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1章 血塗れになったエルフ
第18話 とても綺麗なものでした!
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「――」
気持ちのいい日差しが褐色の肌に浸透する。暖かな地面は夜の寒さを忘れさせてくれる。……夜。
「そうだ――」
エルフは夜のことを思い出した。よそ者が居た。それを倒すのが仕事だった。だから戦った。そして――。
「起きたか」
「起きましたね」
見守るように2人は座っていた。……なんか正座している。
「……」
自身の鼻に触れる。折れたはずだった。ぶん殴られてからの記憶はない。だが殴られる記憶はあった。ぶっ飛ばされた記憶も。
なのに血は流れていない。それどころか痛みもない。エルフにとってはそれが不思議で仕方なかった。
「傷は回復薬で治した。俺が夜中に街まで行って買ってきたからな。……店主の人にキレられたけど」
「そう……ありがとう……?」
「感謝されるほどでもない。怪我をさせたのはこっちだからな」
疑問は解消した。しかし新たな疑問も出てくる。
「なんでワタシを……?」
「――その件について」
――綺麗な土下座だった。
「お願いします!食料を恵んでください!」
「……は?」
「あのですね。昨日の夜に貴方とヘキオンが戦ってる時に荷物が燃えちゃって……全部焼けちゃって……」
「それでですね。私たち今一文無しなんです。ギリギリ残っていたお金は回復薬で使っちゃったから……」
「「――だからお願いします。食料を恵んでください」」
あまりに突拍子もないお願いにエルフも緩くなった顔で2人を見つめている。
「……ま、まぁいいけど。アナタたちワルいヒトじゃなさそうだし。むしろワタシからコウゲキしたのに、なんでそんなテイシセイなの?」
「――ありがとうございます!」
「恵んでもらう時は、『どんなに相手が下の立場でも低姿勢でいろ』というのが母の言葉なので!」
「そ、そう」
エルフは立ち上がった。つられて2人も立ち上がる。
「まったく……カエデさんのせいで厄介なことになったじゃないですか」
「風下に荷物置いたのヘキオンだろ?」
「カエデさんが見てなかったからでしょー?おかげで10万円が紙屑になっちゃったじゃないですかー」
「『回復薬買おう』って言ったのはヘキオンだろー?買わなかったら干し肉を何個か買えたぞー!」
「あー!?」
「おー!?」
「ケ、ケンカしないで……」
バチバチと火花を散らす。実力差は凄まじいくらいにあるはずだが……仲がだいぶ良くなったようだ。
「……まぁ喧嘩してても仕方ないな。そういえば君の名前は?」
「ワタシ?ワタシはクエッテ。よろしく」
「俺はカエデ。こっちはヘキオンだ」
「よろしくお願いします」
汗をダラダラ流している。汗の持ち主はヘキオン。その前を先導しているのはカエデとクエッテだ。
「ちょ、ちょっと……速いですぅ……」
寝てるのにはちょうどいい日差しだが、動くとなると腹の立つ物に変貌する。暑さで体の中がホッカホカ。服を来てる部分がフライパンのように熱される。
この暑さを考えると、クエッテの水着みたいな破廉恥な格好は理にかなっているのかもしれない。褐色なのはその影響からだろうか。
「だってさ。どうする?」
「……あのコすごくオソい」
「修行中だからな」
「あれにマけたのカナしくなってきた」
「潜在能力は俺から見てもすごいんだよあの子。まだまだ発展途上だがな」
何度かヘキオンの方を確認し、ペースを合わせながら歩く。中途半端に距離を開けられているため、ヘキオンは暑さも合わさって徐々にイライラしてきていた。
「……あなたはあのコのオヤ?シショウ?」
「……パートナー、ってところかな」
目をキラン、とさせて言い放つ。あながち間違ってはない。本来のニュアンスではないが。
「つがいってこと?」
「あ、えっと、それは早いっていうか、いつの日かっていうか」
「ふぅん」
赤くなってモジモジしている。率直に気持ち悪い。可愛い子がやって許される行為だ。
「――あのコはカワイイからハヤくした方がいいとオモうよ」
「うん――ってうるせぇな!」
短い間で打ち解けてきたのか、クエッテはカエデとの会話を楽しんでいた。
気持ちのいい日差しが褐色の肌に浸透する。暖かな地面は夜の寒さを忘れさせてくれる。……夜。
「そうだ――」
エルフは夜のことを思い出した。よそ者が居た。それを倒すのが仕事だった。だから戦った。そして――。
「起きたか」
「起きましたね」
見守るように2人は座っていた。……なんか正座している。
「……」
自身の鼻に触れる。折れたはずだった。ぶん殴られてからの記憶はない。だが殴られる記憶はあった。ぶっ飛ばされた記憶も。
なのに血は流れていない。それどころか痛みもない。エルフにとってはそれが不思議で仕方なかった。
「傷は回復薬で治した。俺が夜中に街まで行って買ってきたからな。……店主の人にキレられたけど」
「そう……ありがとう……?」
「感謝されるほどでもない。怪我をさせたのはこっちだからな」
疑問は解消した。しかし新たな疑問も出てくる。
「なんでワタシを……?」
「――その件について」
――綺麗な土下座だった。
「お願いします!食料を恵んでください!」
「……は?」
「あのですね。昨日の夜に貴方とヘキオンが戦ってる時に荷物が燃えちゃって……全部焼けちゃって……」
「それでですね。私たち今一文無しなんです。ギリギリ残っていたお金は回復薬で使っちゃったから……」
「「――だからお願いします。食料を恵んでください」」
あまりに突拍子もないお願いにエルフも緩くなった顔で2人を見つめている。
「……ま、まぁいいけど。アナタたちワルいヒトじゃなさそうだし。むしろワタシからコウゲキしたのに、なんでそんなテイシセイなの?」
「――ありがとうございます!」
「恵んでもらう時は、『どんなに相手が下の立場でも低姿勢でいろ』というのが母の言葉なので!」
「そ、そう」
エルフは立ち上がった。つられて2人も立ち上がる。
「まったく……カエデさんのせいで厄介なことになったじゃないですか」
「風下に荷物置いたのヘキオンだろ?」
「カエデさんが見てなかったからでしょー?おかげで10万円が紙屑になっちゃったじゃないですかー」
「『回復薬買おう』って言ったのはヘキオンだろー?買わなかったら干し肉を何個か買えたぞー!」
「あー!?」
「おー!?」
「ケ、ケンカしないで……」
バチバチと火花を散らす。実力差は凄まじいくらいにあるはずだが……仲がだいぶ良くなったようだ。
「……まぁ喧嘩してても仕方ないな。そういえば君の名前は?」
「ワタシ?ワタシはクエッテ。よろしく」
「俺はカエデ。こっちはヘキオンだ」
「よろしくお願いします」
汗をダラダラ流している。汗の持ち主はヘキオン。その前を先導しているのはカエデとクエッテだ。
「ちょ、ちょっと……速いですぅ……」
寝てるのにはちょうどいい日差しだが、動くとなると腹の立つ物に変貌する。暑さで体の中がホッカホカ。服を来てる部分がフライパンのように熱される。
この暑さを考えると、クエッテの水着みたいな破廉恥な格好は理にかなっているのかもしれない。褐色なのはその影響からだろうか。
「だってさ。どうする?」
「……あのコすごくオソい」
「修行中だからな」
「あれにマけたのカナしくなってきた」
「潜在能力は俺から見てもすごいんだよあの子。まだまだ発展途上だがな」
何度かヘキオンの方を確認し、ペースを合わせながら歩く。中途半端に距離を開けられているため、ヘキオンは暑さも合わさって徐々にイライラしてきていた。
「……あなたはあのコのオヤ?シショウ?」
「……パートナー、ってところかな」
目をキラン、とさせて言い放つ。あながち間違ってはない。本来のニュアンスではないが。
「つがいってこと?」
「あ、えっと、それは早いっていうか、いつの日かっていうか」
「ふぅん」
赤くなってモジモジしている。率直に気持ち悪い。可愛い子がやって許される行為だ。
「――あのコはカワイイからハヤくした方がいいとオモうよ」
「うん――ってうるせぇな!」
短い間で打ち解けてきたのか、クエッテはカエデとの会話を楽しんでいた。
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