詠み人知らず、言わずと知れて。

立花伊作

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さよならが待ってる。

死とは救いだ。

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夜布団に入って、よく思うことがある。

このまま目を閉じて眠ってしまって、
ずっとこの目が、
覚めることが無ければいいのにと。

朝が来ても、体を揺らされても、
ずっと。

永遠に眠ってしまえればいいのにと。


ふと、思うことがある。


永遠の眠りとやらに、つければいいのにと。


死を欲する時がある。


死とは救いだ。


この世の全てから逃げ出すことのできる
唯一の手段。

どうせ死ぬのに辛いなんて嫌だ。

どうせ生きているのに辛いなんて。


僕が死んだら、
悲しんでくれる人間がいるだろうか。

僕が死んだら、喜ぶ奴がいるだろうか。




僕はたまに、自分が死んだ夢を見る。

死んだらああなるのかと思うと、
案外それも悪くないものだと思ってしまう。

けれど、たかが夢。



されど夢。




死に虚無を求めてはいけない。

もっと死を尊敬しなくては。

敬意を払わなくては。


死は救い。


みんなそれに向かって生きている。

救われるために。

現実にハッピーエンドは
そうそうあるものではない。

そもそもエンドもない。

そのことを知っているから、
みんな必死なんだ。




この寝床で、
窓の外に昇る逆さまの月を
瞳に刻みつけてから、ゆっくり目を閉じる。

この瞼の裏に、
その光はずっと見えているよ。

悔いのない人生にはきっと出来ないから、
せめて、心残りのない人生にしたい。

素直すぎるのも、いいもんじゃないね。

このままずっと、
明日が来なければいいのに。

僕のこの心臓が、
脈を打たなければいいのに。

もう、頑張りたくないよ。
辛いんだ。

静かにそっと、この胸に手を当てながら、
この拍動が止まるのを待っている。

どくん、どくん、と揺れる度、
これはまだ当分死ねないなぁと、
ため息をつく。



夢を見る時は、大体不安定な時。

どんな夢かは覚えていないけれど、
とにかくおかしな夢だったり、
怖い夢だったり。

充実してて、忙しい時は、
決まって夢を見ないんだから。

夢は見たくない。

どんなに楽しい夢だったとしても、
僕にとっては悪夢でしかないのだから。



嗚呼、はやく。

静かにそっと眠らせておくれ。

穏やかで、楽しげで、幸せな時に、
ふっと。

僕の息を救っておくれ。

僕を生きる地獄から、
死の天の国へと連れていってくれ。


僕が眠る時にいつも、
その時を待っているくせに。

その時、は、まだ来ないのかい?

なるべく早めにお願いするよ。



天使さん。
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