詠み人知らず、言わずと知れて。

目頭が熱い

巡り会い、紡ぎ愛。

こんなに行ってよかったと思えるような場所は他にない。

5日間というみじかい時間だったけれど、
その時間は本当に宝物のようで、
刹那な時間だった。

「忘れないよ」って、

「忘れないでね」って、

「また会いたい」って、

その言葉が本物のように感じたのは初めてです。

僕は生まれて此方お別れ会なんて幼稚なもので、ましてや人前で、泣いたことなんて無かったんだ。

お別れの挨拶だって、
泣きながら、震える声で、
頭が真っ白になりながら言うような奴じゃ無かったんだ。

僕は、別れというものがこんなにも悲しいなんて知らなかった。

あなた達に出会って、優しさを知った。

素直さを知った。

純粋さを知った。

言葉を知った。

思いやりを知った。

こちらがなにかしてやろうと来ているはずだったのに、どうしてかあなた達から与えられているのは僕の方だった。

与えられてばかりで、僕なんて何も出来やしなかったんだ。

知ったつもりでいた。

つもりでいただけだった。

あなた達に出会って、思い知らされた。

気付かされた。

人の心というのは、こんなにも、暖かくて、切なくて、嬉しいものだということを。

僕は、あなた達が何を思って、そうしてくれていたのかは分からないけれど、少なからず僕という人間を認めてくれていたんだろうと思う。

「今日で最後かい？寂しくなるね」

「あっちいっても頑張ってください」

「ありがとうございました。お疲れ様」

人の言葉というものが、こんなにも本物のように感じたのは、本当に初めてで、感動してしまった。

あなた達は、建前というものを知らない。

悪とは何か、偽善とは何か。

あなた達は愚かで、無知で、涙が出るほど愛しい存在。

努力家で、繊細で、率直で、着飾ることを知らない。

そんなありのままの姿を見て、
僕は自分の方が愚かな人間に思えた。

汚れた人間に思えた。

分け隔てなく誰にも優しくするなんてこと、あなた達にしか出来ない。

きっと僕らのような普通の人間は、損得や贔屓、利益を最優先にするだろう。

本物の優しさをなんて、生まれて一瞬たりとも持ったことなんてないんだ。

僕らは持っていないものを、
あなた達は持っている。

僕らはあなた達よりもちょっと手足を自由に動かせるだけ。

僕らはあなた達よりもちょっと知識を得られるスピードが早いだけ。

僕らはあなた達よりもちょっと複数の物事を考えることが出来るだけ。

他は、みんな同じ。

寧ろ心は、あなた達の方が美しい。

僕らは余計なことを得すぎたせいで、心はどうも荒んでしまっている。


あなた達のその綺麗な心に触れて、
僕は今心が洗われたような心地でいる。

そして僕らは、あなた達を見習わなねばならない。

決まりだってきちんと守るし、悪事なんて働かない。

そんな彼らが、どうして社会に避難されなければならないのか。

僕はね、寧ろ、彼らの誠実さを見習うべきではないだろうかと思うんだ。

現実に感動して、涙を流したのなんて初めてで、泣き疲れて眠ってしまいそうだよ。

巡り巡って、あなた達に会えた。

それで僕は心を紡ぐことを知った。

本物の、愛情に似たものを、確かに感じたんだ。

巡り会い、紡ぎ愛、そして、
僕は本物の涙を流すことができるようになった。

感謝してもし足りない。

衝撃的な出来事。

毎日が楽しくて、不思議で、
涙が出るほど愛しい日々。

この思い出を胸に、僕はこれからも、生きていくのだろう。

あなた達がいなくなる日は近いかもしれない。
きっと僕はその時も泣くのだろう。

その日が来るまでは、最後までずっとら
面白可笑しく、愉快なあなた達でいて欲しい。