれば否定できない。事実ただの推測だ。ただそれを許さない心がある。くどいようだが、今までの出来事がそれを固めていた。
「――状況はどうだ?」
「最悪。過去最悪の状態だよ」
声が聞こえてきた。この場面を見られるとマズイ。本能的にそう感じた。
引っ張られるように体が動く。近くの木の小屋、その後ろに身を隠した。
「アイツを生贄にするつもりだったの。なのに消えたんだよ。予備なんて用意してなかった」
「なんで予備を用意してなかったんだよ!?」
「だーって逃げるとは思ってなかったもん!!」
「――やかましい」
3人の声が聞こえてきた。チラッと覗いてみる。1人は亜依。もう1人は猟虎。この2人は見ていたから分かる。
だがもう1人。外国人と思えるほどの高身長。禿げた頭。ボディビルダーのような体格。そして――死体と同じ真っ黒な衣装を身に纏っていた。
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