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学園に行くようです
移動
しおりを挟む壁際にどんどんと追い込まれ、気付くと
トンっと壁に背中が当たる
「っ…ゅーり…」
自分の中で今どんな状況かさえ整理がつかないユリアは必死に目の前の存在に視線で語る
「君は可愛いよね…可愛くて、愚かで、でも賢く知性があり、だからこそ手放したくない…」
彼の美しい顔がどんどんと近づいてきて、
「っ…」
もう無理っ!
目を閉じた
「てやっなの~!」
「成敗なのなの~!」
可愛らしい二つの声は自身の腕の中から
聞こえた。それとほぼ同時にぺしっと肌がぶつかる音
「………チビ精霊がっ…」
目の前の麗しき存在から毒が吐かれたが、
ほぼパニック状態のユリアの耳には届くことは無かった
「あははっ!!怖いのなの~!」
「ざまぁみろなのなの~!」
はっ…と目を開けた
「……た…すかったぁ…?」
未だに状況が明確にわかる訳では無いが、危機は免れたらしい
「…はぁ」
ユリアの腕の中にいる存在をユーリは一瞥すると
ため息を吐いて、
「ため息吐くと老けるの~!」
「もう老けてるのなのなの~!」
がしっ…と変な音が聞こえたかと思ったら
その正体はユーリが双子の頭を鷲掴みにしていた
「ちょ、ユーリ!?」
「ユリア、大丈夫だよ?君の逃げださざるを得ない状況を作ったこいつらを今すぐ始末してあげるからね?」
ニコニコと笑いながら更に力を込める
…そもそも、二人の精霊がユーリに非難を充てる理由を作ったのはユーリ自身であろうに
「兄上?ユリア?馬車が待ってます…が…」
収拾がつかない状況の中まさに鶴の一声を掛けたのはアランである
直ぐにその場の彼らの動きを確認したアランは…
「…胃が痛い……」
まだ10歳と若い彼の一言であった
ーーーーーーーーー
ところ変わり、場所の中である
「すぅ…すぅ」
「すやぁ…すやぁ…」
呑気に気持ちよさそうに寝てる存在を抱えるユリア、その隣にはもちろん見目麗しい王太子ユーリが座っていて、
ユリアの向かい側にはアランが居た。
「さてと…」
ユーリの一言でユリアも、アランも彼を見る
「僕も全てを知ってる訳では無い。ただ、魔術塔からユリアの手を引いて掛けていくアランをみたぐらいと、その後に聞こえたのは君たち二人に声をあら立たせる誰かの声だ。」
どういう事か、説明してくれるよね?
暗にそう言うユーリに、二人は目を合わせ
口を開いた
「魔力測定が私の番になったので、私は前に出て測定のために水晶に魔力を注ぎました」
「…」
視線で続きを促すユーリ
「その後は当たりが信じられない程眩しくなり、何かが…この場合は水晶ですが…割れ…いえ、弾けた音も聞こえて、光が収まると水晶は無く、そこにいたのはユリアの腕の中の精霊です」
アランは眠る存在を見つめながらユーリに話した。
「……ふぅ…何が起きたのかは理解した。
だが、結局なぜそうなったのかは分からないね…そもそも、そのチビ達が精霊という存在なのかすら…いや、精霊なのだろう、実際彼らは僕の発言に同調していたしね…だが…」
「なぜ、魔力に反応したのか…いえ、この場合だと、なぜ、ユリアだけの魔力に反応したのか…ですね」
確かにユリアは魔力の量は多く質もかなり上等である。それは事実、彼女の師のドモンのお墨付きである
だが、魔力の量が多くとも同じくらいの生徒なら何人かはいるであろう、質は血筋にもよるがまた然り。
「…とりあえずは、陛下と伯爵の元に参らねば…」
ユーリは目を伏せ、これ以上は何も言うまい。と口を閉ざした
「………」
重たい空気の中、馬車は城へと淡々と進んでいった
ーーーーーーーーー
前半は甘さを入れつつ、状況確認の回でした!
ありがとうございました!
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