【配信】無能だと追放された僕の『最適化』スキル、実は神級だった件〜落ちぶれた勇者パーティを尻目に、Sランク冒険者になって人生逆転します〜

桃我タロー

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第6話 エリアナの提案

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 ギルドマスター・バランさんの熊のような手に肩を掴まれ、僕はされるがままになっていた。彼の興奮した声と、周囲の冒険者たちの好奇の視線に晒され、頭は真っ白だった。
「アルク君! 君ほどの逸材を野放しにはできん! どうだ、我がギルドが推薦するSランクパーティ『竜の顎(ドラゴン・ジョー)』に話を通そう! 彼らなら、君の価値を正しく評価してくれるはずだ!」
 Sランクパーティ。それは、この国でもトップクラスの実力者たちが集う、まさに雲の上の存在だ。そんな場所に、僕が?
 想像しただけで、胃がキリキリと痛んだ。
 また、誰かとパーティを組む。また、誰かの期待に応えなければならない。そして、またいつか、無能だと切り捨てられる日が来るかもしれない。
 レオニールたちに追放された時の、あの冷たい雨の感覚が蘇る。
「い、いえ、僕は……そんな、大した者では……」
「謙遜するな! 君のスキルは国宝級だぞ!」
「で、ですが、人と話すのは苦手ですし、足手まといになるだけですから……!」
 僕は必死に首を横に振った。もう、誰かと深く関わるのはこりごりだった。一人で、ひっそりと生きていきたい。その一心だった。
 僕の頑なな拒絶に、バランさんが「むぅ」と眉をひそめた、その時だった。
「ギルドマスター、少しよろしいでしょうか」
 凛とした声が響いた。受付嬢のエリアナさんだった。
 彼女はにこやかな笑顔を浮かべているが、その目には有無を言わせぬ強い光が宿っていた。
「アルクさんは長旅でお疲れのようです。詳しいお話は、少し休憩されてからの方がよろしいかと。さ、アルクさん、こちらへどうぞ」
 エリアナさんはそう言うと、僕の手をそっと引き、ギルドの喧騒から逃れるように奥の小部屋へと案内してくれた。そこは、職員用の休憩室のようだった。
「ありがとうございます、エリアナさん……」
「いえ。……驚きましたね」
 椅子に座るように促され、僕はへなへなと腰を下ろした。エリアナさんは温かいお茶を淹れてくれる。
「あなたのスキル、まさかあそこまでとは思いませんでした。勇者レオニールは、とんでもないお宝を自ら手放したも同然ですね」
「お宝なんて、そんな……」
「いいえ、お宝ですよ」
 エリアナさんは、きっぱりと言い切った。彼女は僕の向かいに座ると、真剣な眼差しで僕を見つめた。
「無理にパーティを組む必要はありません。あなたがそれを望まないのなら。でも、そのスキルは多くの人の役に立ちます。そして、何よりあなた自身の生活を、人生を、豊かにするはずです。それを、腐らせてしまうのは、あまりにもったいない」
 彼女の言葉が、ゆっくりと僕の心に染み込んでいく。
「そこで、提案があるんです」
「提案、ですか?」
「はい。もしよろしければ、私があなたのマネージャー的な役割をさせていただけませんか?」
「まねーじゃー?」
 聞き慣れない言葉に、僕は首を傾げた。
「ええ。あなたは、あなたのやりたいように冒険をする。その様子を、先ほどのように配信する。私は、あなたが冒険に集中できるよう、依頼の選定や報酬の交渉、面倒な手続きなんかを代行します。そして、配信で得た利益は、私とあなたで分け合う。どうでしょう?」
 彼女は、悪戯っぽく片目をつむいだ。その瞳の奥には、優秀な商人が獲物を見つけた時のような、鋭い輝きがあった。
 僕のスキルに、金銭的な価値を見出している。それが透けて見えた。
 でも、不思議と嫌な気はしなかった。彼女の言葉には、僕の意思を尊重しようという響きがあったからだ。
「……僕で、いいんでしょうか」
「あなたがいいんです」
 エリアナさんは、僕の不安を見透かしたように、優しく微笑んだ。
「では、契約成立ですね! パートナーとして、これからよろしくお願いします。さて、マネージャーとしての初仕事です。まずは、あなたのスキルが戦闘でどう役立つか、世界に示してみませんか? 一番簡単な、あの依頼で」
 彼女はそう言うと、壁に貼られた依頼リストの中から、一枚の紙を指さした。
 そこに書かれていたのは、「ゴブリン討伐」の文字だった。
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