レッドリアリティ

アタラクシア

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3日目

邂逅

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――話をしているうちに目的の場所まで着いた。大木の根元。その場所から八月村を全て見渡すことができる。

そこには氷華がいた。ライフルにしがみつくようにして座っている。顔は少しだけやつれていた。

「――おい」

桃也が肩を叩く。氷華は不自然なほど体を震わせてから、2人の方向へと振り向いた。

「小次郎だ。仲間が増えた」
「……仲間ってなんだ?」
「そういや説明してなかったな――」



「――乙音を助ける」

言い放つ桃也。さっきのこともあってか、小次郎は冷や汗を1つ流した。

「乙音は生きていたのか!?」
「俺が見せた動画。拷問されてる女性は乙音だ」
「まじかよ……分からなかったぞ」
「顔の原型がなかったからな。俺も最初は全く分からなかった」

氷華の頭にポムと手を置く。

「だが儀式に関わってる氷華が言うからには確実だ。そして生きている。まぁ死ぬほうがマシなくらいの状態だろうがな」
「……危険じゃないのか?」
「超危険。だからお前が来てくれて助かった」
「いやいやちょっと待て」

平然と語る桃也。まだ小次郎は助けるのに協力するとは言ってない。

「なんで俺が助ける前提だ?」
「だってお前、昔から正義感強かったろ?いじめっ子とか問答無用でぶん殴ってたし」
「それとこれとは話が別――」
「助けられる命だぞ。助かるかもしれない命だぞ。応援を呼ぶ間に乙音は死ぬかもしれない。死んだら乙音の家族は悲しむだろうな」
「……」

歯ぎしり。拳を握りしめる。怒り……というよりかは、開き直りのようだった。

「――分かった分かったよ!!助けに行く!!」
「さすがだ親友」





そこら辺に落ちてあった木の棒。3人で取り囲むように座っている。三角となった中心に桃也は絵を描き始めた。

「生贄が監禁されているのは鴨島家だ。儀式をしている地下。動画じゃ見えなかったが、あそこに監禁場所があるらしい」
「そうか……なら侵入するのは難しくないか?村の住人も儀式を見られるのは避けたいと思う。警備は厳重なはずだ」
「知ってる。だからこその氷華だ」

黙っている氷華の背中を叩く。

「まず氷華で注意を削ぐ。その間に俺らで監禁場所へ行き、乙音を助けて逃げるんだ」
「ざっくりしてるな」
「でも一番の方法だ」

それ以上の方法は思いつかない。心配しかないが、作戦については反論しなかった。

「……だけどその後はどうするんだ。乙音は死にかけてるだろ?」
「アイツらの目的は苦しめること。できるだけ長く生かすつもりだ。なら傷の処置もしているはず。次の生贄にしようとした美結は失踪しているからな」
「それもそうか」


描いた見取り図を足で消した。

「決行は夜。さっさと終わらせて逃げるぞ」

小次郎が頷く。氷華は――何も言わない。そういえばさっきから喋ってもいなかった。疑問が頭に浮かぶ。

……が、今は特に何も言わなかった。目の前にいる桃也に恐怖があったからだ。

「とりあえず氷華。お前は村に戻れ。見張りは俺がする」
「俺はどうしたらいい?」
「美結と凛のところに行っててくれ。お前が居てくれた方が安心するはずだ。刑事だしな」
「でも……」
「俺は強くない。単純な戦闘能力ならお前の方が高いはずだろ?」
「……分かったよ。必ず2人を守る」
「信頼してるぞ」

肩を叩く。いつものスキンシップ。少しだけドキリとする。相手が親友である以前に殺人鬼であることを思い出していた。





村の見張りをしている桃也を置いて、小次郎と氷華はその場を離れていた。言われた通りに小次郎は小屋へと向かい、氷華は村へと戻っている。

……別に桃也を裏切るわけではない。生きて帰れたら桃也を逮捕するのは心で決めている。だけどやっぱり気になった。

この間に美結と凛が連れ去られでもしたら桃也に顔を向けられない。だけど命懸けの作戦の前だ。気になるところは解明しておかないと。

桃也から見えなくなった場所まで来た時。小次郎は隠れて氷華の元まで走っていった。
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