37 / 44
とっくにおちてる(現代・オナホ扱いしていたセフレを切る話)
とっくにおちてる
しおりを挟む
ヤるために呼んだ真下誠を、一人暮らしのアパートに招き入れる。
真下は同じ大学の同じ専攻。マッチングアプリでマッチして会ってみたら真下だった。
それから、ブスの真下を、セフレ以下のオナホとして、まあまあ便利に使っていた。ブスだけど、穴の具合は悪くない。
ブスで要領の悪い真下は、唯一の取り柄としてまじめに講義も出てるから、ノートのコピー取るのにも、テストの情報聞くにも便利だった。
でも、この関係も十ヶ月ぐらい経って、最近無性にむかつくようにもなっていた。
こいつが笑うたびに、いらっとする。
最近は、呼び出そうにも真下はバイトで忙しくて、それもむかついていた。
ベッドに直行しようのする俺を、真下が止める。
「あのさ」
「なに?」
「あの、これ。誕生日、おめでとう」
鞄からがさごそと箱を出して、俺に差し出してきた。
開けてみて、といわれて、俺は包装紙を開けた。
「は? 財布?」
「うん、このまえ、これ欲しいって言ってたでしょ?」
ああ、真下は中古の軽自動車に乗ってて、それで足代わりにショッピングモールに連れて行かせたんだ。
そのとき、たしか、いいなって言ったと思う。
ざらっと、俺の心臓を不快感が撫でた。
気持ち悪い。
いや、この前って、いつの話だよ。
三ヶ月も前だ。
もう、そんなん、別のやつから貰ったんだわ。風俗で稼いでる女と、実家が金持ちのお嬢様から。
そんで、片方は、もう売った。使ってるの見せるには一個で十分だから。
ああ、なんだよ。すげえむかつく。腹立つ。
こいつ、馬鹿かよ。
ここ数カ月、バイトのシフト、たくさん入れてたの、これ? 生活費足んないからとか言って?
そんで、哀れに思ってサイゼで奢ってやったら、やたら喜んでたっけ。媚びてんな、ってそんときもキショって思ったけど。
何やってんだよ、こいつ。
お前、なに、思い上がってんだよ。
お前みたいなブス、ちょっとムラっときたとき用の、セフレ以下のオナホなんだよ。
まじで馬鹿じゃねえの。
やば、外箱、握りつぶしそう。売るときに必要なのに。
このまま黙って受け取って、まあ、ありがとうって言って、また売っ払えばいいんだよ。別に。
なのに、俺は無性に胃のあたりが締め付けられて、気持ち悪いし、むかついてる。
「……いらない」
財布を突っ返すと、真下は一瞬傷ついた顔して、すぐにそれを隠すみたいに笑った。
「そっか……うん、わかった」
それだけ言って、鞄に再び箱をしまった。
その態度に、すっげえいらいらする。
俺は、大きく息を吐いてから、言った。
「……ああ、もういい」
真下が、え、とこっちを見る。
「すげえ萎えた。お前とはもう終わり。帰れ」
もう、最悪。
真下は、びっくりしたみたいに、固まって俺を見ている。
まじで腹立つ。こういう察しの悪い馬鹿、すげえ嫌い。
こいつ、日本語わかんねえのかな、と、いらいらしながら真下にもわかるように言葉を加えてやる。
「か、え、れって言ってんの。二度と連絡してくんな」
真下にも、ようやくわかったようだった。
真下の顔がみるみる歪む。
「な、なんで……?」
「いつまで居る気だよ、玄関あっち」
親指で玄関を指し示す。
あ、泣きそう。泣くかな? 泣いたらもっとブスだろうな。
真下はぎゅっと眉根を寄せて、歯を食いしばった。
なんだよ、泣かねえのかよ。泣いても、泣かなくても、うざい。
荷物をまとめて、真下は、玄関に向かう。
その背中を見ていたら、更にむかついてくる。
ソファに置いてあるクッションを投げつけたくなった。
それか、振り返らせてぶん殴るか、背中を蹴り飛ばすか。
むかつく、むかつく、むかつく。
なんでこんなにムカつくんだか意味わからないくらい、腹が立つ。
暴力はだめ。こんなブスのために、人生棒に振ることない。
がちゃんと玄関ドアを開け、真下が部屋を出て、がちゃんと玄関ドアが閉まる。
俺は大きく息を吐き出した。不快感を全部吐き出すように。
ああ、よかった。これでいい。俺は、ブスからようやく解放されたんだ。
完全に人選ミスってたわ。
「あーあ、これから講義のノート、どうするかなー」
自分で言って、あいつのせいで面倒くせえなと、床に立ててあったハイボールの空缶を力まかせに蹴っ飛ばした。
「……だっる」
おわり
初出:2025/05/08
真下は同じ大学の同じ専攻。マッチングアプリでマッチして会ってみたら真下だった。
それから、ブスの真下を、セフレ以下のオナホとして、まあまあ便利に使っていた。ブスだけど、穴の具合は悪くない。
ブスで要領の悪い真下は、唯一の取り柄としてまじめに講義も出てるから、ノートのコピー取るのにも、テストの情報聞くにも便利だった。
でも、この関係も十ヶ月ぐらい経って、最近無性にむかつくようにもなっていた。
こいつが笑うたびに、いらっとする。
最近は、呼び出そうにも真下はバイトで忙しくて、それもむかついていた。
ベッドに直行しようのする俺を、真下が止める。
「あのさ」
「なに?」
「あの、これ。誕生日、おめでとう」
鞄からがさごそと箱を出して、俺に差し出してきた。
開けてみて、といわれて、俺は包装紙を開けた。
「は? 財布?」
「うん、このまえ、これ欲しいって言ってたでしょ?」
ああ、真下は中古の軽自動車に乗ってて、それで足代わりにショッピングモールに連れて行かせたんだ。
そのとき、たしか、いいなって言ったと思う。
ざらっと、俺の心臓を不快感が撫でた。
気持ち悪い。
いや、この前って、いつの話だよ。
三ヶ月も前だ。
もう、そんなん、別のやつから貰ったんだわ。風俗で稼いでる女と、実家が金持ちのお嬢様から。
そんで、片方は、もう売った。使ってるの見せるには一個で十分だから。
ああ、なんだよ。すげえむかつく。腹立つ。
こいつ、馬鹿かよ。
ここ数カ月、バイトのシフト、たくさん入れてたの、これ? 生活費足んないからとか言って?
そんで、哀れに思ってサイゼで奢ってやったら、やたら喜んでたっけ。媚びてんな、ってそんときもキショって思ったけど。
何やってんだよ、こいつ。
お前、なに、思い上がってんだよ。
お前みたいなブス、ちょっとムラっときたとき用の、セフレ以下のオナホなんだよ。
まじで馬鹿じゃねえの。
やば、外箱、握りつぶしそう。売るときに必要なのに。
このまま黙って受け取って、まあ、ありがとうって言って、また売っ払えばいいんだよ。別に。
なのに、俺は無性に胃のあたりが締め付けられて、気持ち悪いし、むかついてる。
「……いらない」
財布を突っ返すと、真下は一瞬傷ついた顔して、すぐにそれを隠すみたいに笑った。
「そっか……うん、わかった」
それだけ言って、鞄に再び箱をしまった。
その態度に、すっげえいらいらする。
俺は、大きく息を吐いてから、言った。
「……ああ、もういい」
真下が、え、とこっちを見る。
「すげえ萎えた。お前とはもう終わり。帰れ」
もう、最悪。
真下は、びっくりしたみたいに、固まって俺を見ている。
まじで腹立つ。こういう察しの悪い馬鹿、すげえ嫌い。
こいつ、日本語わかんねえのかな、と、いらいらしながら真下にもわかるように言葉を加えてやる。
「か、え、れって言ってんの。二度と連絡してくんな」
真下にも、ようやくわかったようだった。
真下の顔がみるみる歪む。
「な、なんで……?」
「いつまで居る気だよ、玄関あっち」
親指で玄関を指し示す。
あ、泣きそう。泣くかな? 泣いたらもっとブスだろうな。
真下はぎゅっと眉根を寄せて、歯を食いしばった。
なんだよ、泣かねえのかよ。泣いても、泣かなくても、うざい。
荷物をまとめて、真下は、玄関に向かう。
その背中を見ていたら、更にむかついてくる。
ソファに置いてあるクッションを投げつけたくなった。
それか、振り返らせてぶん殴るか、背中を蹴り飛ばすか。
むかつく、むかつく、むかつく。
なんでこんなにムカつくんだか意味わからないくらい、腹が立つ。
暴力はだめ。こんなブスのために、人生棒に振ることない。
がちゃんと玄関ドアを開け、真下が部屋を出て、がちゃんと玄関ドアが閉まる。
俺は大きく息を吐き出した。不快感を全部吐き出すように。
ああ、よかった。これでいい。俺は、ブスからようやく解放されたんだ。
完全に人選ミスってたわ。
「あーあ、これから講義のノート、どうするかなー」
自分で言って、あいつのせいで面倒くせえなと、床に立ててあったハイボールの空缶を力まかせに蹴っ飛ばした。
「……だっる」
おわり
初出:2025/05/08
35
あなたにおすすめの小説
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる