レッドリアリティ

アタラクシア

文字の大きさ
110 / 119
5日目

巨悪

しおりを挟む
「はは――!!」
「ひひ――!!」

2人の笑いは交差する。桃也はライフルを向け、義明は距離を詰める。

距離は5mほど。外せば近距離戦となる。――どちらにしても上等。今の桃也は脳内物質によって、大きな自信がついていた。

――聞き飽きたほどの爆音。発射され銃弾は義明の顔面を捉える――もし義明が動かなければ。


桃也が脳内物質でハイになっているように、義明も脳内物質の影響で調子が上がっている。つまり身体能力が大幅に向上していた。

「マジかっ――」

――反動で動けないところに右ストレートが放たれる。それは銃の反動よりも大きいパワー。後方へと吹き飛ばされるのは必然だ。


「っっ――はは――!!」

攻撃が当たる直前、かろうじて防御が成功した。銃を持っていない片手で防御。やはり反射神経は上がっている。

だが回避したのではなく防御した。ダメージがゼロになったのではない。防御した腕が雷に打たれたようにジリジリと痺れてくる。


ほとんどスピードを落とすことなく突進してきた。今の桃也は障害物にもなりえない、という意味。

斜線上に入れば死ぬのは車と一緒。走ってくる時の揺れはまさにトラックだ。脳裏に浮かび上がってくる死。

横に転がって回避しつつ、地面に落ちていた斧を掴む。そこそこの重量だ。義明がブレーキをかけてる内に持ち上げる。

狙いは脳天。振り上げた斧を一気に叩きつけた。


――外した。しかし当たった。首元数センチ。ギリギリ反応した義明によって斧は食い止められた。

「くそっ……!!」

桃也の腹部に前蹴りが叩き込まれる。

「ぐぁ――」

蹴り飛ばされつつも銃は離さない。これが唯一の打点なのだから。


すぐに立ち上がって攻撃を再開――の前に義明の攻撃が先だった。上から叩きつけるようにして振るわれる拳。

また転がって回避する。体制を立て直し――ダメだ。隙を与えてくれない。連続攻撃だ。今度は左フックで攻めてくる。

もう一度回避。だが体勢を崩した。腰から転げてしまう。――また隙ができた。銃はコッキングも済ませていない。反撃はできない。

せめて回避をしようと立ち上がる。――が、間に合わない。このままだと当たるのは顔面。桃也は持っていた銃で防御した――。


――銃は衝撃に耐えられず壊れる。多少は衝撃を吸収したが、それでも殴り飛ばされるのには過分な威力だった。

「あーもう――!!」

腰から落ちる桃也。怯んだらまた攻撃が来る。すぐに体勢を立て直さないと。

近くの死体が持っていた刀を拾い、立ち上がろうとする――既に義明は目の前にまで来ていた。

「待つ気もなし、か――!!」

攻撃態勢も万端。さっき外した振り下ろす攻撃を発射した――。



――攻撃は当たった。義明も当たる感触を受けた。なのにダメージを受けたのは義明の方だった。

「ぐぅ……手癖が悪いな……!!」
「まだ慣れないか?」

逆手で拳の軌道に刀を設置。峰の部分を膝で固定し、拳へのカウンターとしたのだ。

思惑は見事に完遂。刃は義明の拳を二つに割いていた。いくら比喩したところで体は人間。生身の肉体だ。絶対に壊れないものなどない。

だが――常人と比較して凄まじいのは変わらない。明らかに殺すつもりの攻撃だったのに、刃が拳の中心ほどで止まっているのが何よりの証拠だ。


万力の握力で刃を掴んだまま桃也を持ち上げる。

「うぉ――」

肋に向かって肘を叩きつけた。家屋が崩れそうな、とても嫌な音が桃也の耳に入ってくる。

「っっ――!?」

握力が弱まって地面に落ちる。おそらく折れた。重なった衝撃は痛みとなって襲いかかってくる。

しかし状況が状況。アドレナリンの放出で痛覚が麻痺している桃也。体は比較的にすぐ動かすことができた。


踏みつけの攻撃も回避し、近くのマチェットを手に取る。まるで武器のバイキング。無駄遣いだって可能だ。

ちょこまかと動く桃也に腹を立てる義明。――止まる気配はなし。マチェットをふくらはぎに向けて振るう。

「ぎぁ――」

苦悶の表情で体を落とした。古いマチェットでは脚を断ち切れない。義明の筋肉はそれほど硬い。だが狙いはそこではなかった。


落ちてきたのは顎。ちょうどいい位置。義明の膝を踏み台にし、顎に向けて膝蹴りを放った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

17歳男子高生と32歳主婦の境界線

MisakiNonagase
恋愛
32歳主婦のカレンはインスタグラムで20歳大学生の晴人と知り合う。親密な関係となった3度目のデートのときに、晴人が実は17歳の高校2年生だと知る。 カレンと晴人はその後、どうなる?

意味が分かると怖い話(解説付き)

彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです 読みながら話に潜む違和感を探してみてください 最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください 実話も混ざっております

中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語

jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
 中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ  ★作品はマリーの語り、一人称で進行します。

M性に目覚めた若かりしころの思い出 その2

kazu106
青春
わたし自身が生涯の性癖として持ち合わせるM性について、終活的に少しづつ綴らせていただいてます。 荒れていた地域での、高校時代の体験になります。このような、古き良き(?)時代があったことを、理解いただけましたらうれしいです。 一部、フィクションも交えながら、述べさせていただいてます。フィクション/ノンフィクションの境界は、読んでくださった方の想像におまかせいたします。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

M性に目覚めた若かりしころの思い出

kazu106
青春
わたし自身が生涯の性癖として持ち合わせるM性について、それをはじめて自覚した中学時代の体験になります。歳を重ねた者の、人生の回顧録のひとつとして、読んでいただけましたら幸いです。 一部、フィクションも交えながら、述べさせていただいてます。フィクション/ノンフィクションの境界は、読んでくださった方の想像におまかせいたします。

処理中です...