死んだことにした悪役令嬢、 辺境で騎士団長に溺愛されつつ帝国を建て直します

桃我タロー

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第一章 ヴァルム試験国家編

第五話 盤面のゼロ地点(1)

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 鉄扉の影をくぐった瞬間、肌にまとわりつく空気が変わった。 

 森の冷たさは、刃物の先みたいに分かりやすい。ここにあるのは、それとは違う。湿った石と古い汗と、錆びかけた鉄の匂いが、低く溜まっている。長く窓を開けていない部屋に踏み込んだときの、あの重さだ。胸の奥で、吸い込んだ息が薄く粘る。

 足元には砦の内側へ続く石畳が伸びていた。あちこちで沈んでいて、欠けた縁に泥が固まっている。水たまりの表面に、紙一枚ぶんの薄い氷が張っていた。踏めばすぐ割れるだろうが、割れた水が裾に跳ねるのを想像しただけで、思わず歩幅を変える。

(掃除が行き届いていない場所の冷たさだ……嫌な感じ)

 靴底に伝わるぐらつきを、ひとつひとつ確認するように進んだ。

 背後で鉄扉がきしむ。カイが片手で押し戻したはずだが、その音は「閉じる」よりも「無理やり押さえ込んでいる」に近い。途中でひっかかったように止まり、扉の縁に細い隙間が残った。

 そこから、外の冷気が細く入り込んでくる。足首のあたりを、冷たい指先で撫でられたような感覚が走り、思わず肩がこわばった。

(閉まりきっていない。これでは、扉がある意味がない)

 言葉にならない溜息が喉の奥に引っかかる。

 少し先に、小さな詰所があった。入口の横の槍立てには、槍が「並んでいるはず」の空間が空いている。木の柄だけが立てかけられ、穂先だけが錆びたまま壁にもたれている。抜けた歯と歯茎を、そのまま見せられているような光景だった。

 詰所の影に、人影が丸くなっている。

 鎧の胸当てを付けたまま、背中を壁に預けて崩れ落ちるように座り込んでいる兵士だ。顎は胸に落ち、肩がゆっくり上下している。足元には口を開けたままの酒瓶が転がっていて、その匂いが湿った石の匂いに混ざっていた。酒場の賑やかさとは無縁の、冷えた酒の匂い。

 眠っている、というより、逃げ込んでいる。

 カイの足が、その前で一度だけ止まった。何も言わない。怒鳴り声も、足蹴もない。ただ、視線が一瞬だけ兵士の上を通り過ぎていき、そのまま前へ向き直る。

 横顔の筋肉が、ほんの短いあいだ強張っていた。

「門番は、あれ一人ですか」

 声に出してから、自分でも少し意地の悪い問いだと思う。けれど口からはもう戻らない。

 カイは詰所の扉の向こうを一瞥して、短く答えた。

「いや。もう一人いるはずだが……どっかで寝てるか、サボってるかだろ」

 淡々とした口調なのに、「いつものことだ」と言われたような気がした。

(例外じゃない。これが、この砦の日常)

 胃のあたりが、じわりと冷える。

 そのとき、詰所の奥から足音がした。

「若──」

 呼びかけかけの声が、途中で止まる。

 姿を現したのは、肩幅の広い中年の男だった。古い鎧はあちこち継ぎ当てられているが、その継ぎ目だけは丁寧だ。頭頂部は薄くなりはじめている。目つきだけは、状況を一瞬で掴もうとする癖を隠しきれていない。

「……ああ、帰ってきやがったか。森の中まで散歩とは、元気なこったな、若」

「道で拾った」

 カイは振り返らずに言う。

「森で斥候に絡まれてた。砦に用があるそうだ。話はあとで聞く」

 男の視線が、そこでシュアラに向いた。

 肩で切りそろえた黒髪。左頬からこめかみにかけて巻いた淡い布。火傷痕を隠しているとはいえ、完全には輪郭をごまかせていない。マントの下にのぞく服は、旅人としては上等だが、貴族の飾り気は意図的に削いでいる。

 男は一度だけ瞬きをした。値踏みというより、「どの棚に置くべきか」迷っている目だ。

「……客か? それとも厄介事の種か?」

「両方だろうな」

 カイが短く笑った。

「ゲルト、副団長だ。砦の中のことは、こいつに聞け」

「第七騎士団副団長、ゲルトだ」

 男──ゲルトは顎を引いて名乗る。

「で、あんたは?」

 名を求める視線に、用意しておいた偽名を、舌の上で一度転がしてから飲み込むように出す。

「シュアラ。身分は……文官です。臨時の」

「文官ねえ」

 ゲルトの眉が少し持ち上がる。

「帝都からの?」

「帝都から出てきましたが、正式な辞令はありません。今はただの、山道で拾われた旅の文官です」

 ゲルトは鼻で笑った。

「面白い言い方だな。……詳しい話は若とした方が早えか。若、どうする? とりあえず飯と寝床くらいは手配しとくが」

「好きにしろ。どうせすぐ呼ぶ」

 カイはそう答え、砦の奥から飛んできた別の声に顔を向けた。

「団長っ、北側の柵がまた──」

「聞こえてる」

 短く返事をし、そのまま駆け出す。重い鎧のはずなのに、石畳の上を軽く蹴って、あっという間に角の向こうに消えた。

 残されたゲルトが、肩をすくめる。

「相変わらず落ち着きのねえ若だ。……嬢ちゃん、突っ立ってると冷える。中庭くらいは見て回るか?」

「お願いします」

 「嬢ちゃん」という呼び方に、心のどこかがわずかにつん、と引っかかる。だが、そのまま飲み込んだ。今の自分には、それ以上の名札は必要ない。

 詰所を出ると、視界が開けた。

 砦の中庭だ。

 石畳の広場の真ん中に、枠だけ残った噴水がある。水はとっくに枯れ、代わりに空の樽や壊れた桶が押し込まれていた。噴水の縁には洗濯物が掛けられている。色の抜けたシャツ、膝に穴のあいたズボン、ほつれた靴下。風に揺れるたび、まだ乾ききっていない雫がぽたりと落ちて、汚れた水の輪を広げた。

 頭上からも、水が落ちてくる。中庭を囲む建物の屋根の端に、黒ずんだ雪が固まっていて、その下から冷たい雫がぽつぽつと石畳を打っていた。肩に当たりそうな滴を無意識に避けて歩幅を変える。

(洗濯場と通路と、生活の残りかすが全部いっしょくた……気持ちが悪い)

 兵舎、倉庫、厩舎。建物の壁はどれも剥がれかけ、窓には板や布が打ち付けられている。遠目には、人が暮らせないはずの廃屋と、それでもそこで寝起きしている人間の影が同居していた。

 中庭の一角には、訓練場らしき空間がある。藁で作られた人形が何体か立っていて、腹や腕には古い剣傷が刻まれていた。新しい傷は少ない。木の剣が何本か、地面に転がったまま泥に沈みかけている。

 風が、半開きの城門から中庭へまっすぐ吹き抜ける。門がきちんと閉まっていないせいだ。洗濯物の向こうで、兵士が二人、壁にもたれて座り込んでいる。一人はだらだらと靴紐をいじっており、もう一人は木の杯を手にしたまま、空になったそれを何度も口元へ運んでは、何もないことを確かめていた。

 ゲルトは歩きながら、指先で施設を示していく。

「あれが兵舎。あっちが倉庫。厩はその奥だ。……厩舎の屋根は見るなよ。若が怒る」

「なぜですか」

「壊れてるからだ」

 それ以上の説明はない。だが、十分だ。

 厩舎の屋根の一部がへこみ、開いた穴から藁が外にはみ出しているのが分かる。中から聞こえる嘶きは、数えるまでもなく少ない。

 そのとき、中庭の端から車輪の軋む音がした。

 木製の荷車が、半開きの城門をそのままくぐって入ってくる。御者台には、薄く禿げかかった頭に帽子を被った男が腰掛けていた。荷台には樽と布袋が積まれている。石畳の段差を越えるたび、その重みが鈍く揺れた。

「おう、行商の親父じゃねえか」

 ゲルトが手を上げる。

「また物資を運んでくれたのか。こんな端っこまで物好きなこったな」

「好きで来てると思うんなら、一度代わってみな」

 御者は舌打ちを一つ挟んだ。

「ここ通らねえと、北の村に行けねえんだ。橋も見張りも、他にねえんだからよ。……それにしてもだ」

 御者の視線が門へ向かう。

「門番はどうなってんだ。さっき来たときも誰も出ちゃこねえ。勝手に入っていいのか悪いのかも、こっちで決めろってのか」

「ああ……」

 ゲルトは肩越しに詰所の方をちらりと見る。

「まあ、いつものことだ」

「いつものこと、ねえ」

 御者の顔が深くしかめられた。

「こっちは命張って荷物運んでんだ。盗賊に一度狙われりゃ終わりだぞ。砦様が寝てちゃ、守られてる気なんざ一つもしねえ」

 声は荒いのに、不思議と力がなかった。怒鳴りつける元気さえ、どこかに置いてきたようだ。

 荷台の端の布袋の口が、ひとつだけ緩んでいる。乾いた豆が数粒こぼれ、石畳の上で転がっていた。荷台の板に残った古い赤茶色の跡が目に入る。人か獣かは分からない。どちらにせよ、一度は血を流した荷だ。

(ここを通る誰もが、「守られていない」と思っている)

 胸の内が、少し沈んだ。

 御者の視線がこちらに移る。

「そっちの嬢ちゃんは?」

「文官さんだとよ」

 ゲルトが肩で笑う。

「帝都のもんかどうかは知らねえが、帳簿の都合で転がってきたらしい」

「文官ねえ」

 御者は鼻を鳴らした。

「帳簿で盗賊が逃げてくれりゃ、世話ねえんだがな」

 返す言葉は、あえて飲み込む。正論で殴り返しても、この男の疲れは減らない。

 代わりに、別の言葉が飛んできた。

「門番、起こさねえのかい」

 御者が顎で詰所の影──酒瓶と、突き出た兵士の足先を示す。

「今のうちに尻を蹴り上げといた方が、あんたらのためだと思うがね」

 ゲルトが口を開きかけたのを、シュアラは横目で見た。そこで一度だけ息を吸う。

 何も言わずに詰所へ向かった。

 眠り込んでいる兵士のそばに膝をつく。近くで見ると、頬には不自然な赤みが浮かび、呼吸は浅く一定だ。腕には古い傷跡がいくつも走り、その上から新しい薄い線が重なっている。酒の匂いの奥に、乾いた薬草の匂いが微かに残っていた。誰かが一度は手当てをしている。

 入口近くの椅子の背に、たたまれた毛布が一枚掛かっているのが見えた。予備か、夜勤のためのものか。

 それを取り、できるだけ音を立てないように、兵士の肩から胸元にかけてそっと掛ける。毛布の端が酒瓶に触れないように引き寄せる。薄い布越しに、かすかな体温が指先に伝わった。

 自分でも、なぜこんなことをしているのか、一瞬分からなくなる。

(ここで風邪を引いたら、その分だけ数字が減る)

 考えが言葉になるより前に、手が動いていたことだけは確かだった。

「……何してんだ、嬢ちゃん」

 背中越しに、ゲルトの声が落ちてくる。呆れとも、少しだけ感心しているともつかない声だ。

 シュアラは立ち上がり、毛布のずれを最後にひとつ直してから振り返った。

「風邪を引かれたら、明日の人数が減ります」

 それだけを言う。

 御者が「ふん」と鼻を鳴らした。納得したのかしていないのか、表情だけでは読み取れない。

 中庭に、相変わらず風が吹き抜けていた。洗濯物が揺れ、半開きの門が小さく軋む。

(ひどい盤面だ……)

 そう思う一方で、胸の奥で別の感情がゆっくり顔を上げる。

 ここには、穴がありすぎる。門番、訓練、物資、信頼。どこから手をつけても、数字が劇的に動く。父の書斎で見た、真っ赤に染まった帳簿のページを思い出す。あのときも同じように、吐き気と、奇妙な興奮が同時に込み上げてきた。

(……全部、揃え直したらどうなるか)

 喉の奥で、その言葉だけがそっと転がった。

 逃げ出したいくらい汚いはずの中庭から、目が離せなかった。

「叱責は後回しにするとしてもよ。甘やかすのはまた別の話だろうが」

 しばらく黙っていたゲルトが、頭の後ろをがしがしと掻きながら言った。視線は毛布のふくらみと、空になった酒瓶を行き来している。

「甘やかしているつもりはありません」

 シュアラは、埃を払うように膝についた汚れを軽くはたいた。

「今叩き起こしても、足りない頭数は増えません。……せめて、これ以上減らさない準備くらいはしておきたいだけです」

 毛布越しに見える肩の線を、ちらりと見る。薄い布一枚で何が変わるわけでもないと分かっているのに、何も掛かっていなかったときの光景を思い出すと、どうしても目が滑ってくれない。

「壊れてるもんを全部元通りにするのは、無理だがな」

 ゲルトは小さくため息をついた。

「……守りたいのは兵か、砦か、それとも帳面かね」

 問いかけに即答しかけて、シュアラは一瞬だけ指先を握りしめた。手袋越しに、自分の脈の速さが伝わる。

「全部です」

 少しだけ息を整えてから、そう言う。

「優先順位をつけるのは、その気になったときに、条件が揃ってからにします」

 ゲルトは、しばらくシュアラの横顔を眺めていた。やがて口の端をゆるめる。

「変な文官だな。……まあいい。嬢ちゃん、砦見物はまだ続くぞ。どうせなら、ちゃんと見てけ」

 中庭の向こう、兵舎の入口を指さす。

「見れば見るほど、頭が痛くなるのは保証してやる」
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