死んだことにした悪役令嬢、 辺境で騎士団長に溺愛されつつ帝国を建て直します

桃我タロー

文字の大きさ
5 / 70
第一章 ヴァルム試験国家編

第五話 盤面のゼロ地点(1)

しおりを挟む
 鉄扉の影をくぐった瞬間、肌にまとわりつく空気が変わった。 

 森の冷たさは、刃物の先みたいに分かりやすい。ここにあるのは、それとは違う。湿った石と古い汗と、錆びかけた鉄の匂いが、低く溜まっている。長く窓を開けていない部屋に踏み込んだときの、あの重さだ。胸の奥で、吸い込んだ息が薄く粘る。

 足元には砦の内側へ続く石畳が伸びていた。あちこちで沈んでいて、欠けた縁に泥が固まっている。水たまりの表面に、紙一枚ぶんの薄い氷が張っていた。踏めばすぐ割れるだろうが、割れた水が裾に跳ねるのを想像しただけで、思わず歩幅を変える。

(掃除が行き届いていない場所の冷たさだ……嫌な感じ)

 靴底に伝わるぐらつきを、ひとつひとつ確認するように進んだ。

 背後で鉄扉がきしむ。カイが片手で押し戻したはずだが、その音は「閉じる」よりも「無理やり押さえ込んでいる」に近い。途中でひっかかったように止まり、扉の縁に細い隙間が残った。

 そこから、外の冷気が細く入り込んでくる。足首のあたりを、冷たい指先で撫でられたような感覚が走り、思わず肩がこわばった。

(閉まりきっていない。これでは、扉がある意味がない)

 言葉にならない溜息が喉の奥に引っかかる。

 少し先に、小さな詰所があった。入口の横の槍立てには、槍が「並んでいるはず」の空間が空いている。木の柄だけが立てかけられ、穂先だけが錆びたまま壁にもたれている。抜けた歯と歯茎を、そのまま見せられているような光景だった。

 詰所の影に、人影が丸くなっている。

 鎧の胸当てを付けたまま、背中を壁に預けて崩れ落ちるように座り込んでいる兵士だ。顎は胸に落ち、肩がゆっくり上下している。足元には口を開けたままの酒瓶が転がっていて、その匂いが湿った石の匂いに混ざっていた。酒場の賑やかさとは無縁の、冷えた酒の匂い。

 眠っている、というより、逃げ込んでいる。

 カイの足が、その前で一度だけ止まった。何も言わない。怒鳴り声も、足蹴もない。ただ、視線が一瞬だけ兵士の上を通り過ぎていき、そのまま前へ向き直る。

 横顔の筋肉が、ほんの短いあいだ強張っていた。

「門番は、あれ一人ですか」

 声に出してから、自分でも少し意地の悪い問いだと思う。けれど口からはもう戻らない。

 カイは詰所の扉の向こうを一瞥して、短く答えた。

「いや。もう一人いるはずだが……どっかで寝てるか、サボってるかだろ」

 淡々とした口調なのに、「いつものことだ」と言われたような気がした。

(例外じゃない。これが、この砦の日常)

 胃のあたりが、じわりと冷える。

 そのとき、詰所の奥から足音がした。

「若──」

 呼びかけかけの声が、途中で止まる。

 姿を現したのは、肩幅の広い中年の男だった。古い鎧はあちこち継ぎ当てられているが、その継ぎ目だけは丁寧だ。頭頂部は薄くなりはじめている。目つきだけは、状況を一瞬で掴もうとする癖を隠しきれていない。

「……ああ、帰ってきやがったか。森の中まで散歩とは、元気なこったな、若」

「道で拾った」

 カイは振り返らずに言う。

「森で斥候に絡まれてた。砦に用があるそうだ。話はあとで聞く」

 男の視線が、そこでシュアラに向いた。

 肩で切りそろえた黒髪。左頬からこめかみにかけて巻いた淡い布。火傷痕を隠しているとはいえ、完全には輪郭をごまかせていない。マントの下にのぞく服は、旅人としては上等だが、貴族の飾り気は意図的に削いでいる。

 男は一度だけ瞬きをした。値踏みというより、「どの棚に置くべきか」迷っている目だ。

「……客か? それとも厄介事の種か?」

「両方だろうな」

 カイが短く笑った。

「ゲルト、副団長だ。砦の中のことは、こいつに聞け」

「第七騎士団副団長、ゲルトだ」

 男──ゲルトは顎を引いて名乗る。

「で、あんたは?」

 名を求める視線に、用意しておいた偽名を、舌の上で一度転がしてから飲み込むように出す。

「シュアラ。身分は……文官です。臨時の」

「文官ねえ」

 ゲルトの眉が少し持ち上がる。

「帝都からの?」

「帝都から出てきましたが、正式な辞令はありません。今はただの、山道で拾われた旅の文官です」

 ゲルトは鼻で笑った。

「面白い言い方だな。……詳しい話は若とした方が早えか。若、どうする? とりあえず飯と寝床くらいは手配しとくが」

「好きにしろ。どうせすぐ呼ぶ」

 カイはそう答え、砦の奥から飛んできた別の声に顔を向けた。

「団長っ、北側の柵がまた──」

「聞こえてる」

 短く返事をし、そのまま駆け出す。重い鎧のはずなのに、石畳の上を軽く蹴って、あっという間に角の向こうに消えた。

 残されたゲルトが、肩をすくめる。

「相変わらず落ち着きのねえ若だ。……嬢ちゃん、突っ立ってると冷える。中庭くらいは見て回るか?」

「お願いします」

 「嬢ちゃん」という呼び方に、心のどこかがわずかにつん、と引っかかる。だが、そのまま飲み込んだ。今の自分には、それ以上の名札は必要ない。

 詰所を出ると、視界が開けた。

 砦の中庭だ。

 石畳の広場の真ん中に、枠だけ残った噴水がある。水はとっくに枯れ、代わりに空の樽や壊れた桶が押し込まれていた。噴水の縁には洗濯物が掛けられている。色の抜けたシャツ、膝に穴のあいたズボン、ほつれた靴下。風に揺れるたび、まだ乾ききっていない雫がぽたりと落ちて、汚れた水の輪を広げた。

 頭上からも、水が落ちてくる。中庭を囲む建物の屋根の端に、黒ずんだ雪が固まっていて、その下から冷たい雫がぽつぽつと石畳を打っていた。肩に当たりそうな滴を無意識に避けて歩幅を変える。

(洗濯場と通路と、生活の残りかすが全部いっしょくた……気持ちが悪い)

 兵舎、倉庫、厩舎。建物の壁はどれも剥がれかけ、窓には板や布が打ち付けられている。遠目には、人が暮らせないはずの廃屋と、それでもそこで寝起きしている人間の影が同居していた。

 中庭の一角には、訓練場らしき空間がある。藁で作られた人形が何体か立っていて、腹や腕には古い剣傷が刻まれていた。新しい傷は少ない。木の剣が何本か、地面に転がったまま泥に沈みかけている。

 風が、半開きの城門から中庭へまっすぐ吹き抜ける。門がきちんと閉まっていないせいだ。洗濯物の向こうで、兵士が二人、壁にもたれて座り込んでいる。一人はだらだらと靴紐をいじっており、もう一人は木の杯を手にしたまま、空になったそれを何度も口元へ運んでは、何もないことを確かめていた。

 ゲルトは歩きながら、指先で施設を示していく。

「あれが兵舎。あっちが倉庫。厩はその奥だ。……厩舎の屋根は見るなよ。若が怒る」

「なぜですか」

「壊れてるからだ」

 それ以上の説明はない。だが、十分だ。

 厩舎の屋根の一部がへこみ、開いた穴から藁が外にはみ出しているのが分かる。中から聞こえる嘶きは、数えるまでもなく少ない。

 そのとき、中庭の端から車輪の軋む音がした。

 木製の荷車が、半開きの城門をそのままくぐって入ってくる。御者台には、薄く禿げかかった頭に帽子を被った男が腰掛けていた。荷台には樽と布袋が積まれている。石畳の段差を越えるたび、その重みが鈍く揺れた。

「おう、行商の親父じゃねえか」

 ゲルトが手を上げる。

「また物資を運んでくれたのか。こんな端っこまで物好きなこったな」

「好きで来てると思うんなら、一度代わってみな」

 御者は舌打ちを一つ挟んだ。

「ここ通らねえと、北の村に行けねえんだ。橋も見張りも、他にねえんだからよ。……それにしてもだ」

 御者の視線が門へ向かう。

「門番はどうなってんだ。さっき来たときも誰も出ちゃこねえ。勝手に入っていいのか悪いのかも、こっちで決めろってのか」

「ああ……」

 ゲルトは肩越しに詰所の方をちらりと見る。

「まあ、いつものことだ」

「いつものこと、ねえ」

 御者の顔が深くしかめられた。

「こっちは命張って荷物運んでんだ。盗賊に一度狙われりゃ終わりだぞ。砦様が寝てちゃ、守られてる気なんざ一つもしねえ」

 声は荒いのに、不思議と力がなかった。怒鳴りつける元気さえ、どこかに置いてきたようだ。

 荷台の端の布袋の口が、ひとつだけ緩んでいる。乾いた豆が数粒こぼれ、石畳の上で転がっていた。荷台の板に残った古い赤茶色の跡が目に入る。人か獣かは分からない。どちらにせよ、一度は血を流した荷だ。

(ここを通る誰もが、「守られていない」と思っている)

 胸の内が、少し沈んだ。

 御者の視線がこちらに移る。

「そっちの嬢ちゃんは?」

「文官さんだとよ」

 ゲルトが肩で笑う。

「帝都のもんかどうかは知らねえが、帳簿の都合で転がってきたらしい」

「文官ねえ」

 御者は鼻を鳴らした。

「帳簿で盗賊が逃げてくれりゃ、世話ねえんだがな」

 返す言葉は、あえて飲み込む。正論で殴り返しても、この男の疲れは減らない。

 代わりに、別の言葉が飛んできた。

「門番、起こさねえのかい」

 御者が顎で詰所の影──酒瓶と、突き出た兵士の足先を示す。

「今のうちに尻を蹴り上げといた方が、あんたらのためだと思うがね」

 ゲルトが口を開きかけたのを、シュアラは横目で見た。そこで一度だけ息を吸う。

 何も言わずに詰所へ向かった。

 眠り込んでいる兵士のそばに膝をつく。近くで見ると、頬には不自然な赤みが浮かび、呼吸は浅く一定だ。腕には古い傷跡がいくつも走り、その上から新しい薄い線が重なっている。酒の匂いの奥に、乾いた薬草の匂いが微かに残っていた。誰かが一度は手当てをしている。

 入口近くの椅子の背に、たたまれた毛布が一枚掛かっているのが見えた。予備か、夜勤のためのものか。

 それを取り、できるだけ音を立てないように、兵士の肩から胸元にかけてそっと掛ける。毛布の端が酒瓶に触れないように引き寄せる。薄い布越しに、かすかな体温が指先に伝わった。

 自分でも、なぜこんなことをしているのか、一瞬分からなくなる。

(ここで風邪を引いたら、その分だけ数字が減る)

 考えが言葉になるより前に、手が動いていたことだけは確かだった。

「……何してんだ、嬢ちゃん」

 背中越しに、ゲルトの声が落ちてくる。呆れとも、少しだけ感心しているともつかない声だ。

 シュアラは立ち上がり、毛布のずれを最後にひとつ直してから振り返った。

「風邪を引かれたら、明日の人数が減ります」

 それだけを言う。

 御者が「ふん」と鼻を鳴らした。納得したのかしていないのか、表情だけでは読み取れない。

 中庭に、相変わらず風が吹き抜けていた。洗濯物が揺れ、半開きの門が小さく軋む。

(ひどい盤面だ……)

 そう思う一方で、胸の奥で別の感情がゆっくり顔を上げる。

 ここには、穴がありすぎる。門番、訓練、物資、信頼。どこから手をつけても、数字が劇的に動く。父の書斎で見た、真っ赤に染まった帳簿のページを思い出す。あのときも同じように、吐き気と、奇妙な興奮が同時に込み上げてきた。

(……全部、揃え直したらどうなるか)

 喉の奥で、その言葉だけがそっと転がった。

 逃げ出したいくらい汚いはずの中庭から、目が離せなかった。

「叱責は後回しにするとしてもよ。甘やかすのはまた別の話だろうが」

 しばらく黙っていたゲルトが、頭の後ろをがしがしと掻きながら言った。視線は毛布のふくらみと、空になった酒瓶を行き来している。

「甘やかしているつもりはありません」

 シュアラは、埃を払うように膝についた汚れを軽くはたいた。

「今叩き起こしても、足りない頭数は増えません。……せめて、これ以上減らさない準備くらいはしておきたいだけです」

 毛布越しに見える肩の線を、ちらりと見る。薄い布一枚で何が変わるわけでもないと分かっているのに、何も掛かっていなかったときの光景を思い出すと、どうしても目が滑ってくれない。

「壊れてるもんを全部元通りにするのは、無理だがな」

 ゲルトは小さくため息をついた。

「……守りたいのは兵か、砦か、それとも帳面かね」

 問いかけに即答しかけて、シュアラは一瞬だけ指先を握りしめた。手袋越しに、自分の脈の速さが伝わる。

「全部です」

 少しだけ息を整えてから、そう言う。

「優先順位をつけるのは、その気になったときに、条件が揃ってからにします」

 ゲルトは、しばらくシュアラの横顔を眺めていた。やがて口の端をゆるめる。

「変な文官だな。……まあいい。嬢ちゃん、砦見物はまだ続くぞ。どうせなら、ちゃんと見てけ」

 中庭の向こう、兵舎の入口を指さす。

「見れば見るほど、頭が痛くなるのは保証してやる」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

感情の無い聖女様は、公爵への生贄にされてしまいました

九条 雛
恋愛
「――私など、ただの〝祈り人形〟でございます。人形に感情はありませぬ……」 悪逆非道の公爵の元へと生贄として捧げられてしまった聖女は、格子の付いた窓を見上げてそう呟く。 公爵は嗜虐に満ちた笑みを浮かべ言い放つ。 「これからは、三食きちんと食べてもらおう。こうして俺のモノとなったからには、今までのような生活を送れるとは思わぬことだな」 ――これは、不幸な境遇で心を閉ざしてしまった少女と、その笑顔を取り戻そうとする男の物語。

一途に愛した1周目は殺されて終わったので、2周目は王子様を嫌いたいのに、なぜか婚約者がヤンデレ化して離してくれません!

夢咲 アメ
恋愛
「君の愛が煩わしいんだ」 婚約者である王太子の冷たい言葉に、私の心は砕け散った。 それから間もなく、私は謎の襲撃者に命を奪われ死んだ――はずだった。 死の間際に見えたのは、絶望に顔を歪ませ、私の名を叫びながら駆け寄る彼の姿。 ​……けれど、次に目を覚ました時、私は18歳の自分に戻っていた。 ​「今世こそ、彼を愛するのを辞めよう」 そう決意して距離を置く私。しかし、1周目であれほど冷酷だった彼は、なぜか焦ったように私を追いかけ、甘い言葉で縛り付けようとしてきて……? ​「どこへ行くつもり? 君が愛してくれるまで、僕は君を離さないよ」 ​不器用すぎて愛を間違えたヤンデレ王子×今世こそ静かに暮らしたい令嬢。 死から始まる、執着愛の二周目が幕を開ける!

『処刑されるたびに12歳に戻る悪役令嬢、7回目の人生は「何もせず寝て過ごす」ことに決めたら、なぜか周囲が勝手に勘違いして聖女扱いされています

六角
恋愛
公爵令嬢リリアーナは、18歳の誕生日に必ず断罪・処刑されては12歳に戻るという地獄のループを6回も繰り返していた。 真面目に努力しても、剣を極めても、裏社会を支配しても、結局は殺される運命。 心折れた彼女は、7回目の人生でついに決意する。 「もう頑張らない。どうせ死ぬなら、今回はひたすら寝て過ごそう」と。 しかし、安眠を求めて「うるさい」と敵を黙らせれば『王者の覇気』と恐れられ、寝ぼけて放った魔法は『神の奇跡』と崇められ、枕への異常なこだわりは『深遠なる儀式』と誤解されてしまう。 気がつけば、ストーカー気味のヤンデレ王子、パン屋の元ヒロイン、狂犬の如きライバル令嬢、元部下の暗殺者、そして不眠症の魔王までもが彼女の信者となり、リリアーナは意図せずして国を、そして世界を救う「最強の聖女」へと祭り上げられていく。 「お願いだから、私を寝かせて!」 睡眠欲だけで運命(システム)さえもねじ伏せる、無気力悪役令嬢の痛快勘違いサクセス(?)ストーリー!

酔っぱらい令嬢の英雄譚 ~チョコレートを食べていたら、いつの間にか第三王子を救っていたようです!~

ゆずこしょう
恋愛
婚約者と共に参加するはずだった、 夜会当日── 婚約者は「馬車の予約ができなかった」という理由で、 迎えに来ることはなかった。 そして王宮で彼女が目にしたのは、 婚約者と、見知らぬ女性が寄り添う姿。 領地存続のために婿が必要だったエヴァンジェリンは、 感情に流されることもなく、 淡々と婚約破棄の算段を立て始める。 目の前にあった美味しいチョコレートをつまみながら、 頭の中で、今後の算段を考えていると 別の修羅場が始まって──!? その夜、ほんの少しお酒を口にしたことで、 エヴァンジェリンの評価と人生は、 思いもよらぬ方向へ転がり始める── 2月11日 第一章完結 2月15日 第二章スタート予定

悪役令嬢を断罪したくせに、今さら溺愛とか都合が良すぎますわ!

nacat
恋愛
侯爵令嬢リディアは、無実の罪で婚約者の王太子に断罪された。 冷笑を浮かべ、すべてを捨てて国外へ去った彼女が、数年後、驚くべき姿で帰ってくる。 誰もが羨む天才魔導師として──。 今さら後悔する王太子、ざまぁを噛みしめる貴族令嬢たち。 そして、リディアをひそかに守ってきた公爵の青年が、ようやく想いを告げる時が来た。 これは、不当な断罪を受けた少女が、自分の誇りと愛を取り戻す溺愛系ロマンス。 すべての「裏切られた少女」たちに捧ぐ、痛快で甘く切ない逆転劇。

拾った年上侯爵が甘え上手すぎて、よしよししてたら婚約することになりました

星乃和花
恋愛
⭐︎火木土21:00更新ー本編8話・後日談8話⭐︎ 王都の市場で花屋をしているリナは、ある朝―― 路地裏で倒れている“美形の年上男性”を拾ってしまう。 熱で弱っているだけ……のはずが、彼はなぜか距離が近い。 「行かないで」「撫でて」「君がいると回復する」 甘えが上手すぎるうえに、褒め方までずるい。 よしよし看病してあげていたら、いつの間にか毎日市場に現れるようになり、 気づけば花屋は貴族の面会所(?)になっていて―― しかも彼の正体は、王都を支える侯爵家の当主だった!? 「君は国のために必要だ(※僕が倒れるから)」 年上当主の“甘え策略”に、花屋の心臓は今日ももたない。 ほのぼの王都日常コメディ×甘やかし捕獲ラブ、開幕です。

【短編】婚約破棄?「喜んで!」食い気味に答えたら陛下に泣きつかれたけど、知らんがな

みねバイヤーン
恋愛
「タリーシャ・オーデリンド、そなたとの婚約を破棄す」「喜んで!」 タリーシャが食い気味で答えると、あと一歩で間に合わなかった陛下が、会場の入口で「ああー」と言いながら膝から崩れ落ちた。田舎領地で育ったタリーシャ子爵令嬢が、ヴィシャール第一王子殿下の婚約者に決まったとき、王国は揺れた。王子は荒ぶった。あんな少年のように色気のない体の女はいやだと。タリーシャは密かに陛下と約束を交わした。卒業式までに王子が婚約破棄を望めば、婚約は白紙に戻すと。田舎でのびのび暮らしたいタリーシャと、タリーシャをどうしても王妃にしたい陛下との熾烈を極めた攻防が始まる。

お前のような地味な女は不要だと婚約破棄されたので、持て余していた聖女の力で隣国のクールな皇子様を救ったら、ベタ惚れされました

夏見ナイ
恋愛
伯爵令嬢リリアーナは、強大すぎる聖女の力を隠し「地味で無能」と虐げられてきた。婚約者の第二王子からも疎まれ、ついに夜会で「お前のような地味な女は不要だ!」と衆人の前で婚約破棄を突きつけられる。 全てを失い、あてもなく国を出た彼女が森で出会ったのは、邪悪な呪いに蝕まれ死にかけていた一人の美しい男性。彼こそが隣国エルミート帝国が誇る「氷の皇子」アシュレイだった。 持て余していた聖女の力で彼を救ったリリアーナは、「お前の力がいる」と帝国へ迎えられる。クールで無愛想なはずの皇子様が、なぜか私にだけは不器用な優しさを見せてきて、次第にその愛は甘く重い執着へと変わっていき……? これは、不要とされた令嬢が、最高の愛を見つけて世界で一番幸せになる物語。

処理中です...