レッドリアリティ

アタラクシア

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4日目

顔面

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「状況は?」
「1人死亡。1人が補足してたけどが、取り逃した」
「そうか。別にいい。作戦は続行だ」

猟虎は冷静だった。殺意にまみれた顔をしているが、至って冷静だった。

実際の獲物を捕まえる時のように。まずは人を四方向に配置して対象が中心部分に来るように追い詰める。逃げようとすれば二方向の猟師がそれに気がつくことが出来る。

さらに桃也は山の下へと逃げていた。つまり猟虎たちは上を取っている。ライフルを持っている者からしたら、これ以上ないアドバンテージだ。

単純な作戦だ。しかし効果は絶大。身体能力に優れた猟師なら先に走っていた桃也よりも速く回り込める。

そのまま撃てればそれでいいが、相手は桃也。猟虎もかなり警戒している。確実に殺せる状況じゃなければ反撃される可能性が大きい。場所がバレて作戦もバレたら何かしらの対策をされる可能性だってある。

限界まで追い詰めて。徹底的に追い詰めて。絶望を叩き込んで。――殺す。それが求めていることだ。


――だが、その猟虎の想いは呆気なく途絶えることとなる。


その知らせが来たのは、猟虎がライフルの確認をしていた時だった。

「猟虎。ついさっき連絡が入った――羽衣桃也を殺害したらしい」
「……死体は?」
「すぐ近くだ」

猟虎はなんとなく予感していた。数発の銃声がつい先程途絶えたからだ。

――呆気ないもの。はっきりいってそうだ。心なしか猟虎も残念そうな顔をしている。

自分で殺したかった。もっと時間をかけて殺してやりたかった。もし妹が捕まってたら桃也のせいだからだ。

どれだけ思ってももう遅い。ともかく桃也が死んだことはいいことだ。そう思い込みながら死体の場所まで歩いていった。





「――ようやく来たか」
「……」

そこにいたのは知り合いの猟師。生気の消えかかった真っ青な顔をしている。

桃也も必死の抵抗をしたらしい。男は腹を抑えているようだが、腸が溢れ出ていた。かなり深い傷だ。助かる見込みは低いだろう。

男の呼吸も浅い。痛みと不快感に顔を歪ませていた。時折悶えるような声も聞こえてくる。

「大丈夫じゃなさそうだな」
「……あの野郎……は……死にましたか?」
「……死体はどこだ?」

「あっちだ」と指を指した先は、山を数十m下った先にある木の根元。そこには倒れている桃也がいた。

「死んでるのは確認したか?」
「うん。脈はなかった」

……間違いない。猟師が生き物の生死を間違えるわけがないのだ。だから必ず死んでいる。

――でも。もしものことがある。もし生きていたら。もし死んでいなかったら。生きている桃也を放置すればとんでもないことになる。

「……俺と3人は残れ。あとの奴らは怪我人を連れてって村で手当。暇になった奴は残っている猟師に終わりを告げろ」
「了解」





手押し車に乗せられた男を猟虎たちは見送った。あの男は英雄だ。決して死なせない。意志を無駄にはしない。

おそらく村で称えられるだろう。それくらいのことをしたのだ。桃也を殺せなかった無念はあるが、賞賛はしないと。

「――さて」


猟虎たちは桃也の死体を見下ろしていた。まるで悪魔を見るように。まるでゴミを見るように。嫌悪の表情をこれでもかと見せていた。

「馬鹿なヤツだ……こんな場所でゴミのように死ぬとは」

しゃがむ。忌々しい存在だ。それだけに死に様を見れなかったのは残念だ。

どんな声を出して死んだのだろうか。どんな感情を抱いて死んだのだろうか。これからは気になって夜も眠れなくなる。

だが分かることもある。――死体の顔だ。死んでもなお仮面を付けている。その奥には桃也の死に顔があるはずだ。

「さて。どんな顔で死んだのか――」

猟虎は仮面を剥ぎ取った――。





――神経が逆立った。
――頭がフリーズした。
――体の動きが停止した。

何も考えられなくなる。猟師である以上、衝撃的な光景は何度も見てきたはずだ。なのに――止まった。なのに絶句した。

猟師の1人は腰が抜けたように地面に座り込んだ。情けない「ひっ」という声を漏らす者もいる。未だに脳がフリーズしてる者までいた。

そんな中で猟虎は――気がついた。。羽衣桃也の

「あの野郎、顔面の皮を剥ぎやがった――!!」
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